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クラシックミュージックに興味のなかった頃
指揮者の腕で音楽が全然違ったものになるとは
思ったこともありませんでした。ましてや名声の高い歌手が指揮棒を
振るならば、その音楽は彼の歌同様甘美なものとなるだろう...と
信じて疑わなかった私はドミンゴの振るオペラを観に行って落胆しました。
私は音符が読めないのでなにがどう違うと言う説明はできません。
感覚だけです。 ただ自分の直感を確かめるために何度か
“ドミンゴの指揮もの”を聴きに行きました。
以後ドミンゴが『振るのか歌うのか?』はチケットを購入する際の大きな要素になりました。
先週金曜日に指揮するはずだった ドミンゴがちょっとした番狂わせで
“歌う”ことになったと友人から連絡を受けて急遽立ち上がりました。
出し物は 『アドリアーナ ルクヴェルール』
私の一番好きなジャンルのオペラ、“イタリア語”の“成就しない恋愛物”です。
更に 付け加えるなら
“最後に女は男に抱かれて死んでいく物”
“死に絶える前に 延々と切ないアリアがあるもの”
『フィラデルフィア』と言う トム.ハンクスがアカデミー主演男優賞を取った
映画がありますが、 あの中で「世界で一番美しい歌」と
トムが泣きながら陶酔するアリアが それ!!です。
アドリアーナ ルクヴェルールをドミンゴが “歌う!!!”駆けつけない手はありません。
最近のドミンゴさんは“神様”と新作ものばかり〜、
イタリアの恋愛物、それも4幕ほとんど出ずっぱりのテノールは
歌手交代のゴタゴタがなければ すでにあり得なかった事かもしれません。
体調管理は行き届いてるでしょうが、ドミンゴさん、68歳です。
解説書に寄れば 1968年、40年前にドミンゴがMETデビューしたのは
この役だそうで、 その思い入れもあって代役をつとめたそうです。
ラッキーでした。 ほんとにラッキーでした。
「あんさんが 歌ってくださる限り、私は通いますよ!」と誓った夜中でした。
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