メディア・レボリューション

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日銀関連・緊急座談会

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先月、中川・自民政調会長や竹中総務相らが日銀法改正を示唆する発言を行った。
発言の意図は?また、今の経済状況の中であるべき金融政策の姿は?
「メディア・レボリューション」では、編集会議メンバー、早房長治(朝日OB) 牧野義司(毎日OB) 町田徹(日経OB)の3氏による緊急座談会を、12月1日に開催した。
その内容を3回シリーズで紹介する。

イメージ 1 早房: 今日は来年予想されております、日銀の金融緩和政策を巡って、最近、規則発言なんだか不規則発言なんだかよくわかりませんが、自民党の中川秀直政調会長と、その後に竹中総務相が同じような発言をされましたが、政府として、または自民党として、日銀が勝手に金融政策を変えられちゃ困る、金融緩和をされちゃ困るということをおっしゃった。
 しかもその時の言い方が、「言うことを聞かなければ、日銀法の改正も視野に入れるよ」という、15年以上前に、自民党の実力者であった金丸さんが言ったようなことが突然蘇ってきて、私などは非常に奇妙な感覚にとらわれていますけどね。
 今度の中川、竹中両氏の発言がどういう問題を含んでいるかということを今日は3人で話し合いたいと思います。
 町田さんから先にお伺いしたいんですけれども、ああいう発言は、どういう問題を含んでいると思いますか。

中川発言はとんでもない恫喝発言だ−町田 徹


イメージ 2 町田: 一番問題を起こす可能性があるのは日銀の独立性を巡る発言でしょう。せっかく景気がよくなってきている、あるいはマーケットが好調だと色々なよいことがあるけれども、それらをぶっ壊してしまうようなとんでもない恫喝発言だったように思います。
 株価は今日(1日)、1万5000円という5年ぶりの高値をつけました。銀行および上場企業もバブル期以上の好決算になっている。そこで、今の金融緩和。異常事態の金融緩和を4年間にわたって続けてきたわけですから、当然、見直すべき時期を迎えていると言わざるを得ない。日本銀行がちゃんとした金融政策をやるだろうと信任が市場関係者の間にあるから、その信任が支えになってマーケットも活況を呈していると言えます。
 それを、もののわかっていない政治家が、金融政策そのものを司る番人である日銀の立場を根底から否定するような発言をしちゃうと、せっかくの今の好循環を全部ぶっ壊してしまうような話になります。そういう意味で、とんでもない発言だったんじゃないかと思っています。

早房: 牧野さんはどう思いますか。

ポスト小泉を意識したリフレ政策の思惑が背景に−牧野 義司



イメージ 3 牧野: 僕は若干、違う見方でいます。
 結論から先に言うと、中川自民党政調会長と竹中総務相、それからそのバックにいる小泉首相が、ポスト小泉を見越して、安倍晋三内閣官房長官を次のリーダーにするための政治的、経済的な環境づくりのためにリフレーション政策を意識的にやろうとしているのでないか、そのために、日銀に対して現状の量的緩和政策を継続させようとしているのでないか、ということです。
 リフレ政策は、デフレでもないインフレでもない状態で、物価が下がらないように、金融面から緩和政策を続けるのがリフレーション・ポリシーなのですが、ポスト小泉政権の抱える課題は間違いなく定率減税解除の完全実施、つまりは実質増税の実施が控えているうえ、さらにそのあとに社会保障財源としての消費税率の引き上げ問題があります。
 そこで、中川−竹中ラインでもって、大義名分はデフレ脱却するまで日銀は量的緩和政策継続ながら、実は金融緩和を量的側面から続けることで株価を含めて資産価格の上昇を促すことが最大のねらい、既に株価は1万5000円台ですが、さらに上昇していけば、仮に消費税率の引き上げ問題が出てきても、社会保障財源としてのものだ、と強くアピールすれば資産価格も上がっている状況のもとでは政治的反発にならないかもしれない、ショックを和らげることが可能、と踏み、そこで、政府のデフレ脱却シナリオに協力しないならば日銀法改正も辞さず、などというブラフをかけながら、揺さぶりをかけているのではないか、という見方です。
 そう思いませんか。というのは、自民党が圧勝する総選挙の前まで、日銀の審議委員らが、消費者物価の前年比上昇率が安定的に数ヶ月ならしてプラスになることの確認など、3つの条件が満たされれば量的緩和を解除する、と外部での講演などで発言し、日銀の金融政策決定会合でも話題にしていました。このため、マーケットも、そういうことをある程度織り込んだ中で議論してきた。そこへ、なぜ突然、自民党の中川政調会長が日銀法改正まで持ち出しながら、量的緩和解除はおかしい、と言い出したか、どうも政治的な意味合い、背景があるな、と思ったのです。
 このあたりは、同じ政治家でも、与謝野経済財政担当相や谷垣財務相なんかとは、ちょっと違う意味があるんじゃないか、と思います。谷垣財務相は、まったく財務省を代弁した単純な発想でのもので、量的緩和政策解除によって、長期金利が跳ねがあり、国債発行条件が悪化することの懸念や、国債価格の下落リスクへの懸念からだけの立場での日銀へのけん制にとどまっていますが、中川−竹中−小泉発言はもっと政治的ですからね。

早房: 私も、これは経済的な発言よりも政治的な発言という感じを強く持ってますけれども。ただ経済の問題として考えてみる、金融の問題と言ってもいいですけれども、今これだけ景気がよくなった時に、超低金利政策を続けた場合、先になって、どーんと長期金利なんかが上がっちゃうかもしれない。そういう経済的な危険性。そうなると国債の問題だって何だってめちゃくちゃになりますよね。どうもそういうことを無視して、ああいう発言をしてるなと。
 恫喝はともかくとして、それ以前の問題としてね。政治的意図かもしれないけど、やはりちょっとおかしいなあと。こういうことを続けたら、とんでもないことが起こるんじゃないかという危惧を持っているんですけれども。

町田: 政治的発言って言うのは、その通りだと思います。ポスト小泉をにらんで、安倍官房長官、竹中総務相、中川政調会長がスクラムを組んでいる。それから、彼らは、金融政策ではなく、(国債管理のような)財政面でのマクロの経済政策運営をうまくやっていきたい。この意図はやはり露骨だと思うんです。もし、そうであればあるほど、「人に伝わる」「人に聞いてもらえる」メッセージの言い方が大事なのであって、あの人たちは「言うことを聞かなかったら、法律でお前たちの自由を奪ってやるぞ」ということを言ったわけですよね。これを言われた日銀は、逆に(量的緩和解除を)やらなければ屈したことになりますから、こういう発言は、メッセージの送り方としては最低ですよ。いかに政治的な発言であったとしても、経済政策を知っている政治家の発言ではないなという印象を受けます。

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