庚申塔探索

神奈川最古は寛永10年塔?

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庚申塔から読み取る3

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福生市にある庚申塔。

ここで有名なのは元禄の青面金剛?塔だが、庚申塔としてはこちらの方が面白い。

一見すると自然石に「庚申塔」と彫ってあるだけに見えるが、
「庚」の文字の右下に穴が開いている。
川床にあった岩で、穴は甌穴(小石が岩に穴を開ける)で、それが珍しいから使われたか、
あるいは、船を留める杭でも立てるために掘った穴か。
多摩川が近いので、どちらもあり得ると思っていた。
しかし、この近隣にはこれと同様に石灰石を使った念仏塔などが多く、
同様に穴が開いている例が少なくないらしい。
この岩が石灰石かどうかまでは無知で判らないが、見た目は確かに似ていた。

基部に三猿はちゃんといて、小振りでなかなか可愛らしい。
この猿は不言→ 不見← 不聞←の向き。
庚申塔として多いのは正面向きだが、このように横向きで、しかも片手、というのもたまにある。
何かしら意味はあるのだろうと思われるが、構図からだけでは読み取りようがない。
唯一、左の不言猿が片手に桃を持ち、中の不見猿が手を差し出してもらおうとしているように見える。
桃を持つ猿は、これまた各地に散在しているが、桃に長寿や邪鬼を払う意味があるとされ、
また、西遊記などにも登場するが、猿と桃は中国の故事によく登場する組み合わせでもある。

もっともこの庚申塔で、桃を受け取ろうとしている中央の猿は不見なので、桃を見られない。
どうやって受け取るつもりなのか(笑)

話がズレるが
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福生からは遠いが、高円寺は昔「桃園観音」とも呼ばれていたことがあり、
境内には桃を持った猿が置かれている。
時系列としては高円寺の伝承の方が古いので、こちらの影響があったかもしれないが、
そもそも猿と桃は陰陽で厄よけの意味もあるので、ルーツとしてはこれも考えられる。

鬼門は北東の方角で、艮(ウシトラ)だが、鬼門の反対が申(サル)になるため、
江戸時代には、鬼門に猿像を飾ったり、桃の木を植えたりして、鬼門除けとする風習があった。
猿と桃を組み合わせた庚申塔が鬼門(北東)に建立されている例があるかもしれないが、
現代はもとあった場所から移動させられていることが多いので、実態はわからない。
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写真の庚申塔に話を戻す。
https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/0e/3d/board_woccha/folder/33568/img_33568_238421_1
塔の側面にある造立年の表現がユニーク。
「寛政八辰黄鐘吉辰」

「寛政八」は1796年のこと。
続く「辰」は辰年。1796年は辰年だった。

その後ろの「黄鐘」が難問。
中国や日本の伝統音楽は十二律(音階ではなく音色)があるそうで、
それが黄鐘(こうしょう)を基音として大呂、太簇、、と続き、それが全部で12個。
基音という表現が判り辛いが、庚申塔のこの場所は、通常、
造立の年月日が刻まれているため、黄鐘は12ヶ月の最初の月「1月」を表現していると思われる。
かなりお洒落な表現で、今までに見たことがない。
この庚申塔を作った講の人に、学があり、洒落っ気もある人がいたのかもしれない。
もちろんこの推測はまったくの見当違いかもしれないが。。。

「吉」は吉日のこと。明確な何日とは入れず、吉日にすることが多い。
が、最後に「辰」がある。これは辰の日。十二支は年の干支だけでなく毎日ある。
ちなみに今日は、平成二十一己丑(つちのと/うし)年、八月十九日は丙申(ひのえ/さる)日。
吉辰となると、毎月最初の辰の日を縁日にすることがあるので、おそらくこのことだと思われる。
特に正月初辰は、この日、屋根に水を打てば火災を防ぐとされ、
江戸時代には、辰年の男たちに辰の刻に屋根に水を打たせる辰祭が行われた。

そして基部に「寒念仏供養」
寒念仏は、念仏講の一種というか、念仏講がやる行事の1つ。
念仏講は文字通り念仏を唱える、あるいは上人の名前を唱える、仏の名を唱えるなど、色々やるらしい。
なんまいだ〜、なんまいだ〜のイメージが強いと思う。
念仏講は毎月、法事などの他に、24節季にも合わせて行われた。
24節季の23番目の「小寒」と24番目の「大寒」の間の15日間と、
「大寒」から「節分」までの15日間の計30日間が一年で最も寒い時期として「寒」と呼び、
この「寒」の時期に一種の苦行のようにやるのが寒念仏。

つまりこの庚申塔は念仏講が何回か寒念仏をやったことと、
庚申待ちの行事を18回とかやった両方の記念として建立したのかもしれない。

庚申など民間信仰の担い手は、それだけをやっていたわけではなく、
さまざまな信仰を併行してやっていたのである。

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黄鐘は、月の異称で陰暦十一月(広辞苑)で、これらの異称は中世の石造物に使用されているものがあります。
吉辰は、よい時、吉日、めでたい日(広辞苑)これも中世の石造物にも使用されています。

2009/9/1(火) 午前 0:28 [ stjtomo ]

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stjtomoさん
教えて頂いてありがとうございました。
こうやって公表しておくと、指摘を受けられる。
ありがたいことです。

2009/9/6(日) 午前 1:15 [ 魚茶 ]


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