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今回のリサイタルに対しての期待感は相当なものだった。
何故ならデヴィーアの前回のリサイタルが、あまりに素晴しすぎて涙が自然に出てくるほどで、やはり初めてのデヴィーアのリサイタルであんなものを見せられてしまったらしょうがないではないか。
一つ違うのは、今回はソロのリサイタルではなく、デュオだということ。

お相手はフィリアノーティ。

数年前、私がオペラを聴き始めた頃にMadokakipがデヴィーアのルチア@スカラ座のDVDを送ってくれたのだが、その後彼女のブログのコメント欄で、今回の主催者でもあるラ・ボーチェから出している「椿姫」の存在を知り、早速買い付けた。そのDVDでアルフレードを演じていたのがフィリアノーティである。

このDVDを見たときは泣けて泣けてしょうがなかった。
くさい演出もあるが、それはそれでよかった。
白いカメリアと共に思い出が走馬灯のように、、、という画像なんか本当につくり過ぎであざとい。
そのあざとさにまんまと引っかかって泣けてしまい、感激興奮して、ありとあらゆる周りの人に、DVDをプレゼントして回ったほどだった。

その中の何人かはすっかりデヴィーアのファンになったのであるからして、まぁ広報活動には多少は役
立ったと思う。


さて、待ちに待ったリサイタル当日。
一緒に行く母と、もう一人の友人と待ち合わせて行ったのだけれど、友人が来ない。

電話をすると「ちょっと遅れているけれど今出ます。」とのこと。
彼女はサントリーホールから徒歩圏内に事務所を構えているので、間もなく来るであろうと、先に母と中に入る。

中に入ると見知った顔がちらちら。
madokakip広場の繋がりでお知り合いになった方々と挨拶を交わしながら席に着く。

周りには早々たる面子が勢ぞろい。
昭和音大のステージに上がっていた(レッスンを受けていた)方々や関係者はもちろんのこと、オペラを好きな人は誰でも知っている某指揮者の方や評論家、その他テレビで良く見知った顔ぶれがずらり並んでいた。

デヴィーアがここまでに支持されているのに本当に驚いた。
ちなみに私の席の斜め前には池田理代子さん。

開演のブザーが鳴り、ドアが閉まっても友人は一向に来る気配なし。
ヤキモキしつつ、リサイタルは始まる。



第1部:

モーツァルト「魔笛」より「なんと美しい絵姿」(F)

登場してきたフィリアノーティーのなんと爽やか好青年なこと。
モーツァルトは好きではないんだけれど、意外や意外、フィリアノーティの声質に合っているのか、とても心地よい響きだった。
高音がとてもよく伸びていて、DVDで聴いていたよりずっといいな、というのが正直な感想。
重々しさはないけれど、その声の軽さがなんとなく彼の雰囲気どおり。
 

ドニゼッティ「アンナ・ボレーナ」より「泣いているの?〜私のおうちに」(D)

若干苦しい歌いだし。
しかしながら、前回のリサイタルでも尻上りに良くなっていったのでそれを待つとしよう。
苦しい、といってもデヴィーアのレベルでの、デヴィーアの最高のステージと比べての「苦しい」だけであって、全然素晴しいのは事実。


ドニゼッテイ「愛の妙薬」より「人知れぬ涙」(F)

いやー、一曲目のモーツァルトの伸びやかな歌と比べるとこれは若干苦しい。
何が苦しいって、フィリアノーティの低音が。
フィリアノーティの高音の伸びに癒されたばかりだったのでこれは少しイタかった。
後半は良かったんだけれどね。。。

しかし、この曲は何度聴いてもいい曲だな、、、、本当に素晴しい曲です。
 

ベッリーニ :オペラ「ノルマ」より前奏曲 (オケ演奏)

良くも悪くも色のない演奏かな、と思った。
オケが主張しすぎないことでまとまってはいるけれどちょっとつまらない。
かといってまとまってほしい弦の部分で若干テンポの乱れが。


ベッリーニ :オペラ「ノルマ」より「清らかな女神」(D)

つまり、私が行った4月のリサイタルがどれだけのものだったのか、と。
つまり、もしかしたら初めてにして最高の舞台を観てしまった私は最高に幸せであると同時に、不幸せとまではいかないものの、間違いなく感動できるはずレベルの舞台にさえ若干ではあるが、消化不良感をもち続けていかなくてはならない可能性があるということで、、、、。

