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医師の処方通りに薬を飲んだ88歳女性が救急搬送
読売新聞 6/27(木)
佐々木淳 訪問診療にできること〜最期まで人生を楽しく生き切る〜
東京都足立区で一人暮らしをしている田中タツさんは88歳。
アパートの大家さんです。足腰はだいぶ弱っていて、
一日中、掘りごたつに座って過ごしています。
こたつの周りに必要なものは一通り置いてあるので、
伝い歩きでトイレに行くとき以外は、ほぼこたつで過ごしています。
食事は1日1回訪問するヘルパーさんが準備をしてくれます。
整形外科、内科、呼吸器科……1日7回、21種類の薬
そんなタツさんは、整形外科で変形性膝関節症と骨粗しょう症と診断され、
病院に月に1回通っています。病院では痛み止めや骨粗しょう症の治療薬など、7種類の薬をもらい、1日3回、食後に服用しています。
内科の病気もいくつかあります。血圧を下げるための降圧薬を2種類、
糖尿病の治療薬を3種類、コレステロールを下げる薬を1種類、
入眠導入剤ももらっています。
また昨年、要介護認定を受けた時、アルツハイマー型認知症と診断され、
認知症の薬もスタートしました。1日3回、食後に飲む胃薬も、
そして呼吸器科からも 去痰きょたん 剤や 咳せき 止めなど、
5種類の薬をもらっていました。
糖尿病の治療薬のうち1種類は1日3回、
食直前に飲まなければならない薬です。
タツさんは、1日3回食前、3回食後、そして就寝前に入眠導入剤、
1日7回薬を飲まなければならない、ということになります。
息子が手伝って処方薬をきっちり飲んだところ……
認知症のある一人暮らしの高齢者がきちんと飲むことができるのでしょうか?普通に考えれば、少し難しいと思います。
しかし、彼女の治療成績はとても優秀でした。
血圧も血糖もコレステロールも十分に下がっていたのです。
お正月に息子さんが帰省してきました。
息子さんはタツさんが薬の準備の手際が悪いのを見て、手伝ってくれました。朝食後に飲むべき18種類の薬をまとめて飲ませてくれたのです。
2時間後、タツさんは意識レベルが低下し、救急搬送されました。
息子さんは脳梗塞を心配していましたが、診断名は低血圧と低血糖でした。
普段、きちんと薬が飲めていなかったから、
血圧も血糖もちょうどよかったのです。きちんと飲ませてしまったので、
薬が効きすぎて、具合が悪くなったのでした。
薬を1日1回、5種類に減らす
その後、彼女の主治医を僕が引き継ぐことになりました。
整形外科の薬も、呼吸器科の薬もまとめて管理し、
最終的には内服は1日1回、5種類まで薬を減らしました。
血圧と血糖は少しだけ上がりましたが、ご本人は元気に過ごしています。
コレステロールの薬はやめましたが、数値は悪化していません。
もともと飲めていなかったのですから当たり前ですよね。
整形外科から出ていた痛み止めの薬もやめてみましたが、
膝の痛みは変わりません。入眠導入剤もやめてみましたが、
睡眠時間には特に変化はありませんでした。
薬は基本的には“毒”
薬は基本的には「毒」です。
適切に使えば、病気の治療や症状の緩和に役立ちますが、
一方で、有害な作用(副作用や過剰作用)の危険が常に伴います。
メリットとデメリットを常に比較しながら、
できるだけ少ない量をできるだけ短い期間、
服用するのが薬の正しい使い方です。
高齢者の場合、治療効果が出にくい一方で、
有害作用が発生しやすく、薬の使い方には特に留意が必要です。
今回は、高齢者の病気の特性と治療の考え方について
ご説明したいと思います。
<1>内服薬はできれば5種類まで
高齢者は病気をたくさん持っています。
それぞれの病気を治療しようとすれば、たくさんの薬が必要になります。
しかし、高齢になると薬を代謝する肝臓や腎臓の機能が低下していきます。
結果として、薬が効き過ぎ、副作用が発生しやすくなります。
また、ある病気の治療が、他の病気を悪化させるということも
起こる可能性があります。循環器の治療薬が消化器症状を悪化させたり、
