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政治部ベテラン記者座談会

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イメージ 1 4回目の「ベテラン政治記者座談会」が29日午前、東京虎ノ門のChannel Jスタジオで行われた。
 今回は、TBS・川戸惠子特別解説委員と毎日新聞・松田喬和論説委員の対談形式にした。
 安倍政権誕生3日後、ホヤホヤの新政権の布陣、今後の課題などについて、分析と展望を語ってもらった。組閣・党人事では「中川政調会長、的場官房副長官にはビックリ」など、長年、自民党をウォッチしてきたベテラン記者ならではの率直な、辛口批評が随所に飛び出し、永田町の本音も解説されるなど、興味深い対談だった。
 座談会の様子は、(上)(下)の2回に分けて掲載します。

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安倍・支持率、歴代2,3位は小泉人気の余韻と自民支持者の増加―松田
川戸: 安倍内閣の世論調査の支持率が高いですね。
イメージ 3松田: 6割前後に行くか、と予想していた。ところが、7割超え、小泉政権、細川政権に肩を並べ、歴代内閣で2位のところ(日経新聞)もあり、毎日(新聞)では自民党支持が10%も上がった。これは、小泉人気の余韻が残っているのと、小泉さんの「自民党をぶっ壊す」に対し、安倍さんは「自民党内の調整」を言った。そこで自民党支持=安倍支持になった。これが安倍人気。
 (歴代1位の)小泉さんの登場の時は、株や土地の値下がり、金融不安があり、国民は政治にすがる思いがあった。自民党が限界に来ていた時に「自民党をぶっ壊す」だったから人気が爆発的だった。
川戸: ところで、安倍さんの今後の課題ですが、「美しい国」だけでは漠然としていますね。
松田: 外交では、近隣諸国との関係、米軍再編、社会保障では、年金、医療などは不安がある。将来に見通しが付くような政策が必要。

中国、韓国との関係改善は政権交代時がチャンス―川戸、松田
川戸: 靖国問題で、安倍さんは「(行ったか行かないか)言わない方が良い」と言っているが、それでいつまで持ちますか。両国(中国、韓国)とも新政権で新しい関係を期待している。
松田: 政権が代わった時がチャンス。安倍さんはかねてから主張している靖国参拝や東京裁判批判をしていると、東京裁判は米国主導だったし、それを批判していれば結局はアメリカ批判になる。最近、自己主張をトーンダウンさせていますしね。
川戸: 日米関係ですが、久間・防衛庁長官のほかに国家安全保障担当補佐官がいたり、この辺はどうですか。
松田: 屋上屋(おくじょうおく=無駄なこと)を重ねなければいいが。

消費税アップ、自民党には(失墜の)トラウマあるが・・・ −松田

イメージ 4川戸: 消費税問題ですが、この布陣(経済閣僚)は反財務省。財政再建は後回しにして成長路線をとるぞ、という宣言ではないですか。
松田: 安倍さんは「小さな政府」ではなく、「筋肉質の政府」と言っている。確かに景気が良くなり、来年度予算編成にも反映する勢いだ。しかし果たして消費税に手をつけずに安定した社会保障制度ができるのか。今回の経済閣僚をみると、消費税増税派が一掃された感じだ。
 自民党には消費税問題では(手を付けると政権が失墜するという)トラウマがある。導入した時の竹下さん、引き上げた時の橋本さんは苦労した。
 最近は、(少子)高齢化社会が定着してくる中で国民もある程度わかってきたとはいえ、ここのところ消費税を触れずに参院選を乗り切りたいという思惑があるのではないか。

二階・国対委員長は対小沢・民主への布陣―川戸
川戸: (自民党の)国対委員長は二階さん(俊博・前経済産業大臣)に早々と決まりましたね。これは民主党を非常に意識しているわけですよね。
松田: 二階さんは本来で行けば、小沢さんの側近中の側近。小沢さんの手法はよくわかる。また、小沢さんも自民党で幹事長までやった人だから、自民党の手法はよくわかる。
 だから、民主党は、二階ペースにはまることへの不安もあって、国対委員長を渡部さんから高木さんに交代した。

小沢代表、党首討論不出場なら交代説!―松田
川戸: 小沢さんの代表選直後に入院したことも民主党にとって痛手だったのではないですか。
松田: 痛いですね。やっぱり政治家は健康でないと、あらゆる推測が出てくる。代表質問は菅さんにするにしても、遠からず党首討論をするでしょうから、その時は出てこないと、交代説が出てくる。

