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児童相談所による児童拉致事件訴訟とその背景について

(平成21年7月23日)



弁護士 南出喜久治




その2(後半)

1 本件事案の具体的説明

平成12年10月22日生の男子児童。平成19年4月に小学校入学。小学校側による児童の痣の発見と親権者による教育方針の説明、それに対する小学校側の賞賛。同年7月13日に児童の顎に痣があることを小学校側が確認し、静岡市児相へ虐待通告し、一時保護処分。同年8月30日に親権者が審査請求申立。同年9月25日に児相が静岡家裁に対して児童福祉法第28条1項1号の承認申立。同年12月10日に静岡家裁の承認審判。同月21日に親権者が即時抗告。平成20年2月4日に東京高裁が即時抗告の棄却決定。同年3月1日に市児相が一時保護を解除して児童養護施設入所措置決定と面会等制限措置決定。同年12月24日に親権者が静岡地裁に証拠保全申立。平成21年3月9日に静岡地裁が証拠保全決定。同年3月24日に証拠保全の執行。同年7月23日に東京地裁に国家賠償請求訴訟を提起。小学校、市児相、県児相と各裁判所の共同不法行為。一時保護から2年以上の間に、一度も児童との面会、通信が許されず、児童の生活状態などの照会を完全に拒否され、完全隔離となり親権の行使を実質的に剥奪。なほ、民事訴訟法234条の「証拠を使用することが困難となる事情」とは、具体的には、証拠の改竄、隠匿、破棄処分のおそれがあると判断される事情のこと。



【国家賠償法】



第1条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

2  前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。



【民事訴訟法】



第234条(証拠保全) 裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。



【民法】



第822条(懲戒) 親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。

2 子を懲戒場に入れる期間は、六箇月以下の範囲内で、家庭裁判所が定める。ただし、この期間は、親権を行う者の請求によって、いつでも短縮することができる。



【学校教育法】



第11条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。



【児童福祉法】



第27条  都道府県は、前条第一項第一号の規定による報告又は少年法第十八条第二項 の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなけれ

ばならない。

一  児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。

二  児童又はその保護者を児童福祉司、知的障害者福祉司、社会福祉主事、児童委員若しくは当該都道府県の設置する児童家庭支援センター若しくは当該都道府県が行う障害児相談支援事業に係る職員に指導させ、又は当該都道府県以外の者の設置する児童家庭支援センター若しくは当該都道府県以外の障害児相談支援事業を行う者に指導を委託すること。

三  児童を里親(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を養育することを希望する者であつて、都道府県知事が、適当と認める者をいう。以下同じ。)若しくは保護受託者(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童で学校教育法に定める義務教育を終了したものを自己の家庭に預

かり、又は自己の下に通わせて、保護し、その性能に応じ、独立自活に必要な指導をすることを希望する者であつて、都道府県知事が適当と認めるものをいう。以下同じ。)に委託し、又は乳児院、児童養護施設、知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させること。

四  家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める児童は、これを家庭裁判所に送致すること。

2  都道府県は、第四十三条の三又は第四十三条の四に規定する児童については、前項第三号の措置に代えて、国立療養所その他政令で定める医療機関であつて厚生労働大臣の指定するもの(以下「指定国立療養所等」という。)に対し、これらの児童を入所させて肢体不自由児施設又は重症心身障害児施設におけると同様な治療等を行うことを委託することができる。

3  都道府県知事は、少年法第十八条第二項 の規定による送致のあつた児童につき、第一項の措置を採るにあたつては、家庭裁判所の決定による指示に従わなければならない。

4  第一項第三号又は第二項の措置は、児童に親権を行う者(第四十七条第一項の規定により親権を行う児童福祉施設の長を除く。以下同じ。)又は未成年後見人があるときは、前項の場合を除いては、その親権を行う者又は未成年後見人の意に反して、これを採ることができない。

5  第一項第三号の保護受託者に委託する措置は、あらかじめ、児童の同意を得、かつ、一年以内の期間を定めて、これを採らなければならない。

6  都道府県は、委託の期間が満了したときは、さらに、児童の同意を得、かつ、一年以内の期間を定めて、児童の保護を保護受託者に委託することができる。

7  都道府県知事は、第一項第二号若しくは第三号若しくは第二項の措置を解除し、停止し、若しくは他の措置に変更し、又は前項の措置を採る場合には、児童相談所長の意見を聴かなければならない。

8  都道府県知事は、政令の定めるところにより、第一項第一号から第三号までの措置(第三項の規定により採るもの及び第二十八条第一項第一号又は第二号ただし書の規定により採るものを除く。)若しくは第二項の措置を採る場合、第一項第二号若しくは第三号若しくは第二項の措置を解除し、停止し、若しくは他の措置に変更する場合又は第六項の措置を採る場合には、都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならない。

9  都道府県は、義務教育を終了した児童であつて、第一項第三号に規定する措置のうち政令で定めるものを解除されたものその他政令で定めるものについて、当該児童の自立を図るため、政令で定める基準に従い、これらの者が共同生活を営むべき住居において相談その他の日常生活上の援助及び生活指導を行い、又は当該都道府県以外の者に当該住居において当該日常生活上の援助及び生活指導を行うことを委託する措置を採ることができる。

第28条  保護者が、その児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、第二十七条第一項第三号の措置を採ることが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反するときは、都道府県は、次の各号の措置を採ることができる。

一  保護者が親権を行う者又は未成年後見人であるときは、家庭裁判所の承認を得て、第二十七条第一項第三号の措置を採ること。

二  保護者が親権を行う者又は未成年後見人でないときは、その児童を親権を行う者又は未成年後見人に引き渡すこと。ただし、その児童を親権を行う者又は未成年後見人に引き渡すことが児童の福祉のため不適当であると認めるときは、家庭裁判所の承認を得て、第二十七条第一項第三号の措置を採ること。

2  前項の承認は、家事審判法の適用に関しては、これを同法第九条第一項 甲類に掲げる事項とみなす。

第33条  児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置をとるに至るまで、児童に一時保護を加え、又は適当な者に委託して、一時保護を加えさせることができる。

2  都道府県知事は、必要があると認めるときは、第二十七条第一項又は第二項の措置をとるに至るまで、児童相談所長をして、児童に一時保護を加えさせ、又は適当な者に、一時保護を加えることを委託させることができる。

3  前二項の規定による一時保護の期間は、当該一時保護を開始した日から二月を超えてはならない。

4  前項の規定にかかわらず、児童相談所長又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、引き続き第一項又は第二項の規定による一時保護を行うことができる。



【児童虐待の防止等に関する法律】(平成十二年五月二十四日法律第八十二号)



第2条(児童虐待の定義) この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

一  児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

二  児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。

三  児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。

四  児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

第3条(児童に対する虐待の禁止) 何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。



【人身保護法】



第2条(違法拘束救済の請求権) 法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束されている者は、この法律の定めるところにより、その救済を請求することができる。

2 何人も被拘束者のために、前項の請求をすることができる。



【行政事件訴訟法】



第25条(執行停止) 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。

2 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。

3 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。

4 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。

5 第2項の決定は、疎明に基づいてする。

6 第2項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。

7 第2項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

8 第2項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。

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