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★★☆☆☆ 残念!星ふたつでした!ブログ仲間の皆さんに評判が良かったので、期待値をググッと上げていたのかも知れません。 三羽さんは2008年に『タチコギ』と『公園で逢いましょう』の2冊を単行本で出していますが、ブログ仲間さんの感想を読んでみると、「タチコギ派」と「公園で派」に分かれるような気がします。 両方好き、が成り立ちにくいのかな、と。 かく言う私は断然「タチコギ派」。三羽さんの真骨頂は男の世界を地声で語ることにあると思っていましたので、『公園で逢いましょう』のようなママさん達の世界を描くのは、随所にクスッときたりホロッときたりはあったにせよ、全体的に迫力不足の感がありました。 ちなみに、『タチコギ』は炭坑の町を舞台に、幼少期を振り返る父親と不登校の息子を巡る物語。 2002年の第8回小説新潮長篇新人賞受賞作『太陽がイッパイいっぱい』は大阪を舞台に建築現場で働く若者たちの汗と笑いと力にまみれた青春を描いた作品。 2006年の第27回吉川英治文学新人賞候補『厭世フレーバー』は、中学生の息子、高校生の姉、大学生の兄、アル中の母、ボケかけた祖父という、家族それぞれの視点で外見とは異なるそれぞれの真実の姿を描き出す。(見た目と実際のギャップを劇的に暴いてゆくという点では、『公園で逢いましょう。』に近いところがあります。) 2006年の『イレギュラー』は、私は未読ですが、野球の青春物で、爽やかな作品。 という風に、三羽作品は、圧倒的に男の世界を描いたものが多く、しかもその男の肉声を実にうまく語ることで、笑わせてくれもし、泣かされもし、考えさせられてもきたのです。そういう三羽作品が大好きです。 今作『公園で逢いましょう。』に物足りなさを感じたのは、私のそういう三羽歴に由来するもので、短編5作品それぞれに明確なテーマがあり、同時に外見とはまるで異なる各編の主人公の実像や思いが浮かびあがるようになっていて、そこは面白いところでした。 相変わらず語り口が面白くて笑えますし。笑えると思った同じ語り口で、ズバッと切り込んでくる鋭さみたいなものもありますし。 三羽さん自身にプライベートな変化でもあったのかしら?と、ちょっと下世話な想像をしたりもしてしまいました。実際に子供が生まれて、ママさんコミュニティに触れる機会があった、とか。 ベタな想像でごめんなさい。
私の役割は、見ることだ。 とする大輔君ママ。 周りのママ達からは、いつも公園に来ている子供みんなの面倒を見ている優しい人だと思われている。 しかし大輔ママは語る。 それは優しさではない、知らず知らずのうちに人を傷つけてしまうことが恐いのだ、すべては自分本位だ、と。 大輔君の父親が琢矢君であるかのようなくだりには、ドキッとしたし、頭を悩ませました。 『アカベー』 赦す、ということ。 愛とは、赦したり受け入れたり、大切にすること。 赦さなければならない、何故なら、私もまた、赦されているから。 一見キャリアウーマン風の悟くんママの独白。 『バイ・バイ・ブラックバード』 父からの束縛、母への憎悪というどす黒い固まりから自由になりたくて憧れた、サックスが天才的にうまい瀬川先輩。しかし彼もやっぱり生け簀の中でしか生きられない弱い存在だと気づき、倫子はどす黒い固まりを試すような思い切った行動に出る。が、弱いと思った瀬川先輩に助けられ… 優馬くんママとなった今、今では誰もどす黒いものなんて持っていないのかも知れない、と思う。 『アミカス・キュリエ』 この短編が、ひょうたん公園のコミュニティを外側から見る役割を果たしています。 ひょうたん形の公園も、あっちとこっちで格差社会を構成している、だけど(この小説の舞台となる)格差の下のコミュニティもいいもんだよ、というものです。 どうとでも解釈できることは、思いっきり飛躍させて素晴らしい方向に思い込んじゃうのもひとつの手なんじゃないかな、という久保っち。 優しさは無責任だ、という久保っちに、私はそれで救われたんだよ、という吉田ちゃん。 そのふたりがやがて結婚し、双子の赤ちゃんを授かることになる。 『魔法使い』 いわゆるヤンママの羅々ママ。 自分の子供の面倒も見ず、公園でいつも携帯をいじっている。 しかし彼女の過去と決意、携帯をいじっていながら胸に秘めているものとは。 短編集の最後を飾る、壮絶な人生を抱えたヤンママの物語。
(2008年10月、祥伝社) |
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そうなると自分は『公園で派』になるかもしれません^^;確かに男性の目から見ると公園でママさんたちの集まりってちょっと怖いものがあったりもします、もしかしたら三羽さんも何かの機会に目撃したのかもしれませんね^^
2009/1/10(土) 午前 1:22
『タチコギ』は読んでいないので何とも言えませんが、本書の場合女性のコミュニティーを描いてはいるも男性的な視点で語られている気がして、そこが清々しさに繋がっている気がしました。
だって、公園でのお付き合いの輪ってこんなもんじゃないもの( ̄ー ̄)ニヤリ
トラバ返しさせてくださいね。
2009/1/10(土) 午前 8:06
こんばんは。TBありがとうございました。
へぇ。どちらかに分かれるんですか。私はどちらもそれぞれに三羽さんの上手さが出ている作品で読まされてしまいましたが。でも、やっぱり私は「太陽がいっぱいイッパイ」みたいな底抜けに明るくエネルギッシュな作品をまた書いて欲しいと思ってしまいますね。次回作がどんな作品になるのか楽しみですね。
2009/1/11(日) 午前 0:57
はやとんさん!やはり男性が公園ママの世界を描こうと思うには、ある程度の経験あってのことだと想像しますよね。女性の集まりって、部外者から見るとほんと恐ろしい雰囲気を醸していますから…。
2009/1/11(日) 午後 3:44 [ booklover ]
金平糖さん!なるほど、男性的な視点で語られている、ですか。確かにそうでもないと、ずぶずぶの内部から描いちゃうと物語にならないかも知れないですね。三羽作品は、一度裏から見せといて最後前向きに持っていく、みたいなベクトルを感じますね。
2009/1/11(日) 午後 3:57 [ booklover ]
べるさん!そうですか、どちらも良かったですか。おっしゃるとおり、三羽さんらしい手法とうまさで、私も『公園で…』一気読みでした。『太陽が…』良いですよね。今私は図書館で『イレギュラー』待ちしてますので、そちらも楽しみです。次回作も待ち遠しいです!
2009/1/11(日) 午後 4:04 [ booklover ]
ほ〜!二つに派が分かれるというのは面白いですね^^私は“どちらかと言うと公園派”です。べるさんも仰られていますが、『太陽が〜』が元気が出る作品だったので、それ以来そんな雰囲気を求めているのですが、どうも私の感性には引っかからないようで^^;ただこれは公園デビューを経験したことのある人にとってはとっつきやすい題材だったと思います。元気は出ませんけど(笑)こちらからもTBさせて下さいね。
2009/1/21(水) 午後 11:35
紅子さん!コメ&TBありがとうございます。『太陽が…』のキャラの濃さは抜群ですからね〜。あれは名作です。『公園…』はこれまでの三羽作品に必ずと言っていいほど登場していたハチャメチャな人物がいなかったですよね。それゆえ元気が出る感が薄かったかも。
2009/1/23(金) 午後 2:46 [ booklover ]