学びの杜

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ちょっと前のことでありますが,わが国におけるラーニング・コモンズを総括するつもりで,次の文献を執筆しました。
・研究文献レビュー:学びを誘発するラーニング・コモンズ
http://current.ndl.go.jp/ca1804
 
これはあくまでも文献レビューであるので,ラーニング・コモンズ自体を論ずることはしなかったのですが,そのラーニング・コモンズ自体を総括的に論じた好文献があったので,ここで紹介しましょう。
現時点での最良の入門文献であると思いますので,これからラーニング・コモンズについて学びたい方は,まずこの論文を読んでおけばよいと思います。
・小山憲司.場としてのラーニング・コモンズ.現代の図書館.vol.51,no.2,2013,pp.81-90
 
この論文で小山氏はまず,ラーニング・コモンズ設置の背景から語り始め,わが国の大学教育改革の流れとうまく軌を一にしたことを論じ,「ラーニング・コモンズを中心に取り組んできた先進的な図書館の活動に対する評価」がなされてきたといいます。
次に,ラーニング・コモンズの基本的な要素を再確認し,国内におけるラーニング・コモンズの実態を紹介します。
 
そして,なぜ大学図書館にラーニング・コモンズを設置するのか,次の5点の理由について解説します。
①図書館は「学習」という利用目的が明確であること
②多様な学習環境が用意されていること
③だれにでも開かれた場所であること
④情報資源(コレクション)が提供されている
⑤人的資源(レファレンス・サービスなど)が提供されていること
 
上記の理由から,場としての大学図書館は優れているというのですね。
最後に小山氏は,ラーニング・コモンズにおける学生の学びの様態を再確認し,ラーニング・コモンズに残された課題についても論じています。
その中で,人的資源の提供について,図書館の中での学生や教員による学習支援は徐々に広まりつつあるが,「いわゆるサブジェクト・ライブラリアンを持たない日本の大学図書館では,学習内容に踏み込んだ支援は,とかく苦手とする部分であった」と,この部分に大きな課題があることを指摘しています。
 
まさにこの点が,場としての大学図書館の限界であると,私も考えているところでした。
井上真琴氏も先にこのブログで紹介した文献で,図書館外にラーニング・コモンズを設置する理由に関して,「正課課目の授業外学習支援に焦点をあてるならば,運営組織は図書館ではなく,教学部門の組織が適切である」と主張しています。
場としての大学図書館はラーニング・コモンズに最適であったとしても,運営組織としては必ずしもそうではないというのがジレンマだと思っています。
この点をいかに切り開くか,それができるのは教学部門との協働しかないと考えています。
ここ数年,私も教職協働ということを課題にしているのですが,さすが同志社大学の井上真琴氏の経験と知見には及びません。
この件に関して問題意識を持っている方々には,次の文献は必読であると思います。
・井上真琴.政策実現を「支援」のかたちで行う.Between.2013/12-2014/1,pp.4-5
 
2ページ足らずのこの文献で井上氏は,自身の同志社大学での経験から,非常に薀蓄の深い多くの言葉を発しています。
 
まずは,教職協働の前提条件に関しては,中教審の答申はもとより,関連する委員会の動きに目を通す必要があり,「大学を取り巻く教育改革の潮流を,自分なりに押さえておくことが必要である」と指摘します。
そしてまた,「学習科学や認知科学はFDプログラムには必須の知識であり,それらを理解する職員は教員と協働する『共通言語』を有するだろう」と述べます。
この高等教育への深い理解が,教職協働の基盤であるということなのですね。
 
政策実現に関しては,教員主導の立場で進めることを唱えます。
「大学行政のエンジンである教員を通して政策を実現すること」が課題であり,「職員は政策実現の『支援』を行うように見せながら,実現のための資料・情報の収集,組織側の調整で重要な役割を果たす」ことが重要であると指摘しています。
これはとても大事な指摘で,大学での改革は基本,職員主導ではまずありえないのですね。
 
そして,肝心のラーニング・コモンズの実現については,次のような新戦略をとったことが,特筆すべきことがらと評価しています。
すなわち,「教学改革を教員の努力のみに頼る限界があるため,学生側の能力開発を組み込むという視点に立つことである」,「学習支援の実施により,学びの質向上が,逆に教員に影響を及ぼし,双方のdevelopmentが進展すると考えた」ということなのです。
今までこのような方策で,ラーニング・コモンズを構想したところはないと思っています。
とても素晴らしい戦略ではないでしょうか。
 
