ひねもすのたり、読書かな

またしてもご無沙汰しちゃいました。皆さんお元気ですか?

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★★★★☆
アン・タイラー、本作『ブリージング・レッスン』で1989年ピューリッツァー賞を受賞しました。
アメリカではベストセラー作家であり、数々の小説がテレビドラマ化されています。
日本での認知度、人気度はそれ程でもないようで、現在入手可能な小説を某ウェブ書店で調べてみると、
2004年の『結婚のアマチュア』だけのようです。
私とアン・タイラーの出会いは、2004年『結婚のアマチュア』(THE AMATEUR MARRIAGE)が洋書コーナーに並んだ頃に興味を持っていたものの手をつけずにいましたが、
ゴールデンウィークに「不忍ストリート一箱子古本市」で文庫本を入手。
店主さんの、「品切れ本ですよ」の一言に背中を押されて、200円で購入しましたが、
某中古市場を見てもまぁまぁのお買い得品だったかも。

さて内容ですが、これが予想よりはるかに面白かった。何というか、ツボでした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
48歳にして孫を持つ主人公・マギーはおせっかい焼きでおっちょこちょい。
友達のご主人のお葬式に行くためにボルティモアの自宅を出て長いドライブを夫のアイラと共にし、
その帰り道に、息子ジェシーの別れた妻フィオナと、7歳の娘ルロイを連れて帰ろうとする。
何とかジェシーとフィオナをくっつけ、またルロイとも一緒に暮らしたいと画策するマギー。
途中まではマギーの人の良さと思い込みの激しさで、周りも何となくそれでいいような気がしてしまうが
やはり最後はうまくいかず、より悪い事態を招いてしまう。
フィオナとルロイ、息子のジェシー、皆が出て行った後、鏡に映った自分の姿を見て、
“わたしって太って、象みたい”とつぶやくマギー。
しかし夫アイラは落ち着いて、そんなマギーを変わらず受け止めてくれる。
明日は娘が家から独立してゆく日だ…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こう粗筋を書くと、ちょっとコミカルなベタな家族もの、のようで面白くなさそうでしょうが、
(事実私も、背表紙の紹介文を読んでも左程期待はしなかったのですが)
これが何というか、違うんだな。
途中何度も読みながら吹き出しては、私の周囲の善意の人々を引かせておりましたが、
それ位、マギーとアイラの会話がまず面白い。
絶妙にズレている。
そこがとても現実的で、良い。
そしてマギーの猪突猛進的性格が回りに波風を立て、一度は皆何となく納得してしまうが、
結局は皆またハッと我に返り、マギーの思い通りにならないところがまた、面白く悲しい。
マギーの、母としての人の良さ、善良さ、それゆえの愚かさ。
息子と娘はそれを愛してはいるのだろうが、半ばあきれ、反発し、ある種見切って親離れしてゆく、
その悲しさ。

解説の中に、
ジョン・アップダイクがタイラーの中に読み取ったアメリカ人のテーマは「家と脱出」だと書いている(p.458)
とありましたが、私もそれを実感しました。
ただし私は、立場上マギーに自身を重ねますので…
母の立場から言わせてもらうと、「家と喪失」ということになりますでしょう。

(Breathing Lessons (1988) 1998年9月、文春文庫)

閉じる コメント(7)

だいぶ前に読みましたが、マギーのおせっかいさが鼻について当時はピンとこなかったんです。ストーリー的にも特段何が起こるわけでもありませんしね。ただ、きっちり読んでおくべき作家だとは思っていて、ずっと気になってます。この記事を機会に、再読してみようかな。

2009/5/19(火) 午前 7:31 りぼん

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アン・タイラーは読んだことはないんですが、感想を読むとアガサ・クリスティ「春にして君を離れ」と近いテーマかも、と思いました(ちなみにミステリーではありませんよ)。
私の好きな本です。よかったら読んでみて下さい。

2009/5/19(火) 午後 7:16 [ りーこ ]

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「春にして君を離れ」は、自分の加齢と共にその魅力を増す作品のように私は感じています。近いテーマとのこと、アン・タイラーもぜひ読みたくなりました。平安寿子さんが、彼女の名からペンネームをつけたという話を以前読んでから、ずっと気にはなっていたのです。きっかけを作って頂きありがとうございました!

2009/5/21(木) 午前 11:51 [ あおい ]

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あおい様

私もアン・タイラーは読んでなくて、あくまでbookloverさんの書評からの感触に過ぎません。でも、読書が広がるきっかけになるようならうれしいです♪

2009/5/21(木) 午後 2:26 [ りーこ ]

りーこ!アガサ・クリスティとは意外な名前。ミステリーのイメージが強すぎて。でもクリスティがこういうテーマで書いているとなると、古き良き香りが漂っていそうで、魅力的な感じです。今度探してみますね。情報ありがとう^^。

2009/5/21(木) 午後 10:43 [ booklover ]

あおいさん!歳をとるとともに感じ方が深くなるということ、近頃ようやく分かってきました。再読の喜び、ですね。アンタイラーもまた時間を置いて読むとまた楽しめそうな気がしています。平安寿子さんとは、初めて見る名前です。今検索してみて…なるほど、アンタイラーのような、という名前なのね。面白そう。

2009/5/21(木) 午後 10:48 [ booklover ]

りーこ!あおいさんと同じ本を深く愛しているとは…。あおいさんのブログ、いつも独特の面白い観点からの文章を書く方ですので、是非訪れてみてください。http://blogs.yahoo.co.jp/aoinewspaperよろしく。

2009/5/21(木) 午後 10:52 [ booklover ]


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