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今回の手術では入院当日(手術前日)に全11ページの麻酔説明書を戴いたのですが、たぶん今まで受けた説明の中で一番詳細で、合併症についても「脳障害」「心停止」「術中覚醒」など稀なものまで解説してあって、不安になりました。 そこで麻酔について色々調べるうちに授業で使えるかも・・と思ったので、リンクを残しておきます。 麻酔の歴史医師が描いた「まんが医学の歴史」で、抗生物質と麻酔は医学の発展が大きい事が解説されています。http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=21595 華岡青州は「世界で初めて全身麻酔に成功した」と紹介されていますが、薬用植物は紀元前から使われているので過去に試した人は結構いるのでは?と思っています。 http://www.anesth.hama-med.ac.jp/Anedepartment/masuinorekishi.asp http://challengers.terumo.co.jp/challengers/15.html 麻酔の種類女性研究者のためのサイト K3-NET でお世話になっているジブリさんは麻酔の種類と薬剤に関して丁寧にまとめて下さっています。http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/analg-anes.html 脊椎くも膜下麻酔と硬膜外麻酔の違いが分かる図。 http://www.toshiba-hospital.jp/clinic/medical/list_23.htm 麻酔の段取りも分かる「麻酔科医ハナ」麻酔について色々検索したものの余計に不安が増して眠れなくなる中で「麻酔科医ハナ」をネット漫画の試し読みで運良く見つけました。http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-83504-5.html?c=20198&o=date&type=t&word=%E9%BA%BB%E9%85%94 ドラマでは全身麻酔のシーンではフェイスマスクを付けるところまでだし、患者もそこまでしか覚えていない訳ですよね。 でもその後は喉頭鏡で口をカパーっと開けられて気管に挿管され、自律呼吸が止まるという事を私は今回初めて知りました(全身麻酔は幼少期のアデノイド切除、大人になってからの前十字靱帯再建と今回で3回目なんですが)。 https://allabout.co.jp/gm/gc/395330/ 「麻酔科医ハナ」では安全な手術のために患者を臨死状態にする必要性について、崖の上に立って命綱を付けた患者をソロリソロリと下ろしていく様子に例えて解説しています。 私は全身麻酔の手術では麻酔科医が立ち会っている事も知りませんでしたが、漫画の中では麻酔科医が不足気味なのに色々な科の手術を頼まれていて、さらに緊急手術が入る・・という大変な働きぶりも紹介されています。 手術台に登ったところで麻酔担当の医師に「読んでますか?」と聞いたところ「そろそろ新刊出ますよね」とおっしゃっていたので、愛読する医師は多いようです。 「あそこまでドラマチックではありませんが」ともおっしゃっていましたが、非現実的だとまでは言って良いし、漫画家さん本人が医師だったのでは?と思うほど器具や機器の描写が正確です。 「私も気管挿管されて人工呼吸装置で管理されるんですよね・・宜しくお願いします・・」と言ったところで意識喪失して、手術が終わった時は「良く寝た〜」という爽快感があり、喉の痛みも全く無かったので、麻酔医はとても上手な方だったと思います。 麻酔の作用機序そこまで勉強したところで、麻酔はなぜ痛みを消したり意識を無くしたり出来るのだろうか?という疑問が湧いてきました。私は授業で神経科学を扱っているのですが、薬剤によって作用する神経のタイプが異なるから意識や呼吸や痛みを制御出来るのでしょうね。 麻酔薬の存在下で海馬のスライス培養を刺激して「静脈麻酔は抑制性シナプス伝達に選択的に作用し、その抑制作用を促進することがわかる。これに対し、吸入麻酔薬は興奮性シナプス伝達の抑制と抑制性シナプス伝達の促進の両方の作用があると考えられる。」といった考察をしている資料があるので、大まかなターゲットは分かっているようです。 http://www.maruishi-pharm.co.jp/med2/files/anesth/book/58/3.pdf?1483664789 ターゲットとして、GABA受容体・K2Pチャンネル・NMDAチャネル・グリシン受容体・ニコチン受容体・カチオンチャンネル・シナプス前膜のvoltage-gateナトリウムチャンネル・・を紹介している資料も見つけましたが、神経系が複雑なネットワークで動いているため、意識に関する作用もまだ分かってない部分があるようです。 http://team.tokyo-med.ac.jp/masui/report/2012/07/post-34.html 神経科学では薬理学に触れる事が多いのですが、とりあえず効くから使ってみる、使いながらどの細胞や組織に作用するから効果があるのか研究する・・という流れは結構あるんですよね(精神疾患の薬など、どのような経路で作用しているのか完全に明らかになっていないものの効果があるから使われているという例があります)。 自分でももう少し調べますが、作用機序について解説されている資料をご存知の方は情報お願いします。
