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★★☆☆☆ 厚過ぎずすっすっと読めるんだけど軽すぎなくてちょっと心が動かされるみたいな本ないかなぁ、と本屋で探して買ったのがこの本でした。 新潮文庫で平積みになっていて、帯には 『三賞受賞 芸術選奨文部科学大臣新人賞 織田作之助賞大賞 咲くやこの花賞』 とあります。何か凄そう。
恋人ではないけれど、ただの友達ではないような微妙な空気の歌と良太郎。 歌は大阪の町が写った古い写真に興味を持ち、やがて集めるようになる。 大阪の今を生き、古い写真に思いをはせる歌と良太郎。 大阪は、過ぎ去った時間やささやかな日常を包み込み、姿を変えていく。 歌ちゃん、彼女を取り巻く人々、良太郎は、さしたる変化はないけれど温かな生活を送っている…。
この小説の醍醐味はやはり大阪、心斎橋や難波という町への思い入れたっぷりの描写にあるでしょう。 時折地図をなぞるように大阪の地理を丁寧に描いてある箇所があり、「私が大阪を知っていたら…」という思いに何度駆られたことか。 しかし残念ながら私はリアルに大阪を思い描くことができず、乏しい想像力のせいか、描かれたことを充分感じることもできず、 古い大阪とそこに写った見知らぬ人との時を越えた交流、古い大きな力に生かされている若者達、 みたいな事を感じることは出来たけれど、そこから一歩発展的に感じることはありませんでした。 古いもの、過去の人々や町と交流する心情、世代を越えた力の上に今があるということ、生かされているということ。 こういう話は私は大好きなのですが、この作品よりももっと力強いいい作品を読んだことがあります。 三羽省吾の『タチコギ』と黒川創の『明るい夜』です。 私の記事をTBしておきますので、興味がある方はちょっと覗いてみてください。 偶然5月3日日経新聞にて、柴崎友香さんが書いている「こわいもの、すきなもの」というエッセイを読みました。 自分はカエルが好きでカエルのカレンダーなどを飾っているが、カエルを全く受け付けない友人がいる、 人それぞれ嫌いなものはあり、嫌う理由という物は特に思い当たらない、前世の記憶でもあるのだろうか、 自分も昆虫の裏側とか車エビとか「脚」という漢字とか、ハート型とか広い場所が気持ちが悪い、 カエルが好きというのも一目惚れみたいなものだろうか、前世ゆえだろうか。 という内容のエッセイで、私にとってはある種意味不明な内容でした。 わざわざ新聞の文化面で読むような文章だろうか? もしかすると、この作家さんの持ち味と私が無意識に文章に望むものは、相容れないものなのかも知れないなぁと思いました。 (2009年5月、新潮文庫) |
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私は若い頃、仕事で大阪に住んだことがありますが、
それまでは、やはり大阪の様子を思い描くことは
出来ませんでした。
また外国文学、それも近代以前の社会を描いたものを
読むときなども、風俗や習慣の理解に
行き詰ってしまうことがありますね。
最近は判らないことが出てくると、
すぐにインターネットで調べる癖がついたので、
以前ほどは悩まなくて済むようになりましたけど。
2009/5/8(金) 午後 10:37 [ - ]
大阪つながりで。
田辺聖子は読んだ?
私も大阪に住んだことはないけど、田辺聖子を読むと、大阪の街のあったかさ、やさしさ、切なさ、たくましさが伝わってくる気がします。
2009/5/9(土) 午後 7:56 [ りーこ ]
こんには。暑いですね。
僕は、この人のことはわかりませんが、前世だとか、死後の世界だとか幽霊や、宇宙人の話をする人の事は信じられません。
もし、このコメントが気に触ったなら削除してください。
信じている人もいるのですから。
2009/5/10(日) 午後 1:03
空想癖さん!町や社会がきちんと描かれているものでは、やはりそこを体験したかどうかが大きく読書感を左右しますね。もちろんそんなの関係なく面白いに越したことはないのでしょうが。
私も例えば大阪とかアメリカの都市とか、ネットで調べようかと思わないでもないですが、地図はやはり紙の方が便利だと感じます。
2009/5/11(月) 午後 8:42 [ booklover ]
りーこ!田辺聖子さんも未読なんですよね〜やはり大阪の息づかいをまず体感するには欠かせない作家さんですかね。
最近では町田康とか川上未映子とか面白く読みました。大阪弁を面白く読めるかあざとく感じるかは、相性でしょうか。
2009/5/11(月) 午後 8:44 [ booklover ]
mbk550さん!いや〜暑いですね。じとっと汗が出て、ちょっとたまらない感じです。
前世・死後の世界・幽霊・宇宙人、全部ダメですか^^。私は科学万能主義にも懐疑的ですが、スピリチュアルというのかな、そういう世界も信じ切れません。何か不思議な存在はあるんだろうなぁと思っていますが。
だけど個人的に思うこととは違い、新聞という立派な確立したメディアで、立場も確立した作家が堂々と述べるようなことではないと思いました。
2009/5/11(月) 午後 8:49 [ booklover ]