源氏物語のすべて=写本・本文・訳・音=美しい文章と文字(紫式部)

古典は小学生から学ぶとよい。[源氏物語] 写本・本文(原文)・現代語訳 を比較して見ると便利。 古典を読む-小中高大学生涯教育、

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源氏物語の登場人物


●明石の方関係
明石入道(あかしのにゅうどう) - 明石の方の父。桐壺更衣の従兄弟。 明石尼君(あかしのあまぎみ) - 明石の方の母。祖父は中務宮。


●玉鬘関係
右近(うこん) - 夕顔の侍女。その死後は源氏に仕えた。初瀬の観音詣での際に玉鬘と再会。
太夫の監(たゆうのげん) - 筑紫の有力者。粗暴で教養に欠ける。「身体に障りがある」との偽りの噂を気にすることなく玉鬘に結婚を申し込む。彼が玉鬘にあまりに嫌われたことが、玉鬘が京に戻るきっかけとなった。
髭黒の大将 - 今の帝の伯父。髭が濃く、色黒なことから髭黒と呼ばれる。生真面目で一途な性格だが、複数の妻を平等に扱うことが出来ないなど、平安貴族としては欠点を多く持つ人物とされる。兵部卿宮の娘とは長年連れ添い、その心の病にも耐え続けてきたが、玉鬘を見初め強引に関係を持ち北の方に迎えてしまった。
鬚黒の北の方 - 兵部卿宮の娘。紫の上の異母姉。「物の怪憑き」であり発作を起こすことがある。大将が玉鬘を北の方に迎えた後は真木柱と共に実家に戻った。
真木柱(まきばしら) - 髭黒の大将の娘。祖父兵部卿宮の家で育つ。蛍兵部卿宮と結婚し一女をもうけたが、関係は芳しくなかった。蛍兵部卿宮の死後に紅梅大納言と再婚、こちらとの関係は良好であった。


●落葉の宮関係
落葉の宮(おちばのみや) - 朱雀院の女二の宮。柏木の正室。柏木の死後、夕霧の正妻となる。
御息所(みやすどころ) - 朱雀院の更衣。落葉の宮の母。夕霧が落葉を弄んだと誤解、かねてからの病とその心痛から恨みの歌を遺して死亡。
阿闍梨(あじゃり) - 御息所に祈祷を授ける僧侶。御息所に夕霧が落葉に通っていることを伝えた。


●女三宮関係
小侍従(こじじゅう) - 朱雀院の女三宮の乳姉妹。柏木の召人。柏木の願いを受け、女三宮への手引きをした。


●宇治十帖の人々
薫(かおる、薫君(かおるのきみ)とも) - 表向きは光源氏の次男であるが、実は柏木と女三宮の男子。
匂宮(におうのみや) - 今上帝の第三皇子。母は明石中宮。
(宇治の)大君(おおいぎみ) - 桐壺帝八の宮の長女。薫の思い人。プラトニックな関係だった。病弱で若くして他界。
(宇治の)中君(なかのきみ) - 桐壺帝八の宮の次女。後に匂宮夫人。
浮舟(うきふね) - 桐壺帝八の宮の庶出の娘。薫の愛人。後匂宮にも求愛され、苦悩の末入水を図る。
東宮・今の帝(とうぐう・いまのみかど) - 冷泉帝の皇太子、朱雀院の皇子。明石中宮を后とする。
女二宮(おんなにのみや) - 今の帝の皇女。母は藤壺女御。薫の北の方。
弁(べん) - 薫の出生の秘密を知る老女。柏木の乳母子。朱雀院の女三の宮の小侍従は従姉妹。今は八の宮の姫君たちの世話をする女房。薫に秘密を明かした。また、大君との間も取り持とうとした。後に出家。さらに大君の身代わりを求める薫に浮舟の出生の秘密や所在を明かした。
六の君(ろくのきみ) - 夕霧の娘。母は藤典侍。落葉の宮の養女。匂宮の北の方。
頭の中将 - 夕霧の左大臣の長男。宇治の紅葉狩りに際しては、明石中宮の命により匂宮を監視。
中将の君 - 浮舟の母。桐壺帝八の宮の侍女で、北の方の姪。北の方の死後、一時八の宮の愛人となるが、浮舟が生まれてからは疎んじられ側を離れた。大君・中君は従妹にあたる。
常陸介 - 中将の君の夫。妻との間に多くの子をなしたが、彼女が浮舟ばかりを可愛がるため浮舟には冷たい態度を取ることが多い。
小君 - 常陸介と中将の君の子。浮舟失踪後、薫の心を慰めるために彼に仕える事となった。
左近の少将 - 浮舟の婚約者。常陸介の後ろ盾を求めており、浮舟がその実の娘でないと知って婚約破棄、常陸介の実の娘と婚約し直した。
横川の僧都(よかわのそうづ) - 入水した浮舟を助ける。後にその願いを聞き、浮舟を出家させた。宮廷に呼ばれるほど徳の高い僧侶。