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研究ききみみ
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これまでの蛍光顕微鏡の2波長の切替画像は静止画しか撮影出来ず、動画を撮影する時は他の研究室に行く必要があったのですが、去年と今年と学内の助成金が当たったのでCCDカメラ(最近安くなったので)とフィルターホイール(中古を馴染みの業者さんから格安で)を購入する事にしました。 やや古い版ですが日本語カタログの「蛍光フィルターの選び方」では波長の設定に関する基礎知識が得られます。 https://www.mxmco.com/html/pdf/chroma/appplication%20note.pdf 最近は複数の蛍光タンパク質を同時に観察する事が多いのですが、例えば bloom 研で使う一般的な緑と赤の蛍光物質の励起波長(ex)と蛍光波長(em)を並べてみると、緑の励起波長<緑の蛍光波長<赤の励起波長<赤の蛍光波長の順にキツキツに並んでいる事が分かります。 緑 Alexa488 ex490-em525 緑 EGFP ex488-em507 赤 Alexa546 ex556-em573 赤 Rhodamin = Tetramethylrhodamine (TAMRA, TRITC) ex540-em565 赤 Cy3 ex554-em568 赤 dsRED-monomer ex556-em586 赤 mCherryex587-em610 励起波長と蛍光波長は山形の分布なので、フィルターの波長の幅を大きくして励起の山を大きく囲えば強く励起出来るし、蛍光の山を大きく囲えば明るい画像が得られる訳です。 緑を励起しているつもりが赤も励起しているとか、緑の蛍光画像を撮影しているつもりなのに赤の蛍光も漏れ混むと、データとしては成立しません。 特にマルチバンドの励起フィルターやマルチバンドの蛍光フィルターを使う場合は、漏れ込みリスクが高くなります。Semrock のサイトには励起と蛍光の両方にマルチバンドフィルターを使う場合と、励起も蛍光もシングルバンドフィルターを使う場合(私はこちなので励起と蛍光でそれぞれフィルターホイールを使います)の分かりやすい図が示してあります。 https://www.semrock.com/Data/Sites/1/semrockpdfs/2006mar_biophotonics_new_optical_filters_improve_high_speed_multicolor_fluorescence_imaging.pdf 最後のページの「What Is Bleedthrough?」が蛍光の漏れ込みに関する解説です。 また、Semrock の各フィルターの特性を示したページでは、fluorophor のタブから蛍光物質を選ぶとフィルターの波長に蛍光物質の波長を乗せてくれるので、どれくらいの漏れが有り得るのかが分かります。 Zeiss にも同様のサイトがあります。 https://www.micro-shop.zeiss.com/?s=65990752fc0598&l=en&p=us&f=f&a=i (ちょっと見づらいですが) 例えば GFP と mCherry の2励起2蛍光の系で推奨されている FITC/TXRED-2X2M-B-000 に mCherry の波長を合わせてみると、GFP の励起時に mCherry もわずかに励起される事が分かります。 https://www.semrock.com/SetDetails.aspx?id=2928 わずかに励起された mCherry から出た蛍光は Dual Band Dichroic(緑と赤の二波長の蛍光を通す設定のダイクロイックミラー)も通過しますが、緑蛍光のフィルターは通過出来ないので、CCD カメラで撮影する段階では mCherry の漏れ込みはありません。 ただ、赤蛍光のフィルターの波長の幅が狭いため mCherry の蛍光の 1/3 くらいしか拾えていない事も分かります。 同じ作業を GFP ですると、mCherry の励起波長が GFP に全くひっかかっていません。 