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霞ヶ浦付近、水戸街道を旅する紋次郎、自分に板鼻の吾兵衛親分殺しの濡れ衣がかかっていることを知る。親分殺しの意趣返しに、その代貸の鶴吉たち六人組が、紋次郎の命を狙い追いかける。
紋次郎の大ファンだという小判鮫の金蔵(佐藤允)という渡世人も、鶴吉に金で雇われているのだが、紋次郎ファンゆえの性なのが、意趣返しどころかストーカーみたいに紋次郎にまとわり付く。
さらに宇都宮の呉服屋の扇屋のくみという女とその手代が、乱暴者達に追われているので助けて欲しいと紋次郎に頼み込む。
金蔵、くみと手代と乱暴者達、鶴吉ら六人組、陰謀と欲望とが、仏教の六道輪廻思想の象徴・六地蔵の前で臨界点に達する。ひでぇ奴らの今生を叩き斬って悪道に突き落とせ!紋次郎!
ラスト、ある人物の意外な正体が明かされるというドンデン返しが用意されている。破綻なく、良くまとまった作品。
・見所
撮影は、世界の宮川一夫です。その映像美をご堪能下さい。
野外ロケが多く、旅のシーンも多い。いよいよ、紋次郎=ロードムービーが全開になる。
ちなみに、大映が倒産したのは1971年11月29日のことで、5話「童唄を雨に流せ」までは、「制作協力 大映京都撮影所」とクレジットされているが、6話「大江戸の夜を走れ」、7話「六地蔵の影を斬る」、8話「一里塚に風を断つ」には、何もクレジットがない。一旦、9話「湯煙に月は砕けた」でクレジットされるが、10話「土煙に絵馬が舞う」以降からは「協力 映像京都」というクレジットに変わる。大映倒産という過渡的な時期に、撮影された作品だとわかる。
冒頭、まだ無名だった頃の若き日の蟹江啓三(敬三)が出演している。かなり多くのセリフがあり、芝居も上手です。
女性の紋次郎ファンは、紋次郎と恋仲になりかける女優陣に自分を置き換えると思うが、男性の紋次郎ファンは、小判鮫の金蔵に自分を置き換えるんじゃないかと思う。遂に男性紋次郎ファンのカリスマ登場ってところ。
紋次郎の楊枝をくれとねだったり、どんなに早くドスの早抜きが出来るか調べたり、紋次郎のドスを触ろうとしたり、金蔵のファンっぷりは、半端ではない。ストーカー並みだ。
集音マイクが写り込んでいると言われていたあのシーン、新リマスターでの鮮明な画像と上下左右へのテレシネ範囲の拡大の効果によって、遂に長年の謎が、全て解き明かされました!
・突っ込み所
細かいことを言うようで誠に申し訳ないのだが、六地蔵の中で耳の形が四角の地蔵がいるのが、どうしても気になって、興が削がれた。「神は細部に宿る」の言葉もあるが、もう少しガンバって欲しかった。本当に惜しい。
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