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翌晩、明智軍は坂本城において軍議を開き、
・今晩は兵に休養をとらせること
・翌朝安土城を落とすこと
・近江を最優先に平定させること
・細川藤孝、筒井順慶ら畿内の武将に協力、同盟を乞う事
・朝廷に正規軍であることを認めてもらうこと
………などを基本方針として決定した。
その後、秀満は利三と杯を交わした。
「やり・・・もうしたな。」長い沈黙のあとに秀満が言った。
「ああ・・・だが、やりはしたが何も成し遂げてはおらぬ。」
「ですな・・・」
「第一、あの兵の疲れ切った顔を見たか。丹波攻略戦や一向一揆戦、延暦寺攻めで散々惨いことはしてきた上に、昨晩よりも過酷な戦は五万と経験してきたはずだ、いや、昨晩の戦が今までで一番楽な戦だったはずだ。あの一人ひとりの顔に信長とは何であったかがにじみ出ておる。」利三はため息混じりに言った。
「これから何が起こるか、天下の誰一人としてわかるものはいないでしょう。」秀満も同調した。
が、居た。
同じ頃、備中高松城付近_____
毛利攻めをしていた羽柴筑前秀吉は備中高松城を囲む堤の上に立ち、自らの小便によって高松城を浸す水の水位をわずかながらに上げていた。
ここまでの攻め方は順調であった。で、あるのに秀吉の表情はさえなかった。
今より一刻前____
「殿、よろしいですかな」秀吉が安国寺恵慶と偽の毛利氏との和議交渉のための段取りを確認していたところ、黒田官兵衛が陣幕内に入って来、耳元でささやいた。
「今、大事な打ち合わせ中じゃぞ、わからんのか!」と、秀吉は小声で叱った。つもりであったがなにせ秀吉は日本三大音声に数えられる程であるから、かなり激しく怒っているように聞こえてしまった。
「それよりも大事なことでございます。」官兵衛は顔色一つ変えずに言った。
その時点で秀吉には察しがついた。光秀と信長が畿内で二人っきりになったときから予感はしていたことであった。
「すまぬな、恵慶殿。すぐに戻ってくる故、小六とでも続けてくれ。」と、秀吉方の外交担当蜂須賀小六に後を託して行ってしまった。
が、信長の没落、秀吉の隆盛を数年前から見抜いていた男である。信長と光秀の関係を知らないわけがない。恵慶は無言でお辞儀をして秀吉を見送ったが、頭を下げたときに顔がこわばった。
「……半刻ほど前、山中を警戒中に怪しい者が警戒網内に入り込んできたようなのでございます。そして何者か問うと抜刀したようなので、兵達は取り押さえにかかりました。しかし死傷者が続出したようなので、やむなく殺し、その者の笠の中に編み込んであった書状を発見しました。それが……これでございます。」官兵衛は秀吉に一通の書状を渡した。
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おっ、小説を再開されたみたいですね(^^; 何やら
秀吉の陣内に、重大な情報が入ったようで。ポチ☆
2012/8/23(木) 午後 2:29
イイね!感謝です!
今伺います、、、
2012/8/23(木) 午後 3:27 [ 島津は鈍足 ]