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解説者たちの評価

広尾晃の『プロ野球解説者を解説する』を読みました。

小西得郎から桑田真澄まで、歴代解説者の名言・名解説オンパレード。野球中継が100倍楽しくなる。

第1章 草創期のプロ野球解説者たち
第2章 「プロ野球ニュース」が変えた野球解説者
第3章 大リーグ放送が始まり、野球解説の視野が広がり、深まった
第4章 新時代のプロ野球解説者たち
第5章 プロ野球解説者の「現場」
第6章 島村俊治アナウンサーが考える「理想の解説者」とは?

プロ野球における解説者の歴史を語るともに、新旧の解説者たちの名調子、
迷調子の具体例を上げています。
それとともにフジテレビ「プロ野球ニュース」がプロ野球報道を大きく変えた
功績を称えるとともに昨今のタレント化した現状に警鐘を鳴らしています。
わたしも「すぽると」はあまり好きではなく、CSで「プロ野球ニュース」を
観ています。

そしてやっぱり、この本の一番の魅力は各解説者とアナウンサーとのやり取り。
私の場合、福本豊の解説で大笑いしてしまいました。

アナ「阪神いまだにゼロ行進。スコアボードに0が並んでいますが」
福本「タコ焼きみたいやな」
アナ「ようやく1点が入りましたね」
福本「タコ焼きに爪楊枝がささったね」


アナ「本当に申し訳ありませんが、あと40秒くらいで甲子園からお別れ
   しなければなりません」
福本「こんなええとこで終わってどうすんねん」

こんなエピソードがたくさん書かれています。


プロ野球解説者も現在では地上波、BS、CSと活躍の場が広がっているため、
多種多様、悪く言えば玉石混交の状態です。
プロ野球解説者の歴史を知ることで、その評価の指針ができるという点でも本著を
読む価値はあるのかもしれません。



僕らはみんな河合荘

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面白さの基点が見つからない


宮原るりの『僕らはみんな河合荘』第1巻〜第5巻を読みました。

食事付きの下宿「河合荘」で一人暮らしをすることとなった宇佐和成。そこには宇佐にとって憧れの先輩である女子高生・河合律も住んでおり、宇佐は「彼女と共に、穏やかで充実した高校生活を送りたい」と願う。
だが彼女は無愛想で、いつも本に夢中で心を開こうとしない。なんとか彼女に近づきたい宇佐であったが、河合荘の住人は律以外も強烈な人ばかり。宇佐はルームメイトで人畜無害なマゾヒスト・城崎、美人だが男運のない面倒くさいOL・錦野麻弓、一見華やかだが実は腹黒という女子大生・渡辺彩花といった住人に振り回されつつも徐々に律と心の距離を詰めるようになる。

アニメにもなって人気の作品ですが、5巻まで読んでも面白さが分かりませんでした。

人物構成を見て真っ先に思い出すのが、「めぞん一刻」の一刻館。
住人よるドタバタ劇という点では同じはずなのに、「一刻館」には暖かさを
「河合荘」に騒々しさしか感じないのです。

麻弓の下ネタは少々露骨過ぎるし、彩花の毒舌は少々陰湿だし、シロのMネタには
正直何が面白いのか分かりませんでした。

で肝心のヒロイン律ですが、本来ならばココに魅入られなければならないと思う
のですが、これが全く魅力を感じなかったのです。
この可憐な女子になぜ心惹かれなかったのだろうと考えたのですが、喜怒哀楽の
幅が狭すぎるのではないでしょうか?

感情を表に出すのが苦手な読書女子という設定ですが、それにしても幅が狭すぎる
ように感じます。
たまに宇佐にデレるシーンもあるのですが、それもほんの僅かなデレであり、
律がどこまで喜んでいるのか、戸惑っているのか、全く伝わってきませんでした。

そのせいか主人公の二人(宇佐と律)の心の距離がどれだけ近づいているのか、
よく分からないままに読み終えてしまいました。

私の感受性が乏しいのもありますが、この律というヒロインの魅力をどこに
見出すかで、この作品の受け入れ方が変わってくるように感じています。

どなたか分り易く解説いただけないでしょうか?



