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産経新聞 2017.12.17
【クローズアップ科学】
最近顔が覚えられない…それ認知症のサインかも
人の顔が覚えられない−。
それは、もしかするとアルツハイマー型認知症の予備群に入った
サインかもしれません。
熊本大の研究チームは、人の顔を短期記憶できない場合は、
軽度認知障害の疑いがあることを見いだした。
英科学誌のサイエンティフィック・リポーツ(電子版)に掲載された。
軽度認知障害は放置すると認知症に進行する可能性が高く、
早期発見に役立つ可能性があるとしている。
記憶障害のある軽度認知障害(aMCI)には、
アルツハイマー型認知症の予備群が多く含まれていると考えられている。
まだ、生活に支障がないが、記憶などの認知機能が低下した段階だ。
従来の研究で、軽度認知障害では、言語や記憶などに関わる脳の「側頭葉」の内側が劣化していることに加え、顔の処理を行う領域である「紡錘状回」が
機能的および構造的に劣化していることが分かっている。
また、症状としては、顔の処理や、
顔の記憶に関する部分に影響があることが示唆されていた。
チームは、軽度認知障害の被験者18人を対象に、まず初めて見る顔や家の画像を3秒程度見せ、3〜5秒後に2枚の写真を見せて、同じものがあるかどうかを回答させるという方式で、短期記憶力を調べた。
この結果、健常者では顔と家の画像とで記憶成績に差がなかったが、
軽度認知障害の人では顔の記憶成績が家よりも低下していることが分かった。
また、顔について、上中下のどこを見ているかの視線行動も分析したところ、軽度認知障害の人では目元を見ることが少なく、口元を多く見る傾向にあった。
これらのことから、軽度認知障害の人では顔の短期記憶が低下していることが明らかとなった。おそらく脳機能の低下を補うため、顔を全体的に覚えるのに重要な口元など分散的な視線の動きをしていると推測されるとしている。
世界保健機関(WHO)では現在、世界に認知症患者が約5000万人いて、約30年後の2050年には1億5200万人と3倍に増えると推測している。
日本でも、厚生労働省によると団塊の世代(1947〜49年生まれ)が
75歳以上になる2025年には約700万人、
5歳以上の高齢者の約5人に1人に達することが見込まれている。
最近では高齢者の運転による自動車事故も目立ち、
高速道路の逆走事例も多く報告されている。
全国の高速道路会社が2014年に報告した調査では、
11〜13年に報告された事故および車両確保事案のうち、
68%が65歳以上のドライバーで、37%で認知症が疑われた。
神戸市では全国で初めて認知症と診断された人が起こした事故に対して
救済給付金を与える条例案を作成した。
認知症は本人や介護する家族の生活が大変になるだけでなく、
他人を巻き込む可能性もある。
アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる治療薬は
すでに4種類が発売されている。
また、認知症予防は、薬物だけでなく、
運動などライフスタイルの改善でも行える。
国立長寿医療研究センター(愛知県)では、適正な強度での運動に認知機能を使う「頭の体操」を組み合わせた「コグニサイズ」という運動を提唱している。「認知(コグニション)」と「運動(エクササイズ)」を組み合わせた造語だ。
認知症の診断は通常は医療機関で行うが、本人の精神的ショックも考えると
周囲が受診を勧めるのもなかなか難しい。といって事故を起こして自覚するのを待つというのは、あまりにもリスクが大きい。
今回の成果から簡易な判定法が作れれば、認知症のサインを早期に発見して
健康で過ごせる時間を長くすることができそうだ。(科学部 原田成樹)
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メンタルヘルス・脳の生理病理
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ひらめきがほしいときには
「ぼーっ」とすると
脳は平常時の15倍働き、
良いアイデアがわいてくる
精神科医・医学博士の西多昌規先生によると、常に忙しく、仕事などに追われている状態というのは脳によくないそうです。
なぜかというと、意識的に活動しているときよりも、ぼーっとしているときのほうが脳はエネルギーを使っており、その差は15倍にもなるというのです。
つまり、ぼーっとしているはずのときに、脳がもっとも働いているということです。
「無心」になることで本来の能力が発揮され、脳の働きを高めることができるわけです。
また、ワシントン大学医学部のレイクルらの研究によると、何か行動をしているときと、ぼーっとしているときの脳の働きを比較したところ、後者のほうが記憶に関する部位や価値判断に関する部位が活発に働いていたという報告もあります。
アイデアやひらめきなども、一生懸命考えようとしているときよりも、気を抜いてリラックスしているときにふと「あ!そういえば!」と浮かんできた、という経験はないでしょうか?