登場人物(B)


登場人物
『源氏物語』の登場人物は膨大な数に上るため、ここでは主要な人物のみを挙げる。
なお、『源氏物語』の登場人物の中で本名が明らかなのは光源氏の家来である藤原惟光と源良清くらいであり、光源氏をはじめとして大部分の登場人物は「呼び名」しか明らかではない。
また、『源氏物語』の登場人物の表記には、もともと作中に出てくるものと、直接作中には出てこず、『源氏物語』が受容されていく中で生まれてきた呼び名のふた通りが存在する。
また作中での人物表記は当時の実際の社会の習慣に沿ったものであると見られ、人物をその官職や居住地などのゆかりのある場所の名前で呼んだり、「一の宮」や「三の女宮」あるいは「大君」や「小」君といった一般的な尊称や敬称で呼んだりしていることが多いため、状況から誰のことを指しているのか判断しなければならない場合も多いだけでなく、同じひとりの人物が巻によって、場合によっては一つの巻の中でも様々な異なる呼び方をされることがあり、逆に同じ表現で表される人物が出てくる場所によって別の人物を指していることも数多くあることには注意を必要とする。

光源氏
第1部・第2部の主人公。桐壺帝と桐壺更衣の子で桐壺帝第二皇子。臣籍降下して源姓を賜る。いったん須磨に蟄居するが、のち復帰し、さらに准太上天皇に上げられ、六条院と称せられる。
原文では「君」「院」と呼ばれる。妻は葵の上、女三宮、事実上の正妻に紫の上。子は、夕霧(母は葵の上)、冷泉帝(母は藤壺中宮、表向きは桐壺帝の子)、明石中宮(今上帝の中宮。母は明石の御方)。ほか養女に秋好中宮(梅壺の女御)(六条御息所の子)と玉鬘(内大臣と夕顔の子)、表向き子とされる薫(柏木と女三宮の子)がいる。

桐壺帝
光源氏の父。子に源氏のほか、朱雀帝(のち朱雀院)、蛍兵部卿宮、八の宮などが作中に出る。末子とされる冷泉帝は、桐壺帝の実子でなく、源氏の子。

桐壺更衣
桐壺帝の更衣。源氏が3歳のとき夭逝する。

藤壺中宮
桐壺帝の先帝の内親王。桐壺更衣に瓜二つであり、そのため更衣の死後後宮に上げられる。源氏と密通して冷泉帝を産む。

葵の上
左大臣の娘で、源氏の最初の正妻。源氏より年上。母大宮は桐壺帝の姉妹であり、源氏とは従兄妹同士となる。夫婦仲は長らくうまくいかなかったが、懐妊し、夕霧を生む。六条御息所との車争いにより怨まれ、生霊によって取り殺される。

頭中将/内大臣
左大臣の子で、葵の上の同腹の兄。源氏の友人でありライバル。恋愛・昇進等で常に源氏に先んじられる。子に柏木、雲居雁(夕霧夫人)、弘徽殿女御(冷泉帝の女御)、玉鬘(夕顔の子、髭黒大将夫人)、近江の君など。主要登場人物で唯一一貫した呼び名のない人物。

六条御息所
桐壺帝の前東宮(桐壺帝の兄)の御息所。源氏の愛人。源氏への愛着が深く、その冷淡を怨んで、葵の上を取り殺すに至る。前東宮との間の娘は伊勢斎宮、のちに源氏の養女となって冷泉帝の後宮に入り、秋好中宮となる。源氏は御息所の死後、その屋敷を改築し壮大な邸宅を築いた(六条院の名はここから)。

紫の上
藤壺中宮の姪、兵部卿宮の娘。幼少の頃、源氏に見出されて養育され、葵の上亡き後、事実上の正妻となる。源氏との間に子がなく、明石中宮を養女とする。晩年は女三宮の降嫁により、源氏とやや疎遠になり、無常を感じる。

