日吉 平

作詩のメモ帳としてブログを利用しています。

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きっと帰ってきてね
遠くへ行くとしても
また会いたいから
きっとだよ

木を植える
                 長田弘へのオマージュ
 
木を植えた
日当りのいい斜面には
ヒノキを植え
それ以外のところへは
杉を植えた
ヒノキは材質が堅く
スギは柔らかい
だからヒノキはスギより太るのが遅い
顔も知らないひいおじいさんが植えた木は
もう巨木になって
木もれびさえも落ちてこない
おじいさんの植えた木も大きい
ちちが植えた木もそこそこだ
節目節目の要り用のとき
何本かを切り出して家族が助かった
だから子供のために
私も木を植えた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
風と小枝
 
 
小枝が
風を
受け止めて
打ったり
投げたり
 
できるなら
戦争も
貧乏も
悲しいことは
宇宙の果てに
打ったり
投げたり
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
おみやげ
 
 
女の子は三才
陽がいっぱいの
原っぱを走る
三本の白爪草を摘んで
ひとつはママ
ひとつはパパ
もうひとつは?・・・
・・・・
私。
 
いっぱい残った花は
お空へあげるの
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
孫のちっちゃな手のひらに
秋が来た
ひらいた手も
紅葉色
木枯らしの
予感を含む風もそよいでくる
山々は燃えはじめ
孫の顔も燃えている
 
夕焼けの中で
柿の実も熟れた
稲刈りも終わった
何処からか太鼓の音も聞こえてくる
ちっちゃな孫の背も極彩色
瞳に映る山は火事のよう
 
星は銀河へ向けて流れるから
ひんやり夜は
風邪ひくな
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 おしくらまんじゅう
 
ここを押すと
どこかが出っ張る
ここを引くと
どこかがへこむ
見えない空気もつながっていて
押し合い圧し合い
譲り合っている
 
だから低気圧が腹を立てても
高気圧が受け止める
 
おまえが駄々をこねると
だれかがへこむ
困らせるために泣くのだろうが
そうして気を引くつもりなんだろうが
おまえが泣くと
だれが困る?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

