咆月狼日乗

かんじんなことは、目には見えない/サン・テグジュペリ

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乃木希典/福田和也

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福田は言う「有能な人間はいくらでもいるが、有徳な人間は殆どいない。」

旅順攻撃での無謀な正面攻撃による莫大な犠牲をして乃木を無能と断じたものに「坂の上の雲/司馬遼太郎」がある。しかしそれは一方的な評価である、と本書は主張している。

「有能な」人間の結果論は、旅順攻撃の犠牲を「無能の産物」である、という。それはそうである。

しかしながら、今になって結果論で言えば、似たようなことはいくらでも言える。

江戸時代だった日本がいきなり近代化し欧米列強と伍していけるなどありえない。太平洋戦争もまったく勝ち目のない無謀な戦争であった。工業力にしても、意思決定システムについても日本はあまりにも前時代的である。刀を振り上げた侍たちが、整然と配備される機関銃隊に向かっていたようなものである。

映画「ラストサムライ」の最後、日本はあれを繰り返している。

しかし、それを「やらねばならない」としたら誰がどんなやり方でやるべきか、なんのために?

それが乃木の目指していたものであり、徳が支配する世界かもしれない。勝ち目のない戦に向かう態度。

サン・テグジュペリは「戦う操縦士」の中で、すでに敵がいて撃墜されることが分かっている地域に偵察に向かうこと、無意味な戦争を成立させること、自分達が戦死者として数え上げられること、に重大な意義がある、と言っている。これは乃木の態度と同じなのではないか、と私は思う。

ヒロイズムではない。愚かな人間が起こす愚かで悲惨な出来事の責任を被ろうと向き合うこと、なのだと私は思う。

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身長とか体重とか客観的に表現できる数値を元に体格という指標がある。筋力などを総合して、運動能力などという指標もある。

人間力、という指標はあるだろうか?それは比較できるものだろうか?どんな要素から構成されるのだろうか?

人間力という指標が存在するのかもしれない、そう思わせる。この本に書かれている田岡一雄に対しても、この本を書いている田岡由伎に関しても。

凄い本である。

納棺夫日記/青木新門

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日記といいながら日記の部分はそれほど多くなく、忌避の生業のドキュメンタリーとして期待してはいけない。

納棺を通じて死を見つめる作者の思索である。主として仏教(浄土真宗)の言葉を使っているが、仏教入門として読んでも面白いかもしれない。

それ以外に引用されている作家の言葉で私の印象に残っているのは、サン・テグジュペリ、ゲーテ、正岡子規、である。

これら作家の視点に共通するのは、どんなに辛い瞬間でも「平気で生きている」ことの真髄かもしれない。

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法曹界の人の本二冊

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前者、「プロ弁護士の思考術/矢部 正秋」は「幸福論/アラン」を引き合いに出している。そのメッセージの究極は「自分の手に負えるものについてのみ事実に基づいて考えよ」である。「自分の手に負えないもの」あるいは「事実ではなく印象や憶測であるもの」については遠ざけよ、である。

「早く結論をつける」のは精神衛生上気持ちが良いだけで、判断材料が揃うには時間がかかり、そこを我慢して結論を先送りにすることが実は重要である、というのが面白い。

後者、「裁判官の爆笑お言葉集/長嶺 超輝」 どうかな? 裁判官の心情を垣間見れるものとして面白いと思うが、なにやらいやな感じを受ける。本当に書きたいメッセージを隠しているのかも知れないし、あるいは共感力が足りないのかもしれない。裁判官に対する共感力ではなく、読者に対するそれである。私は一度も爆笑しなかった。

合葬/杉浦日向子

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これは奇跡のような作品である、と私は思う。最近の日本で作られた小説や映画など、私の知っている限りの中で頭抜けて一番のものである。

なんと評しても適わないのでこれ以上何も評しない。

Amazonで入手可能である。

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