いや、本当に良かった。
やはり彼女の歌の魅力というのは、基本に忠実な技術を持ち合わせているところであり、正確な技術に基づいたその上品で素晴しい感情表現がたまらない魅力であると。プリマドンナでありうる当然の術力の持ち主だとほとほと感心させられるのだ。

あの伸びのある高音も
転がるような節回しも
彼女だからこそ聴ける歌であって
他の誰が歌っても満足のいくことは少ないと思う。

良かったんだけど最高を聴いてしまった身としては、どうしてもまだ万全ではないデヴィーアを冷静に眺めてしまうのだ。
いや、何十回、何百回のリサイタルの中のたった一回あるかないかの最高に立ち会う幸運を期待して万全の瞬間が来るのを待ってしまうのだ。

ちなみに遅れている友人はこの直前に滑り込みで間に合った。
デヴィーアのこの曲は何があっても聞き逃してほしくない1曲だったので胸をなでおろす。
彼女は初デヴィーアだったのだが、かなり感激したようで、一幕が終った直後、聴き逃さなかった幸運を喜び合った。

 
ドニゼッティ :オペラ「ランメルモールのルチア」より「祖先の墓に別れを告げよう」(F)

大好きなエドガルドのフィナーレのアリア。
なるほど。
これで来ましたか。

当然のことながらイタリア語の流れが美しくて、たまたまデヴィーアの公開レッスンで色々聞いたばかりなので、いつもと聴くポイントが当然のことながら違ってくる。
感覚だけで楽しむのもいいけれど、こんな風に頭の中で解釈講釈を自身に課していくのもまた楽しいな、と思った。

さて、このルチアなんだけれど、良かった!
すごくよかった、一部の中で一番良かった、と幕間にも話したし、実際そうだった、というのも覚えている。
それなのに、それなのに、、、、、どうしてもフィリアノーティの歌が思い出せない。

レポを後回しにすると往々にしてこういうことが起こるのだ。。。。。悲しい。


ドニゼッティ :オペラ「ルクレツィア・ボルジア」より「この若者は私の息子でした」(D)

オペラ初心者と言い訳がきかなくなってきた今日この頃ながら(と言っても初心者で勉強不足なのは事実なので、さすがに初級者になりましたとも言い難い。)、聴く曲が偏っている私には、こんな名曲でさえ聴くのが初めて。
いやいや、素晴しかった。

この日一番の技巧で観客を魅了したデヴィーア。

何が素晴しいってやはりコロラトゥーラ。
万全でないにもかかわらず、ここまで観客を熱狂させるとは。

彼女が公開レッスン中に何度も繰り返し言っていたレガートの方法やどこで息を継ぐのか、発音の美しさ、ピアノ、ピアニッシモで声を支え、フォルテ、フォルテッシモでも決して声を乱暴に張り上げない。そして、自分で表現していくこと。
当たり前に思っていた丁寧に歌うことでさえもがどれほどまでに難しいことなのか思い知ったけれど、同時にそれを身につけているデヴィーアの技巧の高さと素晴しさを改めて見せ付けられた。


第一部が終わり、空腹の私は軽い食事を頬張りながら母や友人と談笑。
友人のお嬢さんはイタリアでオペラの勉強をしているのだが、このリサイタルのために帰国したらしい。本場ですらそうそうこんな機会はないのだという。

日本という金満国に住んでいることに時に嫌悪を覚えつつ、チケットの高さに閉口しつつ、でもやっぱり最後には、こんな幸運をわざわざ海外に行かずして得られることに大きく感謝。  

さて遅れてきた友人だが、話を聞くと文化会館に行ってしまったらしい。
数日前に世界バレエ・フェスで一緒に文化会館に行ったのだが、その記憶が何故か今回の公演はサントリーホールではなく文化だと思い込んでしまったと。
タクシーすっ飛ばして上野にある文化会館に行ったら電気がついてなくて、チケットを見て愕然、慌てて別のタクシーを捕まえて赤坂に向かったと言う。。。。お疲れ様です。


さて、どうでもいいことばかり書いていたので、字数オーバーで二部がアップロードできなくなってしまった。

ということで、リサイタルのレポの続きはこちらへ。

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