明石の御方
明石の入道の娘。源氏が不遇時にその愛人となり、明石中宮を生む。不本意ながら娘を紫の上の養女とするが、入内後再び対面し、以後その後見となる。

末摘花
常陸宮の娘。大輔の命婦の手引きで源氏の愛人となるが、酷く痩せていて鼻が象の様に長く、鼻先が赤い醜女。作品中最も醜く描かれている。

女三の宮
朱雀院の第三皇女で、源氏の姪にあたる。藤壺中宮の姪であり、朱雀院の希望もあり源氏の晩年、二番目の正妻となる。柔弱な性格。柏木と通じ、薫を生む。

柏木
内大臣の長男。女三宮を望んだが果たせず、降嫁後六条院で女三宮と通じる。のち露見して、源氏の怒りをかい、それを気に病んで病死する。

夕霧
源氏の長男。母は葵の上。母の死後しばらくその実家で養育されたのち、源氏の六条院に引き取られて花散里に養育される。2歳年上の従姉である内大臣の娘雲居雁と幼少の頃恋をし、のち夫人とする。柏木の死後、その遺妻朱雀院の女二宮(落葉の宮)に恋をし、強いて妻とする。


第3部の主人公。源氏(真実には柏木)と女三宮の子。生まれつき身体からよい薫がするため、そうあだ名される。宇治の八の宮の長女大君、その死後は妹中君や浮舟を相手に恋愛遍歴を重ねる。

匂宮
今上帝と明石中宮の子。第三皇子という立場から、放埓な生活を送る。薫に対抗心を燃やし、焚き物に凝ったため匂宮と呼ばれる。宇治の八の宮の中君を、周囲の反対をおしきり妻にするがその異母妹浮舟にも関心を示し、薫の執心を知りながら奪う。

浮舟
八の宮が女房に生ませた娘。母が結婚し、養父とともに下った常陸で育つ。薫と匂宮の板ばさみになり、苦悩して入水するが横川の僧都に助けられる。

源氏物語各帖のあらすじ 

第一部 (1)生立ちと遍歴

01 桐壺(源氏1-12歳)
帝(桐壺帝)はそれほど身分の高い家の出ではない桐壺更衣を寵愛し皇子を儲けるが、更衣はやがて病死してしまう。これを深く嘆く帝を慰めるために亡き更衣生きうつしの藤壺が入内し、新たな寵愛を得る。一方で更衣の遺児は帝のもとで育てられ、亡き母に似るという藤壺をことに慕うようになる。元服した彼は帝によって源氏を賜り、左大臣家娘葵の上の婿となって、その光り輝くような美貌から光源氏と呼ばれるようになる。桐壺参照。

空白部分(源氏13-17歳)
父の女御である藤壺と情を通じ、六条御息所と契る。また朝顔の斎院との関係を持つ。この期間を描いた「輝く日の宮」という巻があったとする説もある。

02 帚木(源氏17歳夏)
五月雨のある夜、宮中に宿直する源氏のもとに若い公達が集って「雨夜の品定め」を行う。翌日、物忌みに出向いた邸で、源氏は伊予介の妻空蝉と関係を持つ。源氏は彼女の弟を手なづけ、その後何度も逢瀬を求めるが、空蝉はこれをかたくなにこばみつづける。帚木参照。

03 空蝉(源氏17歳夏)
夏の夕暮、源氏は空蝉と義理の娘軒端荻が碁を打つのを垣間見、いよいよ慕情をつのらせる。夜に入って源氏が寝間に忍びこむと、空蝉はそれと察して衣だけを脱捨てて逃げてしまう。蝉の抜殻のごとき着物を抱いて源氏は帰途につく。空蝉参照。

04 夕顔(源氏17歳夏から冬)
源氏は身分を隠したまま五条辺りに住う夕顔と関係を持つ。夕顔は親友頭中将の恋人で、行方知れずになっていた人であった。源氏は可憐で素直な夕顔を深く愛するが、六条御息所が嫉妬のあまり生霊となってある夜これをとり殺す。源氏は女の死を深く嘆くのであった。夕顔参照

05 若紫(源氏18歳3月から冬)
翌年の春、源氏は病気加療のため北山に赴き、そこで祖母の尼君とともに住まう美貌の幼女を見かける。藤壺の姪にあたる彼女に源氏は執心し、引き取って手元で育てたいというが尼君は応じない。夏、藤壺が病気のため宿下りする。源氏は二度目の密会を行い、直後に彼女の妊娠が発覚する。冬、源氏は北山の幼女をなかば誘拐のようにして手元に引取る。若紫と呼ばれる彼女こそ、後の紫の上である。若紫参照。

