5月21日、種子島宇宙センターで、H-IIA型ロケット17号機が打ち上げられた。
H-IIAロケットには、金星探査機「あかつき」と、小型ソーラー電力セイル実証機「 IKAROS(イカロス)」が搭載さていて、それぞれ分離に成功してミッションがスタートした。
イカロス ミッション概要
IKAROSは、宇宙空間でソーラーセイル(帆)を張って、微弱な太陽光(光子)を受けて、それを推進力にして、空気の抵抗のない真空の宇宙を進む いわば“宇宙ヨット”の実証機です。アイデア自体は、1919年に、ロシアのロケット研究者ツィオルコフスキーらによって提唱された宇宙航行システムであったのですが、実現するための帆の素材や展開など問題も多く、ようやく実証テストにまでこぎ着けました。
世界の同等の計画としては、米国惑星協会が2001年と2005年のコスモス1というソーラーセイル試作機を打ち上げましたがロケットのトラブルで失敗していて、2010年末に打ち上げを予定しているLightSail-1計画があります。イカロスは、それにも約半年先行しているので、もしイカロスの数々のミッションが成功すれば、世界初の快挙となります。
一辺の長さが14m、対角線の長さが20mもある正方形の帆を展開しやすく折りたたむ技術は、折り紙の応用で、厚さ0.0075mmの帆(髪の毛の太さの10分の1ほど)の素材は、ポリイミド樹脂。発電のための薄膜太陽電池、太陽光を受ける量を調整して姿勢を制御するための薄膜液晶デバイス、宇宙の塵を観測するためのダストカウンターなどが、超薄膜の帆の表面に、日本が世界に誇る薄膜技術で実装されているのです。
ちなみにイカロスが帆を目一杯に広げて受ける太陽光の圧力は、1円玉に働く重力の1/10くらいしか得られないそうです。とても弱い力なのですが、継続して力を受け続けることによって遠くまでいける推進力を得られるそうです。
私は今から26年前の24才の頃、当時務めていた会社の上司から、
「セミナーの受講が出来なくなったから、カミヤッカー君、代わりに出てくれないか?」と言われて、このソーラーセイルによる宇宙航行のセミナーに出たことがある。
セミナーが行われたのは、日比谷の昭和初期の香りのする古めかしいビルの狭い会議室だった。出席者は約20人程度。私以外の出席者は全て、40代〜50代の科学者風の人ばかりだった。
人類が、宇宙空間を長期間旅するには、燃料を地球でたくさん積み込んでいくのは、おのずと限界がある。そこで考え出されたのが、このソーラーセイルなのである。帆を拡げた直後は遅いが、加速し続ければ、かなりのスピードも出せるとのことである。
当時の自分は、「なんという荒唐無稽な話なんだ!俺が生きているうちは、実現不可能だな。」といった気分で、チケットを譲ってくれた上司にセミナーの内容を報告した。
しかし、今まさにソーラーセイル実証機が宇宙を現実に航行しているのだ!科学の進歩に驚嘆して、科学者の努力と、努力し続ける持久力に、心底感服している。
そして、「未来の宇宙船は、あたかも大航海時代に帆船が地球を巡った時のように、宇宙で帆をひろげ航行していかもしれません!まさに宇宙の大航海時代がやって来るのです!」と語っていた講師の最後の熱い締めの言葉を、ふと思い出した。
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