これには、脳の血流が大きく関係しています。
脳の血流の総量は何かをしているときも、何もしていないときも同じです。
何かをしているときは、その行動をするための脳の部位に血流が多く流れます。
反面、一部に血流が集中することでその他の部位の動きは鈍くなります。
一方、ぼーっとしている場合は、何かをしているときには使われていなかった部位にもエネルギーが行き届くのです。
そのために、それまで浮かんでこなかったような考えが浮かんだりします。
ぼーっとすることで、使っていない脳の部位を元気にできるというわけです。
近年、「瞑想」がビジネスマンなどの間で話題になっています。
故スティーブ・ジョブズなど、一流の経営者たちが行っていたということで注目されているのですが、瞑想をして「無心」になることで、かえって脳をバランスよく働かせているのではと考えられます。
ちなみに、ぼーっとすることは、「寝る」ことではありません。
数分だけじっと目をつぶってみたり、ろうそくの火を見つめてみたり、そうして意識を「無」にすることがぼーっとするということです。
「科学的に元気になる方法集めました より」
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物忘れを感じるようになるのは、脳機能低下のあらわれ
物忘れとは、脳は、体の機能全般をコントロールしている司令塔ですが、加齢とともにその働きは衰え物忘れの症状が出てきます。
脳血管の動脈硬化を放っておくと、血液循環が悪くなって脳細胞の動きが低下し、記憶力や思考力などが鈍り物忘れがはじまります。
物忘れに関して脳の機能を活性化する重要な栄養素がビタミンB12です。
脳の神経細胞は約140億個といわれ、25歳を過ぎると1日に10〜20万個ずつ死滅していきます。
死滅した神経細胞は2度と再生されず物忘れもひどくなります。
しかし、死滅した神経細胞は元に戻らなくとも、神経の通り、すなわちネットワークをよくすれば、低下した機能を補い、さらには高めることができ物忘れも改善されます。
物忘れに関する神経伝達物質の中で記憶と学習にかかわっているのはアセチルコリンで、このアセチルコリンはコリンと酵素を原料にしてつくられています。
ビタミンB12は、アセチルコリンを活性化して神経伝達をスムーズに行う働きをもっています。
また、アルツハイマー型認知症の患者の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。
老人の認知症の3割〜5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12について?
※ちょっと使える身近な情報をお届けしています!
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認知症治療に新たな光明! ポイントは「新薬」&「既存薬の再開発」高齢者の5人に1人が認知症患者に
内閣府公表の高齢社会白書「平均寿命の将来推計」によりますと、平均寿命は今後も伸びると予想され、2060年には男性は84.19歳に、女性は90.93歳になる見込みです。 【画像付きの記事を見る】不整脈のクスリが認知症に効果があることが発見される 一方、厚生労働省は、2025年には認知症患者数が730万人に至るとの推計値を発表しています。65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算となります。 脳のシミ「老人班」
世界中で認知症のクスリの研究が行われてきましたが、認知機能の低下そのものを根本的に食い止める薬剤は今のところありません。 しかし今、これまでにない認知症治療薬の研究が、いくつか進んでいます。 まずは、新たに研究・開発されている「新薬」について。 認知症全体の60%を占めるアルツハイマー型認知症の原因はハッキリと解明されていませんが、有力視されるものの1つが「アミロイドβ」です。 アルツハイマー型認知症の脳には、皮膚に観られる「シミ」のような「老人斑」が観察されます。 「アミロイドβ」とは、「老人斑」の構成成分である特殊なたんぱく質なのです。 「アミロイドβ」が蓄積し、「老人班」が広がることにより、脳神経細胞の死滅〜脳の委縮…と、認知症の原因になっている可能性があるのです。 「新薬」がアミロイドβを減少
では「アミロイドβ」は、どうやって脳内に生まれるのでしょう。 アミロイド前駆体タンパク質のβサイトが、代謝の過程でタンパク質分解酵素であるBACEに切断されると、「アミロイドβ」が産生されるのです。 現在、研究が進められている新薬は、BACEを阻害することで、「アミロイドβ」を減少させる効果があるのです。 認知症の進行を抑制する可能性が期待されており、治験は最終段階に入っているということです。 脳細胞の『骨格』支える「微小管」と「タウたんぱく」
続いては、ある疾患に有効な既存のクスリから、認知症に有効な薬効を見つけ出す…「既存薬再開発」です。 アルツハイマー型認知症の原因と考えられるもう1つは、「神経原線維変化」です。 細胞の中には「微小管」と言う、ごく小さな管があり、さらに「タウたんぱく」という特殊なたんぱく質が、微小管を結合しています。 実は「タウたんぱく」が結合した「微小管」のおかげで、細胞の骨格は安定しているのです。 ところが、「タウたんぱく」がリン酸化酵素によってリン酸化されると、微小管から離れてしまい、「タウたんぱく」同士で異常に結合してしまうのです。 すると、神経細胞を支えていた「微小管」が崩壊し、神経細胞が脱落します。これが「神経原線維変化」です。 「神経原線維変化」によって脳神経細胞が死滅すると、脳は萎縮し、アルツハイマー型認知症を発症するという訳です。