記憶の断片

材料

切り開かれて見違えるように明るくなった山道、
うっそうと茂った森林、
雑木の林が四季折々変わっていく山の斜面の下道、
行き止まりの先へ続く田んぼ道、
水の張られた田んぼに伸びる稲の苗、
稲の刈り取られたあとの藁の山、
落穂に群がる雀、
あぜ道に咲く野の花、
秋に実る栗の実、
夏のプールとなる川の淵、
魚を掴み取る川の瀬、
すももが成る畑の隅、
青空はどこまでも青い、
橋の上から見える淀みの大きな魚たち、
虫はいたるところにいて時には子供の宝になったり寒気がする虫だったり、大雨の日は濁った大水で濁流となる川、
冬には川の淵に深深と雪は降り、
氷かけた川の淵あたりを小鳥が歩く、
春の桜は華々しく咲き誇るそして花が散る花吹雪、
水面に浮かんだ花弁の幕、
青葉の匂う森、枯葉の舞う森や林、
芽吹きが一斉に野原を覆う、
野焼きの煙は棚引く、
田んぼに一斉に水が張られる田植えの季節、
水を張った田んぼの水面を泳ぐ昆虫、
田植えのあとのカエルの声、
雑草に住み着く虫たち、
蛇もカエルも這い出してくる春先、
花も草の茎も子供のおもちゃになる、
井手に流れてくる小魚たち、
冬にはシナイやヒヨドリを仕掛けで捕まえる、
雪の降った日には竹スキー、
青葉や枯葉の草地に寝転ぶ時の草の匂い、
山あいに広がる満天の星空、
しとしと降り続く梅雨の雨
暑さを吹き飛ばす夕立、
嵐の雨風、夏の日差しに熱くなる川原の石たち、
滑の岩場を鹿のように走るスリル、
ヤスで突く小魚暴れる小魚、
冬の淵に枯葉のようにジット浮いている禁漁区の魚たち、
川面を見下ろす峠道、
自転車を漕いでも進まない北風の強い山裾の道、
雪で凍りついた坂道、
かくれんぼで隠れたまま眠り込んでしまった藁の山、
ピンク色の親指ぐらいのねずみの子達のねぐらだった藁束の中、
べきれないぐらい実っていた柿の木、
水の引いた井出で赤い腹を出していたイモリ、
うなぎ釣り、
じんどによるうなぎ取り、
津蟹篭での蟹取り、
竹を切って作った竿での魚釣り、
うなぎ釣り、
魚のつかみとり、
かくれんぼの缶けり、
メンコ遊び、陣取り遊び、
別世界の女の子のままごと遊び、
山での隠れ家作り、
野球にソフトボールゲーム、
揚げ、
ビー玉遊び、
水鉄砲、
平たい石の水切り投げ遊び、
あかぎれでひび割れだらけの手、
絶えない生傷、
弓矢つくり、
やすつくり、
木造りの車作り、
秋の夕焼け、
桑の実、
椎の実拾い、
一面に敷かれた銀杏の黄色い葉の絨毯、
どこかから吹いてくる寒い北風、
山間にたなびく野焼きの煙、
の遠吠え、
夥しい雀たちの群れ、
夥しい蛍の光、
鼓膜が破けそうな蝉の鳴き声、
時折走るバスやトラックの砂埃、
一面の花畑を吹いてくる幸せそうな気持ち良いそよ風、
高い松ノ木に止まったカラスや鳶、
歩く先々を翔んでは止まる道案内の夏の道路、
あぜ道や野原に秋先に咲く真っ赤な曼珠沙華の花、
土筆が生える春先の土手、
寝転べば気持ち良い秋の茅畑、
 蓮華の田んぼに寝転び見上げる気持ちいい青空、
真っ青な空に昇る入道雲、
台風のあとの大水で濁る川の水、
変哲なありふれた山間の風景、
不似合いなほど際立つ大きなイチョウの木の黄色い落ち葉の絨毯、
落ち葉をすくい上げかけあうたわいもない遊び、
境内の隅に佇む古ぼけた寺の建物、
寺の隅に並ぶ墓石たちの静けさ、
イチョウの大木に開いた隠れ家のような穴、
見下ろす田んぼの風景、
道沿いに点々と連なる家々、
神社の暗い森、
母屋の大きな家と私の小さな家、
夜の窓ガラスに集まってくる夥しい種類の蛾の群れ、
小さな堀炬燵を囲んで聞くラジオ、
悲しくなる夕方の空気、
遅くまで田んぼで鍬を振る農夫の影、
時々有線放送で流れてくるお知らせの放送、
田んぼの真ん中にポツンと建つ一本の電信柱、
家の前で遊ぶ時の夕刻のオルガンの音色、
漂ってくる薪で炊いたご飯の匂い、
「じゃあまたね」と散って行く夕刻の風景、
重なる山の稜線の向こうを想像する気持ち、
こっぴどく母に叱られた思い出、
母屋の納屋にあった錆びた刀の束、
壁の崩れかけた母屋の蔵、
蔵前にあった鈴なりのなつめの木、
すずなりに生る庭の柿の木、
遊びの間にとって食べた河原のグユミの実、
雨の日の道にできる水溜り、
水溜まりを避けて通る学校の行き帰り、
空高く飛ぶ手作りのタケトンボ、
水鉄砲での水かけ遊び、ツガニを取る篭作り、
ツガニ篭までの瀬での関作り、
朝早くのジンド上げに早起きする眠たさ、
ジンドを上下させる時の期待感、
瀬の石に両手を入れて掴み取りする時の魚の手応え、
 しんしと山野に降る綿雪、
積雪の上を走る野うさぎ、
雪を食べて口の中での溶け方を楽しむ、
山道での滑る手作りのスキー、
何度も滑る手作りの木橇、
滑りをよくするため焚き火を起こし竹を割った曲がりづくり、
台座で固まる雪、
丸めることもできないぐらいサラサラの雪の玉、
雪にしなだれる木々や草、
積もった雪を吹き飛ばす北風、
つららを折る爽快さ、
氷柱のチャンバラ、
長靴に入り込む雪の冷たさ、
雪が降りそうな雲行きの期待感、
雪が降り始めた時のときめき、
雪が溶け始めた時の泥濘そして失望、
大雪警報の休校、
一面雪に覆われた野山の景色、
藪の中に作る小鳥取りの仕掛け、
仕掛けを見に行く時のときめき、
野いちごの生る山間、
山の隠れ家にあるちっちゃな実の生る豆柿の木、
冬の河原の藪に生るグユミの木、
寒い時に転んでできる擦り傷の痛さ、
秋のお祭りの子供相撲の孟宗竹で作った紙垂(しで)を垂らした優勝旗の重み、
製材所のおが屑の懐かしい臭い




