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産経新聞 2017.12.30 
【続・消えるがん消えないがん】
「先生、オプジーボを」「それは無理」
免疫治療の新薬万能にあらず 日本の問題「玉石混交の療法」


神奈川県に住む70代の会社経営の男性が、
末期の肺がんと宣告されたのは半年前のことだった。
今年8月に写した画像では、がんは心臓の後ろで
直径7センチの巨大な塊となっていた。

 「もう命はあきらめかけていました」

一縷(いちる)の望みをかけて新しい免疫治療薬の投与を受けると、
がんがみるみる小さくなり、10月の画像では直径2センチに縮小していた。

 「まさか…」

東京都港区の虎の門病院。
画像を見せられた男性はうれしさのあまり涙がこぼれそうになった。

劇的な治療効果をもたらした薬は免疫チェックポイント阻害剤の一つ、
「キイトルーダ」(一般名ペムブロリズマブ)だ。
平成28年12月に肺がん治療薬として国が承認し、
保険診療の適用となった。

がん治療薬として知られる「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)と
同じようなメカニズムで働く新薬で、
「PD−L1」というタンパクの発現率の条件が合えば、
抗がん剤治療などをせずファーストライン(1次治療)で使えるのが特徴だ。

この男性の主治医の岸一馬医師(呼吸器センター内科部長)も
「事前の検査で、投薬対象と診断した患者さんの約45%に腫瘍縮小効果が
期待できる。この患者さんのように画期的な効果が出始めている」と話す。

薬の効能だけでなく、医師やスタッフが臨床試験(治験)段階から関わり、
どのような患者に処方するかなどの専門的な知識や経験を積み重ね
、診断を得たことも幸いした。


 「先生、私にもオプジーボを打ってください」

28年9月、大腸の末期がんを宣告された横浜市の男性会社員=当時(52)=は主治医にとりすがった。発見が遅れ、すでに手術は不可能な状態だった。

オプジーボは今年9月、新たに胃がんについても保険適用となり、
これで6種類のがんへの治療が可能になった。
しかし、大腸がんに対しては保険の適用外だ。
効き目は確認されておらず、治療薬として認められていないためだった。
医師は首を横に振り、「それは無理です」と答えるのみだった。

男性は抗がん剤の治療が尽き、
その2カ月後に妻と2人の子供を残し、
息を引き取った。

 免疫治療の新薬は万能ではない。
すべての患者に使えるわけではなく、使える対象の患者といえども、
すべての人に効果は期待できない。それでも、従来の治療薬に比べ、
がん縮小の効果が期待でき、延命できるケースも出てきている。

その患者の心理につけ込み、命を脅かすような
営利優先の医療がひそかに行われていた。

東京都内の元会社員男性、滝沢尚人さん(61)=仮名=は、
今年2月、都内のがん専門病院で肺がんと診断された。
手術適用の段階である「ステージ3」だった。
「なぜ私が…」と大きなショックを受けたが、
気を取り直し、手術の日程を調整することになった。

ところが、滝沢さんは独断で1カ月後に都内のクリニックを訪ねた。
手術を受けるのが怖かったのだ。

ネットで見つけたクリニックは「体にやさしい免疫療法」
「がんの予防や再発防止」を掲げ、
自由診療で免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」による治療を
提供していた。

雑居ビルの上層階にあるクリニックへエレベーターで上がってみると、
玄関には看板代わりに貼り紙があるだけ。
医療機関らしくない外観に「ちょっと怪しいかな」と不安もよぎったが、
医師の説明を聞くうちに「これなら治るかもしれない」と思えてきた。

1クールの費用として5回分投与の300万円を請求されたが交渉し、
その日のうちに1回、1カ月をおいて2回目の投与を受け、
計120万円を支払った。

健康保険と高額療養費制度を併用すれば自己負担は約8万円で収まるが、
自由診療のため全額を現金で支払った。資金が続かなかったことや
病院の主治医に無断での治療に後ろめたさもあって、
滝沢さんは病院での治療を再開し、8月に手術を受けた。

退院後、異変が起きた。自宅で意識を失う重篤な症状に見舞われたのだ。
怖くなって手術をした病院に「実はオプジーボを勝手に打った」
と打ち明けた。


オプジーボの副作用には抗がん剤のように嘔吐(おうと)や
脱毛などが少ない一方で、一部で劇症の糖尿病や
間質性肺炎などの症状を引き起こす可能性がある。

滝沢さんはがんだけでなく、重い内臓疾患も複数抱える患者だった。
副作用についてごく簡単な説明はあったが、
副作用によって予見される生命の危険などに関する詳細な説明は、
滝沢さんが「重い副作用が出た」と慌ててクリニックに駆けつけてから
初めて行われた。

重い症状に陥ったこととの因果関係は特定できていないものの、
「後から思えば、おざなりな環境の中で投与を受けた」
と滝沢さんは悔やんでいる。

手術した病院の医師からも「専門スタッフや設備が整っていない所で打つと
今度は命を落としかねない」とくぎを刺された。

自由診療による免疫療法は、科学的な根拠が証明された
「標準治療」を柱とする治療ガイドラインの外の医療行為に当たるが、
多くの場合、法的な規制にかからない。

このため「高額の自由診療で、効果も定かではない免疫治療の施設や
医師は事実上、野放しになっている」と、
東京薬科大・平野俊彦教授(臨床薬理学)は懸念する。

免疫チェックポイント阻害剤は製薬会社が開発を競い、新たに胃がんのほか、皮膚がんの一つ、「メルケル細胞がん」が承認され、
適用されるがんの種類が増えた。

同阻害剤の効果によって、広義の免疫療法が従来の薬などで
治らなかった患者への治療薬として注目を集めてもいる。

がん患者に対する免疫療法の確立に向け、
治験を重ねてきた米シカゴ大の中村祐輔教授(遺伝医学)は
「世界のがん医療は免疫療法を中心に大きく動いており、それを止めてはいけない。日本で問題とすべきは玉石混交の療法が存在することだ」と指摘する。

免疫治療の一つ、「免疫細胞治療」という療法を自由診療で提供している
医療機関の一つに「瀬田クリニック」(東京都千代田区)がある。
同クリニックでは、オプジーボが保険適用薬として承認される前の
平成11年から治療や治験を重ねてきた。

同クリニック臨床研究・治験センター長の神垣隆医師は「『免疫』という、
うたい文句に飛びつかず、安全性や効果のデータを公表している
医療機関を慎重に選ぶ必要がある」と強調する。

免疫薬を適用外の人に投与する施設、法的な届け出をせず、
営利目的のみで免疫療法を施す施設…。
今夏、他人の臍帯血(さいたいけつ)を使って
再生治療を無届けで行った医師や販売業者が摘発された。

さまざまな種類が混在する免疫療法も、患者が振り回されないためには
厚生労働省などによる徹底的な実態調査が求められている。

転載元転載元: Dr ミカのメモ帳: 脳・栄養・心 (発達障害・特別支援教育)

閉じる コメント(3)

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TBさせていただきました。

2018/1/3(水) 午前 0:06 憲坊法師

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> 憲坊法師さん
TB有難う御座居ました。

2018/1/3(水) 午前 6:22 bug*nno*e

顔アイコン

hitoさん
ナイス有難う御座居ました。

2018/1/3(水) 午前 6:23 bug*nno*e

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