                                    <第4回ベテラン政治記者座談会・了>


イメージ 1 4回目の「ベテラン政治記者座談会」が29日午前、東京虎ノ門のChannel Jスタジオで行われた。
 今回は、TBS・川戸惠子特別解説委員と毎日新聞・松田喬和論説委員の対談形式にした。
 安倍政権誕生3日後、ホヤホヤの新政権の布陣、今後の課題などについて、分析と展望を語ってもらった。組閣・党人事では「中川政調会長、的場官房副長官にはビックリ」など、長年、自民党をウォッチしてきたベテラン記者ならではの率直な、辛口批評が随所に飛び出し、永田町の本音も解説されるなど、興味深い対談だった。
 座談会の様子は、(上)(下)の2回に分けて掲載します。

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自民党総裁選、3人とも“win-win”―川戸
川戸: 安倍さんの圧勝ながら、(得票率は)目標としていた7割には届かなかった。谷垣さん、麻生さん、共に
100票を超えて皆さん“win - win”でごきげんがよいという感じでしたね。
松田: そうですね。特に谷垣さんは2桁だと政治生命が危ないと言われていましたが、3桁にのったからまだまだチャンスはある。
 総裁選2位の麻生さんも安倍政権がおかしくなると、ピンチヒッターとしては要件を満たせる。
川戸: 麻生さんは、演説の面白さで、麻生フィーバーのようなものも出てきた。
私もかなり見に行ったが、現代的で客を沸かすのがうまい。今までのイメージと全く違った。
松田: ワンマンと言われるおじいさん(吉田茂・元首相)の血をひいているのではと言われてきたが、実は“ざっくばらん”。日本の底力と言って、得意とする漫画などのサブカルチャーをもってくるあたりは面白かった。
 それから、安倍陣営は7割超を目標とした時に『参議院の候補者差し替え』についての発言があった。片山さん(虎之助・参議院幹事長)も「独裁者じゃあるまいし」と言っていた。参議院側に、これ以上(票を)集めさせる必要はないというのがあったのではないか。
川戸: 最初から自主投票の形をとった津島派の動向もありました。
松田: 今回、防衛庁長官に就任した久間さん(章生・前総務会長)が、額賀さん(福志郎・前防衛庁長官)の出馬を封じ込めたようなところがあった。昔、『鉄の結束』と言われた田中派の流れを汲む津島派の、結束力の弱さが象徴的だった。

中川昭一・政調会長にびっくり―川戸
イメージ 3川戸: 党三役、組閣人事を見ると総裁選の対応がそのまま、もろに出ているような気がします。
松田: 論功行賞があまりに露骨すぎる。安倍内閣のメンバーで安倍さんに投票しなかったのは、おそらく麻生さんくらいだろう。
川戸: まず党三役で一番びっくりしたのは、中川(昭一)政調会長ですよね。
松田: 中川さんは、伊吹派の中でも光のあたってきた人で、ずっと閣内にいた。しかも元は福田派にいた人で、信条的には安倍さんに近い人。
川戸: 拉致にしても靖国問題にしてもピタッと同じ。しかも年齢もほとんど同じですものね。
松田: そういう意味で気軽に話せる相手を選んだという感じがします。そして、その一方で、伊吹派のけん制ということにもなるのではないか。

教育再生やる気の布陣か―川戸
川戸: 私が一つ面白かったのは、政調会長代理に河村建夫(元・文部科学大臣)さん、政調副会長に小坂(憲次・前文部科学大臣)さん、二人とも文部科学大臣経験者をつけた。これはすごく教育再生に力をいれているのかなと思いました。
松田: そうでしょうね。(安倍さんの胸の内を)まずは教育基本法を手がけて、公教育の再生で『伝統・歴史・文化を尊重する国』につなげる。そして最終目標は憲法改正につなげたいと読めば、安倍さんが何をやりたいかは、この人事からは少しは見えていると思います。