06 末摘花(源氏18歳春から19歳正月)
常陸宮の姫君が廃邸にひっそりと暮しているという噂に源氏と頭中将が心ひかれ、競争のようにして言いよる。源氏がひと足はやく彼女と関係してみると、意外にも鼻の長く赤い醜女であって源氏は閉口する。鼻の先が紅花で染めたように赤いことから、彼女を末摘花という。末摘花参照。

07 紅葉賀(源氏18歳10月-19歳7月)
帝が上皇の長寿のお祝いを紅葉賀と銘打って主催し、源氏はこれに舞を舞う。その舞姿は宮中でも試楽され、藤壺はじめ大宮人はその姿に賛嘆する。翌年の春、藤壺が男子出産。帝はみずからの子と信じて疑わず、これを東宮にしたいと考える。紅葉賀参照。

08 花宴(源氏20歳春)
翌年の春、宮中の観桜の宴ののち、源氏はさる姫君と関係を持つ。春の末、右大臣家の宴に招かれた源氏は、彼女が政敵右大臣の娘で、まもなくみずからの兄のもとに入内する朧月夜の君であることを知る。花宴参照。

09 葵(源氏22歳4月から23歳正月)
二年後。桐壺帝はすでに退位し、源氏の兄が即位している(朱雀帝)。賀茂祭の折、車の場所争いのことで六条御息所は葵の上によって辱めを受け、これを深くうらむ。折から妊娠していた葵の上は産褥に御息所の生霊に苦しめられ、無事男子(夕霧)を出産したものの亡くなってしまう。夏の終り、源氏は紫の上と新枕を交わす。葵参照。

10 賢木(源氏23歳9月-25歳夏)
六条御息所はみずからの生霊のおそろしさにおびえ、娘が伊勢斎宮となったのを機にともに伊勢に下ることを決意し、嵯峨野の野宮に籠もって潔斎する。秋の終り、源氏は彼女を訪い、名残を惜しむ。冬、桐壺帝崩御。藤壺も源氏との関係を思い悩み出家する。源氏と朧月夜との関係は、彼女の入内後もつづいている。翌年夏、源氏は朧月夜との密会を右大臣に見つけられる。桐壺帝死後の右大臣派と左大臣派の政争にまきこまれた源氏は、これを口実に陥れられようとする。賢木参照。

11 花散里(源氏25歳5月)
五月雨の晴れ間、源氏は故桐壺院の女御の一人、麗景殿女御のもとを訪れる。ひっそりと物静かな、昔語りのゆかしい風情に住みなしている人のもとで、源氏は父帝在世のころをしのぶ。後に妻の一人となる女御の妹花散里との出会いは作中に記述されておらず、この巻で久々の再開と言う形をとる。花散里参照。


第一部 (2)須磨流寓から都へ

12 須磨(源氏26歳3月から27歳3月)
罪せられそうな気配を敏感に察し、源氏は先手を打って須磨に隠遁する。かかわりのある女君たちに別れを告げ、紫の上の身上を心配しつつ、京を去る源氏の姿はあわれぶかい。翌年春、海辺に源氏が上巳の禊を行うと天に嵐がおこる。一方で隣国の明石入道は、須磨に源氏が仮寓することを知って娘との結婚を画策する。須磨参照。

13 明石(源氏27歳3月から28歳8月)
父帝の夢告により源氏は須磨を離れ、明石入道がこれを迎えいれる。入道の娘明石の御方と源氏は関係し、やがて妊娠の兆候があらわれる。一方都では朱雀帝の夢に桐壺帝があらわれ、源氏は無実の旨を告げて叱責する。帝は源氏追放を悔いて勅旨によって帰京を命じる。源氏は明石の御方に心を残しつつ、京へと急ぐ。明石参照。

14 澪標(源氏28歳10月-29歳冬)
帰京後、源氏は順調に政界に復帰し、栄耀の道を歩みはじめる。年変って、朱雀帝退位。源氏と藤壺の子冷泉帝が即位する。秋、源氏は須磨明石の流浪を守護してくれた住吉明神に詣でる。明石の御方もたまたまこれに来合わせていたが再会はできなかった。また新帝即位により斎宮が交替し、六条御息所とその娘の斎宮が帰京。間もなく御息所は病死する。源氏は御息所の遺言にしたがって彼女を養女として冷泉帝に入内させる。澪標参照。

15 蓬生(源氏28歳秋から29歳4月)
源氏逼塞のあいだ、ほかに頼るものとてない末摘花は一途に彼を待ちつづけ、落魄の生活にも耐えていた。久々に源氏は彼女を訪れ、その純情に心を動かされる。蓬生参照。

