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ブログ引越予定なので新しい記事は書く予定ではなかったのですが、皆さんにお知らせしておく方が良い情報なのでジカ熱に対する考えをざっとまとめました。

当初は南米限定でオリンピック観戦には行けないな・・と思っていた程度なのですが、外岡先生の情報から推測するに、北米では定着しつつあり、体液感染が意外と稀ではない事から日本にも感染が拡がってもおかしくないです。
http://pandemicinfores.com/diary.html
https://www.facebook.com/tatuhito?fref=nf

ジカ熱は1947年には見つかっていたそうで、この先も人や物流が盛んになるにつれ感染症対策も盛んにする必要がありそうです。
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/a6b197c5eb927c4c654610450183f738

ただ、青木先生が指摘するように、2009年の新型インフルエンザ騒動で起きた感染者の特定は対策上のデメリットが大きい事は意識する必要があります。
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/7f3c934904a6afff35f9536a0725c8e7

私も当時はブログでインフルエンザは不顕性感染が多い事から感染者への差別など天に唾する行為のようなものだと指摘していますし、中高生の部活動の大会参加への停止や海外研修の中止は感染拡大に無意味であり感染した生徒の心の傷の方が問題だと主張しました。
http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/62464106.html

ちなみに2009年3月にメキシコで報告され、GWの頃に海外旅行が問題になった新型(豚)インフルエンザですが、私が勤務する大学では2月にメキシコ出張をした方が帰国してからその研究室でインフルエンザ患者が多発しているので、話題になる頃には国内に流入している事が多いと思っています。

また、人々の話題になるにつれ目立ちたがりの研究者が色々煽るので注意が必要です。
「新型(豚)インフルエンザの致死率は 0.5%」「スペイン風邪の再来」と発表して私のブログ記事で批判され、コメント欄で反論していた西浦先生はまた凝りもせず理論だけの論文を出したようです。
http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/62384234.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG27H0W_X20C16A2TJM000/
スペイン風邪の致死率も抗生物質の無い時代の肺炎が主要因なので、感染症対策は各国の保健衛生行政と連動させて考える必要があります。

今は通常に感染するインフルエンザの株の1つとして定着しているので、普通のインフルエンザ並みのリスク(子供は脳症に注意、老人は重症化)は意識しておく必要がありますが、当たり前ながら致死率は 0.001% 程度と推定されています。

当時の西浦先生は「インフルエンザの致死率の見積もりミスはいずれ再解析してお知らせします」とおっしゃっていましたが、私は連絡を戴いていません。
ジカ熱に関しては日本国内で「対岸の火事」と思っているが主流のうちは誰も取り上げず、日本で感染者が出たら例の白マスク・白手袋のリポーターが湧いて出る可能性がありますが、ウイルスのリスクは人間の思惑とは全く違うので、注視が必要です。

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研究業界以外の人に理解してもらおうと丁寧に書いていたら長文になってしまいました。

謝罪の道筋をつければ被害者は減らせる

笹井先生の自殺の原因について同業者の間でも色々な意見がありますが、私は「STAP 細胞を実現して下さい」という遺書の内容から「現実を直視出来なくなったため」と考えています。

私は笹井研の捏造情報を聞いた事が無いので、笹井先生が捏造に巻きこまれたのは初めてだったかも知れません。
若山先生が取り下げの会見をしただけで、それ以外の共著者はほとんど表に出ず、笹井先生1人が矢面に立たされたのは辛かったと思います。
捏造データを掴まされた経験は私も助教の頃に一度あります。
某大学の教授からイムノスクリーニングで得た cDNA データを「3回実験しても抗体に反応したから確実」と渡されて論文に使った後に追試で疑念を持ち、研究室に無理に押しかけて生データを確認したところ、院生が1回きり出したデータで、2回目の実験では抗体に反応しておらず、3回目の実験をしていなかった事を知りました。

関連する実験が全て潰れ、追試でほぼ1年を棒に振った上に「論文が通ったのだから有り難いと思え!」と逆ギレされ、論文の last author だった別の教授〈その後決別)に「お前のせいだ!」と責められ、自分は論文の erratum を出して NCBI のデータの修正が終わった時に自殺する予定で身辺整理をしていました。
冷静に振り返ると捏造した側に責任がありますが、当時は自分が心血を注いだ論文に不純物を入れられた事が情けなく、捏造を見破れなかった自分は研究者失格だと思い詰めていました(家族に止められて今に至ります)。
捏造を命じられた、捏造に巻きこまれたなどの理由での自殺は昔から度々聞いていました。
http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/nakano/essay_029.html

私は2人の教授が一緒に責任を取る姿勢を見せれば自殺は考えなかったので、今回の騒動も STAP 細胞の有無とは関係なくまず論文が成立しない事を謝罪をするべきでした(出来るなら全員揃って)。
検証実験で結果が出せれば挽回できると考えたのが誰なのかは分かりませんが、普通は小保方さんのノートを見た時点で負けを確信するので、数ヶ月後にもっと厳しい形での謝罪をしなくてはならない事が笹井先生を追い詰めたと私は考えています。

マスコミの攻撃が自殺の原因という説もありますが、STAP 論文における笹井先生の責任は大きいし、マスコミに宣伝した以上、ネガティブな情報も扱われる事は拒否出来ないです。
http://lite-ra.com/2014/08/post-323.html

