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シリーズ9回目の今回はこれまでのテーマから枠を広げて、日本の安全保障を考える上で欠かせないアジアの安全保障を考える。その初回に、今年3月、「日豪安保共同宣言」に署名し、2国間の安保協力を深めているオーストラリアのアリステア・マレー・マクレーン駐日大使にご登場願った。同大使は「今年は日豪通商協定50周年を迎えた。その年に2国間で安全保障での協力関係を拡大する安保共同宣言に調印した。このことは、この地域(アジア)の安全保障に繋がる」との認識を示した。また、中国の軍備増強について「経済発展する国は軍備増強するのは自然」と脅威として受け止めていない、との発言は注目された。このインタビューは(上)、(下)2回に分けてお届けする。 インタビュアーは、川戸惠子・TBSシニアコメンテーター。(収録は5月22日) (立ち会ったのは同大使館の駐在武官、広報担当参事官、防衛省国際企画課員) 「中国、経済発展につれて軍備増強は自然。過剰な心配不用」大使は「この地域で中国が大国として発展していることは非常に重要。経済が発展すれば軍事的にも強化していくということは自然なこと」と明解に言い切ったのには驚いた。 さらに、「だから、あまり過剰に心配しすぎないことが重要だと思う」とつづけた。 同時に軍備増強に関しては「その透明性については、問題があると思う。私は中国が説明していないとは思いませんが、今後も他国に対して適切な説明を続けていくことが重要です。そうでないと他国から信頼を得られなくなる」と、世界の各国と同様、透明性を求めていた。 「北の核、地域の安全保障に大問題、日本と協力して対応」北朝鮮問題について大使は「中国よりも、さらに心配なのは近々の問題としての北朝鮮の核活動」との表現をした。つづけて「6ケ国協議で合意したことを歓迎したが、北朝鮮が交渉のテーブルに戻らないことは非常に残念。このことに関しては日本と緊密な協力が必要で、昨年も(国連での制裁決議時)協力して積極的に対応した」と述べるにとどめた。 ここで、再び「日豪安保共同宣言」のアクションプラン(行動計画)の中身の話に戻してもらった。 「『2プラス2(日豪安全保障協議委員会)』近く開催、そこから具体的に動き出す」大使は「宣言の核になるのがアクションプラン。そのひとつが『2プラス2』。防衛、外務大臣の会合です。まだ日程の正式発表はできないが、この会合がアクションプランを後押しすることになる。これによって、具体的な活動が出てくる」と話し、『2プラス2』の日程が近いことを示唆した。最後に、「この宣言で具体的な行動を起こす時に日本には制約がある。日本に何を望みますか」と水を向けてみた。 「共同宣言は安全保障条約、同盟ではない」すると、大使は「共同宣言のキーポイントは、これが安全保障に関する条約ではない。同盟でもないということです。おっしゃったように日本には憲法上の制約がある。PKOとか自衛のため以外には自衛隊は使えない。このことは日本の国会、政府が決めることで、今後どうなっていくか、我々は非常に関心をもって見守っております。これ以上、詳細をお話するのは難しい。集団的自衛権に関しては非常に重要なエリアと思っている。これには我々は関われない。その議論には入れないわけです」と、慎重に言葉を選び、日本国内の微妙な問題であることを知って、当然のように、避けていた。「海上保安、PKO、人道支援、テロ対策など協力課題は多い」それでも、最後に「もちろん、集団的自衛権に関して、日本政府、国会が今後、(方針、考え方を)変えるということであれば、状況は変わってくると思っています」と、集団的自衛権に強い関心を寄せていることを滲ませていた。 (川戸惠子) |
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2007年05月24日
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シリーズ9回目の今回はこれまでのテーマから枠を広げて、日本の安全保障を考える上で欠かせないアジアの安全保障を考える。その初回に、今年3月、「日豪安保共同宣言」に署名し、2国間の安保協力を深めているオーストラリアのアリステア・マレー・マクレーン駐日大使にご登場願った。同大使は「今年は日豪通商協定50周年を迎えた。その年に2国間で安全保障での協力関係を拡大する安保共同宣言に調印した。このことは、この地域(アジア)の安全保障に繋がる」との認識を示した。また、中国の軍備増強について「経済発展する国は軍備増強するのは自然」と脅威として受け止めていない、との発言は注目された。このインタビューは(上)、(下)2回に分けてお届けする。 インタビュアーは、川戸惠子・TBSシニアコメンテーター。(収録は5月22日) (立ち会ったのは、同大使館の駐在武官、広報担当参事官、防衛省国際企画課員) 「『日豪安保共同宣言』で両国関係は拡大」大使は「こちらこそ、ありがとうございました。イラク南部・サマワでの日豪協力は非常に成功した例。今後も両国は平和維持活動やその他の分野で協力を続けていくことができると思います」と、サマワでの日豪関係が評価されたことに満足気だった。 続けて、経済だけでなく、安全保障面でもこれまで、カンボジア、東ティモールなどでのPKOで両国は協力関係を重ねてきたことに触れた。 大使は「2007年は(日豪)通商協定締結50周年。これは両国の経済関係の非常に画期的な土台となった条約です。2国間の貿易、経済に止まらず、他の分野にも拡大している。(今回の日豪安保)共同宣言は、両国関係が拡大いていくことの現われでもあります」と、今後の両国関係が明るいことを展望した。 また、今回の安保共同宣言は日米同盟以外で安全保障面では初めての2国関係。どうして、今回、共同宣言を結んだのか。その意味を尋ねた。 「3国同盟ではない。2国間の提携強化が、この地域の安保につながる」大使は「日米安保条約はこの(アジアの)地域が50-60年間、比較的静かで安全であったのも、この安保条約のお陰です。豪州も米と1952年から同盟を結んでいる。この日、米、豪の3角の関係の2つの国が今度、安全保障宣言に署名したことになる。 米との2国間の同盟関係を強化すると3角の関係でバランスが取れなくなる。そのために2国間での関係を結んだ。3国同盟ではない。それが、2国の安全保障に資するとともに、さらにこの地域の安全保障に資するものと考えています。」と、共同宣言の本質を解説した。 「アクションプラン(行動計画)に期待」さらに、この地域は広い海域を抱えている。マラッカ海峡もありテロの危機など大きな問題があることを指摘すると。大使は「豪日共同宣言署名で、両国の政府の間で現在、アクションプラン(行動計画)を作っている。これから数ヶ月間で、海上安全、国境警備、大量破壊兵器の拡散対策、テロ対策などが盛り込まれます。これによって、2国間の協力関係はさらに深まる」とアクションプランに強く期待した。 「日豪安保共同宣言は特定の国は念頭にない」すると、大使はすかさず「私はそうは思わない」ときっぱり言ってのけ、さらにその理由を挙げた。 「これは3国の戦略対話です。これは、如何にこれまでの協力関係を強化していくか、また、地域の安全保障を強化していくかを話し合っていくためのものです。これは特定の国を念頭に置いたものではない。如何に協力関係を深めて行くかを、話し合うための対話です」と、中国を意識したものではないことを力説した。 さらに、この3国とインドとの関係を質問した。 これに対しては「我々とインドの協力関係は非常に強力で長い。貿易も強いつながりを持っている。中国、日本との貿易ほどではないが非常に重要な国です。日豪米は長いつながりがあり、この3国とは安保対話。これにインドが加わる日豪米印の4か国関係とは別のもの。4か国は5月25日に会談する。これは民主主義的な共通の価値観を共有して、他の共通事項を話し合う場です」と解説した。インドとは一線を画している、と説明したのが印象的だった。=(下)につづく。 (川戸惠子) |
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