メディア・レボリューション

マスコミ各紙各局のOBや、現役の解説者などからなるニュースブログです。TVや新聞には出てこない「新しい」情報を発信します。

北の国からのエッセイ

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

冬の森林浴

 このところ札幌は一日の最高気温が氷点下の真冬日が続いています。
 しかし降雪量は例年より少なく、来月開かれる雪まつりの大雪像つくりの雪集めに関係者は苦労しているようです。
 ちなみに札幌の真冬日は一冬で48日(平年)あります。
 これから2月にかけて札幌は“しばれる”日が続きます。

白一色の世界
イメージ 1 寒いからといって家にばかりいるのは猫です。
 犬は外に出たくなります。
 先日、今年初めて札幌近郊の森に出かけました。
 台風並みの低気圧の通過後だけに新雪がまばゆいばかりです。
 落葉樹の枝に、常緑樹の葉に雪の花が咲いています。
 通路を倒木がふさいでいました。
 強風で倒れたトドマツです。

 積雪は50cmくらいでしょうか、森の案内板がずいぶん下に見えます。
 また森の木々がとても低く感じられ、いつもの森と一寸違う感じをうけます。
 この森は 野幌(のっぽろ)森林公園 です。
 東京都港区がすっぽり入る森林公園で、平地公園としては日本一の広さがあります。
 豊かな原生林に恵まれ、タンチョウやマリモと同じく国の特別天然記念物に指定されていましたが、半世紀前の洞爺丸台風で壊滅的打撃を受けて、指定は解除されました。
 その後、植林されましたが、あちこちで自生した原始の木々を観察でき、和人が入植する開拓前の北海道の自然を連想させます。

動物クイズ
イメージ 2 新雪の上に動物の足跡がありました。
 この森にはウサギ、キツネ、リス、ネズミ、アライグマ、エゾシカなどが生息していますが、この足跡は キタキツネ です。
 キタキツネは肩幅が狭いため、足跡はほぼ直線状につくのが特徴です。
 小動物は日中は天敵を恐れてまず姿を現わしません。
 けど足跡やフンが観察されますので生息を確認でき、森を歩く楽しみの一つです。
 ただ最近は飼い犬と一緒に森に入る人も増え、足跡から動物を当てるのを複雑にしています。

ドライフラワー
イメージ 3 枝先にセピア色の小さな紙がたくさんついているような潅木に出会いました。
 ノリウツギ の装飾花です。
 装飾花は虫をおびき寄せるため雌花の周辺に白い花びらをつけますが受粉後は役割を終えて上向きから下向きになります。
 しかし枝からは落ちないでこうして真冬でもドライフラワーとなって付いています。
以前仲間の中高年のおばちゃんに「ドライフラワーのようだ」と言ったら「失礼ね」とえらく怒られました。
 誉めたつもりだったのですが、“ご婦人”はいつまでも潤いを求めているようです。
 以降、誉め言葉としては禁句です。
イメージ 4 ノリウツギはアジサイの仲間で樹液を和紙のノリにつかったことからこの名がつきましたが、北海道では サビタ といわれています。
 ロマンチックでどことなく哀愁を感じる語感のサビタは、釧路出身のベストセラー作家、原田康子の「サビタの記憶」で一躍有名になりました。
 実際にみて「な〜んだ国内どこにでもあるノリウツギか」とがっかりする人が多いようです。
 釧路湿原で育まれた原田康子の感性に惑わされたといえるかもしれません。
 ノリウツギの他に ツルアジサイイワガラミ の装飾花もドライフラワーとなってあちこちで散見され、冬の森にアクセントをつけています。(写真はノリウツギの花で白いのが装飾花、7〜8月頃咲きます)

鳥の楽園
イメージ 5 静かな森に突然ピーチク、パーチク鳥のさえずりが聞こえました。
 見上げると尻尾の長い エナガ です。
 一緒に森を歩いているグループの中に鳥に詳しい「鳥博士」がいて、いろいろ教えてくれます。
 この中年の女性鳥博士、動体視力が抜群です。
 いち早く鳥の居場所を見つけるのにはいつも驚かされます。
 「ほらほら、枝分かれした左側の折れ曲がった小枝にいるでしょ」
 言われるとおりに懸命に目で追います。

