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(「Yahooメール」の場合、スパムの扱いになるなどして、見落としで返事が極端に遅くなってしまう可能性、返事ができない可能性があります)。

https://belgisch-bier.jimdo.com

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De Plukker Keikoppenbier (ドゥ・プルッケル・ケイコッペンビール;ベルギー/西フランデレン州)。容量750mL、アルコール度数6.1%、原材料:大麦麦芽、小麦麦芽、ホップ(アドミラル、ゴールディング、カスケード:いずれもベルギー産)、糖。無濾過、非加熱、瓶内発酵。IBU: 30。ベルジャン・ペールエール。

外観はややアンバーに近いブロンド。
少々草っぽいが、控え目な、典型的なポペリンゲ産ホップのアロマ(カスケードホップが含まれているそうだが、少なくとも私には分からない)。少し尖鋭なアルコール感。印象的に感じられるのは、モルティな甘味の背後に明確に存在する、糖を用いたことを示すやや平板な、甘味のニュアンスです(修道院ビールにしばしば感じられるような印象)。少し重々しいホップの苦味。ホップが少し利いたブロンドエールといった印象。

ベルギーの西フランデレン州ポペリンゲ(Poperinge)といえば、ベルギー国内におけるホップの一大生産地ですが、そのホップ農家の1つが、自分の栽培したホップのみを用い、ビール醸造まで行っていることは日本ではあまり知られていません。
その醸造所がドゥ・プルッケル醸造所(Brouwerij De Plukker)です。2011年11月にヨーリス・キャンビー氏(Joris Cambie)により設立されました。

ご紹介のビールの名前になっている「Keikop」とはポペリンゲの人々を表現する中世以来の「あだ名」で「石頭」といった意味のようです。

醸造所にてお話をうかがっていて、非常に印象的だったのは、「ホップ農家が造るビールということで、極めてホッピーなビールを期待されている人が多いようだが、そういうものは重視しない」と言われたことです。
むしろ、「ポペリンゲの人が、飽きることなく飲み続けられるような、この地域のホップを使った日常的なビールを造りたい」とのことでした。そして、私が意外に思われたのは、「ホールホップはクオリティの割に、安定性に劣る」とのことで、このビールにはホールホップは用いず、ペレットのみ使っているとのお話でした

(ただし、このお話をうかがったのは醸造所を建てて間もない頃で、現在ではウェット・ホップを用いたビールやIPAも期間限定で生産されているようです)。

写真2枚目・右は、ホップ生産者であり、醸造家でもあるヨーリスさんその人、左はその相棒(Kris Langouche)です。
ヨーリスさんの顔を見て、「何処かで見たことがある」と思われた方は、相当な「ベルギービール通」だと思います。
醸造所のすぐ近くにある、有名な国立ホップ博物館(Nationaal Hopmuseum Poperinge)には、彼の肖像がモノクロで大々的に展示されています。

「キリッ」としていてカッコいいですね。

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【参考文献】
ドゥ・プルッケル醸造所HP
http://www.plukker.be/nl/

写真:3枚とも筆者撮影。

いつも当ブログを御覧いただきまして有難うございます。

5月12日放送 TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」の「Midnight Session(23:55頃〜:変更可能性あり)」に出演してまいります。

ベルギービールについて、1時間ほど話してきます。

本ブログを御覧いただいている方には「基本的な内容」が多いかもしれず、ここに告知することに少々躊躇しましたが・・・。

ご笑聴ください。

「荻上チキ・Session-22」HP
http://www.tbsradio.jp/ss954/

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Con Domus (コン・ドームス;ベルギー/ヴラームス・ブラバント州)。アルコール度数5.0%、原材料:大麦麦芽、ホップ。無濾過、非加熱。ピルスナー。

