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適正な睡眠が健康の根本
子どもの一日は就寝時間から始まる
「寝る子は育つ」とよくいわれます。
睡眠は子どもの成長に、どのような影響を与えている
のでしょうか。
快適な睡眠のためのポイントなどについて
『眠りで育つ子どもの力』(東京書籍)の著者で
国立精神・神経センター精神保健研究所の白川修一郎
室長に聞きました。
学習能力 心の安定に影響
――昔から「寝る子は育つ」といわれていますが
どのような意味なのでしょうか。
睡眠は、生命維持にとって、とても大切です。
記憶、学習能力、創造性、意欲や心の安定にも影響を
及ぼすなど、さまざまなことが実験から分かっています。
特に思春期の子どもにとって、睡眠は脳や神経系を休ませる
とともに、成長ホルモンの分泌にも大きな影響を与えます。
寝不足になると、成長ホルモンが十分に分泌されません。
よく、「寝る子は育つ」というと、幼少期までの子どもを
指していると考える親が多いようですが、実際には
10代の思春期まで、睡眠は発育に影響を与えているのです。
もちろん、睡眠自体は一生涯、重要なものですが、この時期の
睡眠には特に気を付けなければいけませんね。
――適正な睡眠時間を教えてください。
多くの研究論文の結果をまとめて、公開しているアメリカの
睡眠財団によると、次のようになります。
●新生児(1〜2カ月)は10・5〜18時間
●乳児(3〜11カ月)は9〜12時間(これに加えて1〜4回の
30分〜2時間の昼寝)
●幼児(1〜3歳)は12〜14時間
●学童前期(3〜5歳)は11〜13時間
●学童期(6〜12歳)は10〜11時間
●ティーンエージャー(11〜17歳)は
8・5〜9・25時間
●成人は7〜9時間
●高齢者は7〜9時間
個人差がありますので、あくまで目安として参考に
していただければと思います。
生活リズムを整えよう
――予想以上に、長い睡眠時間が理想とされている
のですね。
日本は、伝統的に睡眠を軽視する傾向があります。
寝る時間を割いて頑張ることを美徳とする風潮も根強い。
しかし、これは科学的には間違いです。
しっかりと寝て、起きている時間に集中して頑張る
ことが、最も効果的であり、健康的です。
少ない睡眠で大丈夫と思っている人でも、日中に眠気が
襲ってくる場合は、寝不足と考えた方がよいでしょう。
睡眠が崩れると、生活リズムが崩れます。
寝不足の場合、朝起きても、食欲がわきません。
結果的に、朝食を抜いて学校に行くこともあるでしょう。
こうしたことが習慣になってしまうと、学校に行っても
脳が十分に働かず、集中力や注意力の低下をもたらし
学力にも影響を与えます。
――睡眠時間をしっかり確保するために、どのような
心掛けが大事でしょうか。
就寝時間を決めることです。
子どもたちは学校があるため、朝起きなければいけない
時間は決まっています。
だから、睡眠時間を取るためには、寝る時間が遅く
ならないようにするしかありません。
子どもの一日は、就寝時間から始まると考えてください。
小学校の低学年の場合、母親の就寝時間がそのまま
子どもに影響を与えるケースが多いようです。
母親が遅い場合、子どもも遅くなります。
子どもと一緒に寝る時間を早めるなどの心掛けも大切ですね。
寝室は小まめに掃除を
――快適な睡眠を取るためのポイントを教えてください。
まず、親子の1週間分の睡眠履歴を調べてみましょう。
何時に寝て、何時間眠り、何時に起きたのか。
このリズムを調べれば、規則的に寝られているか
十分な睡眠時間は取れているかを確認できます。
乱れていたら、規則的に十分な睡眠を取れるように
生活リズムを整えることです。
睡眠不足の場合は、いきなり修正するのではなく
30分ずつ、徐々に就寝時間を早くするとよいでしょう。
――ほかに工夫することはありますか。
寝室は清潔にしましょう。体の防御機能が最も
低下している睡眠時には、できるだけ、きれいな空気が
必要です。
寝具はダニが発生しやすく、布団やベッドもほこりが
出やすいので、小まめに掃除をしたり、干したりして
ください。
掃除は、リビングなどの人がよく集まる場所を重点的に
してしまいがちですが、実は寝室こそ、しっかり掃除しな
ければいけない場所なのです。空気清浄機を設置しても
よいでしょう。
――子どもが、なかなか寝付かない時にはどうしたら
よいでしょうか。
お客さんが来ていたり、見たいテレビ番組が放映されて
いたりすると、興奮して寝付かないことがよくあります。
ほかに、日中、家の中でゲームばかりしていて
よく体を動かしていない場合や、午後3時以降に覚醒効果の
あるカフェインを摂取している場合も寝付けない原因になる
ので、注意してください。
特に学童期前の子どもには、就寝前に、お母さんが
子どもに寄り添って読み聞かせをしたり、お話をしたり
しながら、「睡眠は楽しいこと」「安心できるもの」と
意識をもたせてあげましょう。
こうしたかかわりが、その後の健全な睡眠習慣の定着に
つながると思います。
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