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最初に、大学一年生と新型(豚)インフルエンザの通説を検証するセミナーの最初に共有したインフルエンザの基礎知識を並べます。問題を論理的に議論する時に最低限必要な内容です。

実は私もチビがムンプス難聴になるまでは、インフルエンザと風邪の違いをきちんと理解していませんでした。どうせ寝込むのは同じ・・みたいに思っていたんですよね。
このシリーズ記事のネタ元は以下です。C)D)は研究機関に所属していないと入手出来ない情報かも知れませんが、私の人脈の範囲なので足りない部分もあるかも知れません。
A)「新型インフルエンザに関して学んだブログ・サイト・記事 」
[http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/61414509.html]
B)学生が独自にネットで調べてきた情報
C)インターネット情報のさらにネタ元となる論文や教科書
D)私が知り合いの研究者や医療関係者より集めた情報
(1)発熱や咳などのかぜ症候群には様々なウイルスが原因で起きます。
http://www.yoshida-pharm.com/information/dispatch/dispatch46.html(風邪症候群の原因となる病原体)

(2)このうちインフルエンザウイルスは遺伝子構成の違いでA、B、C型の3つの型に分類されています。以前より警戒されてきた新型(トリ)インフルエンザと、今年の春に発生した新型(豚)インフルエンザはA型です。A型インフルエンザはHA遺伝子とNA遺伝子の型の組み合わせによって様々な亜型があり、ヒトやトリなど様々な生物を宿主としています。トリが一番多くの亜型を持つことから、トリから様々な生物に拡がったという仮説もあります。
http://www.seirogan.co.jp/fun/infection-control/influenza/influenza.html(A型インフルエンザの構造と亜型)
http://kumamoto.lin.go.jp/event/040925s/hp040925/question.htm(「宿主と亜型」を開くとクジラや馬にもインフルエンザがあることが分かります)

(3)A型インフルエンザは希に種を越えた感染をします。種を越える頻度は型に依存していて、ヒトと豚、豚とトリは相互に感染を起こしやすいことが分かっています。

(4)A型インフルエンザの10種の遺伝子は8本の一本鎖RNAにコードされています。10種類のタンパク質はHAタンパク質やNAタンパク質などウイルスの感染や放出に関わるタンパク質や、ウイルスの増殖時にRNAを複製する時に使うRNAポリメラーゼなどです。この10種の遺伝子は頻繁に変異します。
http://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/kansen/topics/flu/flu_rna.htm

(5)なぜなら、ウイルスは人の代謝経路を間借りして自分の遺伝子を発現させますが、ウイルス由来のRNAポリメラーゼは校正機能が無いため、ウイルスの増殖時にはウイルスRNAの複製で頻繁に間違いが(変異が)起きるからです。この変異は塩基1文字分を写し間違えるような点変異で、塩基3文字で1アミノ酸をコードするので、アミノ酸が変化する場合もしない場合もあります。これを連続変異と呼びます。この頻度は新型(豚)インフルエンザもA型の季節性インフルエンザも同じです。これに対してヒトの遺伝情報はRNAではなくDNAでコードされていて、DNAポリメラーゼには校正機能があるため複製時の頻度は低いです(ヒトDNAで希に起きる点変異はガンの原因になることもあります)。インフルエンザの予防接種が毎年必要になるのは、ウイルスの連続変異によって生じるアミノ酸の変化が前年度の予防接種やインフルエンザ感染で獲得した免疫を逃れるためです。
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/flu/2007-08/virus-keito07-08.html(東京で流行したインフルエンザの株・家系図のような線が連続変異の流れを示しています)

(6)インフルエンザウイルスの場合、日々蓄積される連続変異に加えて、何年か〜何十年かおきに不連続変異が起きます。これは(4)で述べた8本のRNAが入れ替わることで遺伝子の組み合わせが変わるものです。不連続変異は2種以上のウイルスの同時感染で起きます。しかし類似した2種のウイルスが一つの個体に感染する時に「干渉作用」いう感染経路や増殖経路が競合する現象があるため同時感染は希にしか起こらず、不連続変異の頻度は連続変異よりずっと低くなります。人類に脅威となるような新型インフルエンザウイルスは不連続変異で出現する可能性が高いと考えられており、特に豚とトリとヒトが接触が高く不衛生な場所で不健康な状態で生活していると出現すると言われています。
http://www.seirogan.co.jp/fun/infection-control/influenza/mutation.html(経路2が連続変異、経路1と3が不連続変異を表しています)

(7)インフルエンザウイルスの連続変異はランダム(中立)です。ウイルスの生存や感染にとって有利な変異も不利な変異もランダムに起きます。ヒトの体内に発生する様々な変異ウイルスのうち、きちんと増殖出来るウイルスのみが体外に放出され、きちんと感染出来るウイルスのみが次のヒトに取り込まれます。このように機能的なウイルスのみが放出される選択圧が働くので、新型(豚)インフルエンザでも世界中で流行しているウイルスの遺伝子配列はほぼ同じです。
http://www.brh.co.jp/katari/shinka/shinka13.html#02(機能に影響の少ない部分はランダムな変異が蓄積されることを示すデータ)

(8)感染者がタミフルなどウイルスに作用する薬を飲んだ場合、放出されるウイルスの量は早く減ります(ウイルスがいきなり出なくなるほど強力な薬はありません)。感染者の体内でたまたまタミフル耐性ウイルスが出来た場合、タミフルを飲まなければ他のウイスルと一緒に体外に出るし、タミフルを飲んでいれば薬による選択圧がかかって放出されるタミフル耐性ウイルスの割合が上がります。(7)で理論を書いたように、タミフルを飲んで変異が誘発されるのでもなく、ウイルスが意図的にタミフルから逃れるために変異している訳ではありません。

どれも皆さんが知っている退屈な話だったでしょうか?あるいは説明が難しすぎたでしょうか?
上記の情報から「新型(豚)インフルエンザは秋になったら変異して毒性を増す」という文章は説明が不十分であることが分かります。

インフルエンザの変異の頻度は季節に左右されません。
秋になって感染者が増えると、その分ウイルスが増殖する機会が増えるので、連続変異が蓄積されるという意味なら理屈は通ります。

6月頃に話題になった新型(豚)インフルエンザのタミフル耐性はNA遺伝子の連続変異によって生じます。アミノ酸が一つ変異するだけでタミフルが効かなくなるので「役に立たない薬かな?」とも思ったのですが、世界中の流行の中心が一気にタミフル耐性に変化するほど有利な変異ではなかったようです。ただし2008年の冬の日本では季節性インフルエンザのかなりの割合がタミフル耐性でした。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/01/h0116-10.html

また、連続変異の蓄積で毒性を増す可能性は、新型(豚)インフルエンザにごくわずかにあるかも知れませんが、同じくらいの可能性が季節性インフルエンザにもあるということです。
ちなみに今月になってスペイン風邪の遺伝子を初めて同定して有名になった研究者が「スペイン風邪に変異は無かった」という論文を出しました。

インフルエンザの連続変異・不連続変異とも感染者の増加によって蓄積されていくので「先進国の人々がインフルエンザの変異を怖いと思うなら、医療後進国に援助をしなさい」と言う専門家も多いです。
上記の説明に関して、間違いや表現が分かりにくいところがあったら項目の番号を挙げてお知らせ戴けると助かります。リンク先はより分かりやすいサイトに入れ替える可能性があります。

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