論功行賞、「チーム安倍」内閣―川戸
川戸: 組閣についても論功行賞の感は否めないですよね。安倍さんに敵対した谷垣派が外れたり、また額賀さん、与謝野さん(馨・前金融・経済財政担当大臣)が外れたり。
イメージ 4松田: 丹羽・古賀派で言うと、丹羽さんを総務会長にして古賀さんを冷遇した。かつてのポスト小泉候補の本命と言われた「士志の会」(麻生・平沼・高村・古賀)で言うと、今残っているのは麻生さんだけ。
 世代間対立(老・壮・青)という形でいくと、安倍さんも50代ですが政治的には『青』ですから、『青』の人々が、『老』『壮』の人々を駆逐しようとしているようにも見えますね。
川戸: 「チーム安倍」と言いますか、気心の知れている人でまとめたという感じがしますね。

要所は森・元総理色、枝ぶりは安倍色―松田
松田: 安倍さん自身は否定しているが、麻生さんを幹事長に持っていきたかったが、森さんに拒否されて、森さんの意図する中川(秀直)幹事長になった。このように要所要所は森色が出て、枝ぶりは安倍色ということじゃないですか。だからもう一つパンチ力に欠けていて一貫性がない。

的場官房副長官にびっくり―川戸
川戸: 官邸の中に的場さん(順三・元大和総研理事長)が官房副長官に入ったこともびっくりしましたよね。
松田: びっくりしました。これまででいけば国土交通省や厚生労働省といった旧内務省系からくるのが当たり前だったのだが、その慣例が破られた。的場さんは大蔵省を出ていて、中曽根内閣のときに靖国神社の公式参拝を決める『靖国懇』の事務局長をやっていた方。
 役所人事ではなく、政治主導で任用したんだという印象にはなると思いますが、的場さんがどんな動きをしてくるのか。知恵者なのでいろんな知恵を出してくるとは思うのですが、いかんせん官邸と言っても予算や人員は旧来の役所があるわけですから、そこの調整をうまくやって官邸主導を定着させられるか、そこがポイントではないですか。

※第4回ベテラン記者座談会 「安倍政権誕生と政権の前途を占う」(下)は、30日に掲載します。ご期待ください

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イメージ 1 3回目の「ベテラン政治記者座談会」が30日夕、Channel Jスタジオで行われた。
今回は、川戸惠子TBS特別解説委員を司会に、朝日新聞・星浩編集委員、毎日新聞・岸井成格特別編集委員、読売新聞・橋本五郎編集委員と「朝・毎・読」の論客に登場いただいた。そして、「自民党総裁選はなぜ安倍独り勝ちの流れになったか」「各候補の政権構想と“安倍”政権の課題」についてお話しいただいた。
座談会の様子は、(上)(下)の2回に分けて掲載します。

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各候補の政権構想と“安倍政権”の課題

川戸: 9月1日、安倍さんの出馬で政権構想がいよいよ出揃うわけですが、3人の政権構想がそれぞれ対立するのかどうなのか、詳しく見ていきたいと思います。

外交は「安倍、麻生」対「谷垣」 ―橋本

イメージ 3橋本: 外交の面では「安倍、麻生」対「谷垣」と、(対立軸が)はっきりしているでしょう。安倍さんと麻生さんは、中国に対しては譲歩しないということが一緒。靖国神社をどうするかということで少しニュアンスの違いはあるが、そこは争点としない。対して谷垣さんは福田さんの路線を継承している。
岸井: 個別に見ると大事な違いはあるが、(靖国問題を)争点にしないと言っているものだから、一般国民にはなかなか見えにくいかもしれない。残念ですけどね。
橋本: へんな言い方ですが、谷垣さんが閣僚を辞めていれば非常にすっきりしてたんですよ。
星: (それから)8月15日の小泉靖国参拝は、直前まで否定的な世論が多かったんですけども小泉さんが行ったことで完全に逆転しましたよね。おそらく小泉さんが堂々と行ったことでナショナリズムを呼び覚ました。
政治のやり方として、これは長い目でみてよかったのかという論争もやるべきなんですけどね。
岸井: やはりトップがナショナリズムを刺激するというのはあまりよくないんですよね。

