ここから本文です
茨城県水戸市の書道研究書粹會、藤岡志龍のブログです。漢字、かな、実用書道、ペン習字、篆刻、学生書写などを教えています(^_^)

書庫書き順など

記事検索
検索

全1ページ

[1]

前回の続き。
 
まず、「座」の書き順を再掲。
 
イメージ 1
 
ア が、不正解とされた書き順、
 
イ が、正解とされた書き順、
 
ウ が、古典にみられるが小学校書写では採用されなかった書き順。
 
 
まず、古い資料から当ってみました。
 
昭和53年旺文社発行の『小学学習漢字の正しい書き方』は、
 
新指導要領準拠と謳われていますが、これには、
 
イメージ 3
 
不正解とされた、アの書き順で示されています。
 
 
 
 
そして、これは昭和55年光村教育図書発行の『筆順と字形のポイント』ですが、これには、
 
イメージ 4
 
正解とされたイの書き順で示されています。
 
 
 
 
そしてこれは教育出版発行の『新版漢字指導の手引き』で、
 
これも学習指導要領準拠と謳われていますが、これには、
 
イメージ 5
 
不正解とされたアの書き順が示されています。
 
 
 
 
そして、平成7年旺文社発行の『小学漢字1006字の正しい書き方』、
 
これも新指導要領準拠となっていて、これには、
 
イメージ 6
 
正解とされたイの書き順で示されています。
 
最初に挙げた同じ旺文社発行のものと違った書き順で示されています。
 
 
 
 
そして、最近発行されているもので見てみると、
 
 
平成17年小学館発行の『例解学習漢字辞典』ですが、これには、
 
イメージ 7
 
とあり、また、
 
これは平成17年ベネッセ発行の『チャレンジ小学国語辞典』ですが、これにも、
 
イメージ 8
  
正解とされたイの書き順で示されていました。
 
こうして見ていくとアの書き順とイの書き順の2通りの書き順指導があったことがわかります。
 
 
 
で、なんでこういうことになったかというと、
 
一つは字源の筆順に従おう、ということと、
 
もう一つは書写する際の習慣に従おう、ということの2つの捉え方があるからのようです。
 
 
ここで、「座」の字源を考えてみると、「坐」は、2人の人が地べたつまり土の上に対坐しているかたちです。
 
そう、「坐」の下の部分は「土」なんですね。
 
で、「座」は屋根があるところ、洞穴みたいなところで2人の人が地べたに座っている、ということです。
 
「土」の書き順は、横→縦→横ですね。
 
ですからそれに従おうということで、アの書き順が採用されたわけです。
 
つまり、字源の「土」を小学生に認識させ、「土」は横→縦→横、と覚えやすくして、
 
また、「土」の書き順が場面場面で変わってしまうことによる混乱を避けるために。
 
 
※ 中国語のコマーシャルが十数秒流れた後、本編が始まります。 
 
 
動画の84:40あたりで、解答者2人が口をそろえて、
 
「えっ?土は横からですよね?」とコメントされ、
 
84:50あたりで、主に博多華丸さんが、
 
「土じゃないんだ〜?」とコメントされましたが、
 
イの書き順だと、土であるのに土でないとされてしまう、こうした混乱が起きてしまうわけです。
 
 
他に調べた中には、「坐」の書き順についてこんな記述もありました。
 字源で筆順を考えるべきだという主張があります。(中略)しかし、問題が楷書の筆順にある場合、

 字の成り立ちや古文がどうこうということよりも(中略)楷書そのものについていうべきで、

 楷書を完成させた当時の人が、その楷書の「坐」をどう書いたかを考えるべきでしょう。
ということなのですが、これは先に述べた、土であるのに土でない、
 
といった現場の混乱まで予測されていなかったのではないかとも思われます。
 
 
 
 
 
でも、実際に書いてみると、
 
イメージ 2
「座」の場合は「土」の部分が横→縦→横では書写するときの書き順の流れは不自然です。
 
そこで、書写するときの自然な流れであるイの書き順が採用されたようです。
 
それで結局、アの書き順とイの書き順の2通りが小学校書写では指導されてきたというわけです。
 
 
 