消化器症状を緩和するための治療薬が認知機能を低下させたり、
薬の副作用による悪循環が起こりやすくなるのです。
例えば、高齢者の転倒の40%には薬が関与しているといわれていますが、
薬による転倒のリスクは、内服薬が5種類を超えたところから急増します。
誤嚥ごえん や認知機能の低下など、転倒以外の多剤併用のリスクも、
やはり5種類を超えたところから急激に上昇することが知られています。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」という言葉の通り、
薬の投薬は最小限に抑えるべきです。
<2>糖尿病や高血圧など生活習慣病の治療は控えめに
加齢に伴い、生活習慣病の 罹患(りかん)率は上昇していきます。
高血圧や高血糖は、動脈硬化の進行を加速させ、
脳梗塞や心筋梗塞のリスクになります。
だから、血圧や血糖をしっかり下げて、
動脈硬化の病的な進行を抑制することはとても重要です。
一方で高齢者は脆弱(ぜいじゃく)です。
降圧薬で血圧が下がり過ぎると、めまいやふらつきを起こし、
転倒や骨折のリスクになります。
血糖が下がり過ぎると、転倒や誤嚥、
そして認知機能の低下が加速することがわかっています。
動脈硬化は血管の老化現象でもあります。
年をとればだれもが動脈硬化になります。
すでに動脈硬化が進んでしまっている高齢者の生活習慣病を、
どこまで病気として治療をする必要があるのでしょうか?
実は高齢者の生活習慣病治療のガイドラインは、
若い人に比べて大らかな数値が設定されています。
また、米国では、80歳を超えると生活習慣病の治療は必要ない
(予後を左右しない)という意見もあります。
個人差はありますが、足腰が弱ってきた、認知機能が低下してきた、
などの「脆弱性」が目立つ高齢者には厳格な治療はしないほうがよい
というのが高齢者医療の常識となりつつあります。
<3>薬はちゃんと飲めなければ意味がない。
薬は処方してもらっただけでは治療になりません。
それをきちんと服用し、きちんと吸収され、
そして患部に届いて、初めて治療になります。
しかし、外来では「きちんと飲めているか」まで
追跡できないことが大部分です。薬が飲めていないのに
(ほとんどの患者さんは医師に薬をきちんと飲んでいると答えます)
薬の効果が不十分であると医師が誤解し、
さらに薬を増やされてしまう、ということも少なくありません。
きちんと薬を飲んでいただくために一番確実なのは、
服用回数と薬剤数を減らすこと。
確実に飲める(飲んだことを確認できる)タイミングに集約すべきです。
多くの薬には徐放タイプ(長く効く薬)があり、
このタイプなら1日1回ですみます。
きちんと治療するために1日3回の服用を指示しても、
結局1回しか飲めていない、ということであれば、
効き目が多少落ちたとしても、1日1回の治療を最初から計画したほうが、
より安全で確実な治療が提供できる、ということになります。
高齢者は個別の病気を治療するのではなく……
高齢者の薬物療法においては「一つひとつの病気を丁寧に治療する」
ことよりも、
「たくさんの病気をもったその人を最小限のリスクで治療する」
という考え方がより重要になってきます。
どのような治療が最適なのか、その人の生活能力・認知機能を考慮しながら、そして残りの人生の長さや、本人や家族の思いなども総合的に勘案しながら、検討していく必要があります。
佐々木淳(ささき・じゅん)
医療法人社団悠翔会理事長・診療部長。1973年生まれ。筑波大医学専門学群卒。三井記念病院内科、消化器内科で勤務。井口病院(東京・足立区)副院長、金町中央病院(同・葛飾区)透析センター長を経て2006年MRCビルクリニック(在宅療養支援診療所)設立。2008年、団体名を悠翔会に改称。
首都圏12か所で在宅療養支援診療所を運営する。
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保健・医療・健康
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