<消費税引き上げ>
谷垣「正直」
安倍「政権目前で増税を言い出しにくい」
麻生「安倍政権の重要ポスト狙いで安倍に同調」   ――― 星

川戸: 谷垣さんが、消費税アップということを言い出して、財政再建(のための)、消費税引き上げが(争点として)出てきましたが、ここについてはどうお考えですか。

イメージ 4星: 谷垣さんが「2010年代半ばまでのできるだけ早い時期に、少なくとも10%」と言って、それ以外の人は「歳出削減と経済成長戦略で」という構図ですが、小泉政権の5年半で170兆円も借金が増えているわけですし、財界人・官僚の誰が見ても歳出削減で減らせるとは思っていない。そういう意味で谷垣さんの主張は正直。
 安倍さんは政権がかなり現実味を持っているので、増税は言い出しにくい。
 麻生さんはうまくいけば、安倍政権で重要ポストを、というのもあるでしょうから安倍さんに同調してますよね。
 だから、政策的な議論と政局的な思惑とが(あって)ずれてる感じがしますね。
橋本: このような二者択一的な議論はよくないと思う。かたや「歳出削減で」かたや「避けられないから引き上げよう」では議論がかみ合わない。
 誰しも避けられないと思っているんだから、例えば引き上げの時期だとかいくつかの選択肢を出して「この時期だとこういう問題がある。」と議論するならば深まるのだが。

<憲法改正> 堂々と掲げたのは安倍氏が初めて。“安倍政権”は理念的な硬派な内閣に―岸井

イメージ 5岸井: 今回の総裁選の政権構想で注目しているのは、次の政権はどういう性格を持つものなのか日本が岐路にたっている中で何を大事にする政権なのかということ。
 おそらく安倍さんの場合は“戦後初めて”憲法改正を堂々と掲げ、具体的な政治日程にのせる内閣。教育基本法も含めると、理念的な硬派な内閣になると思う。
橋本: 安倍さんの頭には、(中曽根政権に続き)「第二次戦後の総決算」というものがあると思う。
 けれども、憲法にしても何のために改正するのかということがまだ見えてこない。まず、これからどういう社会にしようかという将来像を示した上でないと。
(教育基本法改正についても)「子供が人を雇って母親を殺させるような社会は困ったものだ」というような具体的な話があって、教育基本法の改正というのでなければ、紙(法律)を変えたからってね・・・。
岸井: (社会が)変わるもんじゃありませんしね。だから、そこらの感性がどこまで国民にアピールできるか、でしょうね。
 安倍さんの場合は、理念先行のようなところがあって、それが危うさを感じさせるところがある。やっぱり具体的なことから入っていく必要がある感じがする。
川戸: 次は安倍政権になるのでしょうが、だとすると、安倍さんの課題というのはそういうところですか。

“安倍政権”、組閣・人事が焦点
   ―安倍独断か、全方位配慮か
   ―福田前、福田後の選別の声も

橋本: それからやはり体制ですよ。政策を進めていく上で大事なのは「国民の支持」と、やっぱり「エンジンがちゃんとかかる“体制”にできるかどうか」ですよ。責任ある人が、責任あるポジションで、全力を尽くすという。
川戸: そうなると、組閣が難しくなってきますね。
星: 人事が全てでしょうね。人事で、年功序列や論功行賞というレッテルが貼られて、すぐ後の補欠選挙でつまずくということになれば、スタートから相当の痛手を負うことになる。
岸井: 今度の人事は大変だと思う。逆に言えば、自分の思う通りのものでやっちゃうかね。(総主流派の状況で)いろんなことを配慮していたらできないですよ。
もしそういう形でやれば、国民の大きな期待は失望に変わる。
橋本: これだけ(党内の)支持が多いってことは、考えようによっては、誰にしようが勝手だ、ということになる。みんなが乗ってるんだから(論功行賞は)ゼロ。ゼロからの出発。
星: なるほど。でもね、安倍さんの周りに聞くと、福田“前”と福田“後”があるというんですよ。福田さんが降りる“前”から支持しているのが正統派で、“後”の人はポスト期待だから“前”の方を優遇すべきだと。
 早くも選別の論理が動き始めている。
イメージ 6橋本: こういう時に(安倍さんが)「問題解決のために誰がふさわしいか」ということで(人事を)やります、と言っちゃえばね。
岸井: そこで政治家の度胸とか資質が問われる。
橋本: 長くやろうと思ってはいけない。今年が勝負と思ってやらないと。

川戸: わかりました。来月20日には日本の将来の行方が決まるということですね。注目したいと思います。
 どうもありがとうございました。
                                         (坂西 雅彦)
                                          <第3回ベテラン政治記者座談会・了>
イメージ 1 3回目の「ベテラン政治記者座談会」が30日夕、ChannelJスタジオで行われた。
 今回は、TBS・川戸惠子特別解説委員を司会に、朝日新聞・星浩編集委員、毎日新聞・岸井成格特別編集委員、読売新聞・橋本五郎編集委員と「朝・毎・読」の論客に登場いただいた。そして、「自民党総裁選はなぜ安倍独り勝ちの流れになったか」「各候補の政権構想と“安倍”政権の課題」についてお話しいただいた。
 座談会の様子は、(上)(下)の2回に分けて掲載します。