イメージ 6 双眼鏡で見てもすぐ見つからず、いらいらします。
 余りにも大きく見えて目標の木を見定めるのが大変です。
 カラマツの大木に コガラ が止まりました。(写真右)
 虫でも捕えているのでしょうか。
 すぐ目の前で樹皮を突いています。
 冬の森は葉が落ちてるだけに見通しがきき、探鳥会に最適です。





泰然自若 森の主
イメージ 7 私たちが行き着くところは決まっています。
 今日もいました、森の主 エゾフクロウ です。会えるとほっとします。
 この場所にはいつ来てもセミプロも含め、必ず数人がカメラを構えています。
 人間がフクロウを観察しているのと同じように、フクロウもまた人間を観察しているのでしょうか。
 樹の洞の中でじっと座ったままこちらを見つめています。
 珍しくあくびをしました。(写真)
 「おいらは見世物ではないんだよ。早く森から出て行きな。つまらない動物(人間)さんよ」と言ってるようです。
 しかし、いつみても飽きないフクロウ君です。
 シャッターチャンスを逃さず、うまい具合に撮れました。


やすらぎの森
 氷点下の中じっと1時間も観察していると、からだの芯まで冷えてきます。
 「そろそろ、引き揚げましょうか」
 リーダーの女性の一声で、フクロウとお別れです。
 新雪を踏みしめながら一列になって森を歩きます。
 ひんやりとしてますがとても心地よい散策です。
 白一色の世界です。
 相当歩いていますが全く苦になりません。
 森はさまざまな安らぎを与えてくれます。
 森林浴とはよく言ったものです。
 (望田 武司=寄稿)

イメージ 8

望田 武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。

札幌の初詣

 ことしの正月3が日は全国的に良い天気に恵まれ、元旦は神々しい初日の出を見れたところが多かったようです。
 札幌でも市街地が一望できる藻岩山(531m)に、大勢の人が登って4年ぶりの初日を拝んだとテレビは伝えていました。
イメージ 1 我が家からも見えるはずでしたが、最近の高層ビルラッシュが太陽を阻んでしまいました。
 西の方はまだ眺望がききますので、手稲山に落ちる日没の太陽を拝もうかと思いましたが、この考えは甘く、午後からは雲が出てかき消されました。 (真中の白い山が手稲山、快晴の1日午前撮影)
 北国の冬の一日は天候がめまぐるしく変わり、一日中晴れることは余りありません。
 それでも日中の気温が久しぶりに0℃まで上る穏やかな正月となりました。



甘い饅頭
 近くの北海道神宮に歩いて家内と初詣に行きました。
 いつもは買い物などについて行こうとすると、来なくていいと不機嫌な顔をする家内ですが、この日ばかりは違います。
 正月早々いがみ合うのも縁起が悪いから、などという思いやりなら納得ですが、実際はそうではありません。
イメージ 2 初詣に行く途中に備前岡山の銘菓「吉兆庵」があります。
 そこで売っている福袋が一人一袋の限定販売ですので、私が行くと2袋買えるというわけです。
 おまけにお茶とお饅頭が自由に振舞われ、これが楽しみの初詣です。







北海道神宮
 吉兆庵で温かいお茶をもらって5分もしないうちに北海道神宮です。
 北海道神宮は明治2年、五稜郭の戦いで榎本武揚・土方歳三らの旧幕府軍を破った明治新政府が直ちに北海道統治に乗り出した際、明治天皇が直接下賜した三神(国造り・開拓・酒造り)を東京から後生大事に運んで祀った北海道建国の神社です。
 それだけに人と車の列は未明から途切れることなく続きました。
イメージ 3 境内の階段は初詣客が滑らないよう、氷を取り除く作業が絶え間なく行われていました。
 境内はごろごろした砂利道なので滑らないのではと思いましたが、砂利の上に積もった雪が参拝客に踏み固められてツルツルに凍っています。
 このため砂がきめ細かく撒かれて安全に万全を期した初詣での警備です。
 参拝客のお尻にくっついて少しずつ歩き、ようやく本殿につきました。
 お賽銭をあげ、手を合わせます。