GFP の蛍光が出てしまえば赤蛍光のフィルターにもわずかに漏れるのですが、そもそも GFP が励起されていないので GFP の漏れ込みはありません。mCherry の蛍光を 1/2 以上回収出来る 89021 を購入する事にしました。 https://www.chroma.com/products/sets/89021-et-egfp-mcherry 赤の励起と蛍光の幅が Semrock より広いのでAlexa546・Cy3くらいは使えそうです。 Chroma 89021 のデータを良く見ると、緑の励起波長が GFP の適正波長よりやや短い(左より)で、赤の励起波長も mCherry の適正波長よりやや短いです。 でも複数の蛍光物質を観察するために波長の重なりを避ける場合は、励起波長を短波長側にずらすのが定法だそうです。 その理由は、励起光は水銀ランプから発せられる光から励起フィルターを通した光で、ランプの出力や ND フィルターなどで減光する事もあり、適正波長から少し外れても励起は起きるからです。 蛍光はサンプルから出る微弱な光なので、光をなるべく捕捉する必要があるからだそうです。 褪色を最小限に抑えるために、励起のピークを外してでも蛍光を広く取るべき・・と共同研究者に教えてもらいました。Alexa488・Alexa546・Cy3 は大体固定した細胞に使っているので励起や露光が長くても気にならないです(褪色は問題ですけど)。 しかし GFP と mCherry は生細胞から出る蛍光なので励起のダメージは小さくしたいし、蛍光も短時間で撮影しないと細胞の形態が変わってしまう場合もあるんですよね。 ちなみに励起フィルターの波長の幅を考える時には、水銀ランプの特性も考慮する必要があります。 http://zeiss-campus.magnet.fsu.edu/articles/lightsources/mercuryarc.html 私が購入する Chroma 89021 の緑励起は水銀ランプの出力の弱い波長ですが、赤励起は水銀ランプのピークの1つである 579 が入っているので強く励起されそうです。 最近はキセノンランプ・レーザー・LED と光源は進化しているので水銀を使っている人は少ないかも知れませんが・・ 励起フィルターに関して、ダイクロイックミラーとの組み合わせにも気を配ります。 励起フィルターの透過波長とダイクロイックミラーの透過波長が重なっていると励起光の一部がダイクロイックミラーをすり抜けて本来の光路とは別のところへ入り、S/Nが悪くなるなどの問題が起こるそうです。 Chroma のフィルターの製品説明のサイトでは波長の図にポインターを合わせると、それぞれのフィルターにおける透過率が数値で表示されます。 89021 では 490 nm の励起光の 3 パーセントがダイクロイックミラーに入り、その 12%(0.36%)がミラーで跳ね返されずに通過して蛍光サンプルから出る光と同じ光路に入ってしまいます。 ただし、蛍光サンプルから出た光は最後に蛍光フィルターで切り落としをされる設定で、490 nm の励起光は ET525/50m の透過率は 0% なので、CCD カメラで撮影する段階では励起光の漏れ込みは起きないと考えられます。 chroma や semlock のサイトでは励起効率と蛍光の回収効率が分かるので、複数の波長を使う時の漏れ込み率を計算して「この組合わせだと抗体濃度が濃すぎる場合は漏れ込むかも」などの予想をする事が出来ます。 Semrock や Chroma のフィルターセットは励起フィルターに合わせたダイクロイックミラーがセットされているのですが、個別に選ぶ場合は気を付ける必要がありますね。ダイクロイックミラーの説明は以下が詳しいですが、蛍光顕微鏡のシステムを考えた人は偉いですね。 http://www.nikon-instruments.jp/jpn/learn-know/microscope-abc/learn-more-microscope/epifluorescence-microscope-filter-select/index.html ここまで理解するために3日くらい勉強して、共同研究者や業者にメールで何度か質問したので、皆さんに役立つ形で解説してみました。
