|
発達障害の「できない」は 道具で「できる」ようになることも
mamatenna 2017年7月17日
生まれつき脳機能の発達の影響によって、
社会生活に困難が生じてしまう「発達障害」。
症状の出方はさまざまですが、健常な発達をする子どもにくらべると、
発達障害の子は手先が不器用だったり、じっとしていられなかったりと、
市販されている日用品などが上手に使えないことも多々あるようです。
そうした発達障害の子を含め、子どもたちが苦手意識を持ちがちなことを
フォローアップしてくれる数々の「道具」を考案してきたのが、
特別支援教育の第一人者・安部博志(あんべひろし)先生です。
筑波大学附属大塚特別支援学校の主幹教諭も務める安部先生に、
道具を使うことの意義について聞きました。
●道具で「できる」ようになれば自己肯定感も高まる
幼稚園や小中学校の学級を1万以上視察してきた安部先生。
そのなかで発達障害の子は、
たとえばまっすぐな線を引くことを苦手としていたり、
一般的には簡単に感じられる運動がうまくできなかったりと、
さまざまな“困り感”(学校などの集団生活、
家庭での日常生活でつまずきや戸惑いを覚えること)を抱えているといいます。
そうした発達障害の子にとっての「できない」は、視力が低下した人の
「見えない」と同じようなことだと安部先生は指摘します。
視力が低下した人にメガネがあるように、世の中には、あまり知られていないだけで発達障害の道具の子にむけた道具がたくさんあるそう。
「これまで100円ショップやホームセンターを巡って、いろいろな道具を自作してきました。でも、じつは発達障害の子ども向けに作られたものだけではなく、一般に販売されているユニバーサルデザインの商品なども困り感の解消には一役買ってくれます」(安部先生、以下同)
たとえば、シリコンゴムに覆われていて、指をピタッと添えることができる
定規『Qスケール15』。真っすぐな線を引くためには、
“目と手の協応動作”が必要ですが、前述の通り発達障害の子は
この動作が苦手な子が多いといいます。そこで、滑り止め効果がある
こちらの製品であれば、線を引くことに集中できるそうです。
また、同じく協応動作が求められる縄跳びですが、
手首を回す行為と飛ぶ行為を同時に行うことが難しいのですが、
手首の回し方を練習することができる『鉄人倶楽部エアーなわとび』
という商品と、飛ぶ練習にはゴムホースなどを活用すれば、
徐々に飛ぶタイミングをつかめるようになるのだそう。
安部先生によれば、こうした道具は万能ではないものの、子どもの
「成功体験」をバックアップしてくれる強力なツールになるとのこと。
「いまの医学では、発達障害を完治させることはできません。
そのため、たとえば手先が不器用な子がトレーニングしても、
急に器用になるわけではありませんし、
学習理解の遅い子が急にスピーディーに理解できるようにはなりません。
こうしたことから、発達障害の子どもたちは成功体験が乏しいだけではなく、周囲からも『なんでできないの?』と叱責される機会も多く、
自尊心が低いまま成長してしまうケースがよく見受けられます。
しかし、ほんのちょっとした工夫が施された道具を使うことによって、
子どもの『できる』を叶えることもできるんです。
そうすれば、親子で『できる』『できない』の泥沼の戦いをしなくても
済むということが結構あるなと感じました」。
●苦手を無理に克服させるより、道具の力で自己肯定感を育む
苦手なことを克服させようと躍起になってしまうのは、我が子を思えばこそ。ただ、発達障害を抱える子どもは、学校や日常生活で想像以上に
「困っていること」が多いと、周囲が認識するべきだといいます。
「発達障害だと分かっていても、いつまでもできるようにならない子どもに
ストレスを感じてしまうママも少なくないでしょう。
そこで想像してみてください。
たとえば、靴の蝶結びを繰り返し失敗して、友だちから『早くしろよ』
『何でできないんだよ』と言われ続ける子がいたとします。
でも、発達障害の子にとっては、軍手を2枚はめた状態、もしくは
氷水に手を数分浸した状態で、蝶結びするのと同じようなものなんです。
そこで、何とかできるようにと頑張らせても、本人はつらいだけですし、
『自分はダメなんだ』と自己肯定感も否応なしに低くなりますよね。
そうした“困り感”と向き合い続けるよりも、
道具で少しでも『できる』が増えるなら、すぐに取り入れた方がいいです」
「できる」嬉しさと「褒められる」喜びは、
子どもの心を育むうえで欠かせない要素。
こうした道具の存在は、たくさんの困り感を抱える子どもたちの手助けになってくれそうです。
(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)
|
メンタルヘルス・脳の生理病理
[ リスト | 詳細 ]
|
|
脳の活性化「炭水化物だけ」はNG、
カギは朝食にあり
プレジデントオンライン
だるくてぼんやり、なんだか仕事がはかどらない……。
そのまま放置していると、取り返しのつかない結果に!?