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自民党総裁選、なぜこのような流れに


イメージ 3川戸: 総裁選告示まであと10日、安倍政権の流れができていますが、なぜでしょうか。きっかけはやはり福田康夫・元官房長官の不出馬でしょうか。
星: 福田さんが出ていたら拮抗していただろうが、福田さんが抜けて安倍さんが圧倒的にリードすると、勝ち馬に乗った。
 これは小選挙区の効果が大きい。中選挙区と違って5割くらいの票をとらないといけないとなると、それぞれの議員は民主党の攻勢にもさらされる中、意外と足場が弱い。そうなると、人気のあるリーダーが欲しくなる。
 また、党内では、ポストや選挙の公認をもらうために主流派に行きたい。
 これらの効果が背景にある。
岸井: 派閥が力を失った。まとめることができない。無理にまとめようとすると分裂するという恐怖感があった。そうすると、勝ち馬に乗るという心理が働くのだろう。

福田さんの罪、非常に大きい―橋本

イメージ 4橋本: この20年くらいの自民党政権を見ていると、田中派支配、竹下派支配と総主流派の体制で、反主流派が生き延びられなくなっている。
 (安倍政権の流れになっている理由の)基本に、小選挙区制(で勝つために)、国民の支持(を得られるリーダーがほしい)ということもあるが、総主流派の習性が染み付いていることも非常に大きい。
 おそらく、(福田さんが)争っても勝てなかったとは思うが、党内に多様な意見があることを世間に知らせるいい機会だったと思う。
 そういう意味では、福田さんの罪が非常に大きい。己を捨ててもやるくらいの気持ちが必要だったのではないか。

川戸: 昔で言いますと、誰か派閥の領袖が出るということがあったわけですよね。

派閥丸ごと勝ち馬に殺到するのは、分裂が怖いから―星

イメージ 5星: それは岸井さんが言うように、派閥の断末魔の叫び。
 もし福田さんが出ていたら、最大派閥の森派が分裂するわけだから分裂含みとなっただろう。そして、余波を受けて分裂するのを避けるために各派の領袖が出馬しただろう。
 しかし、(福田さんが)出なくなった途端、派閥ごと安倍さんに乗っかった。派閥の分裂を避けるために手を変え品を変えやっている。逆に言えば、分裂が怖いということ。

自民党、政党としての活力が失われる―岸井

イメージ 6岸井: こういう状況になると、政党としても活力が失われる。安倍さんにとっても良いことはない。
 総主流派体制で、安倍さんに、雪崩打った人たちは、本気になって推す人たちばかりではない。そういう人たちは、離れるのも早い。
 権力闘争を本気で闘った人は強いけど、そうではない人はもろさをもつ。
 必ずしも、自民党にとって安倍さんにとってよい現象ではない。
                                         



第3回ベテラン政治記者座談会(下)「各候補の政権構想と“安倍”政権の課題」は、31日、掲載します。ご期待ください。 (坂西 雅彦)


イメージ 1 今回は、朝日・毎日・読売の論客が揃いました。
 7月25日、Channel Jスタジオで、岸井成格・毎日新聞特別編集委員を司会に、朝日新聞・星浩編集委員、毎日新聞・松田喬和論説委員、読売新聞・橋本五郎編集委員の4氏に「ポスト小泉」「靖国を含めた外交問題について」忌憚なく議論いただきました。

北朝鮮ミサイル発射問題


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岸井: 北朝鮮がミサイルを発射した。これが福田さんの心理にも影響を与えたとかいろんなことが言われていますけども、ミサイル発射によって国連決議を巡るいろんな動きなどありましたけど、どうお考えですか。