しかし出題の参考にしたとされる、
 
旺文社『漢字典』、三省堂『例解小学漢字辞典』、学研『新レインボー漢字読み書き辞典』
 
の3つの辞典のいずれもがイの書き順を採用しているのでしょうし、
 
私が示した小学館『例解学習漢字辞典』やベネッセ『チャレンジ小学国語辞典』も、
 
イの書き順を採用していることからも、
 
現在では今回正解となったイの書き順、つまり縦→横→横が主流になっているのでしょう。
 
 
 
ひっかけ問題として格好のものだとして出題されたのでしょうが、
 
このように2通りの書き順指導があったという事実を考えると、
 
問題としてはやや問題があったのかもしれないと思った次第です。
 
 
 
 
 
おわり。

開くトラックバック(0)

こんばんは!
 
もういくつ寝るとお正月、まだそんな気分にはなれませんが、今年も残りわずかですね
 
 
 
 
 
さて、12月6日にTBSテレビで放送された、プレッシャーバトル『第2回漢字書き順トーナメント』で、
 
 
※ 中国語のコマーシャルが十数秒流れた後、本編が始まります。 
 
 
問題は、「止」「入」「世」「用」「成」「臣」「医」「皮」「兆」「氷」「土」「布」「長」「状」「快」「必」「片」「座」「馬」
 
だったのですが、
 
今回はいよいよ、その中で私が注目した「座」の書き順について見てみます。
 
↑の動画の82:30ごろから「座」の問題が始まっていて、
 
『魔の8画目』と前置きがあったあと、その8画目を書いたところで2人ともそろって不正解。
 
8画目を書いたのが84:20あたりなのですが、
 
博多華丸さん、佐藤弘道さん、お二人とも迷いなく横画を書いて、
 
問題ないだろうといった感じでした。
 
が、両者とも不正解になって、お二人とも唖然としていました。
 
それもそのはず、「座」の8画目は横画という指導がされていたこともあったのです。
 
おそらく、お二人とも8画目は横画と教わっていたのだろうと思います。
 
 
 
 
「座」の書き順は3通りが考えられます。
 
イメージ 1
 
は、博多華丸さんと佐藤弘道さんがそろって間違えたとされた書き順。
 
は、今回の正解とされた書き順で、出題の参考にしたとされる、
 
旺文社『漢字典』、三省堂『例解小学漢字辞典』、学研『新レインボー漢字読み書き辞典』
 
の3つの辞典のいずれもがこの筆順を採用しているのでしょう。
 
そして、は、古典にみられる書き順で、一般書写ではときどき使われるものです。
 
 
 
私が小学校書写指導の際に最もよく参考にしている小学校書写の事典は、
 
イメージ 2
 
續木湖山著『新毛筆書写字典』なのですが、それには、
 
イメージ 3
 
このように、アの書き順が示されています。
 
私が教わったのもアの書き順だったわけで、
 
このままにはしておけないと、調べてみることにした次第です。
 
 
 
本当は今回で終わりにしようと思いましたが、長くなるので次回に。
 
ということで、つづく・・・

開くトラックバック(0)

こんにちは!  今日も寒いです
 
雪が降るかもしれないとの予報もありましたが、先ほど雨が降ったあと、さらに寒くなりました
 
 
 
 
 
 
さて、12月6日にTBSテレビで放送された、プレッシャーバトル『第2回漢字書き順トーナメント』で、
 
 
問題は、「止」「入」「世」「用」「成」「臣」「医」「皮」「兆」「氷」「土」「布」「長」「状」「快」「必」「片」「座」「馬」
 
だったのですが、
 
最終問題となって優勝者を決定づけた「馬」の書き順について見ておきます。
 
対戦者は、佐藤弘道さんと博多華丸さんで、
 
佐藤弘道さんは正解し、博多華丸さんは不正解となり佐藤弘道さんが優勝者になったわけですが、
 
博多華丸さんが3画目を書いたあとの感想で、
 
 「流れでいっちゃうんですよね〜」
 
と、87:30あたりでコメントされていましたが、
 
そのコメントは一般書写においてはむしろ正しいといえます。
 
 
 
