日本観光戦略研究所(自民党の政策グループ「新しい波」の研究団体)の定例勉強会が5日午前、赤坂プリンスホテルで行なわれた。
20回目の今回は、ゲスト・スピーカーとして外交評論家の岡崎久彦氏が、「観光の国際戦略」をテーマに講演した。
会の初めに、「新しい波」会長・自民党国会対策委員長の二階俊博氏に続き、自民党観光特別委員長の愛知和男氏が挨拶し、昨年末、成立した観光立国推進基本法の中核となる、「観光立国推進基本計画」を現在作成中であることに触れ、「観光というと、ソフトの話になりがちだが、空港など、ハードの整備も重要であることなどにも留意して、基本計画を作成中である」と述べた。
また、ツーリズムを浸透させる必要性を強調し、批判されがちな公共投資の重要さを説いた。
「今の日中関係は大変良い」――岡崎氏
講演の中で岡崎氏は、「昨今の日中関係は大変良い」と繰り返した。
岡崎氏は、「今後、若い人の日中交流が活発になる中で、これが妨害されることはない」とし、観光の面では心配がないことを強調した。
「東シナ海ガス田は共同開発で解決可能!」――岡崎、二階両氏
しかし、岡崎氏は「一つだけある大きな懸念」として東シナ海のガス田問題を挙げたが、「お互い主張ばかりしていたら仕方がない。トップがある時期に腹を決めて共同開発しよう、となれば解決できる。そうすれば、日中関係にトゲはなくなる」とした。
これを受けて二階氏は「このトゲは、日中両国にとって放っておくことのできない問題であることは間違いないが、どうしようもないくらい大きな問題かというと、そうではない。この問題でこぜりあいしている時ではない。レベルの高い指導者なら判るはず。(解決には)スピードが大事」」と、の表現で、今の日中関係の中で解決可能との認識を示した。
「日中は互いに協力し、アジア、世界を考える時期」――二階氏
続けて二階氏は、日中2万人交流計画(日中双方から計2万人の訪問)に関して、日本と中国の間に飛んでいる19路線の飛行機の都市で、省エネ、環境、教育問題、日本と中国の将来についてシンポジウムの開催を予定していることを挙げ、「単なる観光の交流ではなく、成熟した日中関係をというのがこの計画の狙い」とアピールした。
シンポジウムは、既に13都市で具体的な日程が決まり、訪中団の人数の概数が1万人に達していることを披露した。
また、中国で経済的な発展が遅れていると言われている貴州省にはアジア最大である「黄果樹の滝」(安順市)があり、自身の出身地の和歌山県の「那智の滝」(那智勝浦町)が滝をつながりに友好提携を結んだ話を紹介した。
さらに二階氏は、「この2都市の繋がりには、現在、観光的な往来は余り期待できないが、経済ばかりを重視していたのではお互い寂しい。発展途上の地域であっても、友情を育むことはできる」と、交流の目的は経済的な発展だけではないと語った。
この貴州省の貴州大学で講演を行った時、400人ほどの学生が日本語を学び、日本語で質問してきたことに驚いたこと、また、東北経済大学(大連)では、500本の桜と共に贈ったこいのぼりを、校庭の真ん中につるして喜んでくれたことに触れ、日中関係が次第に成熟の道を歩み始めていることを紹介した。
「いまや日本と中国が対立して物事を考えている時代ではない。お互い協力し合って、アジアの中で、そして世界の中でどうあるべきかを共に考えなければならない。両国民は、そのプライドは持っている。それを実践に移さなければならない時期にきている」と日中の関係のこれからに大きな期待を寄せた。
2万人交流計画に関しても、達成が期待できるとし、これを突発的なものではなく、「静かな波」として広めていきたいと、多くの人の参加を呼びかけた。(事務局スタッフ=伊奈恵子)
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