<教訓1.多国間協調でないと対処不能 2.日中ホットラインの必要性 ―星>
イメージ 3星: まず、良いほうに考えれば日本が今回珍しく主導権を握った制裁決議を出してアメリカを引っ張って、中国を追い詰めて、最終的には拒否権も回避して非難決議に持っていった。
 一方、ちょっと意地悪く考えれば、日本はこぶしを振り上げたけども最後はアメリカが中国と裏で通じて中国の顔を立てたと。おそらく外交ですから、100対0ではなくて半々くらいというのが心理なんだと思いますが、そういう意味では日本にとっていい経験になったわけですよ。
 それで結局この問題は多国間(の協調)で押さえ込んでいかないと、ダメなんだということがわかったわけですから、北朝鮮からすれば、半分くらいは騒いだ効果が出たのでしょうけど、もう半分はアメリカとの直接折衝という彼らの最終ゴールがどうもできそうにないというのがわかったという意味では意外に大きな代償を払っているんですね。
 だからこれからが勝負。北朝鮮を6者協議に引きずり出してきて、そこで最終的に、こういう問題では代償がないんだというところまでいくかどうかですから相当長い時間がかかるのでしょう。
その中で中国の主席と総理の間のホットラインがないというのは、外交上のツールとして弱いのかなというのも今回の非常に大きな教訓でしたね。

<日本のナショナリズムに火をつけた―松田>
イメージ 4松田: (中国、韓国の)反日カードと同じように、日本にとっては、イラクの問題もそうでしょうけども、北朝鮮がなかったらこんなふうにはなかなかならなかった。だから良くも悪くも日本のナショナリズムに火をつけたと。小泉政権はそこを利用したというところがある。
今回の問題で行けば、結局、中国も(北朝鮮に)駄々をこねられて(北朝鮮を)押さえ込めなかった。だから中国も拒否権を使うことなくして、同調せざるをえなかった。
 ただ、この国をどうソフトランディングさせていくかというのは、日本にとっても重要な問題だし、韓国にとっても、中国にとっても問題。ある面では共通の課題が出てくるんだろうと思う。
 ポスト金正日王朝がどうしてくるのかというところが見えてこない。難民が出てくる、混乱するというのは日本も韓国も中国も避けたい。
 しばらくは北朝鮮は強気で押してくるのではないでしょうかね。

<評価80点。「平成の黒船」北朝鮮が日本外交を呼び覚ました―橋本>
イメージ 5岸井: 北朝鮮という国は本当につきあいの難しい国ですね。
橋本: 私は、今度の対応は80点あげていいと思うんですね。おそらく政治家ですからやっぱり原則をどこで降りるかは、考えてないわけはないのであって、ただ外務大臣と官房長官が幸い同じような方向だった。役人は必ずしもそうじゃないけども。あそこまでいったから初めて決議ができた。最初からそうじゃなければ議長声明がせいぜいですよ。だから80点あげてもいいと思う。日本もまあある程度、自主的な外交ができるんだと、国連に加盟して51年たって初めて見えた。
 何よりも最大の貢献者は、平成の黒船。北朝鮮の黒船が日本の外交的な能力をいろんな意味で試してくれた。非常にありがたかった。そうした中で何が大事かって事がいくつもあるんですね。
 一つは、日米がいろんなかたちで大使が二回もきてる。官房長官と(米)補佐官はしょっちゅう連絡を取って、連絡取ったことを見せる。これは案外大事なことで。まあ、張子の虎みたいなところはあるんだけれども、それでもやはり大事なことで。
 それから、アメリカの特使が中国へ行った。その時はやはり日本の特使も行ってないとダメなんですよね。そこがちょいと欠けてるなあと。
イメージ 6岸井: そうなると日本は日朝平壌宣言にある、将来の日朝国交正常化に向けて、拉致問題、核ミサイル問題を抱えて直接の交渉はなかなか難しくなってくる。
 そうなると、多国間で全体の力で・・・。
橋本: 北朝鮮は日本を直接見てないんだから。なのに小泉さんはブッシュさんに二回も行って、全然違うことを言っているのだから、この人は一体どういう感覚なんだろうと僕らは思うんだけどね。
星: 日本の傍に、こういうよく言えば外交上手、悪く言えば瀬戸際外交しかやらない国があるということがわかったというだけでも(よかった)。で、おそらく北朝鮮からすれば、本音は日本をダシにつかってアメリカと折衝したいということですから。日本はダシに使われたふりをしながらやっていくということでしょうから、そこは本当に知恵の絞りどこですよ。
岸井: これもやっぱり、総裁選の大きな焦点になってくるでしょうね。
松田: ただ、北朝鮮に対してかなり厳しく対応しろというのは9割くらいの高い支持率がありますから、対話より圧力だというふうになります。
橋本: それともう一つ黒船の効果っていうのは、自分たちの国を守る、国民を守るためにどういう術があるのかということ、これは軍事的な術だけじゃなくて外交的な術も含めて私達はどんな手を持っているのか、よく見るとなんの手もない。さあどうしたらいいんだろうということを考えさせられた。

小泉外交の本質?