私自身も自分の大学では,教学改革や学習環境の改善は,教員や教学部門だけでの議論を待つことはできないと思っていました。
そのため,まずは東北大の図書館としてできるところから実現して,それを全学に広めるのが現実的に最適な方策と考えたのですね。
 
最後になりますが,それぞれの大学の現状や特性に合わせた方策を考えるのが,肝心かと思っています。
それにしてもこの井上氏の文献およびその知見は,素晴らしいと思いました。
先日,東北大学の全学教育科目「現代大学論」の一コマを任せられ,「学びのスタイルと学習環境」という題目で授業を実施してきました。
今年の1セメの基礎ゼミでご一緒した,高等教育開発推進センターの杉本先生からの依頼で,年末から十分に準備をして授業に臨んだのですね。
 
今回の授業も,基礎ゼミでの経験を生かして,アクティブ・ラーニングを取り入れた構成としました。
ラーニング・コモンズやアクティブ・ラーニングを唱えている立場としては,一方的な講義にとどまらない教授を実施しなくてはと思うわけですね。
今回の授業デザインとしては,次の3つの工夫をしてみたので紹介しましょう。
 
(1) 反転授業
私の授業に臨む前に,前提知識をもってもらうために,前週の授業で2つの文献コピーを渡し,事前読解をしてもらう。
その読解から自分の意見・感想をメモしておき,授業に臨んでもらう。
課題文献は,以下のとおり。
・井下理.学修環境としてのラーニング・コモンズ.IDE.vol.556(2013.12)
・米澤誠.ラーニング・コモンズの大いなる可能性.IDE.vol.556(2013.12)
 
(2) 協同学習(アクティブ・ラーニング)
授業の前半は,課題とした文献に関する意見・感想を話し合うグループワークとした。
4〜5名でのグループワークの後,それぞれのグループでの意見を発表しあい,クラス全体でも共有するようにした。
 
(3) 動機付けを導入にした講義
グループワークで議論した話題に関して,さらに深まる内容の講義を行う。
内容的には,現代のラーニング・コモンズは,大学生のアクティブ・ラーニングを支える学習環境として機能するということを伝えることを主眼とする。
こうすることにより,単に講義を行うよりも関心が強まり,学習効果が高くなる。
講義の内容は,次のとおり。
①ロシアの大学の学習環境
②図書館・メディア史と学習の変遷
③学びのスタイルと学習環境
 
授業後のコメントを見ると,多くの学生はまず,アクティブ・ラーニングを実際に経験したことそのことが,最大の収穫であったことが分かりました。
履修している学生は1年生なのですが,今までの授業ではこのような経験はないというのですね。
私の講義では,アクティブ・ラーニングの効用も解説したので,実際に体験したこの学び方の重要性を多くの学生が理解してくれました。
そして,アクティブ・ラーニングの準備として,事前に文献を読んできたことの有効性を,多くの学生が分かってくれました。
知識なしにグループワークをするよりも,あらかじめ文献を読解して自分の意見をまとめておくことで,有意義な議論ができるということを体感してくれたのです。
各グループからの発表でも,まだまだこなれないスピーチもありましたが,それもよい経験となったと思います。
 
こうした学びの過程の後に,アクティブ・ラーニングとそれを支える学習環境としてのラーニング・コモンズの解説をしたのですが,皆さんよくラーニング・コモンズの意義を分かってくださったと思います。
「これからアクティブ・ラーニングの手法を学びたい」,「ラーニング・コモンズを活用して学習したい」というコメントを多くいただき,大変嬉しく思いました。
 
一方,「ラーニング・コモンズという環境が整っているのは嬉しいが,アクティブ・ラーニングの仕方を伝える必要がある」,「ラーニング・コモンズでアクティブ・ラーニングの授業をしてほしい」との声も聞こえました。
大学全体では,まだまだアクティブ・ラーニングの理解と指導が足りないと感じた機会となりました。
日本の大学全体の課題として,これからいかにアクティブ・ラーニングを浸透させて行くかが課題となった授業です。
 
しかしながら,学生の皆さんは本当にアクティブ・ラーニングの重要性を理解し,それに取り組みたいという意欲を示していただきました。
このような教授の機会をもったことを糧に,これからの高等教育の在り方,図書館サービスのあり方をさらに考えて行きたいと思っています。
近年私は,図書館アフォーダンスというものを唱え始めたのですが,最近は色々な方々がこの言葉を使い始めてくださって,とても嬉しく思っています。
 