やや白濁したゴールド。草のようなホップのアロマが印象的。やや華やかで、桃のようなイースティな香味を感じます。口に含むと、微かにモルティな甘さがありますが、ホップの苦味が勝っており、全体印象はドライで、スナップの利いたフィニッシュを迎えます。

ベルギーのヴラームス・ブラバント州の州都であるルーヴェン(Leuven)は、ベルギーを代表する大学都市です。
ルーヴェン・カトリック大学(1425年設立)は歴史的には、メルカトル図法で知られる地理学者ゲラルドゥス・メルカトル(Gerardus Mercator)や、解剖学の祖アンドレアス・ヴェサリウス(Andreas Vesalius)が教鞭を執ったことで知られます。
人文系の学問を修めた方ならば、エラスムスがこの大学で教えていたという史実を想起するかもしれません。また、現代哲学にも重要な役割を担ったことは、第二次大戦中、現象学の創始者であるユダヤ人哲学者エドムント・フッサール(Edmund Husserl)の大量の草稿群“フッサリアーナ(Husserliana)”をルーヴェン大学の学生であったヴァン・ブレダ(Herman Leo van Breda)と、フッサールの弟子たちがここに避難させた事実を挙げれば十分でしょう。

ビールに詳しい人が真っ先に思い出すのは、この街のピルスナーであるステラ・アルトワ(Stella Artois)に違いありません。

このビールを造るステラ・アルトワ醸造所(現:アンハイザー・ブッシュ・インベブ)は1366年に設立され、世界的な企業に成長したアンハイザー・ブッシュ・インベブの中核となりました。今でもルーヴェン駅の北側にはステラ・アルトワを造る巨大工場が鎮座しています。戦後ヨーロッパのビール研究を牽引したジャン・ドゥ・クレルク教授(Jean De Clerck:1902-1978 ※)もルーヴェンで教鞭をとりました。
今回御紹介のコン・ドームス(Con Domus)は、歴史的な大学と、ピルスナーの“巨人”の足元で造られているピルスナーです。
厳密には無濾過のものを完成品として販売しており、純然たるピルスナーではありません。

このビールのキャッチフレーズは、「Hoppig Studentenbier(ホップの利いた学生のビール)」です。
確かに避妊具(condom)をもじったネーミングは「学生の街ならでは」という感じがしますが、かつてビール評論家のマイケル・ジャクソン氏はこの醸造所のビールに惹かれ、コン・ドームスと、現在ではレギュラーに造られていない小麦ビール(Domus Leuvendige Witte ※※)とともに「Great Beer Guide(邦題:世界の一流ビール500)」にこの生産者のビールを2つも掲載しました。

Bob Magerman氏によれば、ドームス醸造所(Huisbrouwerij Domus)はまずカフェとしてCyril Roten氏により、1981年に開店しました。その際、既に自家醸造のプランを持っていたようで、ベルギーの代表的なピルスナーの1つであるクリスタル(Cristal)を醸造する、アルケン醸造所のブリュー・マイスター(Alfons Swartelé氏)の手助けを得て、1985年9月には醸造が開始され、“ブリュー・パブ”となりました。
つまり、2015年に本醸造所は30周年を迎えます。意外かもしれませんが、ドームス醸造所はベルギー国内に現存する最古のブリュー・パブです(以前少し記事の中で触れましたが、ブリュッセルを含め、現代のベルギーにはブリュー・パブというものがあまりありません)。

当初造られていたビールはアンバー・ラガーで、これはバイエルンのミュンヒナーに着想を得たものだったそうです。今回ご紹介のコン・ドームスは2代目の醸造士から造られており、1990年から生産されています。このビールは、パブでのみ供されていますが、これは貯酒タンクからタップに直接繋がれて、サーブされているそうです。
つまり、チェコのタンクビールに一脈通じるものがあります。

