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さくらの花びらの「日本人よ、誇りを持とう」
保守の会会長 松山昭彦のブログ

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修身(12) 父と子

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                                              (萩城)
 
父と子
 
幕末のこと。 杉百合之助の家では、春秋の二回、日を決めて、
藩公毛利氏の先祖を祀ってあるやしろと、氏神様にお参りする習わしであった。
そうでなくても、百合之助は毎朝、家の誰よりも早く起き、
清水を汲んで祖先の御霊(みたま)に供え、西の方藩公のおられる萩城(はぎじょう)を拝し、
東に向かって、うやうやしく皇室のみさかえを祈ることにしていた。
 
ある年、その日の朝、あたりはまだ暗く静まり返っていた。
「梅太郎も、大次郎も、目が覚めたか」
声をかけると、どちらが先ともなしに、兄弟二人がすぐに答えた。
「はい、とっくに起きております」
「では、庭におりなさい」
春まだ浅く、肌にせまる暁の闇の冷たさ。
足元にくずれる霜柱の色は見えぬが、地は固く凍っている。
百合之助は、二人の男の子を連れて井戸端へ出た。
「いつもいうように、からだを洗い、心を清めるのだ。まず、私が先にやる」
くるくると着物を脱ぐと、つるべを取り、水を汲みあげて、冷たさもいとわず、ざぶりと頭から浴びた。
「すがすがしい気持ちだ。今度は、梅太郎、なさい」
「はい」
まだ明けやらぬ薄明かりの中に、汲みあげられる水は、氷のように白く光る。
しかし、梅太郎は元気よくかぶった。
「さあ、次は大次郎」
「はい」
満々と水を汲みいれたつるべは、幼い大次郎の腕には、かなりに重かったが、
それでも大次郎は、ゆっくりと慌てずに、ざぶりざぶりと上手に浴びた。
家の中では、あかのつかない、さっぱりした着物を取りそろえて、母が静かに待っていた。
「では、出かけるぞ。途中で人におうても、言葉を交わしてはならない」
父百合之助の声は、いつもと違って、厳しさを含んでいた。
この宮まいりの朝だけは、心をけがすことのないよう、家の外へ足を踏み出したら、
決して人と口をきかぬと父と子は、かねてから固く約束してあったのである。
 
この日、無事にお参りを済まして、家に帰ってからのことであった。
「梅太郎は、何を祈った」と、父がたずねた。
「はい、皇室のみさかえを祈り、殿様の御無事を願いました」
「うむ。なるほど。では、大次郎は」
「私も、第一に皇室のみさかえを祈りました。それから、自分が本当の日本国民になることをお誓いいたしました」
「本当の日本国民とは、どういうことか」
「臣民として道を守り、命を捧げて陛下の御ために尽くすのが、本当に日本国民だと、玉木のおじ様が教えてくださいました」
「うむ、それを神様にお誓いしたのか」
百合之助は、我が子ながら大次郎は、あっぱれな魂の持主だと心ひそかに感じ入った。
大次郎とは、だれあろう。のちに寅次郎と名を改め、
おじ吉田大助の家を継いで、吉田松陰先生とあがめられるようになったその人である。
(第五期(昭和十六年)初等科修身四より)
 
 
 
 
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            「至誠にして動かざる者は未だこれ有らざるなり」松陰直筆の書。
             (写真)高杉晋作、吉田松陰、久坂玄瑞の像(萩往還公園)
 
 
 
<画像:「吉田松陰.com」より>
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  • おはようございます。

    これは素晴らしい教えです。
    小学校で教わらないのが非常に残念です。

    傑作
    応援クリック

    [ - ]

    2011/9/10(土) 午前 8:22

  • 顔アイコン

    先日、萩を歩きましたが、
    独特の雰囲気がありますね。

    見事なお話です。

    傑作、ポチ。

    red

    2011/9/10(土) 午前 10:11

  • 顔アイコン

    傑作です。
    毛利家は朝臣と称していましたから、勤皇の家柄ですね。

    [ - ]

    2011/9/10(土) 午前 11:00

  • 吉田松陰を形成したのは幼少期の教育にあったのですね。本日も良い話をありがとうございます。

    傑作&ランクリ

    [ 鳳山 ]

    2011/9/10(土) 午前 11:51

  • 私は実父より、国を愛するとの思想を否定されて育ちました。

    素晴らしい記事です^^

    傑作・ランクリ○です。

    近野滋之

    2011/9/10(土) 午後 0:24

  • 大二郎とは後の吉田松陰だったのですね。勉強になりました。

    幼い頃から、才気あふれる人物だったのですね。

    そんな人物に育て、才能を見抜く親も立派ですね。

    傑作&ランクリ

    じゅんたろう

    2011/9/10(土) 午後 1:14

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    父子鷹ですね。松陰の少年時代が目に見えるようです。
    すばらしい修身ですね。
    仙台の士官学校近くにある歴史民俗資料館に修身の教科書
    がありました。傑作&ランクり

    翠はるかに

    2011/9/10(土) 午後 1:41

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    親は子に何を教えるべきなのか。大切なことですね。

    傑作・ランクリ。

    urusaioyaji

    2011/9/10(土) 午後 2:41

  • 顔アイコン

    転載させて頂きます。

    応援&今日のランクリ 傑作ポチ凸

    hito

    2011/9/10(土) 午後 4:09

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    ( ´ー`)y─┛チァーパーボェー

    松陰先生 就寝の教科書にでてましたか

    傑作&ランクリ

    にっぽに屋にっぽん

    2011/9/10(土) 午後 11:10

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    応援&今日のランクリ ポチ凸

    hito

    2011/9/11(日) 午前 0:33

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    父親はきちっとしなければなりませんね。
    身に浸みました。

    傑作、ランクリです。

    [ nadarechan1113 ]

    2011/9/11(日) 午前 0:35

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    こんばんは カマちゃんさん経由です
    日頃こういう教えをすると善い大人に成る可能性が非常に高いと感じます
    今の日本の教育に足りない部分ですね

    傑作ランクリ◎

    あまのじゃく

    2011/9/11(日) 午前 0:46

  • 本日のランクリ○です。

    ご来訪やランキング応援に感謝を申し上げます。

    近野滋之

    2011/9/11(日) 午前 8:55

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    教育というのはほんとに大事ですね。信念を持って信念を教える教育の素晴らしさはすごいものです。武士道精神、尊皇精神、そして親が率先する教育、まさにこの親にして、この子ありですね。
    傑作ランクリ

    [ さざんか ]

    2011/9/11(日) 午前 11:29

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    転載させて頂きます。
    傑作ランクリ

    [ kakinoki ]

    2011/9/11(日) 午後 0:20

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    幼い頃よりの教えと精進が本当に大切なのですね。
    どのような教育を受けて来たか「三つ子の魂百までも」とも言いますし、本当に心しなければなりませんね。

    ★!

    ジョウジ

    2011/9/11(日) 午後 1:37

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    修身(12)受講しました。
    本日もご教示ありがとうございました。

    傑作・くり

    [ 敬天愛人 ]

    2011/9/12(月) 午後 7:03

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    松陰先生のお話しだったのですね。
    政治にも武士道が必要です。この基礎になるのは大きな愛であり、尊皇精神に支えられた国家への愛であったのですね。
    傑作ランクリ

    [ -- ]

    2011/9/13(火) 午後 4:17

  • 国を愛すること。愛国心を持つことが日本の場合は悪であるかのように教育をしています。
    愛国心を持つこと、そこからが真の国際人の1歩だと思います。

    緋色

    2011/9/22(木) 午後 11:10

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