◆「母子カプセル」とは……距離感が近すぎる母子の問題点
子育て熱心なお母さん、親思いの子どもは、周りから見れば「理想的な親子」に見えるかもしれません。しかし、そうした親子の中には、関係があまりにも親密すぎて共依存的な状態になっており、お互いの精神的な成長や安定にひずみを作ってしまっていることがあります。
このように母子の距離感が近すぎて、2人だけの世界に安住している状態を「母子カプセル」と言います。
子どもは、幼い頃には母親との密着した関係を支えにしながら、少しずつ周りの世界を覚え、社会との関わりを広げていきます。そして幼稚園や小学校に入ると、同世代の子ども同士で学び合い、先生という親とは別の指導者にも導かれながら「お母さんに頼らなくても、社会の中でなんとかやっていける」と自信をつけていきます。
つまり、お母さんに見守られつつも、一歩一歩、その関係から卒業していくのが、子どもの成長です。ところが、お母さんが子どもを母子カプセルに抱え込み、健やかな成長を阻害しているケースも少なくありません。
◆子離れできない……子に依存する母親の気持ち
母子カプセルに留まるケースには、母親の心が満たされず、不安定である例が多く見られます。その理由はさまざまですが、なかでも多いのが、夫婦関係の亀裂です。
夫婦関係が円満なら、母親が子どもにばかり気を向けることもなくなり、子どもはプレッシャーを感じずにのびのびと成長することができます。ところが、夫から愛されている実感がなく、さらに夫が家庭から逃げ腰になっていると、妻はその寂しさを満たすために子どもとの関係に熱心になり、母子カプセルを作りやすくなってしまいます。
また、母親が精神的に不安定な状態でも、母子関係の共依存は生まれやすくなります。たとえば子どもの頃から愛情に飢えており、「誰かに心から愛されたい、必要とされたい」という愛情欲求が非常に強い人の中には、全身でお母さんを求める幼い子どもに感応し、母子関係に依存的になっていく例も見られます。