16 関屋(源氏29歳9月)
夫に従って常陸に下っていた空蝉が帰京する。石山寺参詣の途次、その行列に行合わせた源氏は思わず歌の贈答を行う。関屋参照。

空白部分(源氏30歳)
この年は物語のなかに記述がない。

17 絵合(源氏31歳春)
冷泉帝の後宮に時めく斎宮女御(梅壷女御。後の秋好中宮)と権中納言の姫君(弘徽殿女御)は、それぞれかつての親友であった源氏と頭中将(今は権中納言)が後盾となって寵を競っている。宮中に絵合が行われることになり、二人はおのおのみずからの姫君を勝たせるべく絵巻の収集に余念がない。絵合の当日、源氏が須磨流浪の折の自筆の絵巻が藤壺、冷泉帝に賞賛され、斎宮女御方の勝ちとなった。絵合参照。

18 松風(源氏31歳秋)
源氏は明石の御方の上洛をうながすが、身分を思う彼女はなかなか肯んじえない。入道の薦めによりやっと大堰川あたりの別邸に忍んで上京した彼女を源氏は喜び迎え、姫君とも親子の対面をする。源氏に事情を聞いた紫の上はみずからに子のないことに引きくらべ嫉妬を覚えるが、ゆくゆく姫君を紫の上の養女としようという源氏の言葉に喜ぶ。松風参照。

19 薄雲(源氏31歳冬-32歳秋)
明石の姫君が源氏のもとへ引きとられ、大堰の別邸では親子の悲しい別れが繰りひろげられる。翌年の春、藤壺が薨去し、源氏の悲哀はかぎりない。一方で冷泉帝はふとしたことからみずからの出生の秘密を知ってしまい、実の父である源氏を皇位につけようとするが、源氏はこれを諌め、秘密を守りつづける。薄雲参照。

20 朝顔(源氏32歳秋から冬)
かつて源氏が深い想いを寄せていた従姉妹である朝顔の斎院が退下した。世人の噂が高いために、紫の上は不安の色を隠せなかったが、朝顔は源氏の求婚を拒み通した。源氏は紫の上に女君たちのことを語ったが、その夜夢に藤壺が現れ、罪が知れたと言って源氏を恨んだ。朝顔参照。

21 少女(源氏33歳4月-35歳10月)
葵の上との子夕霧が元服する。源氏は思うところあって、彼を大学に学ばせるが、貴顕の子弟として夕霧はこれを恥じる。幼馴染で恋仲の雲居雁はかつての頭中将(内大臣)の娘であるが、彼女との仲も今や源氏の政敵となった内大臣によって塞えられ、夕霧は鬱々とする。翌々年、源氏の邸宅六条院が完成する。院は四季の町に分けられており、春に紫の上、夏に花散里そのほかの人びと、秋は斎宮女御の宿下りの町(このために秋好中宮と呼ばれる)、冬に明石の上が住いする。末尾に、紫の上と秋好中宮の春秋の争い歌がある。少女参照。

第一部 (3)玉鬘十帖

玉鬘十帖(「玉鬘」より「真木柱」まで。源氏35-36歳)
夕顔と頭中将の子玉鬘は、運命のめぐりあわせによって源氏に引きとられ六条院に住まうことになる。彼女は源氏、蛍兵部卿宮(源氏の弟)、柏木(異母兄にあたる)などから求婚されるが、結局はもっとも無粋な髭黒大将が強引に彼女と結婚してしまう。玉鬘十帖は彼女をめぐる物語を中心に、「初音」より「行幸」に六条院の一年を優雅な筆致で描く短い帖によって構成されており、話の運びよりも風情が主体となっている。

22玉鬘(源氏35歳3月から12月)
玉鬘は乳母によって大宰府に連れてゆかれ美しく成人する。一目父に逢わせたいと乳母とともに初瀬に参籠した折、たまたまかつての夕顔の女房で今は源氏に仕える右近とめぐり逢い、彼女は源氏に養女として引きとられる。玉鬘参照。

23 初音(源氏36歳正月)
年明けて六条院の優雅な初春の情景が描かれる。源氏のもとに年賀に来る若公達は、玉鬘のために気もそぞろである。初音参照。

24 胡蝶(源氏36歳3月から4月)
三月、秋好中宮の宿下りにあわせて六条院では船遊びが行われ、その後もさまざまな行事がつづく。玉鬘のあまりの魅力に源氏までが冗談めいた想いをうちあける。胡蝶参照。