イメージ 4 家内に「お賽銭はいくらあげた?」と聞きました。
 「心の問題だからいちいち言うことではないの」。
 あれ、心の問題とは昨年どこかでよく聞いた言葉です。
 どうも神社参拝と連動するようです。
 外交よりも心が優先する世の中ですから、これ以上聞くのも野暮というものでしょう。
 ちなみに私はご縁がありますようにと5円です。
 本殿の前には白い布で覆われた特製のお賽銭入れができていました。
 千円札に混じって5千円札、1万円札も見られます。
 夕張倒産・いじめ・竜巻・漁船銃撃・・・、去年の北海道は暗いことが多かった1年でした。 
 好景気といわれながらその実感はなく、ますます広がる地域格差の中で善男善女は何を祈願したのでしょうか。


判官まんじゅう
イメージ 5 帰路、境内にあるお休み処によりました。
 ここでもお茶とお饅頭が無料で提供されています。
 こちらは北海道の銘菓「六花亭」の出店です。
 出されるお饅頭は「判官まんじゅう」と呼ばれ、そば粉と十勝の小豆で作ったあんが入って実においしい。長い行列ができています。
 判官とは明治天皇から三神を預かって札幌に入った北海道開拓使の役人、島義勇(よしたけ)の官職で今日の副知事に相当するでしょうか。
 船で函館に上陸し、日本海側の陸路を経て小樽から札幌に入った島判官は、札幌を本府と定め、京都をまねた碁盤の目の都市作りに乗り出しました。
 島判官は1年もしないうちに都市計画を巡って上司の黒田清隆と対立して左遷され、のちに秋田県令になりますが、明治7年江藤新平とともに郷里の佐賀で新政府と戦って破れ、捕えられて斬首さらし首の刑をうけます。俗に言う佐賀の乱です。

イメージ 6 しかし島判官は北海道神宮に神を祀った人物として境内に130年前札幌入りした姿の等身以上の像が建てられています。(写真:札幌入りした島義勇判官の像)
 ところが観光ボランティアをしていますと、佐賀県から来た観光客は島義勇を知っている人はまずいません。
 肥前のおらが国の人が北海道でこんなに敬われていることにびっくりするのが面白いです。
 島判官を左遷した黒田清隆はその後、自ら札幌に足を運んで、島義勇の気宇壮大な碁盤の目の都市計画に仰天し、島判官の後継の判官に島義勇の計画を推進するよう指示します。
 明治3年の出来事です。
 こうしたことから島義勇は札幌の街づくりの祖として、市役所のロビーにも大きな像が安置されています。


国家反乱人の顕彰
 童門冬二という歴史小説家がいます。
 東京都庁の役人で当時の美濃部亮吉知事に重用され、政策室長や企画調整局長などを歴任した人物です。
 いつもネクタイをまともにつけてない役人らしからぬ役人でした。
 江戸城を築いた太田道灌の像が都庁にあるのを意識したのか、彼は国家反乱人の像をなぜ市役所に建てたのかと当時の札幌市長に尋ねました。
 当時の札幌市長曰く
 「歴史上の人物にはそれぞれ生まれてから死ぬまでの過程がある。ある時期だけを捉えてその人物を全面的に否定するのは間違いだ。
 島義勇にも年齢に応じた功績があり、とくに若い頃は札幌市開拓の大恩人だった。国家反乱人になったのは後半のことで、札幌市には関わりがない」。
 この話を聞いた童門冬二は
 「目からうろこが落ちた。その歴史観は正しい。以降、私は歴史上の人物をそのように見るようにしている」と彼の著書「田中久重」の中で書いています。

イメージ 7 人々の記憶から遠ざかっている明治の歴史の味がほんのり残っている「判官まんじゅう」をいただいた初詣でした。
 三が日で70万人の参拝客で賑わいました。
(望田 武司=寄稿)









望田 武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。

師走の北の森

イメージ 1 師走も押し迫ってきました。
 何かと気ぜわしいこのごろです。
 しかし、人間が天邪鬼(あまのじゃく)のせいでしょうか、こういうときこそ雪の森に行って自然と対話してこようという気持ちになります。
 完全防寒でほとんどキ印のつく仲間と、毎週のように氷点下の森にしこしこ出かけてきました。

