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横山秀夫著『ノースライト』(新潮社)を読んだ。
著者は優れたサスペンス作家として夙に知られており、
このブログでも何点か紹介しております。
2012年に刊行された、誘拐事件捜査をめぐる警察小説『64』は圧倒的な傑作だった。
その『64』から六年、ついに待望の新作の登場である。
横山秀夫だから当然ミステリーで、しかも警察小説だろうと思ってしまうが、
『ノースライト』は従来のジャンル・ミステリーから少し離れた建築家小説である。
警察も刑事もほとんど出てこないし、殺人事件も起きない。
にもかかわらず、大いなる謎があり、激しい人間ドラマがあり、激しく心揺さぶる感動がある。そして最後は胸が詰まり、感涙にむせぶことになる。
一級建築士の青瀬稔は、信濃追分に向かっていた。
顧客からのたっての希望で設計した新築の家。
しかし、越してきたはずの顧客の家族の姿はなく、だれも住んでいないというのだ。
その話を聞いたとき、一級建築士の青瀬稔は我が耳を疑った。
信濃追分に建てた新築の家に誰も住んでいないなんて信じられない。
青瀬が過去に設計した家に惚れ込んだ施主の吉野陶太に、
「あなたにすべてお任せします」と熱望され、自分のすべてを注ぎ込んだY邸は、
建築雑誌にも取り上げられるほど高い評価を受けた。
四カ月前の引き渡しのときには、吉野夫妻と子供たちはすごく感激していたではないか。
ナチスに追われて亡命した建築家、ブルーノ・タウトがデザインしたものと思われる、
ただ一脚の古い椅子だけが浅間山を望むように残されていた。
一家はどこへ消えたのか?
青瀬は失踪の謎を追う中で、タウトの半生に触れ、
勤務する設計事務所はコンペを巡る疑惑に巻き込まれていく。
誰も住んでいないなどありえない。
青瀬は吉野の携帯にも自宅にも電話をするが出ない。
青瀬は設計事務所オーナー岡嶋とともに信濃におもむく。
Y邸は、吉野夫妻が
「あなたに設計を頼みたい。あなたの好きな家を建てて下さい。〈あなた自身が住みたい家を建てて下さい〉」と青瀬に依頼した家なのでした。
吉野夫妻には3人の子供たちがいてとても仲睦まじい家族だった。
吉野夫妻は家具の卸売りをしているそうで、現金で3千万円もの予算を提示したことや、
無名である青瀬になぜ依頼をするのかと疑問を残しつつも、
青瀬はノースライト(北からの光)を取り入れた斬新なデザイン、
暖かみのある家を作るべく昼夜問わず仕事に入れ込みました。
その結果、建築雑誌にも紹介され、青瀬の名が残る画期的な家が完成し、
吉野夫妻も大喜びだったのに。
その吉野夫妻が入居をしていないことに不審を抱き、夫妻を探し始める。
夫妻は新居がある地区に住民票を移しておらず、以前の家はもぬけの殻でした。
大家さんから、夫妻は離婚して妻は子供と出ていき、夫もしばらくして引っ越していったこと、
手に包帯をした謎の男が夫妻を探していたことを聞きました。
そして近隣の店からは、夫は背の高い女性といたことを聞き出します。
その時期から、夫妻は新居の建設前から離婚話をすすめ、
再出発のために新居を建設したのではないかと推測されました。
バブル崩壊をきっかけに職場と家族をともに失った主人公のベテラン建築士・青瀬は、
それでも設計をすることが好きなのだった。
その感情が物語を大きく揺り動かしていく。
最初は、仄暗い物語を想像して読み始めたが、中盤以降の展開で一気に覆された。
いくらオッサンを気取っても、芸術に焦がれる青瀬と彼の相棒・岡嶋の姿に嘘はない。
家屋は実用性が前提だが、それだけで人の心は動かない。
Y邸という一つの家が人々の心を捉え、彼らに寄り添ってその希望となる様に胸が熱くなった。
本書は、今までの横山さんの作品のような警察ミステリーではない。
建築家がある家にまつわる謎をひとつずつ丁寧に解き明かしていく、静かなミステリー。
けれど、それと並行して描かれる家族や仕事の物語に、だんだんと心が熱くなる。
ここに登場する大人たちはみな不器用だけど、
「誰かのために創り、遺す。その思いが火よりも熱いことを理解して」いる。
そんな彼らがクライアントのため、家族のため、
仲間のために奔走するひたむきな姿は紛れもなく美しかった。
屋根から差し込むノースライトのような、じんわりとあたたかな気持ちで読了しました。
最後は押し寄せる感動で胸が熱くなり、涙腺が緩みました。
(入院中に読みました)
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菩提樹さん、お久しぶりです !!
病気療養のためのブログ休止ということでしたが、前回更新は実質的には3月10日の記事になると思うので、3か月以上ぶりの更新ですね。
ご病気のことについてはお聞きして良いのかもわかりませんが、とりあえずはおめでとうございますと言わせていただきます。
また、パソコン作業やブログ記事の更新というものが、お身体にも良い方向に働くものなら、ゆっくりでも続けられたら良いですね。あまりご無理はされないほうがいいとは思いますが、次の更新を楽しみにしています。
2019/7/15(月) 午後 6:16
こんばんは、
お大事にして下さいね、
早く元気になって下さいね。
2019/7/15(月) 午後 8:02 [ 正太郎 ]
入院されていたのですね。
でもブログ再開で一安心です。
あまり無理をせずに過ごされて下さい。
2019/7/15(月) 午後 9:00 [ 栗の木童子 ]
charryさん、どうもありがとうございます。
長い間ブログを休止しておりますと、ヤフーブログが無くなることでもあるし、このまま私のブログもやめてしまおうかなとも思ったのですが、刺激のない入院生活で認知症が進んだような気もして、精神と体の健康のためにもブログを更新したほうがいいと思いました。
マイペースでやりたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
それからもう一つ、ヤフーブログに代わるブログを探さなければならないのですが、あなた様のブログ「fc2」ブログもいいのでないかと考えております。
その節はまたいろいろアドバイスをお願いすることになるかもわかりませんが、よろしくお願いいたします。
2019/7/16(火) 午前 10:43 [ bodai_ju ]
正太郎さん、どうもありがとうございます。
早く回復して普通の日常生活に戻れるように祈っています。
もちろん無理しないでマイペースで行きます。
2019/7/16(火) 午前 10:45 [ bodai_ju ]
栗の木童子さん、どうもありがとうございます。
やはりブログはいいですね。
入院生活で鈍った頭が少しでも回復すればいいと思っています。
これからもよろしくお願いいたします。
2019/7/16(火) 午前 10:48 [ bodai_ju ]
再会おめでとう。
それに病気回復もね〜♪
2019/7/18(木) 午前 6:13
くろまめさん、どうもありがとうございます。
「くろ」と入力したら「くろまめさん」と出てきました。
このパソコンも久しぶりで使ったのですが、「くろまめさん」をちゃんと覚えていたのですね。
嬉しいです。
2019/7/18(木) 午前 9:51 [ bodai_ju ]