顔無暴君歴史通信

幕末にはまってきた今日この頃

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 その頃、信長は顔を洗っていた。そろそろ日が出そうだった。
 すると突如、大勢の足音が聞こえ、続いて鉄砲の発砲音、ほぼ同時に小姓達の絶叫。小姓達の絶叫が耳の中で残っている間に鬨の声が八方から聞こえ、無数の火矢が体をかすめた。
 そばにいた小姓の一人が喉笛に火矢を喰らって音を立てずに死んだ。少しも動じずに前方をきっと見つめ、明智の桔梗を確認すると小さく、「是非もなし」とつぶやいた。
 信長は寵愛している小姓、森蘭丸を呼びつけ、弓を取ってこさせた。明智軍の士卒達がまっすぐ自分に向かって突撃し、小姓達は横から次々と信長の前に集まり、弓を射るやら白兵突撃を仕掛けるやらで何とか防いでいた。
 しかし、多勢に無勢は否めず、一人、また一人と見るも無惨な骸と成り果ててゆく。信長も何も考えずに弓を射続けた。この場合、自分が死んでも同じ洛中にいる嫡男の信忠を安土まで逃がせば勝ちなのである。(しかし京都から安土へ行く道の課程には光秀の居城坂本城がありはするが)
 だが、家中の混乱は必須であろう。今、光秀の軍団に匹敵するほどの戦闘力を有している軍団は皆前線に出てしまっていて、信長の敵を取ろうとして引き返せば背後を突かれてしまう。その間に光秀がそのまた背後を突いて各個撃破されてしまうだろう。
 だが勝機もある。
 まだ丹羽長秀と三男の信孝は大坂で四国遠征の準備をしていたし、伊勢の次男信雄は領国を経営している。徳川家康は堺で遊覧中であり、大坂の長秀と合流するしか道がない。この2軍が明智軍と何とか長期戦に持ち込めば勝てるはずである。
 しかし、問題は他にもあった。
 裏切りである。
 警戒すべきは紀伊の雑賀と伊賀の忍者衆である。この2つは信長が圧倒的な兵力を持って領国を焦土とし、(特に天正伊賀の乱の時は世界の虐殺史に残るほどだった)降伏させた。降伏して従ってはいるがとんでもない怨みを持っていることは誰の目から見ても確かであった。
 この二軍が伊勢の信雄と大坂の長秀を攻撃すればひとたまりもないだろう。勝つには短期戦しか道がないのである。
 そのようなことができるやつがいるのか_________現れなければ織田の負けである。
 そんなことを考えながらひたすら防戦に努めていた魔王にも間もなく昇天の時が来ようとしていた。  肩に火矢が一つ突き刺さった。
 小姓達は一瞬信長の方に目を向けて向かおうとするそぶりを見せた。しかし、これが命取りになった。はなからとんでもない劣勢の織田軍の小姓達は複数の敵と渡り合っていた。一瞬でも隙を見せればすぐにでも命の火が消されてしまうことは明らかだったが、〝信長の負傷〟というたった一つの出来事だけで小姓達の士気は堕落した。信長に顔を向けた小姓達は次々と討ち取られ、信長の周りの守りを固めようとした結果が皮肉にも信長の周りに明智軍が殺到してしまうという結末を呼んだ。
 信長は森蘭丸の弟の坊丸、力丸に担がれてお堂の奥へと行こうとしたが、後ろを守っていた蘭丸達がことごとく倒され、信長は背中に一太刀浴びてしまった。斬りつけた明智軍の士卒に力丸が体当たりし、明智軍の士卒達はどっと後退した。この隙に坊丸はだんだんと信長の血が服にしみこんで、重くなりながらも信長を担いでとにかくお堂へ走った。お堂の前に来た瞬間に背後から力丸の絶叫が聞こえた_______
                                              

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