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イタリア旅行の記事も書きたいなあと思いながら、日が過ぎております。
偶然にもハンガリーに住む友人がこの夏、南イタリアを旅していました。
彼女も私も訪れたアマルフィ海岸にある街、ポジターノを舞台にした小説がある、
と彼女から聞き、旅行の興奮も冷めやらぬまま一気に読みました。
作者は宮本輝さん。
あまり本を読まない私はお恥ずかしながら宮本輝さんのお名前は存じ上げておりましたが、
実は女性だと思っていたのです。
しかし読み進めていくうちに男性に間違いない、と確信しました。
しかも恋愛をベースにした小説とは知らず、すなわちポジターノが舞台、ということ以外は
全くの予備知識なく読了しました。
「朝の歓び」講談社文庫より
刊行が1994年、ということで携帯電話がそれほど一般的ではなかった時代が背景です。
45歳を目前に妻に先立たれた江波良介が主人公です。
妻に先立たれたことをきっかけに大手企業の出世街道まっしぐらだった彼がいきなり会社を辞めます。
そこで昔愛した美しい日出子とともにローマ、ポジターノを訪れるのです。
良介と日出子の気持ちの動きを軸に、
彼らを取り巻く人々のエピソードがちりばめられています。
どのエピソードも丹念に描かれ、特に良介の親友、内海を介して知り合った大垣老人のエピソードは圧巻でした。
日出子が学生時代にポジターノを旅行し知り合った知的障害を持つ少年パオロとのエピソードも
(彼の成長を確かめたくて旅行先にポジターノを選んだのですが)、
人間の力強さ、やさしさを感じました。
人の気持ちは言葉にしないと伝わらないし、言葉にしても入ってこない時がある。
「地球に朝と昼があるように、私たち人間にも朝と昼があるー」
これはローマでたまたま良介が知り合った若い女性さつきの言葉ですが、
伝える努力、理解する努力を忘れてはいけないんだなあ、
また自暴自棄にもなってはいけないなあと思わされました。
最後に・・・お目当てのポジターノの描写の正確さと言ったら!
写真を合わせて見て、楽しかった旅をまた思い出しました。
(この記事の写真はまさにポジターノの街です。)
旅行記も忘れないうちに書かないと〜(笑)
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