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 蘇州の維経堂版『漢宋奇書』は、『三国演義』と『水滸伝』を上下二段に収めた版本で、京都大学漢籍善本叢書所収『二刻英雄譜』に比べれば、摺擦時期は、そう古くは無く、それほど珍本とは言えないかも知れません。しかし、現代では、この版本も随分少なくなり、あまり市場に出て来ません。今では稀覯本と言っても良いでしょう。この版本には、両書の登場人物の繍像が収められており、その一つ一つにそれぞれ賛が付いていて、その人物の性格や作中における位置が簡潔端的に説明されています。こうした繍像は、『二刻英雄譜』には無く、維経堂版は、それなりに興趣を備えています。
 
 しかし、それを読み、解釈したものは、管見には入りません。そこで、ここに繍像を掲載し、その賛の読解を行おうと思います。しかし、これは言うに易く行うに難い仕事で、あの膨大な両書をよく読んで、多くの登場人物のキャラクターを把握していないと出来ない事です。ですから私も、この作業が出来おおせるか不安ですが、ともかくここにそれを試みてみましょう。読者諸賢の御批正をお願いします。

 まず水滸伝の百八豪傑の頭領たる宋江からはじめます。

  呼保義宋江

   一代大侠   一代の 大侠          一世一代の大侠客で、
   起刀筆吏   刀筆の吏より起る       下級役人から身を起した。
   畴駆迫之   畴(たれ)か駆りて之に迫らん  誰が彼を追討できようか。
   縦横若是   縦横 是くの若し        このように縦横無尽に活躍した。
   或曰奸民   或いは曰く 奸民と       あるいは奸賊だと言われ、
   或曰忠義   或いは曰く 忠義と       または忠義だと言われる。
   青史不誣   青史は 誣いず         史書は偽りを言わない、
   付之公議   之を公議に付す         これを公正に評価した。

    宋江は、魯智深のような無邪気な豪傑ではなく、武松のような一本気な英雄でもなく、複雑に思慮する知識人ですから、水滸伝の中では何か陰険な印象があるのは止むを得ず、またそうした性格でなければ一山の頭領とはなれません。しかし、稀代の名批評家である金聖嘆などは、彼を嫌って、「陰険」だなどと酷評します。また、政府側から見れば、盗賊の頭領ですから、奸民なのですが、後には政府に帰順して遼国を征討したりしますから、忠義とも見られます。現に我が曲亭馬琴は、水滸伝の豪傑を最後は大忠と読んでいます。こうした宋江の生き方、否、梁山泊の豪傑全体の生き方が奸とも言え、忠とも言えるので、その点を第五、六句は指摘しているのです。

 第七句の「青史」は、歴史の書の意で、そう言うと、宋の世の盗賊宋江たちの事を記した『宣和遺事』のことかと思う方がいるでしょうが、同書では宋江たちはほんの僅かにしか出ていません。故に、ここで言う青史とは、他ならぬ『水滸伝』のことを指すのでありましょう。水滸は小説ですが、歴史小説とも言える側面があるので、この場合は強引に同書を青史としているのでしょう。そして、青史たる水滸伝では、宋江らを大侠として美化し、最後は忠義とし、あとは読者の判定に委ねているが、そこにおのずからなる公議が表されている、と言うのでしょう。

  


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