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★ brillat savarin の 麦酒天国 ★
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No.247_Anchor Porter

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Anchor Porter(アンカー・ポーター;アメリカ/カリフォルニア州)。容量355mL、アルコール度数約5.6%、原材料:大麦麦芽(2種)、ホップ。通年醸造。

トフィ・キャンディのような香り、コーヒーのような香味、ビターチョコレートのような香味を持つ。炭のような苦味も持ち合わせています。フィニッシュはややライトであり、苦味の舌離れもやや早い。渋味はない。フィニッシュに残る風味には、何処かしらブランデー様のところがあります。

1974年までは、アンカー社はアンカー・スチームビアの濃色版であるダーク・スチームビアを製造していました。これとほぼ入れ替わる形で、1972年(ボトルは1974年)から製造されているのが今回、御紹介するアンカー・ポーターです。しかし、この品は恐らく、アンカー社の製品ラインナップの中で最もそのアイデンティティが模索され続けた品の1つと思われます。

例えば、以前、アルコール度数は6.25%(初期比重1.068)とか、アルコール度数は6%(初期比重1.066)と記述されており、現在のアルコール度数5.6%に至るまでに、漸次的にライト化した歴史がうかがわれます。

また、幾つかの著作では、かつて、アンカー・ポーターは「下面発酵」として言及されました。

例えば、ジャクソン氏の『世界ビール大全』には「これは下面発酵のミディアム・スタウトと呼んだほうがいいビールだ(日本語版p.209)」とあります。

あるいは、エクハード氏らの『世界ビール大百科』には、「1974年に(中略)初期比重1.070(糖度17%)まで引き上げてアルコール度数7.5%という強烈なポーターに仕立てている。いわゆるカリフォルニア・コモンビールの手法でつくっているので、この「アンカー・ポーター」(Anchor Porter)はラガー酵母を使っているにもかかわらず、エール酵母でつくる純粋のポーターと同じ味わいを醸し出している(日本語版p.406)」とあります。

しかし、「初期比重1.070(糖度17%)まで引き上げてアルコール度数7.5%という強烈なポーター」という時点で、今回ご紹介しているものと趣が全く異なっており、アンカー社のHPを覗いてみれば、その紹介文の中に2度も「top-fermenting yeast(上面発酵酵母)」の文字が並んでおり、これらの著作で言及されたものが全く別物であることに読者は気付きます。

「このポーター」が造られた頃から約30年を経て、アルコール度数だけ見ても25%弱められたらしい・・・。
これはもう別の何かになったということでしょう。

【参考】
No.170_アンカー・スチームビア
http://blogs.yahoo.co.jp/brillat_savarin_1/10241273.html

No.195_アンカー・オールド・フォグホーン
http://blogs.yahoo.co.jp/brillat_savarin_1/11831686.html

No.245_アンカー・リバティ・エール
http://blogs.yahoo.co.jp/brillat_savarin_1/14881600.html


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No.245_Anchor Liberty Ale

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Anchor Liberty Ale(アンカー・リバティ・エール;アメリカ/カリフォルニア州)。容量355mL、アルコール度数6.0%、原材料:大麦麦芽(2種類)、ホップ(カスケード)。初期比重1.057。通年醸造。

非常にホッピー。芳しいグレープフルーツのような、オレンジのような、シトラス様のホップの香味が大変引き立っています。また、マスカットのような風味も確かにあります。非常に豊かだ。しっかりした苦味も柑橘類のそれに似ているが、フィニッシュまでその苦味は舌にこびり付く。モルト風味も輪郭が明瞭だ。

一体、いくつのエールがこの品を模範にして造られてきたのでしょうか?

アンカー醸造所ではホップに関しては、ペレット(圧縮ホップ)などを用いず、フォールホップ(毬花)にこだわっており、このリバティ・エールも例外ではありません。また、リバティ・エールの華やかな香りは、ドライ・ホッピング(※)によるもので、これが強いキャラクターとなって現れています。

1975年4月18日に発売して以来、アメリカを代表するエールと目されています。このエールは、アンカー社によれば、イギリスの東インド会社の特権に反対し、インディアンに扮してボストン港の紅茶船を襲った、あのボストン茶会事件(Boston Tea Party)の英雄ポール・リヴィア(Paul Revere)の200年祭を記念して発売されたといいます(そして、それはアメリカ独立戦争の布石となったのだった)。

