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――今でも、夢に見る事がある。
あの日、僕は大切な人を失った。
誰よりも優しくて、誰よりも"僕"を見てくれていた母。
悲しみで、僕は心を失った。
…でも、僕は光に出会った。
仲間にも出会った。
こんな僕でも、誰かを救える気がした。
そして、今、僕の目の前には彼がいる。
僕に似た、何かを失ったような瞳。
僕は、彼に語りかける。
「…君もシャインに会ったんだね。」
[仮面ライダーウインド]
Episode 2nd「海」
「シャイン…?何のことだ?」
彼はこう返した。当然の反応だと思う。
僕は説明を始める。
「光り輝く存在…君も会ったんだろ?彼の名は仮面ライダーシャイン。」
「…仮面ライダー…シャイン?…一体何を言ってるんだアンタ…。」
"仮面ライダー"という単語には何故か引っかかった様だった。僕は続ける。
「そして、シャインに出会い力を得た者も仮面ライダーとなる。…君や…僕のようにね。」
「!?…アンタも、変身できるっていうのか…?」
「そう。良かった、飲み込み早くて。」
仲間の一人は全然信じてくれなかったからね。
「…イマイチ信じられないな。…いや待てよ。アンタなのか?ミストと戦ってるってのは。」
「そう。でも正確には違う。僕らの敵は…仮面ライダーダーク。」
「仮面ライダー?味方の名前じゃないのか?」
当然の質問だろう。
「シャインが光なら、ダークは闇。ダークとは、ミストを生み出す存在さ。」
「ミストを…生む!?そんな奴らがいるってのか?」
「うん…。だから、僕たちはダークを探しているんだ。ミストを倒しながらね。」
少し考えて、彼は答えた。
「一人じゃないみたいだな。そこにも誰かいるだろ?」
「!?」
僕は驚いた。勘が優れているんだろうか。
「フン…雑魚じゃ無さそうだな。」
そう言いながら、彰が出てきた。飲み込みが遅かった人。
「何だ?アンタ…。」
「彼は火野彰、仮面ライダーファイラ。そっちの大きい人は土屋仁、仮面ライダーグラウン。」
僕は彼らを紹介した。仁が何も言わずに頷く。彰は…バカにしたようないつもの態度だ。
「仮面ライダー…。」
「そして僕は水野海。仮面ライダーヴォルティス。」
「…名乗られて名乗らないってのも気持ち悪いな…。俺は秋野翼だ。」
今時律儀な人だと思った。少し好感と、興味を抱いた。
「変な奴だな。」
彰が皮肉っぽく返す。…こういうトコいまだに慣れないな。
「会ったばかりの奴に変な奴呼ばわりされる筋合いは無いね。」
ツバサ…という彼も負けていない。少し仁が笑った様な気もする。
「何だと…?テメェ喧嘩売ってんのか?」
「ちょ、ちょっと彰。目的忘れないでよ。」
僕は彰を止めた。ここで喧嘩されたら困るからね…。
「目的…?俺に接触した目的は何だよ?」
「…単刀直入に言う。僕らの仲間になって欲しい。」
「仲間…。」
「そう、仲間!僕たちは同じ仮面ライダー同士なんだ。一緒に戦おう!」
ツバサはまた考え込んだ。
そして、そこから出た言葉は意外なものだった。
「…嫌だね。」
「ど、どうして!?ミストと戦わないっていうの?力があるのに!?」
僕にはその答えが信じられなかった。
「はっ!只の腰抜け野郎かよ。」
彰が言うが、ツバサはすぐに反論した。
「ミストとは戦う、俺なりのやり方でな。…だが、アンタらとつるむ気は無いってだけさ。」
"ミストと戦う"その言葉には少し安心したけど、聞かずにはいられなかった。
「どうして!?戦うなら味方が多い方が…」
「さっき会ったばかりの奴らを信用しろっていったって、無理な話だろ。」
意外だった。…でも言われてみればそうなのかもしれない。
「そう…、そうだよね。で、でも約束して!人類の敵にはならないって!」
念を押さずにいられなかった。
仮面ライダーが人類の敵になることはあっちゃいけない。
仮面ライダーの僕だからこそ、それがわかる。彼に伝えられるから…。
「言ったろ。ミストとは戦うってな。じゃあな。」
そう言うと彼は行ってしまった。
「フン、だから言ったんだよ。何処の誰だかわからねぇ野郎なんか、仲間にする必要ないってな。」
彰が言った。
「海からすれば我々とて"何処の誰だかわからない野郎"だがな。」
僕が言い返す前に、珍しく仁が口を開いた。
「それもそうだね。でも、やっぱり仲間は多い方がいいよ。」
僕はそう思っていた。
今までは何とかなっていたけど…これから何があるかわからない。
「ちっ…だが奴が仲間にならねぇっつってんだからしょうがねぇだろ。」
それだけ言うと、彰は行ってしまった。
「それはそうだけど…」
「過ぎたことはしょうがない。敵にはならないと言っているのだから良いだろう。」
そう言って、仁も行ってしまう。
…こういう2人なのだ。
いまさら言ってもしょうがないし、彼らには何度も助けられた。
僕の大切な"仲間"だ。
…アキノツバサ。
少し彼を追ってみたくなった。
僕と同じような瞳をした彼が、どんな人間なのか。
もしかしたら仲間になってくれるかもしれないし…。
そう思った僕は、停めてあったバイクに跨った。
当ては無いけど、街を走っていればいつかは見つかるさ。
―――僕は諦めが悪い方なんだ。
:第2話前半です。
解りにくいかもしれませんが、視点が翼からもう一人の主人公、水野海に変わります。
こういう感じで進んでいく予定でございます。
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