ひんやり爽快 冬の森
 札幌近郊の森は積雪15センチほどの雪で覆われ、落葉樹は葉をすっかり落としています。
 これに対しトドマツやイチイなどの常緑樹は葉をつけ、雪を重そうに支えています。
 雪道を踏みしめながら歩きますと、聞こえるのは鳥のさえずりだけで、この日は風もほとんどありません。
 いくら深呼吸してもこの新鮮な空気を全部吸い込むことはできません。とても爽快な気持ちです。

 実は森を訪れたのも、ある目的がありました。
 森の主に会うためです。
 別に約束して出かけたわけではありません。
 会えるかどうかわからない。会えればいいなあ。
 期待感を抱いての森の散策です。
 歩くスキーを楽しんでいる市民がつけた道から逸れて、森の中に入ります。
 一点を凝視しますと・・・。
 いました。いました。
 エゾフクロウ です。

森のあるじ
イメージ 2 今年もお会いしましたね。

 親しみをこめて声をかけたくなります。
 フクロウはハルニレの上部の洞の中でじっと座っていました。
 羽が灰色系ですので雪があると保護色になり、簡単には見つけることはできません。
 しかもフクロウはほとんど身動きしません。
 夜行性ですので、昼間はこうして寝ています。
 目を開けないかな、体を動かさないかな。
 フクロウとの持久戦が始まります。

 氷点下の中、2時間も粘りますとフクロウはいろいろな表情を見せてくれます。
 とくとその表情をご覧ください。

イメージ 3

 ユーモアがあり、かわいいものです。
 このフクロウが夜になると森のハンターとなって、小動物を襲っているとはとても思えません。
 フクロウは谷一つ隔てた斜面にいるため、普通のカメラでは豆粒ほどしか写りません。
 スコープにデジカメをセットした「デジスコ」で撮影しました。

フクロウ百態
イメージ 4 あれれ、フクロウが足を上げました。
 もしかしたら飛び立つのかな。
 緊張の一瞬です。
 しかしフクロウは飛び立とうとせず、再びもとの姿勢に戻りました。
 「長いこと同じ姿勢で座っていたので、痺れを感じたんじゃないの」
 「屈伸運動かしら」
 にわか専門家が好き勝手なことを言いあいます。そのたびに笑いが森に響きます。
 珍しい写真が撮れて満足です。


イメージ 5 実はこのハルニレの洞に10日ほど前、フクロウが2羽いるのが目撃されました。
 親子でしょうか、カップルでしょうか、仲良く寄り添っています。
 とても珍しいことです。
 と同時に、2羽が寄り添っている写真が地元紙に大きく取り上げられました。
 その後が大変です。
 一目見ようと大勢の人が森に入りました。
 フクロウが見れるわき道は細い雪道一本でしたが、またたく間に数本の広い道ができました。

 雪に覆われたハイイヌガヤがあちこちで踏みつけられています。
 普段はありえないタバコの吸殻も落ちています。
 さらに、遠慮なくフラッシュをたいて撮影する人がいます。
 フラッシュは鳥にとって良いはずはありません。
 心ある人が注意しますが、徹底はされません。
 こうなると自然公園の管理者も困りました。
 新聞社に情報提供したのは某自然観察員です。
 「彼は自然保護のための観察員でなく、自然破壊員ではないか」
 「新聞社は自然保護の立場から具体的な地名でなく、札幌近郊の森とかぼかして報道できなかったものか」
 管理事務所でいろいろ意見が出ました。
 自然保護と、知る権利の接点をどこに求めるか、こんな所でも議論されています。

福を呼ぶフクロウ
イメージ 6 心配していたことが現実となりました。
 人間世界のざわつきに嫌気をさしたのでしょうか、フクロウは姿を消しました。
 しかし3日後フクロウは再び姿を見せ、関係者を安心させました。
 2日間見れなかったことにより、人間世界の興奮も急速に冷めました。
 今度は「一時いなくなってよかったね」とささやかれるようになりました。
 何事もなかったようにフクロウは目を閉じています。
 そして20日は再び2羽が仲良く座り、ときどき抱擁しあうようなポーズをとるのが観察されました。

 「泰然自若」とはこういうことをいうのでしょうか。
 フクロウと向き合っていると「いじめ」や「やらせタウンミーテング」「官舎愛人同居」などで明け暮れている人間世界は、コップの中の虫のように見えてきます。
 厳しい自然に向き合って生きている動物の方が賢いのでしょうか。


足引きの 山深くすむ みゝづくは 世のうき事を きかじやと思ふ (土御門院)