アンカー社や、当社のビールについては、これまでアンカー・スチームビアアンカー・オールド・フォグホーン等を御紹介しました。こちらも御参照ください。


【参考】
No.170_アンカー・スチームビア
http://blogs.yahoo.co.jp/brillat_savarin_1/10241273.html

No.195_アンカー・オールド・フォグホーン
http://blogs.yahoo.co.jp/brillat_savarin_1/11831686.html



※ドライ・ホッピング(再掲)
普通、アロマホップは煮沸の後半、もしくは終わりに近い段階で入れなくてはなりません。なぜならアロマの要素となるホップ精油は非常に揮発性が高く、沸騰により消えてしまうからです。そのため、最初の発酵がすんだ段階で入れるとアロマが失われることがありません。これをドライ・ホッピングといいます。しかし、同時に煮沸していないホップを入れるために、雑菌による汚染のリスクもある高度な技術で、ビールを苦味・渋味が突出する恐れもあると考えられています。オルヴァルなどは、ドライ・ホッピングを用いることで有名ですが、この技法自体はイギリス発祥です。

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No.195_Anchor Old Foghorn Ale

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Anchor Old Foghorn Ale(アンカー・オールド・フォグホーン・エール;アメリカ/カリフォルニア州)。容量355mL、アルコール度数8.9%、原材料:麦芽(ペール・モルト、クリスタル・モルト)、ホップ(カスケード)。アメリカン・スタイル・バーレイワイン。初期比重1.100。65 IBU。フラッシュ・パスチュライゼーションによる加熱処理。

2005年からボトル・サイズが207mL(7oz)から355mL(12oz)に変更となりました。

まるでブランデーにも似た深い香り、干し葡萄のような、杏のような香味、濃厚なモルトの甘味。僅かな酸味。アルコール感はアフターテイストに近付くにつれて立ち現れ、フィニッシュの苦味はかなり明確ですが、ホップの華やかさがあります。

“Old Foghorn”とは、「昔馴染みの(あるいは懐かしい)霧笛」といった程度の意味。サンフランシスコ湾近辺は霧が立ち込めやすく、船舶が霧笛を響かせ合う(そして、それは名物でさえある)。そうしたサンフランシスコの原風景がビールの名に託されています。

オールド・フォグホーンは、1975年より醸造を開始。アメリカにおけるバーレイワインの草創期の品ですが、今なお、最も良質なバーレイワインの1つであり続け、「ビール界のコニャック」などと比喩されます。通年醸造です。

糖化槽から最初に取り出した一番麦汁だけを用い、スパージング(※)は行いません。底の深い発酵タンクで上面発酵させ、発酵後は9〜18ヵ月にわたって低温熟成を行いますが、その際、ドライ・ホッピング(※※)を行うといいます。どうやら、一連の華やかさの秘密はここにあります。

なお、アンカー・オールド・フォグホーン・エールの“エール” の部分が少し邪魔臭いですね。この麦酒のラベルには“Barley Wine(バーレイワイン=大麦ワイン)”と書いてあり、「葡萄のワインと混乱をきたす」というアメリカ当局の「指導」により、“エール”を付け加えたと聞いています。

アンカー社については、アンカー・スチームビアの項目でごく簡単に触れましたので、当方を参照下さい。



No.170_アンカー・スチームビア
http://blogs.yahoo.co.jp/brillat_savarin_1/10241273.html

No.245_アンカー・リバティ・エール
http://blogs.yahoo.co.jp/brillat_savarin_1/14881600.html



※【スパージング】
挽き割りした麦芽や穀粒を温水に浸して、マッシュ(糖化液)を漉すことで麦汁(一番麦汁)が取れますが、麦汁を取った後の麦芽には、まだかなりの量の糖分が残っています。この麦芽に75.5℃〜80℃の温水を散布して糖分をもう1度採取することをスパージングといいます。当然ながら、スパージングしない一番麦汁と、スパージング後の二番麦汁で比べたならば、一番麦汁の方が糖度は高い。オールド・フォグホーンの二番麦汁は「アンカー・スモール・ビア(アルコール度数3.3%)」を造るのに用いられる。

※※ おさらい【ドライ・ホッピング(再掲)

普通、アロマホップは煮沸の後半、もしくは終わりに近い段階で入れなくてはなりません。なぜならアロマの要素となるホップ精油は非常に揮発性が高く、沸騰により消えてしまうからです。そのため、最初の発酵がすんだ段階で入れるとアロマが失われることがありません。これをドライ・ホッピングといいます。しかし、同時に煮沸していないホップを入れるために、雑菌による汚染のリスクもある高度な技術で、ビールを苦味・渋味が突出する恐れもあると考えられています。オルヴァルなどは、ドライ・ホッピングを用いることで有名ですが、この技法自体はイギリス発祥です。


参考文献:
『ビア・コンパニオン』マイケル・ジャクソン著、小田良司 訳、日本地ビール協会、1998
『ビール大百科』 フレッド・エクハード/クリスチャン・P・ローズ他 著、田村功 訳、大修館書店、1997