25 蛍(源氏36歳5月)
玉鬘は鬱々として楽しまないが、源氏は彼女に好意を持つ公達をからかって楽しむ。弟兵部卿宮が来訪すると、源氏は御簾のなかに蛍を放って、玉鬘の美貌を彼に見せるのであった。六条院では五月雨のつれづれに絵物語がはやり、源氏と玉鬘が物語論を交わす。蛍参照。

26 常夏(源氏36歳6月)
夏のある日、源氏は夕霧や若公達を招き、内大臣が最近引取った娘近江の君の悪趣味、無風流を揶揄し、その後撫子(常夏)の咲乱れる御殿に玉鬘を訪ねるのだった。常夏参照。

27 篝火(源氏36歳7月)
秋のはじめのある夜、源氏は玉鬘に琴を教え、庭に篝火を焚かせて添臥しする。しかし男女の関係にはならない。篝火参照。

28 野分(源氏36歳8月)
野分(台風)の翌朝、夕霧は源氏の妻妾を見舞いに六条院にゆき、偶然紫の上を見て心を引かれる。また玉鬘に戯れる父の姿に不審を抱くのであった。野分参照。

29 行幸(源氏36歳12月-37歳2月)
冬、大原野の行幸があり玉鬘に執心する冷泉帝を垣間見て彼女もにくからず思う。源氏は内大臣に真相を打明け、入内にむけてまずは玉鬘の裳着(古代女性の成年式)を行うことを二人は話しあう。年明けて、春、玉鬘は裳着を行い、内大臣と親子の対面をはたす。行幸参照。

30 藤袴(源氏37歳秋)
秋、内大臣の母大宮が物故し、孫にあたる夕霧、玉鬘らは服喪する。玉鬘入内の噂がたかくなるにつれ求婚者たちの思いは乱れ、ことに夕霧は藤袴一枝を御簾に差入れて彼女に意中をあかす。藤袴参照。

31 真木柱(源氏37歳冬-38歳11月)
秋の末、かねてより思いをかけていた鬚黒大将が女房の手引きにより玉鬘と強引に関係を持つ。源氏、帝の落胆は言うまでもない。玉鬘に夢中の鬚黒はもとの北の方や彼女との子供たちをまったく顧みず、怒った舅式部卿宮は娘と孫を引取ることにする。姫君は父との別れを悲しんで歌を詠み、真木の柱の割目にさしはさむのであった。翌年の秋、玉鬘は髭黒の子を生む。 真木柱参照。

第一部 (4)六条院の完成と栄華

32 梅枝(源氏39歳春)
明石の姫君の入内が近づき源氏は贅を尽くした準備を整える。その一環として名香の調合がひろく諸家に呼びかけられ、梅の咲く春のある日薫物合が行われるのだった。晩春、明石の姫君の裳着が盛大に行われる。梅枝参照。

33 藤裏葉(源氏39歳3月から10月)
夕霧と雲居雁の結婚を内大臣が許し、明石の姫君は東宮(朱雀帝の子)に入内する。さらに冷泉帝は翌年が源氏四十の賀であることを知って、彼を准太上天皇に進める旨を勅する。冬、冷泉帝が六条院に行幸し、源氏の栄華はここに極まる。少年の日、高麗の人相見が彼に告げた「その身は帝王にあらず、臣下にあらず」という予言はみごとに的中する。藤裏葉参照。

第二部 (1)女三宮降嫁

34 若菜 上(源氏39歳冬-41歳3月)
源氏の四十歳を祝い、正月に玉鬘が若菜を献じる。一方で朱雀院は出家に際して末娘女三宮の行末を案じ、これを源氏に嫁がしめる。紫の上の憂慮はひとかたならず、源氏自身もほんの少女にすぎない彼女に対して愛情を感じられないが、兄帝の願いを無下には断れない。秋、源氏四十の賀が盛大に行われる。さらに翌年の春には明石女御が東宮の子を出産し、源氏の権勢はいよいよ高まりつつあるが、その陰で、六条院の蹴鞠の催しに女三の宮を垣間見た柏木(内大臣の子)は彼女への密かな思慕をつのらせるのであった。若菜参照。

空白部分(源氏41-47歳)
 「若菜」の上下のあいだには七年分の空白がある。そのあいだに冷泉帝が退位し、今上帝(朱雀帝の子)が即位。明石女御の子は東宮となっている。(なお「若菜」を上下に分けるのは後代の帖立てで、本来は一巻とされる。)