 フクロウは「アオバズク」「ミミズク」「ブッポウソウ」などとも呼ばれています。
 そして福を呼ぶめでたい鳥とも言われています。
 いま一度フクロウ百態をご覧になって皆さま、良きお年をお迎えください。
(望田 武司=寄稿)

望田 武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。

長い冬の始まり

 12月に入って京都でモミジの紅葉が、仙台ではイチョウの黄葉が一番の見所だとテレビで伝えていました。
 今年は気温が上昇気味に推移しているとはいえ、このような報道を見るにつけ、日本列島の長さを強く感じます。
 北国札幌では、暦の上の大雪(7日)にあわせたかのように雪も積もり始め、10日の日曜日はしんしんと降ってこの冬一番の積雪22cmを記録しました。
 このまま根雪になるのでしょうか。

樹木は雪の花
イメージ 1 雪の降った朝の札幌は神々しい限りです。
 落葉樹はすでに葉を落としていますが、緑豊かな常緑針葉樹には白い花が咲いています。
 雪の花です。
  トドマツ イチイ に咲いている白い花は、自然のクリスマスツリーで、モミジの紅葉やイチョウの黄葉にも勝るとも劣らぬ美しさです。
 けどこの白い花の寿命はせいぜい朝の出勤時までで、昼近くになると溶けて消えてしまいます。




生活の知恵
 樹木の雪に比べてなかなか溶けないのが路上の雪です。
 この時期日中の最高気温が零度ぎりぎりですので、道路はつるつるしています。
 冬用の靴を履いているとはいえ、道行く市民は足元に気をつけて歩きます。
 
イメージ 2 妙なボックスが横断歩道のあちこちに設置されています。
 ボックスの中にはビニールの砂袋が入っています。
 砂を撒くことにより道路が滑らないようにする北国の生活者の知恵です。
 砂袋ではちょっと重たいので、ペットボトルが入っているボックスも見られます。
 ビルの植え込みや公園が白一色であるのに対し、都心の歩道には雪はほとんどありません。
 滑る心配もなく、すいすい歩けます。
 その仕掛けはロードヒーティングです。
 道路を一枚剥ぎますと針金が格子状に張られています。
 雪を感知しますと、自動的に熱を通して道路を暖めますので、いくら雪が降っても積もりません。
 札幌で生活している者にとってごく当たり前のことですが雪のない地方の人にとって、とても新鮮に感じていることが、観光ボランティアしているとよくわかります。

イメージ 3 あれ、歩道の真ん中に白い島が出現しました。
 なんでしょう?
 水道局のマンホールの蓋の部分です。
 ここにはロードヒーティングがひかれていないことがわかります。
 一冬に6mも降る大都市は札幌以外、世界どこを探してもありません。
 砂袋といいロードヒーティングといい、厳しい雪国に生きる人の生活の知恵といえましょうか。




白い帽子
イメージ 4 葉が落ちたのに帽子をかぶった街路樹があちこちで見られます。
 ナナカマド です。
 赤い実の上に白の帽子をかぶった姿はとても絵になります。
 ナナカマドは札幌市内で一番多く植えられている街路樹です。
 またナナカマドを町の木に指定しているところは、旭川市・苫小牧市など道内で36市町村もあります。
 材質が堅くて7回かまどに入れても火が付きにくいと言われるナナカマドは、北国の人にとても愛されている木です。
 ナナカマドの実は1月に入ると軟らかくなり、鳥の大切な餌になります。

イメージ 5 ナナカマドのように房状でなく、直径3cmくらいの実がぶら下がっている街路樹にも出会います。
 こちらも長烏帽子のような雪の帽子をかぶっています。
 プラタナス です。
 モミジのような大きな葉、丸くてかわいい実は山伏の着る「篠懸け衣」の球状の襟飾りに似ていることから、モミジバスズカケノキといわれています。
 葉は落ちても球状の実は翌年まで落ちません。
 ヨーロッパに多い街路樹で、世界4大並木樹種のひとつだそうです。


真冬日
イメージ 6 冷え込む雪一色の町を背筋を伸ばしながら歩くとさまざまな景色に出会います。
 そして夜の都心は大通公園を中心にホワイトイルミネーションが輝きます。