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クイズによる実験原理の指導私の研究室は私が講師に上がるまでは卒研生のみで動かしていて、数年前からやっと修士を指導出来るようになったので(博士もポスドクもいない)、実験テクニックだけでなくその背景の原理まで理解させるのが大変です。実験マニュアルは200以上、実験フォーマットも100くらい作っていて、マニュアルに原理も説明して「マニュアル内の参考資料も読むように」と指導しているのですが、マニュアル通りに漫然と作業をしている時もあります。 最近、全体に顕微鏡の使い方が雑だと怒って「来週に顕微鏡クイズをします」と予告したらみんな真剣に勉強したので、自分が説明するより効果的かも・・と思いました(アクティブラーニングですね)。 ただ、レンズに油を付ける理由が今ひとつ分かっていないようなのでで、メーリングリストに説明を流しました。 詳細な原理はリンク先の顕微鏡のメーカーサイトや光学の教科書の方が正しいですが、顕微鏡を使うための最低限の知識を身につけるためのまとめを皆さんの役に立つ可能性も考えて掲載します。 屈折率の概念開口数 N. A.=n sinθ・・という式は良く見ますが、 屈折率 n とは入射角と屈折角の正弦(三角関数)の比を示したものです。 屈折とは、光の速さが媒体によって異なるために起きる現象で、お椀の底にあるコインが水による屈折で上の方に見えるとか、レンズを通る屈折光の方向を矢印で書き込みなさい・・といった受験問題が出る訳です。 http://www.tagen.tohoku.ac.jp/labo/ishijima/microscope-03.html 真空中での光の屈折率を n = 1(真っ直ぐ進む)とした時に空気は n = 1.000292(ほぼ真空と同じ)、水が n = 1.33、ガラスが n = 1.5 くらいです。 http://wakariyasui.sakura.ne.jp/p/wave/kouha/hikarikussetu.html 色々な媒体の屈折率 http://ww1.tiki.ne.jp/~uri-works/tmp/ 開口数の概念開口数と分解能の関係http://www.olympus-lifescience.com/ja/support/learn/03/045/ 油浸レンズのオイルは n = 1.52 で、レンズと試料の間が狭くても広い範囲の光を集める事が出来るので、像が明るくなり分解能も上がります。 油浸・水浸・シリコーンオイル浸の選択油浸レンズはカバーガラスに接着している領域(細胞の腹側など)の観察に向いていますが、カバーガラスから離れた領域(細胞の背中側など)の観察には細胞質(n = 1.38)に近い屈折率の水浸レンズの方が適しています。特に厚みのある組織サンプルには水浸レンズが適していますし、培養ディッシュの培地中に直接に水浸レンズを突っ込んで細胞を観察する場合もあります。 http://www.olympus-lifescience.com/ja/support/learn/04/013/ http://www.nikon-instruments.jp/jpn/learn-know/microscope-abc/learn-more-microscope/water-oil-immersion-objective-select/index.html シリコーンオイルは n = 1.4 と細胞質に一番近く、水のように乾かないので、最近はシリコーンオイル浸対物レンズが使われるようになってきました。 http://www.olympus-lifescience.com/ja/support/learn/03/047/ 追記:オリンパスのホームページの再構築に伴い、参照先の URL を更新しました(2017年4月)
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双子の同級生が夏休みの自由研究に行き詰まったという事で、研究室の顕微鏡でプランクトンの観察をしていきました。 細胞培養用の倒立位相差顕微鏡(x 200)で種類を同定するくらいは見えるし、対物ミクロメーターを使っておよその大きさも分かります。 ただ、プランクトンの同定が難しいんですよね・・ そこでネットを色々探して役に立ちそうなリンクを残しておきます。 プランクトン図鑑自由研究に一番役に立つと思ったのが「小中学生のためのプランクトン図鑑」です。種類はそう多くないですが、色や大きさや場所から探せるので超便利です。 http://mizouchi.com/plankton/zukan/ 有孔虫に絞れば JAMSTEC の情報量は突き抜けています。 http://www.jamstec.go.jp/res/ress/kimopy/foraminifera/index.html プランクトン図鑑久々に観察してプランクトンってきれいだな〜と思いました。きれいな写真が多くて、サンプル調製や写真の撮影方法の情報もあるのは pphotoex さんのブログです。 http://blogs.yahoo.co.jp/pphotoex 有用なサイトを見つけたら追加していきますので、情報をお持ちの方はコメントお願い致します。
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