|
燃え盛る農家、逃げ出す農民「オラのせいじゃねぇ。赤牛・・・」
紋次郎、旅をする盲目の美女・お鈴(鰐淵晴子)に出会う。夫である火傷で顔がただれた渡世人・太吉(ケン・サンダース)を見かけたら、「赤牛は今年もきっと来る」と伝えてくれと頼まれる。
一方、かつて赤牛の招き火を悪用して 商売が急成長したという加納屋主人の善左衛門(加藤嘉)らの立ち話を、偶然聞いてしまう紋次郎。
紋次郎、上州藤岡の絹の取引の祭りのような雑踏の中で倒れているお鈴を助け、加納屋まで一緒に案内してやる。加納屋は気を回し、さっきの立ち話の口止めをするが、紋次郎当然断る。このことで紋次郎は、加納屋の雇ったカラスの源蔵一家に命を狙われるはめになる。
紋次郎と、太吉とお鈴の夫婦の運命やいかに!最後にドンデン返しあり。
――― 注意! 以降にネタばれ内容を含みます。 ―――
・見所
中村敦夫、初監督作品です。絹の売買の祭りのような雑踏シーンの演出が、盲目の人ならこんな感じだろうなというイメージの音の使い方と、映像と、編集が見事です。また旅籠のシーンで、紋次郎、お鈴、太吉が、行商人の荷物の整理するガタゴトとした大きな音の中ので会話の演出や、めし屋に入って紋次郎を探すシーンが、印象的に撮れています。才能を感じます。
ただ難を言えば、セリフがよく聞き取れなくて、かつ説明不足なままストーリーが展開していきます。映像イメージが重視されていて、ストーリーを説明するようなセリフやナレーションがないので、ストーリーが分かりづらいです。
ワイドに伸び伸びと開けた稲刈り後の田んぼで、クレーンなどを使った一対集団の走り回るラグビーを模した殺陣が、シリーズを代表する素晴らしい出来栄えです。まるで戦闘機のドッグファイトを見るかのような殺陣です。
ただ一つ難を言えば、全員で紋次郎一人だけ追いかけ回して太吉とお鈴の夫婦は無視だったり、押しくら饅頭状態から紋次郎一人だけ密かに抜け出したり、紋次郎が容易に飛び越えた溝へ全員落っこちたり、少しギャグ的な演出が気にはなりますが・・・。
その殺陣のシーンで、主題歌「だれかが風の中で」が、二番までフルコーラスで流れます。
農家を燃やしたり、大勢の敵役のいる長時間の殺陣があったり、有名な俳優が多く出演したり、予算がかかっております。
珍しくフォーマットが少し違います。故郷喪失者・紋次郎の助けによって、同じく故郷喪失者である太吉は、故郷への帰還を果たし、謎解きもドンデン返しもなくハッピーエンドで終わるかに思われますが、その直後に予想も出来ない驚愕のドンデン返しが、用意されています。
加藤嘉、「甲州路」以来の二度目の出演です。今度は成り上がった商人、ゆっくりと丁寧に喋れば喋るほど、心の底から恐ろしさを感じるいい演技です。
阿藤海(現・快)も「水車」以来二度目の出演です。中村敦夫と同じ、俳優座養成所、番衆プロ。
放送禁止用語(め○ら)を連発しています。
エロ路線、お色気シーンは、今回はないかと思ったら、ラストに出てきました。
|
カミヤッカーさまこんにちは。
放送禁止用語ですが、全然違和感なかったです。視覚障害者といっても結局は同じで、こめる気持ちが問題だと思います。こういうことに神経質になる体質のほうが問題だと思いますが。むしろ、い○り、とか、ど○ん、とか聞くとなしかしくおおらかささえ感じるのはおかしいんでしょうか。昔のテレビをみるとよく放送禁止用語がでてきますが、おおらかに使われているところにむしろ健全性を感じるのですが。文化祭でみんなが主役ということを聞いたとき、むしろ背筋が凍りました、古いんでしょうかね。
2009/11/18(水) 午前 11:46 [ 八朔 ]
八朔さん、こんにちは。
放送禁止の歌だった、よいとまけの歌がNHKでもバンバン流れていて、
子供に「この曲、放送禁止だったんだよ」と言ったら
「へぇ〜なんで?」と尋ねるから
「肉体労働に従業している人が貧乏のイメージを植え付ける って理由だったような気がする」と答えたら、
「ヘンなの」って。
時代が変われば、放送禁止の内容も変わるようですが、放送禁止用語の自主規制でがんじがらめになってしまって、表現の幅を自分達の手で狭めているのは、なんか滑稽ですよね。
でも、時代劇の作り手にとっては、非常に痛いですね。
2009/11/18(水) 午後 2:03
お邪魔します。
先日「獣道に……」の記事下書きが終わったのですが、まさにカミヤッカーさんのご指摘通りなので、確信できました。
敦夫さんのあのラグビー風殺陣は、私にはどうしても「ルパン3世」のルパンと銭形警部や部下達との追いかけっこに見えてしまうんですよね。
「ルパ〜〜ン!」の、あれです。
あの演出は、敦夫さんの遊び心が満載だったように思います。
市川監督の手法を踏襲しながらも、独自の感性やこだわりが見られ、あのシリーズの中では一線を画する作品だったと思います。
近々、もう少し手直しをして更新したいと思っています。
2009/11/18(水) 午後 10:52 [ お夕 ]
そうか、あのアニメチックなコミカルさは、狙いだったんですね。
中村敦夫の監督って、市川崑タッチの映像や編集もあり、殺陣の演出も上手で、特に音の使い方が抜群にうまいですね。
あとは、絵画的構図が出来て、ストーリーテリングを改善して、もっと物語を見る者に分かりやすく語れるようになれば、一流の監督に絶対になれるような気がします。
俳優、キャスター、作家、政治家・・・なんでも出来る人間だから、逆に器用貧乏になってしまって、映画監督が、もしかしたら一番向いているかもしれませんね。
2009/11/19(木) 午前 11:14