ここで、これも以前 「馬」の筆順について で触れていたのですが、一応もう一度示してみます。
 
イメージ 1
 
まだパターンはありますが、大まかに5種類を挙げました。
 
Aの書き順は、小学校書写で基準となっている書き順で、
 
小学校書写では、書き順指導は私が調べた限りでは過去にもこれ以外のものはありませんでした。
 
ですから、小学校書写の書き順を基準に出題された書き順トーナメントで正解とされたわけです。
 
で、博多華丸さんが書いたBの書き順は不正解とされたわけですが、
 
「馬」の伝統的な書き順は、篆書から来たBの書き順が主流で、
 
博多華丸さんがコメントされていたように、書き順の流れとしてはむしろBの書き順の方が自然ともいえます。
 
 
ではなぜ、伝統的なBの書き順よりも、Aの書き順の方が小学校書写で基準になったかというと、
 
「隹(フルトリ)」の書き順との共通性を持たせるためで、「隹(フルトリ)」の書き順が、
 
イメージ 2
この書き順なので、「馬」の書き順との共通性を持たせて、『横→縦→横』の書き順の原則に従い、
 
「馬」と「隹(フルトリ)」の書き順の覚えにくさを解消しようというねらいから、
 
「馬」の書き順では、Aの書き順が小学校書写では基準になった、ということのようです。
 
 
 
 
 
それにしても博多華丸さんって書道を結構やっている(た?)んでしょうかね〜・・・
 
 
 
 
 
つづく・・・

開くトラックバック(0)

こんばんは
 
昨日から寒くてコタツをつけました。
 
皆さまもあたたかくしてお過ごしください。
 

 
 

 
 
さて、昨日に引き続きリクエストにお応えしたいと思います。
 
今回のリクエストはタイトルの通り、
 
懐素『草書千字文』の「典」の筆順について教えてほしい、というものでした。
 

このリクエストをされた方は、
 
懐素『草書千字文』の穏やかな書きぶり、いぶし銀なところに魅せられていて、
 
現在一所懸命臨書に取り組んでいらっしゃるようですが、
 
いくつかよくわからないところがあるそうで、
 
そのうちの一つが「典」の筆順についてなんだそうです。
 
 
 
 
まずは、問題の箇所、懐素『草書千字文』の「典」です。
 
イメージ 5

ところで、「典」の草書は大きく分けて3通りの書き方があります。
 
イメージ 3
 
このうち、Cは明らかに違うとわかるので問題になりませんが、
 
AとBはやや似ているので、見分け方が難しいと感じるかもしれません。
 
そこでこのAとBの2通りの筆順をどこで見分けるかというと、
 
楷書でいうところの6画目にあたる横画、
 
つまり「ハ」のすぐ上の横画の終筆がどちらの方向にはねているか、
 
ということで判断できます。
 
イメージ 4
 
つまり、左下にはねていればA、右上にはねていればBということです。
 
 

さてそこで問題の懐素『草書千字文』の「典」を改めてみてみると、
 
イメージ 6
 
ご覧のように、6画目にあたる画の終筆は右上にはねてあります。
 
ということは、筆順はBということになります。
 
 
イメージ 2
 
このように、水色→緑色→赤色→黄色→「ハ」となります。
 
 

ところで「ハ」を抜かした部分を見てみると、「曲」に似ていますね。
 
そこで「曲」はどのように書かれてあるかというと、
 
イメージ 1
 
このようにBの筆順で書かれたものが見つかります。
 
2行目の3文字目、5文字目、6文字目がそうです。
 
つまりそれと同じような感覚で書かれたということだと考えられます。
 
 
 
 
以上です

開くトラックバック(0)

全1ページ

[1]

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事