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僕、認知症です〜丹野智文43歳のノート
読売新聞 2017年7月11日
コラム 消える記憶「何かおかしい」のびのび過ごした学生時代「何か変だ……と感じてはいたけれど、認知症とは思いもよらないまま、月日が過ぎていきました」 私は1974年2月、太平洋に面した宮城県南部の岩沼市で生まれました。中学は、仙台市内の私立校に入学。大学まで一貫教育のいわゆる「エスカレーター式」だったのをいいことに、勉強そっちのけで部活の弓道にあけくれました。
大学では経済学部に進み、卒業後は、自動車販売の「トヨタオート仙台」(現・ネッツトヨタ仙台)に入社しました。車関係の仕事は全く考えていなかったのですが、企業の合同説明会でたまたまブースに入り、担当者が大学のOBだったのに縁を感じて試験を受けたら、内定をもらえたのです。進学や就職で厳しい競争と無縁でいられたのは、恵まれていたのかもしれません。
順風満帆の社会人生活営業に配属され、担当エリアの住宅を一軒一軒回ったものの、お客様となかなか会えなくて、販売台数も伸びませんでした。3年後、フォルクスワーゲンの販売店に異動になった際に、「この店でトップになりたい」と思い、これまでのやり方を見直すことにしました。
お客様にどうしたら車を購入してもらえるかと考え、まずは自分のことを信頼してもらい、気に入ってもらえるように活動しようと思いました。恋愛と同じで、好きになってもらうには、まめに連絡するのが第一です。暑ければ、「熱中症に気をつけて下さいね」、雪がふれば、「昨日の雪は大丈夫でしたか」と、「いつも気にしていますよ」という気持ちを込めて電話をかけ、はがきもこまめに書きました。
他のスタッフのやり方も観察して、いいと思ったことは何でも取り入れていきました。どうしても経験をつむと、専門用語を使うようになってしまい、 お客様が理解しにくい説明になりがちです。若いスタッフの話をそばで聞いて、わかりやすい言葉などをまねるように心がけました。
工夫を重ねて成績が上がると、働くのが楽しくなります。ますます仕事に励み、さらに売り上げが伸びていきました。
プライベートでは、入社の翌年に同期の女性と結婚。2人の娘に恵まれました。申し訳ないことに、帰宅は深夜、休日も会社の同僚とゴルフに出かけたりと、あまり家にいない父親でしたが、妻のおかげで子どもたちはすくすくと育ってくれました。
大きな悩みもなく、順風満帆といっていい人生を送っていたと思います。 30代半ばで認知症の症状が表れはじめた時も、最初はほとんど気にとめていませんでした。
小さな異変の始まりカレンダーを持って、年末のあいさつに回っていた時のことです。マンションの入り口に着くと、訪問先の部屋番号を忘れてしまっていました。自分の車に戻って確認するのですが、マンション前にくるとまたわからなくなってしまうのです。建物と車の間を何度か往復することになり、玄関先まで部屋番号を書いたメモを持っていきました。
そんなこともあって、「この頃、なんだか忘れっぽいな」と感じたので、 予定を記入していた手帳をノートに替えて、メモを書き込むようにしました。
初めのうちは、例えば「鈴木さんにTEL」と書いておけば問題なかったのですが、そのうち、どこの鈴木さんにどういう用件で電話をするのかが思い出せなくなりました。だんだんと書くことが増え、ノートも、メモ帳程度のサイズだったのが、B5判、A4判へと大きくなっていきました。
それでも、毎日やることを全部書き、済んだらチェックするようにしていたおかげで、なんとか大きなミスは起こさずにすんでいました。
毎日会う同僚を忘れ……セールスマンであれば、お客様一人ひとりの情報が頭に入っているものです。私も、店の駐車場に入ってくる車のナンバーを見れば、どのお客様かがわかりました。
ところがある時、見覚えのないお客様が来店したので、他のスタッフに接客を指示すると、「丹野さんのお客様でした」との返事です。そう言われて改めて顔を見ても、全く記憶にありません。「会ったことはないよ」「でも、お客様が丹野さんを呼んでいますよ」――。
何かおかしいと感じたものの、その時は、それほど深刻に受け止めていませんでした。当時、400人も担当していたので、「忙しすぎて、覚え切れないこともあるだろう」と。自分のお客様の顔を忘れるなんて、それまでは、ほとんどなかったのですが。
そしてある日、職場の同僚の顔と名前がわからなくなりました。 社内の組織図で名前を確認し、周りに気づかれることなく仕事を続けましたが、毎日、一緒に働いている仲間を忘れてしまったことに、内心では動揺していました。
それでも、「ストレスがひどいのかな」と思い、「病気」という考えは浮かびませんでした。最初の異変から5年。2012年が、もう少しで終わろうとしていました。
おれんじドア実行委員会代表
1974年、宮城県生まれ。東北学院大学(仙台市)を卒業後、県内のトヨタ系列の自動車販売会社に就職。トップセールスマンとして活躍していた2013年、39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断を受ける。同年、「認知症の人と家族の会宮城県支部」の若年性認知症の集い「翼」に参加。14年には、全国の認知症の仲間とともに、国内初の当事者団体「日本認知症ワーキンググループ」を設立した。15年から、認知症の人が、不安を持つ当事者の相談を受ける「おれんじドア」を仙台市内で毎月、開いている。
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