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上意による切腹時の介錯役は藩によって決まりがあったが、基本的に切腹者が指名できるものではない。 時には嫌いな奴が介錯することもある。 介錯を命ぜられた方も、迷惑な話だ。 首を打ち落とさず、前皮残して剣を引き抜く事は、非常に技術がいる。 出来て当たり前、仕損じれば恥となることから、誰もが嫌っただろう。 ある侍が切腹となった時、仲の悪い者が介錯役となった。 切腹する方も別の者を願ったが、決定は覆らない。 そこで介錯役が手紙を出した。「この度介錯役を仰せつかり、誠に名誉なことだ。この上は、見事に介錯するので安心して腹を切れ。」というのだ。 そのためか、この件は始末良く切腹が行われたという。 死ななければならないという極限状態と、訳も無く人を仕留めねばならない役務の接点は、互いの心しかないということだろうか。
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