殺処分の犬



殺処分の犬
 
数日中に察処分されるために檻に入れられて待つ子犬
生まれてから間もないのにすぐ殺される
殺されるために生まれたようなもの
殺気立つ鳴き声
子犬や成犬
小さなかごのような檻
殺し方は薬か注射か
引き取られなかった犬
獣医師か一般の県職員か
月曜の休日は誰かが犬猫の面倒を見るため当直があるのか
当直の糞の始末はするのか
察処分の日は毎週か毎月か
獣医師は動物が好きで獣医師になった
たまたま入った県職員の担当が動物愛護センターで主に殺処分をする施設であった。
察処分の数日前には小さな檻に入れる
様々の医療的な治療をして受け入れてくれる人たちに見せる
子犬は受け入れ者が多いが成犬はほとんどない
殺処分は月曜の休日に実施する
高濃度二酸化炭素を吸わせる
察処分室に入れる時の犬猫の鳴き声
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
犬の殺処分
 
 
その子犬は
生まれて二ヶ月が経つ。
白いふさふさの毛並をしている。
小さな囲いの中で人の来るのを待っている
隣の囲いで鳴いていた子犬は
昨日いなくなった。
餌や糞の始末をしてくれる獣医が連れて行った。
獣医は子犬たちをとても大事にする。
抱き上げたり
撫ぜたりする時
ふと
希望を持ったりする。
あと何日か。
高濃度二酸化炭素を吸った時の
小さな痙攣を思いうかべる。
十五年の命を
二ヶ月で終える一生。
母犬も
飼い主も
知ることなく
野原を駆けることもなく
帰らぬ眠りに入る。
獣医はといえば
毎夜
子犬の夢を見る。
 
            
 
 
 
 
 
 
動物愛護センターの獣医
 
 
いよいよその日がやってきた。
ここへ来てから何回目だろう。
生後二ヶ月ばかりの
子犬たちが溜まってしまった。
高濃度炭素を吸わせた時の小さな痙攣を
獣医は思い出していた。
毛がふさふさのコロコロした子犬たちばかり
餌の時間には喜んで飛び跳ねてじゃれてくる。
母親も
飼い主も
野原を走ることも知らず
今日はガス室に行く。
獣医の体には犬の匂いが染み着いている。


 
 
 
 
コープ
 
コープで有名なんだぜ
ここは
イルカのことだよ
子供の頃の給食
鯨の
油を抜き取った脱脂綿のような肉が
うまかったこと
アメリカでは牛の餌にする粉ミルク
しかし 腹の減っていた俺たちにはご馳走だった
命がそれでつながった
日本人の子供と同じミルクを飲んでいたアメリカの牛は
何処で食べられていたんだろう。
どこかの女神たちが食していたのかな
あとは野山の柿やくだものが
腹をを満たしてくれた
栗だって生で食ってもうまいんだぜ
神様はなんでもたべれるように作ってくれている
馬や牛を屠殺していた国では
いかに残酷かは分からないだろうが
牛もイルカも同じだね。




恋歌



恋歌
 
ほうどりは おっとりだ
いているのは もずのこえ
んちょうずるが おどっている
ちょうは みずべをすべってる
ずめは むれでとびまわる
つつきが むねをつつく
んしょばとは なにをはこぶ
でまつているのは つばめのこ

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