南北首脳会談が7年ぶりに開催されるということで、融和ムードが高まっている。日本は、北朝鮮に対し最もタカ派的な、スタンスを採っていることもあり、日本の孤立化が進むことを懸念するとの記事を目にした。
日本という国家を客観的にロングショットで展望した場合、北東アジアの安定と平和を真に期待しているのだろうかとの疑問が過ぎる。
一連の動きに接し、日本の欠点は、自国中心で考え、現状を打破し将来の明確なビジョンやシナリオを練るという戦略思考が欠如しているところにあると感じる。
メディアは、現状をすばやく報道しているから、メディアを通じ現状を分析するのは、それほど難しいことではないと思う。しかし、現状の次に到来するだろう近未来的なシナリオを見出すのは、難解である。例えば、日本の孤立化を避けるためには、どのような戦略が求められるかとの問いに対しては、ほとんど語られていないようだ。
筆者は、国連機関、日米のシンクタンクを通し、ずっと北東アジアを展望してきた。勿論、拉致問題は、長らく日本が無視してきた問題でここ10年ほど凝縮されたように注目されるのは良いことである。しかし、この10年ほど、北朝鮮問題は、メディアが報道し、一般にも関心が高まっているが、これといった解決策や戦略が見えてこない。
核開発、ミサイル発射、拉致、麻薬、偽札などを行う北朝鮮に対し、日本一国でも経済制裁を継続することは正しい選択だと思う。しかし、北朝鮮が次第に国際社会へ歩み寄り、融和ムードが進展する状況の中、周辺諸国を驚かす日本独特の平和戦略を示すことが重要であると思う。
何故なら、北朝鮮が米国や韓国に歩み寄るシグナルは、北朝鮮にしか理解できない中国やロシアの脅威も含まれていると読む。朝鮮半島の38度線を境に対峙する勢力の均衡に変化が見られる地政学的状況の中、米中の二大勢力を調和させるのは、日本の戦後処理として、また日本の存在感を高めるためにも絶好の好機だと考えられるからである。
21世紀の北東アジアのカンバスに平和のシナリオを描き、北東アジアの安定と発展のグランドデザインや戦略思考を練るのは、日本政府のみならず、国民一人一人の思考にかかっているように思われる。 (中野 有)
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