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火の用心と書かれたタバコ入れをぶら下げた渡世人が殺される。
黒幕はどうやら名主の主人(神田隆)のようだ。名主の娘・加代は近々婚礼の予定なのだが、使用人の定吉(小林勝彦)を好いている。
次第に暴かれていく加代の出生の秘密・・・。ラスト近くに、ある人物の意外な正体が、明かされます。
――― 注意! 以降にネタばれ内容を含みます。 ―――
・見所
名探偵・紋次郎の推理が、大ハズレするシーンがあります。お楽しみに!
羽織袴姿の二足の草鞋の親分が、普通の服になったり、モンタージュの手法がそこかしこに散りばめている。
市原悦子、「見返り峠」以来、二度目の出演です。しかも今回は、お歯黒までバッチリきめて、役に没頭しております。
「九頭竜」に続く2本目のオリジナル脚本です。
――― オリジナル脚本の難しさ について ―――
名主の家を守るため主人が陰謀をめぐらすというところが、「怨念坂」に似ていますし、婚礼の間近の娘や二足の草鞋を履く親分が出てきたりするところは「見返り峠」に似ています。
さらに「ここじゃない、どこかに連れて行って」と頼むも、紋次郎「甘ったれるんじゃござんせんよ」と無碍に断るというのも、モロ「錦絵」です。
また、「こいつはただの癖ってもんでさぁ」とか「あっしには関わりござんせん」とか、よく聞くセリフを紋次郎は、一通り喋ります。
脚本の菊島隆三さん、紋次郎をよく研究して、紋次郎ワールドを再構築しております。しかし、やはりデジャブ感満載なのは否めません。
(もう一つの原作なしオリジナル脚本の「九頭竜」は、過去紋次郎が関わらずにやり過ごしたことによって引き起こされた悲劇が、のちになってさらに大きな悲劇になってしまって決着をつけざるを得なくなるという「見返り峠」によく似たストーリー展開とテーマでした。)
逆に言えば、いかに笹沢左保先生が、毎回異なったストーリーを考えられていたかの証明であり、笹沢左保先生の偉大さを物語るものあるのですが、紋次郎には「予定調和的な決まったパターンがない」というのが、紋次郎の弱点であり、それが原作にないオリジナルストーリーの脚本の難しいところなのでしょう。
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