また、笹井先生が小保方さんに特別な感情を持っていた・・といった推測も経験上は当たっていると感じるし(男女の仲ではなく心の支えにしていたのだと思いますが)、それが論文を出す原動力になった以上、触れない訳にいきません。
笹井先生の自殺を防げなかった事は、研究業界のモラルに悪影響を与えたと思います。

自殺後に理研批判が下火になった事で、今後同じような捏造に巻きこまれた研究者が死ねば責任から逃れられると思う可能性があります。
マスコミの一部が、自殺後に「立派な方だった」と書き始めた事で、死ぬ方が美化されると勘違いする可能性があります。
笹井先生の才能を生かすためにも、謝罪をしてやり直す姿勢を後進に見せるためにも、あのような形では終わって欲しく無かったです。

研究者が沈黙した理由

STAP 細胞に対する疑惑はネットから始まり、研究者が実名で発言するようになったのはその後なのですが、一番の理由は「唐突過ぎて評価出来ない」だと思います。
理研 CDB の複数の知り合いも「小保方さんに会った事も無いし、そもそも存在も知らなかった」と言うほど秘密裏の採用だったようです。
茂木先生は杓子定規な採用でイノベーションが潰れるという主張ですが、捏造横行で潰されるまともな研究者達の方が大きな問題だと思います。
http://news.livedoor.com/article/detail/8904997/

また、十分に調べずに批判をする事は科学者として正しい態度ではないので、データの真偽が見えるまでは慎重に見守っていたという人も多いです。
私は小保方さんがキラ星のように登場した時に父(物理系研究者)にどう思うか?と聞かれて「話が上手すぎるよね・・”夜中まで1人で実験していた”と報道されているけど捏造の可能性は無いのかな・・」と呟いたところ「自分より若い女性が活躍するのが羨ましいのだろう」と言われてガックリきました。

「1人で実験」は私の経験上は捏造フラグなのですが(今回も予想的中)、実親にさえそこまで言われるのだから「人前で小保方さんに対する疑念を口にするのはやめよう」と思いました。
同じ事を思った女性研究者は何人かいたので、男性でも同様に考えた人がいるかも知れません。
加えて、多くの研究者は再生医療研究に携わる人々の努力、それに期待をかける人々の気持ちも理解しています(私も娘の内耳の治療に希望を持っています)。
そこに冷や水を浴びせるような発言を躊躇する気持ちもあったと思います。

捏造防止の取り組み

分子生物学会では STAP 騒動より前から捏造防止策を話し合うサイトを立ち上げていて、そこでは文部科学省提案の倫理教育はあまり支持されておらず、アメリカ型の研究公正局が必要であるという意見が多いようです。
http://scienceinjapan.org/topics/20130826a.html

生データの保管に反対する人はいないと思いますが、実験ノートの記入は実験条件を決めるためにも再現性良くデータを出すためにも必須なので(義務化されなくても書きたくなるのが当たり前)、これが出来ない研究者はクビで良いと思います。
その他、私が個人の経験から思いつく事は以下の4点です。
1)論文の著者に入る事は全データに対する責任を負うという文化の定着
2)研究倫理ではなく研究機関としての倫理の教育
3)一般企業並みの労働基準法の整備
4)ラボリーダー、ポスドク・院生の両者への支援
1)最近の論文は大人数のチームで動く事が多いので、全員が全データに責任を負うという意識があれば不正は起きにくくなります。

2)研究室は個人商店と書きましたが、大学も研究所も隣の商店で不正経理があっても偽装食品を売っていても、自分の店には関係無いという感覚が強いです。しかし商店街でも棚貸しでも粗悪品が混じると商売が成立しないという感覚があれば、お互いを監視し、支える意識が芽生えると思います。

3)私は横領疑惑をかけられて2ヶ月で解雇を言い渡され、セミナーの度に罵倒され、学会参加も禁止され、法整備の整っていない別の国に暮らしているようなプロジェクトに在籍した事があります、そこでは週末の急な呼び出しに応えなかったとかランチに誘われて断ったとかの理由で解雇された人もいました。今もポスドクの労働問題を調停する場は無いので、捏造を命じられた場合は黙ってラボを変える事になるし、訴えた場合は研究業界を去る覚悟が必要です。

4)1)に関連しますが、問題を抑制には倫理教育より相応の環境が必要です。ポスドクや院生など立場の弱い側の支援は当たり前として、ラボリーダー側が悩みを抱えた時に相談出来る場所があると個人商店の暴走も減ると思います。今の私は捏造のリスクは感じていませんが、過労死や鬱のリスクは抱えています。今は学生の成長につながるよう努力していますが、これ以上労働環境が厳しくなると学生の悩みに対して鈍感になっていくでしょうね。また、小保方さんのような院生を抱えて対応に悩んだ場合も誰も助けてくれず、「適当に卒業させろ」などと言われ、問題が起きたら詰め腹を切らされるだろうな・・と思ってます。

研究者独自の文化と社会常識

業績主義が捏造を呼ぶ・・という主張には私はあまり同意出来ません。
捏造のニュースが増えたのは、論文が PDF 化されて画像の照合が可能になったからで、私が大学生の頃から捏造の噂は良く聞いていました。
イタリアのIT系の研究者が論文の画像チェックシステムを開発してイタリア人研究者を対象にチェックしたところ、癌研究の大御所の大量不正を暴いてしまった・・というニュースもありました。
http://www.nature.com/news/image-search-triggers-italian-police-probe-1.14295

