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頑張ってるけど足りない


夢枕獏の山岳小説を映画化した「エヴェレスト 神々の山嶺」の感想。

山に取り憑かれ、社会との折り合いをつけることができない孤高の登山家、羽生丈二。
日本国内で伝説化した羽生丈二が、ネパールのカトマンズで生きていた。
彼は密かに目論んでいた。
エヴェレスト未踏ルート単独無酸素登頂を。



私は映画化される随分前に原作の方を読んでいました。

熱い物語を得意とする夢枕獏の作品の中でも屈指の熱さを持った名作でした。
男が男らしく不器用に人生を歩む姿には、今思い返しても胸に込み上げてくるものがあります。
何回も読み返し、その都度、変わらぬ熱さを感じさせる小説です。

そんな小説が映像化されるという聞いた時、少なからず不安がありました。
しかし、主人公の羽生丈二に阿部寛。羽生の人生を追うカメラマンに岡田准一を配し、標高5,000メートルでの過酷なロケ。
配役に関しては、原作のイメージ通りでした。

阿部寛をはじめとする俳優陣も力演し、高地ロケも迫力があり効果的でした。
原作の完成度からすれば、かなり頑張った内容だと思います。

しかし、ラストシーンが・・・
原作ファンからすれば、このラストはないだろうと酷く残念な演出でした。
なぜ、あんなシーンを付け加えたのでしょうか?
それまでの頑張りがぶち壊しになってしまう演出です。
阿部寛の羽生丈二が本当にイメージ通りだっただけに酷くがっかりしました。

この映画を観るのであれば、”絶対に” 原作の方を先に読んだ方がいいです。
心の震え方が違うはずです。

とっても勿体無いことをした映画だと思います。


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「愛のムチ」と「暴力」は紙一重ではない(と思う)

元長知宏の「殴られて野球はうまくなる!?」を読了。
時代は変わった。現在、野球の指導の現場で、暴力を正面から肯定する人はまずいない。しかし、「暴力は反対。だが・・・」と思っている人はいまでも多い。そしていまでも、暴力事件はあとを絶たない。暴力はいまでも野球の身近にある。暴力なしでも、野球がうまく、チームを強くする方法はないのか? 元プロ野球選手、指導者、元高校球児など、関係者の証言から、「野球と暴力」、日本野球界最大のタブーに迫る。


筆者自身が元高校球児、元大学野球を経験しており、まさに野球と暴力が密接な関係にあった時代の経験者でもあることにより、より一層の説得力がありました。

主に扱われる暴力の加害者は、監督をはじめとする指導者と上級生であり、絶対服従を強いられる現状は、野球に興味があるものならば第三者でも感じ取れるでしょう。

それでも数々の取材では受動する側の選手たちの中には「愛情ある鉄拳は暴力ではない」と主張するものがあり、一見、暴力とは縁遠い印象のある元プロ野球選手の小宮山でさえ「全面否定はできない」といった立場であることに軽い衝撃を受けました。

高校球児にとっては甲子園は聖地であり、そこに辿り着くまでの過程では理不尽な暴力さえも是とする現状は如何ともしがたいものがあるようです。
それでもドミニカの野球アカデミーのように暴力やイジメが皆無の育成現場もあり、そこからメジャーリーガーが誕生している現実もあります。

暴力なしで野球が上手くなるなら、楽しめるのなら、ないにこしたことはない。
徐々にそういった現場は淘汰されつつあるようですが、個人的には本当にそう思います。

かの清原和博にしても「1億円もらっても、PL学園の1年生には戻りたくない」と言います。
一方でPL学園の寮生活こそがPL野球の原点であるとも言っています。
しかしながら、その絶対的な上下関係が仇となりPL学園野球部は廃部となりました。

私が一番印象に残ったエピソードは、鉄拳制裁と猛練習でなる有名監督が卒業後の部員の面倒も見ており、場合によっては相手先に出向いて土下座も辞さないといった内容。
本当に愛情ある人格者なら、なぜ殴らずにそういうエピソードが生まれないのか。
個人的にはすごく違和感を感じる話でした。

あと気になったのは殴った監督に感謝しているのは、甲子園に辿り着いたレギュラー級の選手ばかりだったのは気になりました。
補欠、ベンチにさえ入れなかったもの、故障により野球を断念せざるを得なかったもの。
そういった選手たちが愛情を感じ取ったのか?
とても気になる読後感でした。

「殴る」という行為は、一番短絡的で横着な解決方法だと思います。


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