レギュラービールは「コン・ドームス」に加え、「ノストラ・ドームス(Nostra Domus)」という悪戯っぽいネーミングのアンバー・エールの2銘柄。250mLまたは500mLのサイズで提供されています。
また、ダーク・ストロングエールやフランボワーズビールなど、季節ごとの限定ビールが常時1銘柄提供されています。

【※ 再掲】
Jean De Clerck(ジャン・ドゥ・クレルク:1902-1978):
ベルギーの醸造学者、(旧)ルーヴァン大学教授。European Brewery Convention(1951年設立)の会長を1961〜1971年まで務めた。ベルギーのクラフトビールとの兼ね合いでは、シメイ(Chimay)、ロシュフォール(Rochefort)、オルヴァル(Orval)等の醸造コンサルタントを行う。同氏がいなければ、今日、トラピストビールが有しているようなキャラクターや、それに対する高い評価はあり得なかったとされる。また、モルトガット醸造所(現:デュヴェル・モルトガット)、ドゥ・コーニンク醸造所、アルトワ醸造所などの企業にも惜しみなく技術を伝えたことで知られる(因みに、クレルク教授の御子息エティエンヌさんはインベヴ社の研究者だった)。例えば、クレルク教授がデュヴェル(Duvel)を改良する前のそれは黒色エールであり、現在のような形となったのは1970年以降である。なお、クレルク教授はシメイを醸造しているスクールモン修道院に埋葬された。

【※※】
このビールが紹介された背景は、ルーヴァンにかつて存在した白ビール「ペーテルマン(Peeterman)」の伝統をジャクソン氏が伝える意図があったようである。ペーテルマンについては、以前記事にした。

【参考文献】
Bob Magerman. 36 Merkwaardige Belgische Bieren, Media Marketing Communications (2005).
Michael Jackson. Great Beer Guide, Dorling Kindersley (2000).

【ドームス醸造所HP】
http://www.domusleuven.be/

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以前、「電車で行く、ベルギーの醸造所巡り」という記事を書きましたが、筆者は国内であれ、国外であれ、列車での旅を好みます。

とりわけ、寝台列車のような少し非日常的な空間に常に惹かれ続けていたので、オリエント・エクスプレス(Orient Express:オリエント急行)内で、どんな風に酒が、とりわけビールが飲まれているのかが少し気になっていました。
この明らかにどうでも良い疑問の解答をインターネットで検索してみましたが、中々答えが見つからなかったので、先日、1泊2日の旅程で、自分自身で確かめることにしました。

本題に入る前に、歴史的にみてオリエント急行は3つの時期を経たといわれています。その結果、「オリエント急行」という言葉から連想されるものが、人によって結構異なるようなので、少し「オリエント急行」について前置きしておきます。

まず、初期のオリエント急行について。運航が開始された1883年より第2次世界大戦までの期間、この列車は王族、貴族、高級官僚、実業家などの特権階級のみが乗車を許され、移動手段という実用的な側面がメインを占めていました。

次いで、第2次大戦後〜1980年頃まで。旅客機や自動車の普及を背景に、オリエント急行は移動手段としての意義を喪失し、同時に豪華列車としての側面を失います。単なる安っぽい寝台列車となり、食堂車が連結されないこともしばしばありました。

最後に、1970年代より現れた、観光列車として、かつての豪華列車を復刻させたオリエント急行です。移動手段という「機能としての鉄道」ではなく、時間と空間を楽しむ「場所としての電車」です。現在運行されているオリエント急行はこれに該当します。

現在は、主にベニス・シンプロン・オリエント急行が運営し、ロンドン〜カレー〜パリ〜ヴェネツィア間を平常運行しています(※)。現在のオリエント急行には寝台車(個室・ベッド付)、厨房付の食堂車、ラウンジカー(バーが入っており、ピアノの生演奏も行われる)などが客室としてあります。

さて、ディナーにドレスコードがあるような列車ですので、コース料理を食べながら、ワインのリストを無視して、ビールをガブ飲みする者は、この列車の乗客には相応しくないのかもしれません。実際、ディナーのドリンクメニューから、ビールが慎重に排除されていることにビール好きならば先ず気付くはずです。