最近も1996〜2008年の論文約80本が告発されましたが、古い論文が PDF 化されれば大先生の捏造も見えてくると思います。
http://scienceinjapan.org/topics/20130625.html
(匿名Aさんが告発に至るまでの悩みや経験談は感情移入出来る部分が多いです)

私は論文を10年以上書いていない教授、昼来て夕方帰るような教授、テープレコーダーの再生か・・と思うほど退屈な授業をする教授の多い時代に(頑張っている教授も半分くらいはいましたが)大学生で、腐った大学から離れようと企業に入りました。
ですから何らかの目標を立てて、それに向かう現代の方がその方向性が違っているとしても、働きやすいです。目標のはっきりしない時代は幼稚な争い事も多かったですから・・

一般企業も利益主義ですが、ある程度の法整備もあるし通報制度もありますよね。
また「成果主義だけでは会社全体の利益にはつながらない」という意見も見られるように、利益を出すという目的のために改善を続けているのが一般企業だと思います。
http://www.keieisystem.jp/chingin/e1/20100401144716.html
(2000 年の記事で成果主義が取り上げられているように、企業の人事制度の改善は日々続いています)

ですからアカデミック研究も同様の改善は出来ると考えています。
私のように自分の研究テーマを持つ事は企業では許されない事なので、アカデミック研究者の独自の文化というものはあると思います。
その中で科学の発展のために守らなくてはいけない文化はあるでしょうが、変えるべき点も多いと私は考えています。

少しずつ書き溜めたら異常な長文になり、公開も1月になってしまいましたが、研究業界ではない方々と一緒に改善案を考える上で必要と考えられる研究業界の背景について解説しました。

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小保方さんの検証実験失敗と退職のニュースでまた STAP 細胞が話題になっていますね。
http://icchou20.blog94.fc2.com/blog-entry-489.html
(ぽすとさんてん日記の STAP 細胞の時系列でのまとめ)

私は企業の研究所から帝大系の大学院に入り、国の時限プロジェクトと理化学研究所でポスドクを経験してから国立大学に勤務し、女性研究者のためのサイト(K3-NET、休止中)を運営し、複数の学会や大学でも若手研究者・女性研究者育成に関する役職に就いた事があるので、小保方さんの周囲の人物や理研神戸の状況も色々と見聞きしています。
私個人も捏造を見た事も捏造に巻きこまれた事もあるし、「研究不正の研究」で有名な山崎茂明先生を招いて研究者倫理のシンポジウムを開催した事もあり、研究不正は自分に降りかかる問題として考えてきました。
http://www.amazon.co.jp/山崎-茂明/e/B004L9VGF4/ref=dp_byline_cont_book_1

そのような経験から、STAP 細胞に関する評論に関して「理系の研究業界の現状が分かっていない」と思う事が多いので、私の考えを以下の論点で述べておきます。
1)STAP 細胞は最初から存在していないが、これから開発される可能性はある
2)生物系の論文での捏造は日常茶飯事
3)小保方さんのような誇大妄想は研究業界に多数いて、表に出ないだけ
4)男目線のメディアが小保方さんをネタにした
5)責任を負わず賞賛を求めた共同研究者
6)笹井先生の責任は重い
7)謝罪の道筋をつければ貴重な笹井先生を失わずに済んだかも知れない
8)同業者が表立って批判しないのは小保方さんに会った事が無いし、嫉妬と言われるのが嫌だから
9)捏造を防ぐには生データ保管の義務化・研究環境の整備・学生やポスドクの人権擁護・ラボリーダーの支援などが必要

STAP 細胞は存在しないが、将来は開発される可能性はある

「小保方さんは精神的ストレスで力を発揮出来なかっただけ」
「データが怪しくても、STAP 細胞という発想は素晴らしいので研究業界に残して欲しい」
「STAP 細胞が成功したら、批判した研究者は土下座をしろ」
・・という意見はネットで時々見ますが、

色々な細胞に刺激を与えると脱分化や再分化をするという現象はイモリの再生などで昔から知られていたので、STAP 的な発想は全く新しくありません。
STAP 細胞は哺乳類で脱分化と分化を完全に制御出来るという点が斬新だった訳ですが、そのデータのほとんどが今は否定されています。
ただ、体性幹細胞(生体内に内在している幹細胞)の単離と増殖は昔から研究が盛んで、最近は muse 細胞の研究も発展しています。
http://www.stemcells.med.tohoku.ac.jp/outline/index.html

iPS 細胞や ES 細胞などの成果からも、STAP 細胞は将来作られる可能性は大きいと思いますが、それは小保方さんの行動を正当化するものではありません。
例えるなら「UFO を見た」という主張が嘘であると分かっても「この先も UFO は来ない」という事にはならないし、だからと言って嘘を付いた事も許されないという訳です。

生物系の論文は捏造を想定した精査が必要

科学研究に携わる人々は論文に多くの捏造が混入している事を前提として仕事を進めています。
http://www.chem-station.com/blog/2014/03/post-606.html
http://www.chem-station.com/blog/2014/03/post-607.html

