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その男の名は弥助といった。キリスト教のカトリックの宣教師、ルイス・フロイスの奴隷としてやってきたところを、信長が興味を持ち、フロイスに頼んで自らの最も近いボディーガードとした。
ルイス・フロイスは、「日本史」の作者であり、戦国時代の日本の歴史を克明に記し、当時のヨーロッパに日本の概況を詳しく知らせた。今なお、日本の歴史学者などからも、信長の時代を知る上での最重要資料として重宝されている。
また、信長に西洋の文明などをも話し、信長に、
明制圧→シルクロードを攻め上る→東ヨーロッパへ侵攻→
↓
インド制圧→海を渡って→地中海へ→ギリシャへ侵攻→→ 世界征服
↓
喜望峰を通って→スペインへ侵攻→→→→
・・・という野望を抱かせたとも言われている(野望を抱いたのは信長の勝手である)
ともかくこの弥助である。
身長は六尺以上(一メートル八十センチ以上)もある大男である。
信長は最初にこの弥助を見たときに、小姓達に体を洗わせて、肌の黒さが落ちないか見た。
そして色が落ちないことを確認すると、すぐに「くれ!」と言ったという。
この弥助は光秀が本能寺を襲撃した当時、昨夜本能寺において行われた連歌会に出席していた貴族らの護衛をしながら見送る役目として貴族達に他の小姓と一緒に付けられていた。
弥助を見るのは今が初めてだという貴族もいたものだから、貴族達は終始無言だった。
さて、その帰り道である。
弥助とその他の小姓三人で帰っていると、なにやら鬨の声のようなものが聞こえた。
「あれは・・・本能寺の方角ではないか?」
「しかも・・・一万はいそうなほどの声の大きさであるぞ?」
「まさか・・・今このようなことを起こせるのは・・・まさか!」そういうなり一人の小姓は妙覚寺へ走り出した。信長の長男、信忠に報せるためだ。
「我らも行くぞ!」「ア・・・アア!」弥助はその他二人の小姓と共に本能寺へと走った____
そしてこの三人は明智軍に散々にやられ、死んだ____はずだった。
しかし弥助は仮死していただけだった。そのうちに焼け落ちてゆく本能寺から木材が倒れて来、弥助の頭に直撃した。そして弥助は目覚めた。そして弥助は燃えさかる本能寺を見て呆然とし、何も考えぬままに木材を手にとって走り出した。(幕末の志士中岡慎太郎も一度斬られて仮死したものの、刺客がとどめとして指した一刀の痛みによってその後一度蘇生した)
そして光秀の姿を確認すると猛烈な勢いで木材を回し始めたのである。
「下がれ!下がれ!」光秀は指示をした。
「矢を使うな!この囲んでいる状況では外れれば同士討ちとなってしまう!弥助は我を失っている!石だ!石を投げよ!」
そう光秀が言った瞬間だった。
ゴンッ
と言った音と共に弥助は倒れた。弥助の傍らには小石が落ちていた。
光秀が石の飛んできた方角を振り返ると、そこには齋藤利三が立っていた。
「殿、大事ありませんでしたかな?」
「やはりそなたか。いくつになってもその肉体は衰えないな。」光秀は微笑んだ。しかし、その笑みはなぜか少しひがんでいた。
続く
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戦況を優位に進めつつも光秀は、不安や不気味さを抱えながらの戦いだったと思います。ポチ☆
2012/3/28(水) 午後 4:04
ええ、やはり信長の討ったことによって生まれた心の穴は、非常に大きな物であったと思われます。
2012/3/29(木) 午前 9:29 [ 島津は鈍足 ]