35 若菜 下(源氏41歳3月から47歳12月)
  朱雀院五十の賀に際して女楽が催され、源氏は女三の宮に琴を教える。女楽の直後、紫の上が病に臥し、源氏はその看護に余念がない。その間に柏木はかねての思いを遂げ、女三宮を懐妊させてしまう。柏木が女三宮に送った手紙を手にした源氏は事情を知って懊悩する。一方で源氏の遠まわしな諷諌に、柏木は恐怖のあまり病を発し、そのまま重態に陥る。若菜参照。

36 柏木(源氏48歳正月から秋)
年明けて女三の宮は男の子(薫)を生み、柏木は病篤くして間も亡くなる。女三の宮も罪の意識深く、また産後の肥立ちの悪さから出家してしまう。源氏は薫出生の秘密を守りとおすことを決意する。一方で柏木に後事を託された親友の夕霧は、残された柏木の妻女二宮(落葉の宮)を見舞ううちに彼女に引かれるようになってゆく。柏木参照。

37 横笛(源氏49歳春から秋)
秋、柏木の一周忌が営まれる。落葉の宮の後見をする夕霧はその礼として宮の母から柏木遺愛の横笛を贈られるが、その夜、夢に柏木があらわれて、自分が笛を贈りたいのは別人である(薫を示唆)と言う。夕霧は源氏にこのことを相談するが、源氏は言を左右にしてはっきりと答えない。横笛参照。

38 鈴虫(源氏50歳夏から秋)
夏、出家した女三宮の持仏開眼供養が行われる。秋、その御殿の庭に鈴虫を放って、源氏らが宴を行う。その夜、秋好中宮が死霊となって苦しむ母六条御息所の慰霊のため出家したいと源氏にうちあけるが、源氏はこれを諌める。鈴虫参照。

39 夕霧(源氏50歳秋から冬)
秋、想いをおさえきれない夕霧は人目を忍んで落葉の宮に意中を明かすが、彼女はこれを受入れない。しかし世上両人の噂は高く、落葉の宮の母御息所はこれを苦にして病死してしまう。落葉の宮はいっそう夕霧を厭うが、夕霧は強引に彼女との契りを結び、妻とする。雲居雁は嫉妬のあまり父致仕太政大臣のもとへ帰って、夕霧の弁明をも聞きつけない。末尾に夕霧の行末とその一門の繁栄が語られる。夕霧参照。

第二部 (2)源氏の死


第二部 (2)源氏の死

40 御法(源氏51歳春から秋)
「若菜」の大病ののち紫の上の健康は優れず、たびたび出家を願うが、源氏はこれを許さず、紫の上はせめて仏事によって後世を願う。春から秋にかけて六条院最後の栄華と紫の上の病状が描かれる。秋、紫の上は病死し、源氏は深い悲嘆にくれる。御法参照。

41 幻(源氏52歳正月から年末)
紫の上亡き後の源氏の一年を四季の風物を主として叙情的に描く。年末に源氏は出家の意志をかため、女君たちとの手紙を焼き捨てる。幻参照。

雲隠
帖名のみあって本文はない。帖名に源氏の死が暗示されているというのが古くからの説。なお「宿木」に出家後数年、嵯峨に隠棲して崩御したことが記されている。雲隠参照。

第三部 (1)源氏死後の世界

42 匂宮(「匂兵部卿」)(薫14歳から20歳正月)
物語は源氏の死後数年後からはじまる。源氏一門の繁栄は明石中宮と今上帝の皇子たちを中心にゆるぎない。ことに明石中宮腹の三宮は色好みで名高く、薫と並んで世にもてはやされている。天然の薫香が身から発するために「薫」、それに対抗して名香を常に焚きしめているために「匂宮」と二人は呼ばれる。匂宮参照。

43 紅梅(薫24歳春)
柏木没後の頭中将家の物語。致仕太政大臣(頭中将)の孫娘中の君と匂宮との結婚が画策されるが、真木柱の姫君と蛍兵部卿宮の娘に心引かれる匂宮は相手にしない。後人の偽作説が濃厚。紅梅参照。

44 竹河(薫14歳から23歳)
鬚黒没後の一家の物語。玉鬘の二人の娘は、大君が冷泉院に嫁し、中の君が宮中に出仕することになる。夕霧はこの一家と親しく、彼女たちから好感を持たれている。後人の偽作説が濃厚。竹河参照。

第三部 (2)