特に生物系は疫学調査>細胞や組織や個体を使った実験>タンパク質や遺伝子を使った実験・・と追試が難しい順に捏造率が高いので、私達はその危険性を考えながら論文を読みます。
疫学調査ははずれ値を意図的に残したり不都合なデータを意図的に外す事が多いのですが、論文の対象になったサンプル(対象者)で追試する事は不可能だし、パソコンのハッキングでもしない限りは生データに行き着かないので、動物実験他のデータが一致して初めて価値があるものとして読むのが作法です。

細胞・組織・個体はサンプルの入れ替え、タンパク質・遺伝子は画像入れ替え・・と手口も異なります。
細胞〜個体レベルは追試で違うデータが出ても短期的には「追試した側のテクニックが未熟」などと言い訳出来ます(STAP 細胞も長引きましたよね)。
これがタンパク質や遺伝子になると、複数の研究者が追試をして捏造が暴かれる・・という例は多数あります。
また、測定値やグラフなどは捏造しやすいデータとして読むのが常識です。
査読時に一つ一つのデータに「本当ですか?」と確認したところで捏造をする側が正直に申告する訳ではないので、私の場合は論理的に破綻していないか、先行論文と比較した時に違和感が強くないか・・という辺りを確認しています。

捏造をする(させる)タイプとその手口

捏造をする背景と捏造に手を染めやすい人には色々なタイプがあります。

ポスドクで多いのは、小心者で実力に乏しい研究者がボスの圧力に耐えきれずに捏造をする「ある博士の自壊」タイプです。
http://www.amazon.co.jp/ある博士の自壊-伊良林-正哉/dp/4776520966

大学院生の場合は、研究に対する心構えが不完全なまま指導教員が「こうなるはず」と刷り込む事でデータの解釈を歪めたり10回に1回しか出ない失敗データ(試薬を入れ間違えたり間違った条件で観察したり)を出してしまう事が多いです。

どちらの場合も捏造データを信じたラボリーダーが正しいデータを出すラボメンバーを責め(「○○君のデータの方が仮説に合っている」とか「アナタの契約もこれまでかな〜」を連発される場合など形は色々)、他のメンバーも捏造グループに入ってしまう例も見聞きしています。

捏造を呼ぶラボリーダーは
1)能力が低いために捏造データを見破れない
2)学生やポスドクの所業が自分の責任であるという自覚が無い
3)欲が勝って目が曇る
4)功名心に駆られて捏造を暗に要求する
・・など色々です。

ベル研事件の共著者は3)でしょうし、東大の多比良研や加藤研は4)だと思います。
http://blog.goo.ne.jp/bnsikato
http://scienceandtechnology.jp/archives/1058
捏造には「存在しない遺伝子」など大胆な手口もあります。
新しい遺伝子を発見した、その活性は○○だった・・という論文を出して某大学の助教になった人に、ラボの人がプラスミドを置いて行ってと頼んだら「今は忙しいから」とはぐらかすうちにその遺伝子がデータベース上の複数の遺伝子のドメインを切り貼りした、想像上の産物だった事が分かりました。
mRNA 配列のほとんどが登録されている今ならバレそうな気もしますが、査読者側で配列を入力して検索を書ける事はあまり無いので、DDBJ のアクセション番号があれば信じてしまいそうです。
2014年7月に放送された NHK スペシャルの「STAP細胞 不正の深層」は捏造前提であるという批判も受けていますが、論文データの検証や、研究室内の実験机の配置、ES 細胞の持ち出しなど「この環境なら捏造は可能かも」納得する内容でした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/調査報告_STAP細胞_不正の深層

誇大妄想家による捏造

もう一つの捏造をするタイプは、誇大妄想が絡んでいる例です。

「経験の浅い研究者が一人であれだけの騒動を起こせる訳がない、誰かに利用されたのだ」
「あんなに涙目で訴えている人が嘘を付く訳がない」

同業者の間では「小保方さんは嘘を付いている自覚は無く、妄想が出ただけ」という人が多く、私もこの説を支持しています。
なぜなら私は帝大の博士課程にいた頃は誇大妄想な人を多数見てきましたし、ポスドクまでなら小保方さんのような人は良くいるからです。
大学院まで進学する人は、子供の頃から賢いと誉められ、進学校に合格し、自分は優れた人間であるという自負があります。
優れた自分は研究者になって偉業を成し遂げるだろう、成し遂げるべきだ・・という妄想が、目の前の実験データを歪めて解釈するという様子は今まで何度も見てきました。

例えば帝大時代の修論・卒論発表会では発表前に「学生のレベルを越えた内容」と吹聴したり、発表会で「自分の成果は人類初の発見」と熱く語る人は何度か見ています。
中には「僕は学位のために渋々発表しているだけで、この素晴らしい発表内容を口外した人には法的措置を取ります」といった前置きでクソつまらない発表をする学生もいました。
誇大妄想の院生は100回に1回しか出ない失敗データを正しい事として、99回を否定する事も平気です。
その1回を嬉々としてリーダーに報告し、もう1度見せてと言われて再現出来ない時は「そのデータに似たもの」を作って来ます。

小心者タイプは簡単に暴かれる捏造はしないのでバレる率が低いですが、捏造を突き止められそうになると逃げ回るので、分かりやすいです。
未熟な大学院生も他人に意見をされると「先生がこういうデータになるはずだと言ったので」と指導教員が青ざめるようなネタバレもしてくれます。

