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夷草 (えびすぐさ)
夏に丸っこく黄色い花が咲く。
開放的な気分になりがちな夏休みこそ
親子で身の回りの危険を見直そう
――今回は、防犯問題の専門家として活躍する
ジャーナリスト、菅原順臣さん(全国防犯協会連合会
・前広報部長)に、「子どもの防犯」について聞きました。
☆「声出し」「逃げる」練習が大切
――子どもの身を守るための基本事項を教えてください。
まず日ごろから親子で防犯意識を強くもつことです。
日常生活の中で、子どもが防犯の手だてを身に付けられる
ようにしたいものです。
「いかのおすし」という標語は、小学校の安全教室など
でも周知されていて有名です。
(1)いか…(知らない人には)ついて行かない
(2)の…(他人の車には)乗らない
(3)お…大声を出す
(4)す…すぐ逃げる
(5)し…(何かあったら)すぐ知らせる
の五つです。
これらは主に誘拐を防止する注意事項ですが
実際に子どもができるようにする工夫が必要です。
例えば、大声を出すこと。
いざ“連れ去り”の危険に直面すると声が出ないものです。
大きな声を出す練習は重要です。
逃げる練習も大切です。
人は約25メートル以上離れると、追い掛ける意欲を
失いがちになるという心理学的な見地もあります。
ともかく犯人から遠ざかるように教えましょう。
車に「乗らない」ことに関しては、犯人が
「○○ちゃん、お母さんが今、病院に運ばれたよ。
連れて行ってあげるからすぐ車に乗って」と近づいて
くるケースもあります。
親に何かあった場合、どう子どもと連携を取るか
決めておきましょう。
――防犯目的で子どもに携帯電話を持たせるケースも
多いようです。
「GPS(全地球測位システム)付きの携帯を
持たせているから安心」と、決して過信しないことです。
離れた場所でも親子が密に連絡が取れる、互いのコミュニ
ケーションがうまくできていることが一番重要です。
なお、子どもには防犯ブザーやホイッスル(笛)を
携帯させたいですね。
通学時に限らず常時、持たせましょう。
首に掛ける仕様のものは、首を絞める事故につながらない
ように十分注意を。
ブザーは電池切れなどがないよう、小まめに点検してください。
☆他人に留守中だと分からせない
――留守番をさせる際の注意点を教えてください。
子どもが一人で鍵を開けて家に入る時、背後に誰かが
近づいて来ていないか、必ず「振り向いて確認する」習慣を
付けさせましょう。
犯人が一緒に家に入り込んで暴行する事件が多発しています。
主な注意事項を挙げると、次の通りです。
▼内鍵とチェーンをかけるなど、二重以上のロックをする
▼呼び鈴が鳴ってもすぐ応答せず、ドアスコープやモニター
で外の様子をよく確認する
▼訪問者がスーツ姿や宅配業者などの作業服姿の人物でも
油断してドアを開けない
▼子どもが応答する場合、“お母さんはいますか”と聞かれても
「今、ちょっと手が離せません」などと言い、留守番している
ことを分からせない
――電話の応対はどうすればいいでしょうか。
電話は一切取らないようにしてもいいですし、応答しても
呼び鈴の対応と同様、留守番中だと相手に分からせないことが
大切です。
なお留守番電話の応答は“ただ今、留守にしております”
という応答文にしないことです。
自分の家を“今、空けている”と他人に伝えることは
防犯上よくありません。
“今、手が離せず応答できない”というニュアンスに
しておくことをお薦めします。
☆親子で楽しく作ろう「防犯マップ」
――夏休みに親子で取り組めることがあれば教えて
ください。
「防犯マップ」の作成をお薦めします。
通学路や、いつも友達と遊びに行く範囲を親子で一緒に
歩きます。
そして、危険な場所を写真に撮ったり、どこがどう危ないのか
メモを取ったりして、大きな模造紙に地図を描き、写真を
張ったり色分けしたりして、楽しくマップ作りをするのです。
これは、親が作成して子どもに与えるのでは効果がありません。
子どもが主体的に取り組み、防犯意識を高めることが大切です。
交番の位置やコンビニエンスストア、「子ども110番の家」
など、いざというときにすぐ避難できる場所もチェックして
おきましょう。
現在、緊急時に直ちに警察へ通報できるスーパー防犯灯
(街頭緊急通報システム)や子ども緊急通報装置の整備が
各地で進められています。身の回りではどこにあるか
確認しましょう。
――“危険な場所”とは、例えば?
公園の植え込みや茂み、マンションや団地のエレベーター
などは要注意です。
「入りやすくて(外から)見えにくい場所」は、犯罪の温床
となります。
エレベーターには、操作ボタンのある面を目の前にして立ち
乗るといいでしょう。
防犯カメラの有無と位置を確認し、決して死角に立たない
ことです。
不審と思われる人と乗り合わせた場合は、すぐ次の階で
降ります。
こうしたことを、一緒にエレベーターに乗りながら子ども
に話してあげましょう。
「備えあれば憂いなし」とは言いますが、今は
“備えあっても憂いあり”とも言える世の中です。
「うちだけは大丈夫」という油断は捨てて、十分気を
付けたいものです。
すがわら・よりおみ 山形県出身。
産経新聞東京本社で地方部長、3局の局長などを経て
全国防犯協会連合会と全国暴力追放運動推進センターの
広報部長を歴任。
防犯活動の啓発や反社会的勢力の排除に努める。
執筆多数。
日本記者クラブ、交通ペンクラブ会員。
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