宇治十帖(「橋姫」より「夢浮橋」まで。薫20-28歳)
柏木と女三宮の不義の子薫と、源氏の孫匂宮が、宇治の八の宮の三姉妹(大君、中の君、浮舟)をめぐって織りなす恋物語である。つよい仏教色、無常感が作品の主調をなし、優柔不断で恋に対して決定的な強引さを持たない薫の人物造形がライバル匂宮や第一部第二部の源氏と対比されている。薫の人物像はこの後の王朝物語、鎌倉物語につよい影響を与えた。

45 橋姫(薫20-22歳10月)
源氏の弟八の宮は二人の娘とともに宇治に隠棲し、仏道三昧の生活を送る。みずからの出生に悩む薫は八の宮の生きかたを理想としてしばしば邸を訪れるうちに、ふとしたことから長女大君に深く心を引かれるようになる。都に戻って薫が宇治の有様を語ると、匂宮もこれに興味をそそられるのであった。橋姫参照。

46 椎本(薫23歳2月-24歳夏)
春、匂宮は宇治に立寄り、中の君と歌の贈答をする。秋、八の宮が薨去。二人の姫君たちは薫に托された。薫は中の君と匂宮を結婚させんことをはかり、自らはを大君に想いを告げるが彼女の返答はつれない。しかし薫の慕情はいっそうつのる。椎本参照。

47 総角(薫24歳8月から年末)
薫はふたたび大君に語らうが想いはとげられず、むしろ大君は中の君と薫の結婚を望む。秋のおわり、大君がはかって中の君と薫をひとつ閨にとりのこすが、薫は彼女に手をふれようとしない。最初の計画どおり、彼は匂宮と中の君を結婚させるが、匂宮の訪れはとだえがちで、これを恨んだ大君は病に臥し、やがて薫の腕のなかではかなくなる。総角参照。

48 早蕨(薫25歳春)
翌年、大君の喪があけて中の君は匂宮のもとに引取られる。薫は後見として彼女のために尽くすが、それがかえって匂宮に疑われる始末であった。早蕨参照。

49 宿木(薫24歳春-26歳4月)
匂宮と六の君(夕霧の娘)が結婚し、懐妊中の中の君は行末を不安に思う。それを慰めるうちに彼女に恋情を抱きはじめた薫に中の君は当惑するが、無事男子を出産して安定した地位を得る。一方で薫は女二宮(今上帝の皇女)と結婚するが傷心はなぐさまない。しかし初瀬詣の折に、故大君生写しの異母妹浮舟を垣間見て、心を動かされるのだった。宿木参照。

50 東屋(薫26歳秋)
浮舟は母の再婚により田舎受領の継娘として育てられ、父親の財力のために求婚者は多い。しかし母親は高貴の男性との婚姻を望んで、彼女を中の君のもとに預ける。母の意中は薫にあったが、ある夜、匂宮が強引に契りを結ぼうとしたためにあわてて浮舟を引取り、後に薫と相談して宇治に移す。東屋参照。

51 浮舟(薫27歳春)
浮舟への執心やまぬ匂宮は、中の君への手紙から彼女の居所を察し、薫のさまを装って宇治に赴き、強引に浮舟との関係を結んでしまう。やがて浮舟も宮を憎からず思うようになるが、何も知らない薫は彼女を京にうつそうとして準備を始め、匂宮もこれに対抗してみずからのもとに彼女を連れ去る計画を立てる。その結果匂宮のことは薫の知るところとなり、裏切りを詰る歌を贈られた浮舟は二人の男のあいだで懊悩する。浮舟参照。

52 蜻蛉(薫27歳春から秋)
浮舟が行方不明になり、後に残された女房たちは入水自殺を計ったと悟って嘆き悲しみながらも、真相を隠すために急遽葬儀を行う。薫もこのことを知って悲嘆にくれる。夏になって、薫は新たに妻の姉女一宮に心引かれるものを感じるのであった。蜻蛉参照。

53 手習(薫27歳3月から28歳夏)
浮舟はじつは死んでおらず、横川の僧都によって助けられていた。やがて健康が回復した彼女は、みずからの名をあかさないまま、入道の志を僧都に告げ髪を下ろす。やがて、明石中宮の加持僧である僧都が浮舟のことを彼女に語ったため、このことが薫の知るところとなる。手習参照。

54 夢浮橋(薫28歳夏)
薫は横川に赴き、浮舟に対面を求めるが僧都に断られ、浮舟の弟小君に還俗を求める手紙を託す。しかし浮舟は一切を拒んで仏道に専心することのみを思い、返事すらもない。薫は浮舟に心を残しつつ横川を去るのであった。夢浮橋参照。


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