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No.170_Anchor Steam Beer

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Anchor Steam Beer(アンカー・スチームビア;アメリカ/カリフォルニア州)。容量355mL、アルコール度数4.9%、原材料:麦芽(ペール、クリスタル)、ホップ(ノーザンブルワー)。初期比重1.048〜1.051。

ヘッドフォーメーション(泡立ち)、ヘッドリテンション(泡もち)ともに良好。ホップの良いアロマ
に加えて、微弱ながらカラメル様の香味も備えています。モルトの味わいが大変しっかりしています。口当たりは非常に円やかですが、粘度は低い。フィニッシュにはとてもドライでありながら、じんわりと苦味が口の中に残る心地よさがあります。

「スチームビール」という呼称は、現在、アンカー・ブルーイング社の登録商標ですので、米国のガイドラインでは【カリフォルニア・コモンビール(California Common Beer)】と呼ばれます。定義上、最も重要な点は、ラガー酵母を用いているにもかかわらず、エール酵母のように高温で発酵させて造るハイブリッド・ビール(※)であることです。

とはいえ、ガイドラインの定義自体が、アンカー社のスチームビールを参照したものであることも言い添えておきましょう。

スチームビールの起源は、1800年代の終わり頃。カリフォルニアがゴールドラッシュで沸き立ち、東部から西部に人の流入が盛んだった時期に遡り、当時アメリカ東部では主に下面発酵ビールが、西部では主に上面発酵ビール(エール)が飲まれていたという歴史的背景があります。つまり、東部の人たちはラガーを飲みたいにもかかわらず、西部にはエールの醸造所しかなく、おまけに温暖な気候ですので、ラガービールをつくのは技術的に難しかった。やむを得ずラガー酵母で常温発酵させて造ったのがその始まりといわれています(※※)。

ちなみに、“スチームビール”という呼称の起源は、樽中で大量に発生した炭酸ガスが、開栓時に、蒸気の噴出すような音を立てるからだそうです。(※※※)

全盛期にはサンフランシスコに53箇所のスチームビール醸造所が存在しましたが、禁酒法解除後には、アンカー社だけがスチームビールを製造していました。アンカー・スチームは1896年に最初に醸造され、ボトルで最初に販売されたのが1971年といいます。

現在、アンカー・ブルーイング社について語るということは、フリッツ・メイタグという人物について語るということにほぼ等しいのかもしれません。同社は1896年に創設された古い会社でしたが、一時、倒産寸前まで追い詰められていました。その危機を救ったのが、フリッツ・メイタグ氏でした。1965年に経営参画して、その後、オーナーとなり試行錯誤をしながらアンカー・スチームビールを現代に甦らせました。

これはアメリカのマイクロ・ブルワリーの先駆けとなり、同氏はクラフトビール運動の主導者となりました。今日、なぜアメリカに美味いビールが沢山あるのかは、こうしたクラフトビール運動を語らずに説明することは不可能でしょう。

もちろん、アンカー社はこの成功により、もはやマイクロ・ブルワリーとは誰も思っていませんが(笑)



No.195_アンカー・オールド・フォグホーン
http://blogs.yahoo.co.jp/brillat_savarin_1/11831686.html

No.245_アンカー・リバティ・エール
http://blogs.yahoo.co.jp/brillat_savarin_1/14881600.html



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※発酵温度
ラガー酵母(=下面酵母)は通常、5〜10℃で発酵させるのに対し、エール酵母(=上面酵母)は、通常15〜25℃で発酵させる。カリフォルニア・コモンビールの例として、アンカー・スチーム以外にも、Beer Judge Certification Program (BJCP)では、サウサンプトン・ウェスト・コーストスチーム・ビール、オールド・ドミニオン・ヴィクトリー・アンバーなどが数種類取り上げられています。なお、スチームビールとは逆に、エール酵母を低温で発酵させるケルシュのようなビールも存在します。


※※製法(少し詳しい話)
下面発酵酵母にて、上面発酵の温度で発酵させるというハイブリッド製法に加え、底浅で幅の広い開放型のクラリファイヤーと呼ばれる発酵槽にて発酵を行うなど独特の製法が用いられている(Large shallow open fermenters (coolships)。これは氷を使わずに下面発酵酵母を用いるに当たって、麦汁が空気に触れる面積を増やすことによる、短期間での冷却を目的としていた。

※※※
ゴールドラッシュの時代の、ペート・スチーム(Pete Steam)という人物に由来するという説もある。

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参考文献
・F. エクハードほか. 『世界ビール大百科』田村功訳. 大修館書店、1997、24ページ。
・Brewers Association 2007 Beer Style Guidelines, January 2007
・2004 Beer Judge Certification Program (BJCP) Style Guidelines for Beer, Mead and Cider Versi on 2005-A (includes minor correct ions to the first release)
・村上満『地球ビール紀行』、東洋経済新報社、1994、211ページ。

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