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智多星呉用
世治廟廊 世よ廟廊を治め 代々、政治を行い、
輔佐時危 時の危うきを輔佐す 時の危機を助けてきた。
草沢奸雄 草沢の奸雄 民間の盗賊英雄であり、
豈是尋章 豈是れ 章を尋ねんや どうして様々な文章を学んだであろうか。
摘句冬?扶(火+共) 句を冬?扶に摘(つ)み 村塾の教師の学力で句を選ぶのが、
学究家風 学究の 家風なり 呉学究の家風である。
呉用は、文字通り、智恵が多い軍師です。軍師は、頭領の次に重要ですから、彼が二番目に登場します。ただし、呉用の場合は、解釈に厄介な問題がある所があります。まず、冒頭の句です。「世」というのは、呉用の家が代々、政治家として高い地位を占めていた事を意味します。しかし、呉用というのは、?盡城県東渓村で私塾を開いていた人で、そんな出身ではありません。そこで、「世」という字には、問題があるのです。しかし、ここでは呉用を誉める必要があるので、立派な家柄の出だ、という事にしたのでしょう。
第一句と第二句は、当初の順序が逆だった、と考えられます。というのは、第二句の末尾が「廊」になると、偶数句の末尾が「廊」「章」「風」とng音の韻が踏まれる事になるからです。そうだとすると、「時の危うきを輔佐したので、世よ廟廊を治めた」、即ち長年、梁山泊の幕僚を務めた、というほどの意となり、比較的スムーズに意味が通るようになります。
第五句の「冬?扶」は、冬なのに火が燃えるように熱している意。転じて、頭がのぼせて明晰でない意。更に転じて田舎の塾師の意味になります。
第六句の「学究」は、呉用の字(あざな)ですが、彼が学者風な風格を備えている事をも含意しているでしょう。
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