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CNNの看板レポーター、クリスチャン・アマンポールが8ヶ月をかけて取材した「神の戦士たち」(God’s Warriors)が、2時間番組3回という密度の高いレポートとして8月23日から25日にかけて同チャンネルで放映された。 題名から想像されるように、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教という三つの一神教信者の中に存在する、神の意志についての一義的な解釈と、それに殉ずることに至上の価値をおく人々(原理主義者と呼ばれることもある)に対するルポルタージュ番組である。 映像は時に人を欺く。湾岸戦争前後に、重油にまみれた海鳥や、スターウォーズさながらの百発百中のミサイル攻撃などの画面を通じて、「やらせ」の虚像を視聴者に植え付けたについて決して無罪とはいえないCNNではあるが、今回のこのレポートは、まさにアメリカメディアの質の高さを実証したものであるといってよいだろう。 三部作その内容を細かに解説するのが本旨ではないから簡単に述べるにとどめるが、第一部は旧約聖書によってユダヤ人に「与えられた」地に留まることの正当性を全く疑わない入植者とその行動が中心。第二部はイスラム教にとって神に一身を捧げることの意味。さらには「聖戦(ジハード)」の受け取られ方。最後が米国におけるエバンジェリストを中心とした政・教一致への動きとそれに対する疑念を呈する人々、といった構成である。 筆者にとっては、前二つの動向については日頃から興味を持ってフォローしていたので、「知らなかった」事実を目にした驚きというのは比較的少なかった。しかし、自爆テロで若い命を「捧げた」青年の人となり、さらには残された家族、特に母親の言葉が極めて印象的であったことに変わりはない。だが、意外なことに最も衝撃的だったのは現代米国の「原理主義的」新教徒の大集会だった。ブッシュ大統領の再選前後にいくつかの報道によってそのあらましは知らなかった訳ではないが、政教一致というコンテクストで映し出される主張と熱狂ぶりには、いささか背筋が寒くなる思いなしとしなかった。 番組CNNはおそらく再放送を何度もするだろうと思うので、ぜひ一見をお勧めしたい。可能ならば日本語版を作成してNHKあたりにも流してほしいものだ。もっともあの歯切れのよいアマンポールの台詞が聞こえなくなるのは残念だが。 筆者は爆弾テロの卑劣さと許し難さについては、いくら強調してもしすぎることはないと考えている。9・11の時もそうだったが、それを発生させる背後の条件、あるいは米国の対応、といった点の解説記事についてその必要性はもちろん理解する。しかし根底にこうした行為に対する道義的否定というバックボーンがなければ、「どちらもどちら」に堕してしまうことは余りに明らかだとも考えている。その意味では先日(2007.8.25)のブログに対する読者諸氏からの反応のいくつかには驚きを禁じ得なかった。が、それは筆者の筆力のなさに起因するのであると理解するとしよう。その点、このアマンポールの番組のスタンスの良さは、テロに留まらず、多くの対立・抗争的なイシューについて、明示の形での一方の立場の支持・批判をまったく行うことなく、それでいながら問題の所在を明確に摘出するといういわばマスコミの王道によっているところにある。基本にヒューマニスティックな冷徹さが存在するのはいうまでもない。 余談知る人ぞ知る彼女はルービン氏の妻であり、最近一児の母になった。米国キャリア・ウーマンの一典型であり、それかあらぬかあのメリル・ストリープの「プラダを着た悪魔」の中でいかにランアウィイ誌が知的側面を持っているか、という例証として「アマンポールの記事もあるのよ」という台詞があったのにお気づきの方はいらっしゃっただろうか?(入山 映) |

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