しかし誇大妄想の場合は「本当はあるはずのデータだけど、今日はたまたま見えないから作っただけ」という意識なので、すぐにバレるような捏造をします。
そして追試で再現出来なくても「あの時は見えたんだから大丈夫」と開き直り、平気で人前に出て「再現出来ないのは不思議」と言うのです。

妄想タイプの捏造はラボリーダーによって誘発されるものではなく最初から捏造体質なのですが、リーダーが捏造を見過ごしたり誉めたりすると妄想が拡大していくので、リーダーの責任は大きいです。

個人商店の暴走

研究業界の管理体制は一般企業とは大きく異なり、研究室のリーダーは個人商店くらいの権限があるし、共同研究は個人商店のコラボによる新商品開発・・という感じです。
経営者の資質によっては捏造やハラスメントが簡単に起きますが、大学も公的研究機関もラボリーダーを管轄する立場の人はいません。

ですからラボリーダーの願ったデータを出す人や、成果は無くても甘え上手な人な人がリーダー寵愛を受けてラボが混乱する例は日常茶飯事です。

前者は「○○君はいつも素晴らしいデータを出す、みんな彼を見習って頑張りなさい」とボスが叱咤しているうちに周囲から捏造を暴かれ、気付いたボスにも詰め寄られて国外逃亡・・という例もあり、ラボ内のメンバーが抑止力になる事が多いです。
後者の場合はそれほどデータを期待している訳ではないので、特に異性の場合は「恋の病か?」と思うほど冷静ではなくなる例も多々あります。

さらに「思い通りのデータを出す異性の部下」は誰も口だし出来ません。
かなり昔の話になったので書きますが、私は捏造で懲戒免職になったT先生とN女史の研究室のポスドクに応募した事があります。
約束の時間から連絡無しに2時間以上待たされ、T先生は謝りもせず別刷りを見せながら延々と自慢話を始めました。

私も一生懸命ヨイショをして「素晴らしい成果の出ている研究室で働かせて欲しい」と言ったのですが、「僕は女は採用しないんだよ」と断られました。
「でもNさんがいますよね」と食い下がったところ「彼女は特別なんだよ!」とキレられ、さらに自慢話を聞かされ、最初から面接しなきゃいいのに・・とました。

後でT研のポスドクに「T先生が遅れてきたのはNさんといつものお食事会をしていたため」と聞きました。
NさんはT先生に相づちを打つのが上手で、T先生好みのデータを出すために可愛がられていたそうです。
理系の人は男女ともに恋愛体験に乏しいので、ミエミエの媚びにも騙されやすいんですよね。
見た目が良すぎると警戒心が芽生えるので、ちょっと可愛いくらいの人が好まれます。
特に権力を持つほど精神的には孤立しているのか、周囲が驚く様な贔屓をする時があります。

自分を貫く人でもラボリーダーが寛容なら活躍の場がありますし、リーダーを上手くおだてながら自分の科学を貫く人もいます。
でも寵愛を受けている人が同僚のデータを奪って主著者で論文を書いたり、寵愛を受けている人の捏造を指摘した側が飛ばされるなど、コンプライアンスが整備されていない業界なので、研究者として独立するまでに一番大変なのは人間関係だと私は感じています(独立してからは研究能力ですけど・・)。

そして日本の生物系の研究室の女性のラボリーダーは1割もいないし、ポスドクの女性率もまだ2割くらいです。
捏造に気がつくのは下心の無い同性の方が多いので「小保方さんの指導教員やボスが女性だったら」と言う話は同業者の間でも結構出ます。
http://ironna.jp/article/784
(上昌広先生のコメントにも同様の主張あり)

そのうちイケメンに傾く女性ラボリーダー・・という事例も出て来るとは思うのですが、オバサンは若い男が自分になびくはずがないという遠慮があるので、男性の方が騙されやすいようにも思います。

研究者に話題性を求めるメディア

世間も STAP 細胞を開発したのが地味な理系男子だったらあそこまでフィーバーしなかったと思います。
理研の広報室も割烹着だのをアピールし「女性ポスドク(笹井研他から駆り出されていたそうです)を率いる小保方さん」という絵柄を撮影させる事で、リケジョブームにあやかろうという下心がありました。
一時は小保方さんがいかに昔から優れていたか・・というエピソードも取り上げられていましたが、同業者の間では「そんなに優れた院生なら学会でも話題になったはずなのに、誰も見た事ないよね?」という話になっていました。

「若手の女性研究者の会のまとめ役だったそうだから、bloom さんも会った事があるよね?」と言われた事もありますが、そんな会は知らないし、分野が近い割には全く面識がありません。
研究はただ目の前の事象を正しく捉え、神様では無い人間が神様の領域に迫るための努力なので、その努力には物語性があっても、人物に物語性を求めてはいけないんです。

女性研究者のライフプランが話題になった頃に「ママさん研究者増える」という記事が出て「独身女性は圏外?」「才能の有る人を登用すれば男女同数に近くなるだけなのに」と違和感を持った事があります。