食事、運動、睡眠を見直して、健康な脳と心身を取り戻そう。
炭水化物は脳のエネルギー源
暑い時期は食欲が落ち、だるくなります。
なぜ「夏バテ」が起きるのでしょうか。
人は恒温動物であり、体温を一定に保つための体温調節機能がついています。外気温が上がると、まず皮膚の血管を拡張して放熱し、次に発汗して気化熱で体を冷やします。
その結果、血液から水分と塩分が失われ、血液成分の濃度が上がり、血液の循環が悪くなります。すると内臓の血液が減り、胃液の分泌量が落ち、胃の機能が下がるため、食欲がなくなり、身体はエネルギー欠乏状態になります。
脳の重さは身体全体の2%程度しかありませんが、摂取カロリーの20〜30%を消費します。ですから、脳もエネルギー欠乏を起こし、頭がぼーっとしてくるのです。
脳を除く身体は、炭水化物、脂肪、タンパク質のいずれもエネルギーにすることができますが、脳がエネルギーにできるものは、ブドウ糖(グルコース)だけです。
また身体はエネルギーを貯蔵することができますが、脳は貯蔵できません。ですので、ブドウ糖の量が減れば、脳の機能は落ちていきます。
ブドウ糖は炭水化物や糖分を分解してつくられるため、栄養が欠乏した脳は、甘いものや、うどんやそうめんのような炭水化物を欲しがるのです。ですから、夏バテしたときには、水分と塩分、炭水化物や糖分を摂る必要があります。
しかし、炭水化物ばかり摂っていてはいけません。脳のパフォーマンスを高めるためには、タンパク質、ビタミン、不飽和脂肪酸であるDHAが必要です。
脳とは神経細胞の巨大なネットワークです。脳は外側から、「知(思考)」をつかさどる前頭葉、「情(感情)」をつかさどる大脳辺縁系、「意(食欲や性欲)」をつかさどる視床下部があり、視床下部の中心には、「A10(エーテン)細胞核」があります。
A10細胞核は1万4000の細胞からなり、大脳辺縁系や前頭葉に神経繊維を伸ばし、そこからシナプスを通じてドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質を放出することによって情報の伝達を行います。
ドーパミンは快感ややる気をもたらし、学習能力や運動能力、記憶力を高めます。セロトニンは精神の安定と安らぎをもたらし、睡眠の質を高めます。
ドーパミンが不足すると認知症の原因となり、
セロトニンが不足するとうつ病の原因になるといわれています。
この重要な神経伝達物質の原料となるのは「アミノ酸」です。
人間の身体をつくる20種類のアミノ酸のうち、11種類は体内で生成されますが、トリプトファン、リジンなどの9種類は食物からしか摂れません。
これらは「必須アミノ酸」と呼ばれ、タンパク質を分解してつくられます。
脳の神経伝達のためには、タンパク質が必須なのです。
タンパク質が多く含まれるのは肉、魚、大豆、乳製品です。
十分な神経伝達物質を生成するには、体重1キログラムに対して
1日約1グラムのタンパク質が必要だといわれています。
朝食バランスで夜まで脳を活性化
脳を活性化するためには、良質な脂肪を摂ることも欠かせません。
最も効果が高いものは、青魚やマグロなどの魚油に多く含まれるDHAやEPAです。DHAは、脳にダメージを与える有害物質を防ぐ「血液脳関門」というフィルターを通過して脳内に入ることができる、唯一の脂肪酸です。
血液から脳に移行し、細胞膜に作用して脳細胞を柔軟にします。
DHAは脳の記憶装置である「海馬」に特に多く含まれ、
これを増やすことは記憶力や学習力を増すのに非常に効果があります。
DHAは低温でも固まらない不飽和脂肪酸であり、サラサラしているのが特徴です。常温で固まってしまう動物の脂は、動脈硬化を促進する作用もあるので、体によくありません。肉は脂身のないものを食べ、脂は魚から摂るのが基本です。
では、おさらいです。脳のシナプスを繋いで脳を活性状態にするために必要なのは、タンパク質とビタミンとDHA。脳は一度活性化すれば1日状態を維持できますので、これらは1日に1回摂取すれば大丈夫です。そして脳のエネルギーとして必要なのが、炭水化物です。
私のお勧めは、朝食でそのすべてをバランスよく摂取し、毎朝、脳を活性状態にすることです。朝食を摂らないと脳のパフォーマンスが落ちることがわかっています。毎朝、バランスよく摂るのが難しい人は、サプリメントで補ってもよいでしょう。
昼食はご飯一膳分の炭水化物を摂るぐらいで十分。夕食は体重の増減に気を付けて、好きなものを食べたらよいでしょう。ただし「ご飯代わりにビールだけ」はダメですよ。
阿部博幸
アベ・腫瘍内科・クリニック 理事長。医学博士。トーマス・ジェファーソン大学客員教授。1964年、札幌医科大学卒。88年、医療法人社団博心厚生会を設立。九段クリニック名誉院長、九段クリニック水戸理事長。
|