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日本人メジャーリーガーの通信簿


大橋巨泉の『日本人メジャーリーガー 一流の条件』の紹介です。

野茂英雄以降、41人の日本人野球選手が海を渡り、MLBに挑戦した。イチローをはじめ、米球界に屈指の記録を残した選手もいるが、期待を裏切り、数年から1年で日本に戻ってきた選手も多い。何が彼ら、サムライたちのメジャー体験を分けたのか。どのような選手が通用し、どのような選手が通用しなかったのか。

刊行されたのは2011年3月とありますから、ちょっと古い本です。
まだダルビッシュ有などが渡米する以前の話です。

評価はA+〜Dまでで行われています。
A+評価は、名誉の殿堂入り確実の選手。
D評価は、そもそも渡米したことが間違い。
ちなみにA評価以上を獲得したのは、たった3人。
誰だか興味がある方は、本を手にとってみてください。

選手それぞれの評価は、なかなか的を得ていて素直に「なるほど〜」と思わず
頷いてしまいます。

印象深かったのは、メジャーに挑戦する選手のリサーチ能力について触れている
点です。
伊良部を例に上げると、左打者に有利な旧ヤンキー・スタジアムをホームにしている
ヤンキースに移籍するべきでなかった。当初、ロッテ球団が移籍を進めていたパドレスを選択するべきだった。
なぜなら、パドレスのホームであるペトコパークはMLBの中でも最もピッチャーに
有利とされる球場だったからあり、そうすれば違った結果になっていたかもしれないと綴っています。
そこにはメジャー移籍自体が目的化してしまっている選手とメジャーで成功するために移籍している選手の差があることを指摘しています。

上記のように選手ひとりひとりに評価の根拠を示しており、なかなか読み応えのある
通信簿でした。


大橋巨泉って決して好きなタレントではないのですが、昔NHKでNFLの解説を
やっていたときも、とても解りやすい解説と玄人はだしの知識とで大いに勉強
させて貰いました。

読み物としては、とても楽しいオススメの一冊です。




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我々が知らなかった松蔭、高杉、龍馬

一坂太郎の『司馬遼太郎が描かなかった幕末』を読みました。

国民的作家として読み継がれている司馬遼太郎。そのあまりの偉大さゆえに、司馬が書いた小説を史実であるかのように受け取る人も少なくない。しかし、ある程度の史実を踏まえているとはいえ、小説には当然ながら大胆な虚構も含まれている。司馬の作品は、どこまでが史実であり、何が創作なのか?吉田松陰、坂本龍馬、高杉晋作が活躍する司馬遼太郎の名作をひもときながら、幕末・維新史の真相に迫る。

司馬遼太郎は好きで結構読んでいます。
この本では司馬遼太郎の作品の中から『世に棲む日日』と『竜馬がゆく』を
取り上げ、史料との差を詳らかにしています。

驚くのは司馬遼太郎作品の中における虚構の多さ。
中でも特に印象に残っている箇所が史料による裏付けがないまま、虚構として
描かれている事実に一番戸惑いました。

著者はそういった司馬遼太郎により築き上げられた虚構が、あたかも史実として
世に広まっていることに懸念を示す一方で、司馬遼太郎の大衆小説家としての
力量に敬意も払っています。

小説家の田中芳樹が「司馬遼太郎の凄いところは、石田三成という小役人でさえも
英雄として描き切ってしまうところだ」と評していますが、この本で詳らかにして
いる史実からしても、その点が強く感じられます。

『竜馬がゆく』で心躍らせた一ファンとしては、少々残念というか知りたくなかった
事実も多くありますが、新たな松蔭であり高杉であり龍馬を知ることが出来た点は
よかったとも思います。

特に「龍馬がゆく」については、見せ場のいちいちが史料による裏付けがないこと
など小説と学問の差を強く感じました。

決して司馬遼太郎の否定で終始する本ではないので、『世に棲む日日』『龍馬が
ゆく』を読んだことがある方には、一読の価値はあるかと思います。



船を編む

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幸せな男の物語


松田龍平、宮崎あおい主演の『船を編む』を観ました。

松田龍平、宮崎あおいの共演で、三浦しをんの同名小説を映画化した感動ドラマ。出版社勤務の馬締光也は言葉に対する天才的なセンスを見出され、辞書編集部に異動になる。個性派揃いの辞書編集部の中で、馬締は辞書編纂の世界に没頭していく。

この映画を観て思ったことは、適材適所にいる人間は幸せだということです。

松田龍平演じる男は元々営業部に所属しているんですが、内気な性格が災いして
思うように成績を上げることが出来ない。
そこに降って湧いたような異動で辞書編集部へ転属され、辞書編纂という適職を
得ることなります。

辞書編纂という仕事は地味で恐ろしく時間のかかる作業です。
内気だった松田龍平は、地味は地味なりに仕事に目覚め、人生の伴侶を得て、
ついには辞書編纂の中心へと変わってきます。
恐ろしく時間のかかる作業に没頭できるのは、元々向いていたということも
あるでしょうが、適材適所にいるという幸せを知っているからこそだと感じました。
(ついでに宮崎あおいを妻にするという幸せも得ています)

あと、主人公の役って凡庸な配役だと、吉岡秀隆あたりをキャスティングしたと
思います。
それを全くイメージの異なる俳優である松田龍平をキャスティングしたこと、
そしてその期待に見事に松田龍平は応えている名演でした。

オススメです。


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