 このところテレビの天気予報やニュースのエンディングによく紹介されていますね。
 確かにきれいですが、電飾の美は温かさよりはむしろ哀しさを覚えるのは私だけでしょうか。
 外気は冷たくてもナナカマドの実の帽子のほうが、とても温かく感じられます。


 日中の最高気温がプラスにならない真冬日は、札幌で一冬に平均48日あります。
 これからが冬本番です。 (望田 武司=寄稿)


望田 武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。

日本ハム日本一 北国狂想曲

 18日、札幌でプロ野球北海道日本ハムファイターズ日本一のパレードが行われました。
 14万人の道産子が沿道を埋め尽くす中を、日本ハムの1軍2軍の選手全員がパレードに参加し、紙ふぶきの祝福を浴びました。
 3年前、本拠地を札幌に決めて選手が初めて足を踏み入れたとき、上田文雄札幌市長は「大通公園をパレードにとっておきます」と述べて歓迎しました。
 わずか3年で現実のものになろうとは誰しも予想していませんでした。
 しかし夢は現実となりました。
 北海道開拓始まって以来のでき事に、つめかけた市民は気温5度の寒さを忘れてヒートアップし、狂想曲を奏でました。

嵐の前の静けさ
 私はこの日はたまたま観光ボランティアの日で朝早くから都心に出かけていました。
 パレードはJR札幌駅前からススキノまでの直線のメインストリート1.3kmです。
 明治40年、札幌を初めて訪れた石川啄木は、駅前通りの印象を次のように書き記しています。

「道幅の莫迦(ばか)に広い停車場通りのアカシヤの並木は、蕭条たる秋の雨に遠く遠く煙ってゐる。
 其の下を往来する人の歩みは皆静かだ。男も女もしめやかな恋を抱いて歩いている様に見える・・・」

イメージ 1 当時の駅前通りは啄木のセンチメンタリズムを刺激するに十分な情景だったのでしょう。
 あれからほぼ100年、駅前通りは無機質なコンクリートの高層ビルに挟まれ、その沿道に当時の札幌市の人口をはるかに超える人が集まるとは啄木も想像だにしなかったでしょう。
 パレードの始まる2時間以上前から市民は沿道につめかけ、幾重にも人垣ができました。(写真)

 上空にはヘリコプターが飛び交い、数えると1、2、3、4、5、6機旋回しています。
 トンビも飛んでいました。
 しかしこの日ばかりは役者が違うと悟ったのか、くるりと輪を描かずビルの谷間に消えていきました。

動き出したパレード
イメージ 2 午前11時、パレードが始まりました。
 鼓笛隊と吹奏楽団の後につづく先頭のオープンカーには、ヒルマン監督と選手会長の金子誠選手が乗っています。
「ホッカイドウの皆さんは世界でイチバンです」
 サービス精神旺盛で誠実なヒルマン監督は、すっかり道民に受け入れられています。
 日本シリーズでは勝つたびに翌日、昼間限定のヒルマンジュウが1個88円(背番号)で販売され、あっという間に売り切れました。
 二番手のオープンカーには田中幸雄選手と金村暁投手です。
 三番手のオープンカーには建山義紀投手と高橋信二捕手です。
 オープンカーはこの3台で終わりです。後はバスで十把ひとからげです。

 あれ?人気者や実力者がいないではありませんか。

イメージ 3 主催者はにくいことを考えていました。
 人気者を分散しました。
 しかも後続のバスは普通のバスでなく、二階建ての屋根のないバスです。(写真)
 オープンカーは前列の人しか見えませんが、二階建てバスの方が沿道の人には選手がよく見えます。
従ってパレードはバスの方が主役です。
 このバスはこの夏初めて札幌に「スカイバス」の名でお目見えしたもので、市内遊覧の観光客を楽しませました。
 観光シーズンが終わって東京に帰っていましたが、このパレードのために再び呼び戻されました。

イメージ 4 最初のバスには小笠原道大選手と稲葉篤紀選手が乗っていました。
「ガッツ、ガッツ」
 巨人に行くかもしれない小笠原選手に、観衆は大きな声をかけます。
 当初、寒くて帽子と手袋をしていた小笠原選手は、熱くなったのか、帽子も手袋もとって両手を挙げて応えています。
 稲葉選手も声がかかるたびに、すっかり有名になったファンの「稲葉ジャンプ」を自らやってファンに応えています。
 ビルの窓からも手が振られています。
 特等席で沿道の2階以上の喫茶店などは、すべて早い段階での予約で占められたそうです。