小保方さんの指導者や共同研究者の無責任さ

小保方さんは常田先生@早稲田大→大和先生@東京女子医大→バカンディ先生・小島先生@ハーバード大→若山先生@理研・・と移動しているので、研究の基礎を教える立場にいたのは常田先生と大和先生で、データを監督する立場にあったのはバカンディ先生・小島先生・若山先生と考えられます。

常田先生は学生に考えさせる指導という記事もありますが、常田研からコピペが多発している事から2)3)の要素がある「放置系研究室」で(この言葉でググると大量に経験談が出るほど業界では常態化しています)、小保方さんは常田研で捏造のテクニックを身につけた可能性大です。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140805/269674/?rt=nocnt
http://stapcells.blogspot.jp/2014/03/blog-post_15.html
早稲田大学のコピペ率は私が勤務している国立大学に比べて高過ぎるのですが、私立大学は教官に対する学生の比率が高過ぎて指導が行き届かないという愚痴は良く聞きます。

ただ、早稲田と慶応以外はあまり研究者を育成する雰囲気が無く、研究志向の学生は帝大系の院に出す傾向があるので、早稲田は指導体制が不十分なまま博士号を出し続けたために崩壊したのかも知れません。
指導教員に良心があっても過度の負荷がかかると博論を精査する気力が無くなるとは思います。
大和先生は研究者としての能力は高いものの、セルシードの経営に関わるなど山っ気と自己顕示欲のある3)の要素の強いラボリーダーだと感じています。
http://stapcells.blogspot.jp/2014/02/blog-post_48.html
Wiki も最初の頃の版はご自分で書かれているようですが、テレビ出演や有名人とのお付き合いなどをアピールされていますね。
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E5%92%8C%E9%9B%85%E4%B9%8B&oldid=39254339

バカンディ先生は組織工学の業績でハーバード大学教授という立派な肩書きを持っていますが、再生医療では十分な成果が無いので、部分妄想家だと思います。
ある領域では科学的に正しい成果を出して立派な肩書きを持ちながら、晩年は珍奇な説に固執して周囲を困らせる・・というパターンはレーウェンフックなど昔から多くの例があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/前成説

小島先生の画像流用が本当なら、医学部出身者にありがちな、研究の基礎を学ばないままポジションを得たタイプだと思います。
臨床医が箔付けに研究を始める場合、懇意にしている教授の研究室で方向性だけ示して実験は技術員に任せっきり、博論は助教に書かせる・・というパターンも多く、正しいデータに「ちょっとした細工した画像」を加える程度なら捏造とは考えていないと思います。
http://stapcells.blogspot.jp/2014/02/blog-post_26.html

「ヒトで初の STAP 細胞」は小保方さんではなくバカンディ先生と小島先生が行った実験ですから、彼らは積極的にに捏造をしていると判断して良いでしょう。
http://www.sankei.com/life/news/140206/lif1402060011-n1.html

若山先生に関しては今までの情報では騙された側なのか、騙した側の中から怖くなって寝返った人なのか判断はつきません。

放置系研究室も山師も妄想家も雑な医学部出身者も日常的に見ているのですが、その人単体なら大きな問題にならずに定年を迎える事が多いです。
しかし今回は小保方さんの魅力にそういう方々が引き寄せられ、悪い部分が積集合のように出てしまったのかも知れません。
妄想癖のある人は山っ気のある人に可愛がられやすく、山っ気のある人は権威が好きなので、会合体を作りやすい傾向はあります。

笹井先生の責任は大きい

論文はリジェクトが続いたのですから、笹井先生が関わらない限りは小保方さんは表に出ずに済んだと思います。
小保方さんタイプの院生は博士〜ポスドクの間に妄想を暴かれて研究業界を去る事が多く、中には不思議ちゃんながらもきちんと暮らしている場合もあるので、小保方さんも可哀想だという気持ちは少しはあります。

騒動が拡大する中、小保方さんの論文を査読した研究者が当時から他の細胞のコンタミや図の切り貼りを指摘していたという情報もありました(ネイチャーとサイエンスが認めている訳ではないです)。
http://science.slashdot.jp/submission/57433/
取り下げになった2本の論文の共著者には若山先生・笹井先生・小島先生・バカンティ先生・丹羽先生・大和先生の他に何人かの先生が入っています。

Haruko Obokata*, Teruhiko Wakayama, Yoshiki Sasai, Koji Kojima, Martin P. Vacanti, Hitoshi Niwa, Masayuki Yamato, Charles A. Vacanti*
“Stimulus-Triggered Fate Conversion of Somatic Cells into Pluripotency” , Nature 2014, doi:10.1038/nature12968
Haruko Obokata*, Yoshiki Sasai*, Hitoshi Niwa, Mitsutaka Kadota, Munazah Andrabi, Nozomu Takata, Mikiko Tokoro, Yukari Terashita, Shigenobu Yonemura, Charles A. Vacanti and Teruhiko Wakayama* ““Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripoten”
Nature 2014, doi:10.1038/nature12969
査読をする側は著者の顔ぶれでデータの信頼性を推定しますし、査読は覆面で行うものの「アナタが審査しているよね?」と投稿者側から圧力をかけられる場合もあるので、世界的な研究者である丹羽先生と笹井先生が著者に入った事が論文の受理につながったと思われます。

