追い波で、GO!

愛知県に住むシーカヤッカー・カミヤッカーが、勝手気ままに書き散らす日記です。

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 錦絵を描いている。モデルの女には、左目下にホクロがある。その錦絵を持って、絵の女を探し回る女衒(穂積隆信)。

 善光寺街道を行く紋次郎。後ろから、女(小山明子)が追いかけてくる。女は山城屋のお紺といって、重い荷物を持ってくれと無理やり頼まれる。

 しばらく行くとならず者達に襲われている娘・お糸(光川環世)に出くわし、助けてやる。旅烏の渡世人と美女2人の奇妙な三人の旅が始まる。

 お糸は大黒屋に奉公していて、大黒屋の許嫁もいる知恵遅れの若旦那・清太郎に惚れられて、道楽の錦絵のモデルにされて、それが嫌で逃げ出したきたという。

 自分の泣きボクロの運命を呪いながらも何処か遠くへ行って自由になりたいと願い、いつしか紋次郎に憧れ慕う娘、曰くありげなおかみ、そして紋次郎の三人の旅の行き着く先には・・・。


   ――― 注意! 以降にネタばれ内容を含みます。 ―――

・見所

 ラストに女衒が何故お糸を追っているのか全ての謎が解け、真犯人が分かります。

 光川環世「背を陽に向けた房州路」以来、二度目の出演です。穂積隆信や、小山明子など、有名な俳優も出ています。

 紋次郎の魅力の一つ ロードムービー全開の作品。一人旅がポリシーの紋次郎が珍しく三人で旅を続けることとなった。お糸を追う女衒。ラスト近くのお紺の言葉「みんな自由になりたいのさぁ、お糸さんだって・・・」が切なく響きます。

 救ってやれなかったお糸の願いだった泣きホクロを、楊枝を飛ばし錦絵の中で取り除いてやる紋次郎、なんともかっこいいです。



   ――― この時期の「紋次郎VS必殺」に関する考察   ――― 

 冒頭から、いきなりお色気路線!必殺の視聴者ガバッといただこうという作戦なのでしょう。既出のグラフですが、見てみるとさほど効果はなかったようです。

イメージ 1


 上記の写真では、6話と9話の視聴率が、下がっています。この作品自体の品質は、お色気路線にブレたくらいで、いかにも紋次郎らしさが随所に散りばめられていて、別に悪い仕上がりではないと思うのですが、いまいち視聴率が振るいません。

 
 ここで、私なりの視聴率下降傾向の原因ではないかと思われる点を考察してみようかと思います。

 まず、今回のエピソードは、紋次郎の頑なな性格が随所に出てしまっている。という点が挙げられるのではないかと思います。

 例えば、お紺が紋次郎の頑なな考え方に「随分と古風な人だねぇ」と女性らしいソフトな表現で、呆れかえる。
 紋次郎「人は人。あっしはあっしなんでぇ」紋次郎なりの考え方を、不器用に説明する。

 また、紋次郎に私を一緒に連れてってと懇願するお糸に対して紋次郎は「甘ったれちゃいけやせん。一人ぽっちは、誰もお互い様ですぜ。」とピシャリと冷たく突き放す。
 今の言葉で言えば、「自己責任」なのでしょうが、紋次郎のように強い人間なら、それでいいのでしょうが、お糸さんのような弱者には、紋次郎の真意は決して伝わらないでしょう。

 紋次郎は、自分の考え方、生き方を、他人から見ればエキセントリックまでに純化し、ついつい原理主義的、教条主義的になってしまう傾向があり、現実の状況を見回して柔軟に考え方を変化させていくことが苦手な不器用なところが、見受けられます。(まぁ紋次郎ファンとしては、そこが魅力的で、いじらしい部分なんですが・・・)

 番組の視聴者は、博打で生計を立てて旅から旅の渡世人ではなく、定住して仕事を持っている人間ですから、なかなか紋次郎の言動は理解しづらく、もっと万人受けするストーリー展開、みんなから共感されるテーマであって欲しいと思ったでしょう。
 つまり「紋次郎よ!お糸に冷たく言い放つんじゃなく、ちゃんと救ってやれよ!」と。
 視聴者の気持ちが、少しづつ離れ始めた瞬間ではないかと、今振り返ると感じられます。

 番組開始当初は、斬新な殺陣、スタイリッシュ映像、モダンな主題歌、紋次郎の一風変わった生き様、などが新鮮なイメージでブームを巻き起こしました。しかし、第1シーズンが終了して、第2シーズンが始まる前の1972年7月6日には、紋次郎が街道の宿場宿場で叩き切ってきた対象であったような金権まみれの田中角栄が、首相にまで上りつめました。世の中、器用に生きてお金持ちなることのどこが悪いの?という風潮がはびこり始めて、紋次郎のような清貧生活をカッコイイと返り観ることは、なくなりつつありました。

 社会をニヒルに拒絶して生きるより、ライバル番組・必殺仕掛人の主人公・藤枝梅安のように、社会の中でふてぶてしく柔軟に清濁あわせ呑み、昼は町医者として町民から尊敬され、夜は莫大な報酬を貰って巨悪をぶっ潰す暗殺者 という生き方の方が、金も名誉も同時に手に入れられカッコイイのではないのだろうか?そんな世の中の風潮になりつつありました。

 紋次郎の観る者に対して、多くの人が共感する最小公倍数的な幸せを提示するのではなく、数少ない限られた人間のみが努力・節制の後、得られる最大公約数的な境地を強いるという共感を呼びづらいテーマは、この時期に視聴率が苦戦し始めた原因の一つと考えます。

 つまり、時代がテーマを追い抜いていってしまって、取り残された形になったのではないかと思います。

 紋次郎の持ち味、かっこいい所が、そうは思えなくなってしまった世の中の移ろいやすさに、呆然とします。


 でも、もしかしたら、この週のライバル番組の話の方が、面白かっただけなのかもしれませんが、スタッフは焦り始めたんでしょうね。

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