イメージ 5  二番目のバスに、いました。いました。
 超人気者の新庄剛志選手です。
「ツヨシだ、ツヨシだ」  「シンジョウ選手〜」  「キャー」
 その存在の大きさは、他のバスの同乗者数十人を圧倒します。
 大きく手を振る新庄選手は、他の選手全員がユニフォーム着用なのに、一人だけ私服でした。
 すでに引退しているので、ユニフォームに腕を通すわけにはいかないという理由のようです。
 新庄選手は薄めのサングラスに、ベージュの厚いコートと黒いマフラー姿で、颯爽と登場しました。
 その姿はコマーシャルのテレビ画面から抜け出したような格好良さで、この種の感覚ゼロの私でも決まってるなあと思いました。
 まるで冬のソナタの主人公です。
 その新庄選手、突然手にしていたブレスレットをはずし、観衆に向かって大きく投げ込みました。
「キャー キャー」
 一段と騒然となりました。

イメージ 6 新庄選手のバスには、もう一人の人気者、森本稀哲選手が乗っていました。
 誰も森本とは呼びません。
 「ひちょり、ひちょり」です。
 森本選手は一人だけジャンパーを脱いでのユニフォーム姿です。
 おまけに半袖です。
 じっとしていると寒いのか、大きく手を振って一人ではしゃぎ、右に左にパフォーマンスを披露する大サービスです。
 トレードマークのツンツルテンの頭には、寒風が容赦なく吹き付けていることでしょう。
 森本選手は一切気にせず、むしろ湯気が立ってるのでしょうか。
 突然、新庄選手と抱き合いました。
 レフトフライを捕って優勝を決めた瞬間、抱き合った二人の再現です。
 観衆は再び 「キャー キャー」
 なんともサービス精神旺盛です。

 パレードは大通り公園にかかりました。
 観衆はここでぐっと膨らみます。
 同時に紙ふぶきが四方のビルから一斉にまかれました。
 パレードのクライマックスです。
 猛烈な紙ふぶきで全体がよく見えません。
 紙ふぶきでなく、本物の吹雪が吹いたほうが札幌らしいのになあ。
 パレードが始まる前に漠然と思っていましたが、今年は暖冬で先日、戦後最も遅い初雪を観測したばかりです。
 もちろん積雪はなく、きょうは陽が高くなるにつれて陽も射しています。
 撒かれた紙ふぶきはおよそ1トン、ビル保守会社が命綱をつけて屋上から送風機で撒きました。

イメージ 7

歴史を刻んだパレード
イメージ 8 わずか1時間弱のパレードでしたが、沿道を埋めた市民は堪能しました。
 選手はもちろん、道産子も初体験です。
 家に帰ってテレビで見た上空からの紙ふぶきの光景は、間違いなく北海道開拓130年の歴史を刻みました。
 日本ハムの日本一は、駒大苫小牧の甲子園制覇とともに、野球とは無縁だった寒冷地の北海道に、大きな勇気と感動を与えてくれました。



イメージ 9 緯度の高い札幌の夜は早く、この時期、午後4時を過ぎると暗くなります。
 暗くなると同時に大通公園には、前日の17日からホワイトイルミネーションが点灯されました。
 37万個の電球がまばゆいばかりに輝いています。
 昼間あれだけばら撒かれた紙ふぶきは、ボランティアによってすっかり片付けられました。
 落ちているのはいつものイチョウやプラタナスなどの葉です。
 昼間の騒音と嬌声は、すっかり冷えた空気に包み込まれています。
 札幌はこれから本格的な冬を迎えます。
                                            (望田 武司=寄稿)

* ボランティアをしていたこともあり、写真がうまく撮れませんでした。
  多くの写真を友達のおばちゃんが提供してくれました。
  私と同じくらいの重量級のおばちゃん、脚立をたてて何度も押されながらシャッターを押しまくったそうです。
  おばちゃんの体を張った努力に謝々です



望田 武司(もちだ・たけし)1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。

.
blognews2005
blognews2005
非公開 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
検索 検索

過去の記事一覧

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事