しかしリークが本当なら、論文の共著者の中に査読コメントを読まないまま名義貸しをした人か、査読コメントを見た上で無視した(捏造を意識した上で投稿を進めた)人がいる訳です。
そして誰一人として「陽性かくにん!よかった」の実験ノートを確認していない事が、同業者の間では信じがたい行状と考えられています。
http://matome.naver.jp/odai/2139951395719309401

私は分析データを戴いた方を著者に入れようとして全データを見せた上でお願いしたものの「自分のデータには自信があるが、論文全体の主旨を正しく理解出来ている訳ではないから」と断られた事があります。
その方はかなり責任感が強い方ですが、私が共著者に加わる場合も論文全体の整合性など確認し、時には生データも見せてもらってから加わるようにしています。

小保方さんの共著者の方々はあのような派手な会見を望んでいた訳ではないのかも知れませんが、責任を持たずに賞賛だけを求める姿勢は批判は免れません。

長くなるので2つに分けます。
急なお話ですが、12/22(月)の夜に都内で科学リテラシー関連の人脈でプチオフ会をする事になりました。

2012年に福島で宇野先生を囲んでオフ会をした時の参加者の方が関東にいらっしゃるのに合わせて、近隣の方にお声かけしています。
私が授業の参考にしている某ブロガーの方もいらっしゃるので、ご興味のある方は bloom_komichi@yahoo.co.jp まで御連絡下さい。
実名を含めた身元などを明らかにして戴ければ、詳細を御連絡します。

オフ会では原発事故から3年以上が経過する中での当時を振り返り、今後の科学リテラシーの在り方などが話題になると思います。
私は昨秋の炎上騒動で休止したブログを再開してから1年になりますが、今後の方針について相談したいと思っています。
http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/66610962.html
http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/66791793.html

私の人脈の方でまだお知らせを受け取っていない方は、単純に私がウッカリしているだけで避けている訳ではないので、どうぞ御連絡下さい。

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原発事故から2年経って、多くの人が癌や奇形をデマと理解してきたこの頃は「事故当初は”チェルノブイリ事故とは性質が違う””健康被害が出るのは瞬間被爆 100 m㏜ 以上で、今回の被曝量は少ない”などと言っていた専門家が、事故後数か月後にはマスコミには出なくなってしまった事が残念」という意見を時々聞きます。

地震や津波の被害に苦しみ、初めて見た原発事故のパニックから「誰かを悪者にしなければ気が済まない」気持ちがマスコミやネットを通じて増幅し、政府や東電社員を罵倒し、科学技術に対する憎悪さえ渦巻いていたあの頃は、インフルエンザ騒動と同じ「振り返ると理解不能な日々」でした。
エセ正義の科学者達など、妙に嬉々としていた方もいましたけど。

あの頃の異常な雰囲気や自分の身の上に降りかかったことを自分自身もあと数年すると忘れてしまう可能性があるので、信夫山ネコさんのブログでコメントした内容を補足しつつ転載します。
http://shinobuyamaneko.blog81.fc2.com/blog-entry-143.html
(元のコメントが掲載されている記事)
私が考える「科学者が放射能騒動に関わらなかった理由」は以下の通りです
(1)ネットによるバッシング
(2)職場への嫌がらせ
(3)職場からマスコミ露出を止めて欲しいという要請
(4)歪んだ正義感に冒されたリアル知人からの罵詈雑言
(5)研究業界のリアル知人との人間関係
(6)「危険」と言う方が思い遣りのある人と取られやすい雰囲気
(7)勉強が面倒
(8)関わっても利益が無い
以下、私が見聞きしたり実際に体験した例を記録しておきます。

放射能騒動に関わるとどのような嫌がらせを受けるか

(1)実名で twitter やブログで発言していた同業者が個人攻撃により鬱になりネット落ちし、一時休職した
(2)実名で twitter やブログで発言していた同業者が個人攻撃に耐えたものの職場に苦情の電話が来たり、研究室に嫌がらせ電話や嫌がらせメールが来て発言を控えた
(3)苦情電話に辟易とした職場やその上部組織からマスコミ露出を止めるように命令された
私は当初は匿名ブログでしか発言していないのですが、原発事故から1年くらいは「人殺し」といった内緒コメントや匿名メールがあって、実際に「放射脳の○○が bloom さんの身元を暴こうとしている」という忠告もあって、家族の身辺にも注意していたし、私自身も警備の手薄になる時間帯やキャンパスに人が少なくなる夏休みはなるべく大学にいないようにしていました。
特に小さい子供のいる人は家族への攻撃を考えると、かなり慎重になるでしょうね。

放射能騒動に関わるとどれくらい人間関係が辛くなるのか

(4)家族や友人、高校や大学の同窓生から「御用学者」と罵られた
(5)放射線生物学に無知な割に変な正義感のある研究業界の大御所に「オマエのような者の顔も見たくない」と言われた
(6)放射線対策や風評被害対策に関る立場の人が「微量の放射性物質では何も起きないので、ある線量以下は対策が不要ではないか」と意見をして「国民の不安に寄り添っていない」と注意を受けた
(4)は某専門家の方から「NHKのあの番組を見た数十年来の友人から”オマエが原子力村の一員だったとは、失望した”と縁を切られた」などと話を聞いて、今は和解出来ていたらいいな・・と思っています。
http://jein.jp/npo-introduction/message/250-appeal4.html
(「追跡!真相ファイル: 低線量被ばく 揺れる国際基準」は生物学者から”科学的な捏造”という指摘多数)

