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☆バースセンス研究所の大葉ナナコ代表に聞く
育児情報が多岐にわたり、詳細になるにつれ
結果的に、親の育児不安をあおることが増えている
ようです。
楽しさより不安が先行し、育児の魅力も正しく
伝わっていない面があります。
育児を楽しむためのヒントや、育児と仕事の
両立について、『怖くない育児』(講談社文庫)
の著者で、バースセンス研究所代表の大葉ナナコさん
に聞きました。
☆親になるための準備を応援
――バースセンス研究所には
「バースコーディネーター」と呼ぶ仕事がある
そうですね。
どのようなことをされているのでしょうか。
妊娠前から産前産後の時期に、育児と仕事の両立や
やさしい育児やお産の方法、夫婦のストレスマネジメント
など、自分の力で乗り越えていく(セルフケア)ための
スキル(技能)を伝える仕事です。
この時期の夫婦は、親になるための準備を進めている
激動期であり、精神的に最も不安を抱える時期でも
あります。
その不安を和らげるとともに、出産に臨むまでに
必要な知識や、家族のかかわり方などを伝えることを
目的にしています。
――今の会社を起こそうと思ったきっかけは?
私は22歳の時に長男を産んで以来、現在
6歳から20歳までの5人の子どもがいます。
22歳で母親になることに戸惑いはありましたが
実際に育児が始まると、生命の尊さ、深さに触れ
感動の毎日。
仕事としても、生命の誕生にかかわっていきたいと
思うようになりました。
会社を起こしたのは5年前です。
準備のために、子育てしながら通信教育の大学に通い
心理学や哲学を学びました。
☆自分流の解決策を生み出す
――「育児に追われ、したいことができなくなる」
「青春が奪われる」「キャリアアップできなくなる」など
育児をマイナスにとらえる人もいます。
もちろん、大変なことはたくさんあります。
仕事をしたい母親にとっては、まだまだ、働きやすい
環境にもなっていません。
でも、極論を言えば、子どもが生まれてからだって
できることばかりです。
ただ、子どもが生まれてくると、優先順位は変化
します。
今時、子どもが生まれて急に所帯じみて
カッコ悪くなる女性なんていません。
子育ては楽しもうと思えばいくらでも楽しめるし
自己犠牲だと決めつけてしまえば、いくらでもクレーム
の宝庫になります。
大変だ、大変だと現状に翻弄され、否定的になっている
時間があったら、動きましょう。
どうすれば改善できるのか、自分流の解決策を
生み出すことです。
クレーマーになるより、クリエーターになろうと
私も常に自分に言い聞かせています。
クリエーターとは、突き詰めて言えば
“心の技術”がある人です。大変な状況でも
ピンチをチャンスに変えられる人です。
クリエーターの人は人生が楽しく、豊かです。
――とても大切な視点ですね。
私が育児と仕事の両立に前向きになれたのは
自分の母親の影響が大きいと思っています。
育児と仕事のバランスがしっかりしていました。
単純に、母の姿を見て、「こういう大人になりたい」
「仕事をしてみたい」と強く思っていました。
ワーキングマザーの子どもは非行に走る
なんて言う方もいますが、私の周りは多くが
ワーキングマザーです。
でも、みんな立派に成長しています。
☆「頑張っているね!」と励ましを
――子育てに戸惑いを感じている方も少なくないと
思います。
子どもという存在を、どのように受け止めて
いけばいいのでしょうか。
子どもは親の自由を奪う存在ではありません。
また、親が一方的に子どもを幸せにするのでも
一方的に子どもに親孝行させるものでもありません。
一緒に幸せになる存在です。
子育て期間は長いようで、20年という短い
期間です。
女性の平均寿命は80代後半ですから
人生の4分の1しか子どもと一緒に過ごせない。
大切な20年間で、「大人になる魅力」を
たくさん伝えてあげたいですね。
そのためには、仕事や地域でのボランティア活動など
を通して、社会でも輝いているお母さんの姿を
見せることが効果的だと思います。
――妊娠中の女性への言葉掛けで気を付けたい
点はありますか。
妊娠中の女性は、みんな必死です。
一生懸命、頑張っています。
その姿を「頑張っているね!」と
100%認めてあげることです。
「頑張ってね」だと、まだ消極的な意味合いが
ありますから、注意が必要ですね。
――最後に、0歳児がいるお母さんにエールを
お願いします。
「無理上手の甘え下手」が、この時期のお母さんの
特徴です。
始まったばかりの産後育児で
「愚痴を言ったら母として負け」というような感覚を
もってしまいがちで、どうしても無理をしてしまいます。
本当は愚痴を言っていいし、夫に助けを求めていい
のです。
つらい時はつらいと声に出しましょう。
感じてはいけない感情なんてありません。
甘え上手になって、夫婦のきずなを
一層強くしていきたいですね。
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