アフォーダンスという概念に出会ったのは2011年のことだったのですが,実は以前からその意識があったことに,最近気がつきました。
2005年に,東北地区大学図書館協議会で企画・作成した冊子『図書館のすすめ:大学図書館利用ガイド』では,すでに次のような引用をしていたのです。
 
「これからさきは図書館でなくっちゃもの足りない」(中略) ( この 一言で三四郎ははじめて図書館にはいることを知った。」(夏目漱石『三四郎』)
 
このことが意識にあったせいか,図書館アフォーダンスという概念を説明するときに,この『三四郎』の学びのコンテクストが一番に頭に浮かんだのですね。
 
夏目漱石は大学での三四郎の学びを,次のように描写しています。
 
「それから当分のあいだ三四郎は毎日学校へ通って、律儀 ( に ) 講義を聞いた。必修課目以外のものへも時々出席してみた。それでも、まだもの足りない。そこでついには専攻課目にまるで縁故のないものまでへもおりおりは顔を出した。しかしたいていは二度か三度でやめてしまった。一か月と続いたのは少しもなかった。それでも平均一週に約四十時間ほどになる。いかな勤勉な三四郎にも四十時間はちと多すぎる。三四郎はたえず一種の圧迫を感じていた。しかるにもの足りない。三四郎は楽しまなくなった」
 
このように,大学での講義に満足できない三四郎は,ついに大学図書館に臨むこととなります。
 
「その翌日から三四郎は四十時間の講義をほとんど半分に減らしてしまった。そうして図書館にはいった。広く、長く、天井が高く、左右に窓のたくさんある建物であった。書庫は入口しか見えない。こっちの正面からのぞくと奥には、書物がいくらでも備えつけてあるように思われる。立って見ていると、書庫の中から、厚い本を二、三冊かかえて、出口へ来て左へ折れて行く者がある。職員閲覧室へ行く人である。なかには必要の本を ( 書棚 からとりおろして、胸いっぱいにひろげて、立ちながら調べている人もある。三四郎はうらやましくなった。奥まで行って二階へ上がって、それから三階へ上がって、本郷より高い所で、生きたものを近づけずに、紙のにおいをかぎながら、――読んでみたい。けれども何を読むかにいたっては、べつにはっきりした考えがない。読んでみなければわからないが、何かあの奥にたくさんありそうに思う」
(以上,『三四郎』本文は「青空文庫」を利用)
 
かのように,三四郎に学問の魅力を伝える力(アフォーダンス)は,いまだ図書館にあると私は信じています。
ウェブでの情報収集やSNSでの情報交換だけでは得ることが出来ない力が,図書館というリアルな場に存在すると思っているのです。
その力について,これからも思考錯誤(誤字ではありません)して行きたいと思っています。
( )
はたまた,東北大の応援団50周年記念の話で申し訳ありません。
本日,記念式典での配布グッズをあらためて拝見して,とても感心したところからの発信です。
 
「東北大学応援団創団五十周年」と書かれたその手ぬぐいには,「応援歌 紫紺の旗今ぞ」の歌詞がメインモチーフとして記載されていましたね。
そして,応援団のリーダー,吹奏,チアの各部の演舞風景が,特徴的に描かれているところが,なかなか面白ところでした。
 
イメージ 1
リーダーの名物下駄踊り
 
イメージ 2
そして,大漁唄い込み!
 
リーダーの下駄踊りと大漁うたい込み,吹奏とチアの連携,チアのスタンツなど,現役ならではの絵柄で皆さんの活動の模様を仕上げてくださったと思っています。
イメージ 3
吹奏とチアの連携
 
イメージ 4
躍動的な吹奏とチア!
 
そしてその中で,私がオヤッと思ったのは,女性らしきリーダーの姿でした。
一時,応援団員がおらなくなった時に,立ち上がってくださった方に敬意を表しての,この度の記念品でのワンショットだと推測したのですね。
これはこれは,大変なグッドジョブだったと思いますね。
イメージ 6
スタンツのチア部!
 
イメージ 5
女性リーダーの雄姿
 
実は現在,川内図書館で開催している展示会で,この女性リーダーの方の姿を見ることができます。
皆さまどうぞ,図書館の展示会にいらしてください!

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