今日のひとコト
一体、あの時代はなんだったんだろう。あの時代とは私が子供の頃のこと。生まれる前のことは自分では体験できないから、たんなる知識でしかない。しかし、自分がその時代に空気を吸っていれば、それだけで立派な体験時代だ。
あの時代、つまり昭和の二十年代。特に後半。私の小さな村にもドサまわりの芝居が年に何回となくやってきた。今でも強烈に記憶のあるのは、10人程度の一座であった。一座は外で飯炊きや、味噌汁をつくって自炊生活。そのまわりを私たち子供は遊ぶようにして役者さんたちと交流というか楽しんでいた。
そんなことよりも・・・だ。芝居である。もちろんチョンマゲ物であるが、だいたいのストーリーは決まっていた。そして強烈な印象は、たとえば哀しい場面、涙をしぼらなければならない大事な場面。舞台の中央で男が一人かなしみのどん底にいる。その男のわきに影のように一人の男が立っている。そして、かなしいメロディーをバイオリンで奏でているのである。そーいう場面になると、バイオリン男が現れた。あれはいったいなんだったのか。 (竜山)
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