岸井: さて、最後に、小泉外交総仕上げ。小泉外交の本質ってなんだと思いますか。

<全体的なビジョンが見えず―松田>
松田: トータルな形での外交はないと思うんです。
 一つ一つ。ブッシュとの関係、北朝鮮に旧西側諸国の首脳として二回も電撃訪問している。
 こういう一つ一つのテーマ、各論としては今までとは違って、かなり飛躍したり、ある面では向上している部分があると思うんですけど、トータルとして、小泉さんは21世紀の日本をどういう国にして、どういう外交政策で国際的な地位においておこうかというところ総論がないから一つ一つは結構目立つんですけど、じゃあ全体像を作ったらどうなりますかというと、「さあ」となってしまう。

<「世界の中の日米同盟」の一方で「面的外交」弱い―星>
イメージ 7星: 何と言ってもアメリカでしょう。小泉さんはアメリカとよくする。とにかく今まで日本は安保と言えば極東だったし、せいぜい橋本時代に「アジア太平洋の安保」だったのを今回の日米首脳会談で「世界の中の日米同盟」になったわけでグローバルになったわけですね。まあ、それがいいかどうかってことはあるにせよ、いずれにしても、世界的に見ればイギリスに近い形のアメリカとの同盟に踏み出しましたよね。それが北との関係で小泉さんにとっては非常にメリットになっているのでしょう。
 ただ松田さんの言われているように、今の外交というのは、小泉さんは線、二国間なんですね。日米であったり、日朝であったり。
 (だけど)今の外交はどちらかというと面でやらないと。EUがうまくまとまって進んできているようにアジアをどうするですとか、グローバルな国連との関係をどうするのかということがちょっと不得意だった。その証拠に国連安保理常任理事国に手を挙げたけど、見るも無惨に全然話にならなかったっていうのが、「面的外交の弱さ」ということじゃないですか。

岸井: 最近ですけど、総理自身が(外交)全体について聞かれた時に、「ついてるよな」と、相変わらず強運ということを言うんだけど、要するにやってみなきゃわからないことは勝負しなきゃ結果は出ないんだ、というね。勝負してきたという気持ちはあるみたいなんですけど。

<バラバラ外交―橋本>
イメージ 8橋本: 外交だけじゃなくて政治手法自体がみんなバラバラ。場当たりなんですよ。要するに起きたことに対してどう対応するか。起きるかもしれないことについてどう今から準備をして対応したらいいかという将来の見通しも踏まえた「総合性」「体系性」「中長期性」「戦略性」、そういうところと全く無縁の政権ですよ。
 国連安保理の常任理事国入りは誰がやったって難しい。5カ国は絶対に増やしたくないんだから。山賊の山分けは、山賊が増えれば困るんだから。だから絶対させたくないんですよ。
 それを無理やりさせるような状況にもっていかなければいけない。そのためにはどうしたらいいか。例えば、イラクに自衛隊を派遣してた。それをアメリカが感謝しているならば、それを有効に弱者の脅迫剤のようにしないとダメなんですよ。
 こういう具合にね、一つはイラクに対する対応と国連の安保理に対する対応と、北朝鮮に対する対応とみんな全部一緒(場当たり的)。そういう頭がないんですよ。
星: 安保理っていう大学入試で一回落ちたけど、浪人して次の年に入る準備になっているかというと全然つながりになってない。一発勝負で終わりと。
岸井: それですむんなら随分幸せな国だなという気もするけど。
橋本: いやいや、だからそれはアメリカがあるから幸せだったんですよ。
松田: いやそれはね、小泉さんは即席の漫才みたいに聴衆の反応を見ながら、これはいけると思えばやるけど、古典落語みたいにどっしりとしたものはないんですよ。
橋本: 熟成された味わいとかね、芸術としての政治とかね。
まああれも芸術の政治なんだけどね、そりゃね。
岸井: しかしまあだいぶ結論がね、ずいぶん違うほうへ、意外な展開になりましたけど・・・
橋本: 次の政権でちゃんとやってもらわなければ困るんですよ。
岸井: ちゃんとやるということでね、注文をつけるってことになると思うんです。
 どうも今日はありがとうございました。

                                            <第2回ベテラン記者座談会・了>

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