しかし、個室またはラウンジカーに用意されている別のリストによれば、ビールをオーダーすることが出来ます。誰もが予想できることなのかもしれませんが、ビールの銘柄に特筆すべきものはありません。

そこにあったのは、ヒューガルデン・ウィット(Hoegaarden Wit:ベルギー)、ペローニ・ナストロ・アズーロ(Peroni Nastro Azzuro:イタリア)、ピルスナー・ウルケル(Pilsner Urquell:チェコ)、ハイネケン(Heineken:オランダ)の4銘柄でした(因みに、日本の寝台列車カシオペアやトワイライトエクスプレス(※※)では、サッポロ・クラシックのドラフトが飲めますが、上記の4銘柄は全てボトルです)。

バーテンダーによれば、様々な国籍の人が乗車し、フランス人はワイン、イギリス人はジンというように好みも色々なので、なるべく色々な酒を揃えることが大切で、ビールは4種類が限界とのことです(日本代表のお酒として、「山崎」が写真に映りこんでいます)。また、銘柄選定にあたって、ビールの国籍も乗客の割合など幾つかの点に注意を払っているとのことです。

余談ながら、この話を聞いて私が思い出したのは、以前、国内線のファースト・クラスに乗った際、ビール欄に「サッポロ ヱビス」、「アサヒ スーパードライ」、「サントリー プレミアムモルツ」、「キリン一番搾り」と大手4銘柄が全て揃っており、そのことについて伺ってみると、添乗員が「どの会社にも肩入れできない」と答えて下さったことです。

これは仰々しく言えば、「ビールにおける政治の均衡」とでもいうべきものでしょう。
このような“均衡”は、様々な国籍の乗客を遇するオリエント・エクスプレスでは特段に重要らしく、イギリス人の為には「威風堂々(Land of Hope and Glory)」、フランス人の為には「ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)」、日本人の為には「ふるさと」というように、ラウンジカーのピアノ楽曲も一貫して乗車客の国籍を常に意識して、弾かれています。

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タキシードや純白のスーツを身に纏い、派手な蝶ネクタイを付けた紳士たちと、瀟洒なドレスを着こなす淑女たちが、ディナーまではワインをチビチビと嗜んでいたのに、ラウンジカーではかなり多くの人がビールを煽っているのは中々興味深いところです。
60〜70歳でリタイアして時間とお金に余裕のある方、何かの記念日で乗車している方が多く、バーの雰囲気からして「堅苦しい飲み方はもう疲れた」という御様子でした。その風景を眺めることが出来たことは、1つの収穫です。

因みに、下世話な話をしますと、全てのビールが一律14ユーロで売られていました。
車内ブティックにある御土産品として、日本円で100万円以上のブレスレットが販売される世界です(因みに、そのブレスレットを購入し、バーに現れた御婦人が1名いました!)。

ビールの値段にひるんだ客は、身に纏っている物の全額を足しても、そのバーで売られているキャビア50gの値段に及びそうもない、場違いな1名の日本人だけかもしれません。あまりに酒について尋ね過ぎたせいか、バーテンダーがサイン入りのメニューをお土産に下さいました。

また気が向いたら、海外の食堂車や寝台列車で出会ったビールという切り口で何か書いてみることにします。

【注】
※ ただし、年に数回のみ、ブダペスト〜ロンドン、イスタンブール〜ブカレスト〜ブダペスト〜ベニス、パリ〜ブダペスト〜ブカレスト〜イスタンブール、ベニス〜ブリュッセル、ベニス〜ウィーン〜パリ〜ロンドンなどのルートも走る。
※※ 廃止後に運行されている“特別なトワイライト”では、「エビス樽生」「プレミアムドライ」「プレミアムモルツ」などが供されているという。

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