私自身もブログ記事に書いたように父や叔父(物理学者)に罵られ、長年お付き合いのあった同業者からもブログに「科学者としての適性に問題がある」といったニュアンスを含むコメントをしつこく入れられて、結構堪えました。
学会で学生時代からお世話になっていた某教授に「健康被害が起きるに決まっている」と言われ、ひるまず議論をして相手もやや納得して戴いたこともあります。
でも業界全体にかなりの影響力の柳田先生の「微量の放射能に反応する放射能弱者がいたらどうするんだ!」というブログ記事に対しては本人に直接言わずに(直接メールをやりとりするほど親しくないし)、このブログで「あり得ないよ」という記事を書いただけです。

私は教育者でもあるので、仕事上で不利になるだけではなく、学生を守るために面倒を避けた部分もあります。
でも科学者としては、同業者が「福島は危険に決まっている」と酒の席で言っているのに、相手の身分やキャラが怖くて軽くたしなめる程度で済ませた時など、科学を裏切ってしまったように感じて辛くなります。
物理系の人にムラサキツユクサ研究のデマっぽさを説明する時など、一度で理解してもらえそうもない時は一旦引く方が良い場合もあるのですけど・・

NHKのデマ番組もそうですが「危険だと煽って間違っていても責任は取らなくて良い」という間違った感覚が、無駄なエセ正義を増幅させているんですよね。
実際は危険→避難→住居や家族を失う・・というかなりの損失があるので安全も危険も相応の覚悟を持って言うべきことです。

私と揉めた親族も知人も飲み会で危険を煽っていた同業者も根拠があって発言している訳ではないことは、少し話しただけで分かりました。
彼らが福島の復興のために動いた気配もありませんし、もちろん今も反省しているようにも見えないので、ただその時に何か正義っぽい事を言いたかったんだろうな・・と思っています。

放射能騒動に関わるとどれくらい負担が増えるのか

この部分は私の体験を書きます。
(7)微量の放射線が健康被害を起こす可能性が低いことを淀みなく説明するには、分子生物学と細胞生物学の知識が必要で、実験動物を使った解析の経験があり、疫学調査のデータを読む力がある私でも、様々な分野の研究者から情報を集め、最近の論文なども目を通して勉強する必要がありました。また、福島の状況が過去の文献に照らしあわせてどの危険性に相当するのかを判断するためには、様々な観測データに目を通す必要もありました。

(8)私が実名で放射能による被害は小さいと発言したのは2011年10月の授業から、学会や講演など公の場だと2012年5月からですが、私は放射線生物学は専門ではないし、私が専門家だとしても一般人への解説をしたところで国の依頼を受けていない限りは何の業績にもなりません。授業で放射線生物学の基礎を扱うことも特に要請はなく、大学生にとってその知識が必要だと判断したためです。
私は記事を書く時や、質問コメントに対して返事をする時は、万一自分の分析に間違いがあって被害が起きたらどうしよう・・とかなり勉強しても一抹の不安は抱えています。
それでも、自分が福島に住んでいたら家族のためにどのように判断するのか考え抜いた、自分が論文を書く時くらいの「様々な可能性を考えた上での、科学的に妥当と思われる判断」ならば、それを発言することも科学者の義務だと考えています。
ただ「危険」を肯定する方が除染が進んだり補償金が増えたりして福島県のためになるのかも・・という科学とは違う悩みも持っていて、児玉先生の国会泣きなどに対しては判断が遅れた部分があります。

放射能騒動に関わるメリットは無い

このように、放射能騒動に関わってもデメリットの方が大きいので、同業者の多くは学会などで「あの放射線量で健康被害が起きるとは考えにくいよね」などと言いながら関わりを避けてきました。

実際、ここ2年は騒動に巻きこまれた自分の精神が消耗し、時間が取られて研究活動や学生指導がおそろかになり、それでさらに鬱っぽくなった面があるので、面倒に関わらずに研究に集中する方が税金で研究をしている立場としては正しい行動のようにも思えます。

勇気ある科学者達を守るには

福島県の放射線対策に関わって来た山下先生や中川先生はかなりの攻撃に耐えてきたことが想像出来ますし、実際、小出尊師と対決をした小林先生はかなり精神的にタフな方です。

あの先生方の場合は国から放射線アドバイザーの依頼を受けていたり、放射線医学の専門家として発言することや、一般人に放射線について説明することが仕事として認められているので頑張れるという面はあると思いますが、深い科学的な知識と、客観的な科学こそが社会のためになるという信念が彼らを動かしているのだと考えています。
反原発の旗手であったのに「現在の放射線量は危険とは考えにくい」という発言をして裏切り者扱いされた安斎先生は思想より科学に従った、科学者の鑑だと私は思っています。

2年以上経った今は「最初から安全と言ってくれれば良いのに」という話は出ますが、最初の1年の異常な雰囲気を思い出すと、次に似たような問題が起きてもまた沈黙する専門家は多くなると思います。
この問題に関しては何らかの対策が必要ですが、有効な対策は現時点では思いつかないので、記録だけは残しておきます。

9/24 追記:この記事に関連して「物言う科学者」という補足記事を書いています。
http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/66610962.html

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